和妻の代表作の一つ。二本のこよりを用いて術者の親指を観客によって縛り上げ、身動きできない状態にしてもらう。その状態で、刀や棒、観客の腕などを貫通させる。もちろん、こよりの結び目はゆるんだり外れたりすることはない。 欧米では1901年(明治34年)渡米した松旭斎天一によってセンセーションを巻き起こし、「天一のサムタイ」として有名になり、オリジナルと認められている。 松山光伸著「日本の手品史」によれば天一以前に青柳春日なる人物がサムタイを行った記録があり、天一のオリジナルではない。 記録によれば、1888年(明治21年)には「指ぬき」、1900年には「柱抜き」としていずれも天一の門弟が演じている。 しかし、実際には1877年(明治10年)「シイボルト先生直伝座敷諸伝授」に「柱抜き」として記載されている。ここでは西洋マジックとして紹介されている。 ウォーター著「マジック&マジシャン事典」によれば、イタリアのピネッティがすでにサムタイを演じていたとのことである。オンリ・デクロン(Henri Decremps) が著した暴露本「Joseph Pinetti in Supplément à La Magie Blanche Dévoilée (The Conjurer Unmasked ) ( 1785 )」にあるとの事。 また、ウィリアム・クレマー著「シークレットアウト」(1859年)にはこのサムタイの原形が記載されている。 しかし、いずれも西洋のやり方は、現在のサムカフとほぼ同じであり、単なる脱出である。つまり貫通現象としてのサムタイは、日本オリジナルの可能性が高いといえる。 天一のサムタイは当時賞金を懸けて演じ、誰もその秘密が分からなかったという。渡米中カール・ロッシーニ(Carl Rosini)、ポール・ロッシーニ(Paul Rosini) など数人に伝授されたサムタイは、その後、ターベルコースや、バーノンのブックオブマジックなどに解説される。欧米人の行うサムタイは、こよりではなくむしろパイプクリーナーなどの針金を一本使うスタイルが主流になった。現在では、マックキング(Mac King)が得意にしている。 近年は、フィン・ジョンが行ったビニールテープを親指と人差し指に巻くサムタイのスタイルが世界的に広まっている。 日本では、雑誌「不思議」、高木重朗著「不思議な世界」(東京堂出版)で解説されている。
Jaspernese Thumb Tie, created by Jay Marshall which used pipe cleaners (1939) Sixteen Thumb Tie Gems by Max Andrews (1945) Tarbell Course in Magic , Vol. 4 (1945) has a whole section on thumb ties. Thumb Tie described in The Dai Vernon Book of Magic written by Lewis Ganson (1957) Losander 's Chain Breaker uses electrical tape.