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新必殺仕業人コミュの新必殺仕業人(2022年リブート版)

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 おなじみ必殺シリーズ第5897弾。おなじみの中村主水(藤田まこと)、やいとや又衛門(大出俊)に加え、今回よりビーナス屋の嘉吉(ドブ沢ゲル美)が参加。髷の元結を切り、そのまま異次元空間に引き込む「異次元殺し」で悪を葬る。
 主水シリーズとしては第5894弾『必殺仕置屋稼業DX」以来の作品となる。
 前作「必殺仕置屋稼業DX」最終話「一筆啓上不労所得が見えた」において、奉行所に捕らえられた仲間のバーナビー(アラン・ドロン)をわざと逃し、その責任をとり4代目スケバン刑事に格下げになった主水。大幅な減給のため、せんりつは宇宙へ出稼ぎに行ってるといういかにもスケジュール調整があわなかった言い訳みたいな設定に加え、離れの間貸し人が複数登場するなど中村家は経済的に困窮。細々と仕業人(1975年)以来の登場となる捨三(渡辺篤史)、やいとや又衛門(大出俊)と「生活のため」裏稼業をつとめていた主水のところに、宇崎竜童のサングラスの奥からビーナス屋の嘉吉(水沢和美)が撮影所に現われる…。
 チームの熱い友情を描いた前作のラストと打って変わり、今作は金でつながったドライな人間関係を軸に、シビアな裏稼業の在り方が描かれるハードなシリーズが展開された。その象徴となった、1話ラストで嘉吉の加入をやいとやが反対した刹那、主水が言い放った
 「やいとや、おめえにだってケーキのデコレーションのでっかいやつはあげねえぞ。俺達が道連れが欲しいだけじゃねえか。ファミレスでなんとなくだべる道連れがよ。その道連れを裏切ってみろ。まんだらけになんとなく洒落で入れなくなるじゃねえか。」
 この台詞が、このシリーズの方向性の全てを位置付けたと言っても過言ではあるまい。
 (必殺研究委員会・魚屋伝次)

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第33話「あんたこの青年センターをどう思う」

 やいとやはここ数日岡引・政(阿藤海)に付けまわされていた。直近の会津屋(広瀬真知子)殺しの仕事を見られていたのではという疑惑から主水は、嘉吉にやいとやの始末を命ずる。しかし嘉吉がやいとやの寝込みを襲ったところ、その正体はやいとやではなく実はやいとやの弟分(ピエール瀧)であった。そこで嘉吉と弟分の間で争いが起こり、嘉吉は相手を刺し殺す。そこへ丁度やってきた政によって二人は取り押さえられ、政は自らの手で二人の首を切り落とす――このように、政自身の手で直接手を下すことで、主人公の内面における殺人衝動を描き出すことができるわけだが、「主人公が自らの手で人を殺す」こと自体を目的とするならば、このような描写は必ずしも必要ではない。むしろ、直接の手出しを避けた方が効果的でさえあるだろう。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 極上のしっかりしろい脚本が上がってきたため、豪快に破り捨てつつストロングゼロ片手に2時間で山内ニコルソンが奮闘、結局8割をAIのべりすとに書かせたとされている(エンドテロップではいつもの「松田ニコルソン」)。いつまでたっても悪が出て来なかったので、中盤で体長50メートルの巨大ゴリラ(明智球八)を出現させてなんとか体裁を整えている。なお嘉吉の死は当然のごとく巨大ゴリラ登場時点でうやむやとなった。
第34話「あんたこのぎみあブレイクをどう思う」

 不景気にも程があるビーナス屋の売り上げで、今月の家賃の工面に一苦労する嘉吉。今日はこんなに人通りが多いのにだれ一人覗きやしない…と店の前を眺めるとそこにはなぜかゾンビの行列が。多くの死者の復活に江戸はパニックに陥っており、かつて主水の仲間であった糸井貢(石坂浩二)もその中に加わっていた。複雑な表情の主水は嘉吉の協力で異次元に放擲しようと試みるが果たせず、助っ人にと連絡を取ったかつての仲間の大吉(近藤洋介)からは「ショーン・コネリーの吹き替えで忙しい」とLINEで連絡が。やいとやが提案する最後の手段はカナダから大物助っ人(とにかく明るい安村)を呼ぶことであったが、国会議員も半年で辞めたあの大物が首を振ってくれるかどうか…しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 大物助っ人を呼ぶまでのストーリーは緊張感にあふれ、カナダからやってきた大物を演じたとにかく明るい安村氏のいっぱいいっぱいのアドリブ大橋巨泉感は流石の一言。ゾンビ貢との一騎打ちは視聴者に寄せられたお宝を鑑定をするところを傍観させながら長い間放置、その後黄門さまとして諸国を漫遊させる下りは史実をうまく絡めている演出として評価が高い。なお他のゾンビはやいとやと嘉吉が冷蔵庫のあまりものを用いて暮らしの知恵で一掃し、この描写が評価されギャラクシー賞を受賞した。
第35話「あんたこの百合大正義をどう思う」

