IMFは事実上、アメリカの支配下にある。そして米政府は2005年に、ミャンマーを、イラン、北朝鮮、キューバなどとともに「拡大版・悪の枢軸」ともいうべき「圧政国家」(outpost of tyranny)の一つに指定し、ミャンマーの軍事政権を転覆して「民主化」したいと表明している。これらのことから考えて、アメリカがIMFを通じて「経済改革」の名目でミャンマー政府に補助金を廃止させ、ミャンマーの反政府運動を盛んにして軍事政権を転覆しようとした疑いがある。(関連記事)
88年の反政府運動以来、アメリカでは、表向きは「民間団体」「市民運動」だが、CIAや国務省から支援されている「National Endowment for Democracy」や「Freedom House」「Open Society Institute」(ジョージ・ソロスが作った組織)、「Albert Einstein Institution」といった運動体が、ミャンマーの反政府活動家をリクルートし、タイに越境させ、タイやアメリカで反政府運動のやり方を訓練してミャンマーに戻し、反政府活動を強化する作戦を続けてきた。
ミャンマーの反政府運動をテコ入れするアメリカの作戦の中で、CIAなどにノウハウを提供しているのは、ハーバード大学の学者で市民団体「Albert Einstein Institution」を創設したジーン・シャープ(Gene Sharp)という人物である。彼は、インドのマハトマ・ガンジーの「非暴力抵抗運動」を研究するうちに、非暴力抵抗運動を使って、世界中の圧政国家を、内側から市民の反政府運動によって倒すことができるはずだと考えるようになった。
そして、デモを組織したり、当局に見つからないように反政府組織を維持拡大したりといった技能を集積し、世界中の圧政国家の反政府活動家に教える市民団体として1983年に「Albert Einstein Institution」を作り、同時にハーバード大学にも研究拠点として「Non Violent Sanctions Program」を作った。(関連記事)