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GBサガ2 小説執筆者さま募集中コミュの「モノローグ・タケル」

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---Monologue 1 Takeru---


誰も行ったことのない場所に行きたい。
誰もやったことのない事をやりたい。
俺は小さい頃からずっと、そして今もそう思っていた。
だから、なんだろうか。
最近、何かにつけて父さんが聞かせてくれた話を思い出してしまうんだ。

例えばそれは、屋根の上に上って空を眺めているとき。

「この村は山に囲まれているから見ることは出来ないが、
外の世界には『天の柱』と呼ばれている塔があるんだ」
「てんのはしら?」
「そう。全ての世界につながっている、でっかいでっかい柱だ」

例えばそれは眠れない夜のベッドの上。

「タケル。この世界の中心には小さな神殿があるんだ。
そこには生まれつき治療の魔法が使える神官がいてな……」
「え、魔法? すげー! 魔法使いって、もじゃもじゃのじいさんなんだろ?」
「ばか。魔法使いじゃなくて、神官だ。しかもお前と同じくらいの女の子だよ」

そんな風にして聞かされた話は、俺にとって宝物みたいなものだった。
大陸が幾層にも連なった世界での冒険の話や、暗く深い洞窟で戦ったモンスターの話。
一緒に冒険した仲間達や、死んでしまった戦友の話。
何もかもが知らないことばかりで、本当は全部作り話なんじゃないかって思うほど、
かっこよかった。

この村の外に、本当にそんな世界があるんだろうか。
もしそうなら、俺はそれを見てみたいと思う。
父さんが歩いた世界を歩き、さらにその先の世界へも行ってみたいと思う。

けれど、そこで俺の思考はぴたりと止まってしまった。
それを探しに行ってもう何年も戻ってきていない父さんを、
ずっと待っている人がいる、という事を知っているからだ。

父さんが、幼い俺と母さんを置いて家を出てから十年経った。
時々届いていた手紙も、3年前からは一通も届いていない。
俺は母さんを心配させたくなくて、とても口には出せないけど、
きっと父さんに何かあったんだって思っている。

それなのに母さんはのんきに紅茶を飲みながら、
「この鏡の赤い光が消えない限り、きっとあの人は無事よ」
なんて安心しきっているからよく分からない。
だいたいあの鏡、俺が父さんから渡されたはずなのに、
いつの間にかすっかり母さんのものになってしまっている。
まぁ、あの鏡で母さんが元気になってくれるなら安いもんだと思うけど。

それにしても、どうして母さんはあんなに父さんを信じられるんだろう。
女手ひとつで俺を育ててきて、苦労がないはずなんてないのに、俺にはいつも優しくて、
そして一度だって父さんのことを悪く言った事はなかった。
だから俺も父さんのことを悪く思えず、
父親の不在を当然のことのように受け止められたのだと思う。

けどだからこそ、俺がいなくなるとどうなるんだろうって、思ってしまうんだ。

どれだけ泥だらけになっても、俺を抱きしめてくれた母さん。
父さんの若い頃の話を、まるで昨日のことのように話してくれた母さん。

あの人を一人ぼっちにさせちゃいけない。
うぬぼれじゃなく、そう思う。


「俺、どうすりゃいいのかな……」
進むことも、留まる事も出来ない俺は、ひとり、屋根の上で呟いた。
空には満点の星々が広がっていて、世界の広さを思い知らされる。

天の柱は全ての世界につながっているという。
もしかしたら、あの星にもつながっているんだろうか。
「そこに父さんがいたりしてな。はは」
そう言って俺ははっとした。
「そうだ、父さんがいるかもしれない」
母さんの言うとおり、どこかで父さんが生きているのなら、
そのどこかの世界に必ず父さんがいるはずなんだ。

「探しに行こう」
そして、父さんと一緒にこの村に帰ってきて、家族三人で暮らすんだ。
我ながらいいアイディアだと思った。
一時的に母さんを置いていくことになるという、ただ、ひとつの欠点を除いては。

でも……

「行きたいな……」
俺はこの気持ちを、これから先も抑え続けられる自信なんてなかった。
幼い俺に鏡を渡し、窓から飛び出していった父さん。
彼の背中が吸い込まれていったあの窓に、俺もまた強く、強く惹かれている。

でも父さん、俺はあんたとは違うからな。
冒険にかまけて家族をないがしろにするなんて、俺にはそんなことは許せないんだ。
だから、必ず父さんを連れて帰って、母さんを抱きしめさせてやる。

俺は恐る恐る屋根の上に立ち上がり、力の限り叫んだ。
「絶対見つけてやるからな!」


---Monologue 1 end---

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