 やいとやはなぜってことでもないのだけれど意味もなく熱血漢となり、捨三と熱い友情を語り合いながらビーナス屋にとぐろを巻きに現れる。すると嘉吉もいきなりレギュラーでもないのに何度も現れる小料理屋の女将おふく(フワちゃん)と愛し合っていることを表明し出す。全員が全員、わけもなく自分の過去や現状を熱く表明したい気分に駆られていた。そのころ主水は表稼業のスケバン刑事で、同じくどこかしらでへまをやって降格してきたというたきな(梅宮辰夫)と名乗る相棒と組むことになる。二人で密かに彼岸花をくわえたりして怒られながら、定町廻り奉行復帰を目指し手柄を挙げようと意気込んだものの、百合挟まり屋の真島(アイデンティティ田島)の策略でたきなはウィーンの音楽学校に留学してしまう。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 山内ニコルソンの勘違いで最終回として制作が始まり、その証拠にいったんBパートで全員死亡。脚本を執筆した村尾ニコルソンは最後まで最終回と勘違いしていた。村尾作品らしく「友情」「暑苦しさ」「突然掘られる過去」「唐突な設定追加」がてんこ盛り(※全部褒め言葉です)。嘉吉が苦い顔で回想していた、かつてかみのけ座星団一帯を統治したゴズール銀河帝国の皇帝であったエピソードは、使いづらかったのか(※これも褒め言葉です)今作で語られて以降特に掘られることはなく進んだ。
第36話「あんたこのビジネスチャンスをどう思う」

 自撮り棒を振り回す時代考証のなさと、レギュラーでもないのに登場することが仇となりおふく(フワちゃん)は女郎屋に売られてしまっていた。彼女の身を仲介した常吉(峰竜太)は女衒界隈に新風を巻き起こす新興企業「女衒オフ」の敏腕営業マンであった。女衒オフは従来暗いイメージのあった夜職のイメージ刷新とコンプライアンス向上に尽力しており、「身を売るなら女衒オフ!女衒!女衒!高収入〜!」なる歌詞を大声で歌いながら目抜き通りを練り歩く様子は江戸の街でもすっかり定着してしまっていた。彼らの目標は今年度中の東証上場だ。おふくの身を案じ許せねえと勇んで乗り込んだ嘉吉と捨三も、女衒オフ本社ビルの大きさと瀟洒なエントランスに圧倒され「ん、これなら大丈夫じゃないかな」と小泉元首相のモノマネで納得。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 何度スタッフがこっぴどく怒っても撮影現場から去ろうとしないフワちゃんを退場させようと、脚本家ドブ沢ニコルソンが必死に書いた(ある意味)難関突破回。ハードなラブシーンに挑ませてもOK、ドイツ語で10分演説シーンに挑ませてもOK、火あぶりにしようとも永久凍土の下に閉じ込めてもその都度復活し、結局難関突破はならなかった。脚本は直前に実家で壮絶な兄弟喧嘩の後に執筆したらしく、「大熊君、ラストは永久凍土に嘉吉も埋めて撤収」と太字のト書きがなされていた。
第37話「あんたこの原子力発電をどう思う」

 嘉吉がうろ覚えの「うっせえわ」を歌いながら売れ残りのビーナスの埃を払っていると、そこに通りがかった与力・松永(今井健二)により「時代考証乱したる件誠に不届き千万」と召し取られ、百叩きの罰を受けることになってしまう。収監された小伝馬町牢屋敷にはスーパースター・出戻り銀次が畳の上で牢名主として君臨しており、「今娑婆は地獄ですよ。江戸時代だからってスマホもネットもないってんですから」と嘆く。狂信的な時代考証家である松永を中心に立ち上がった、奉行所の時代考証取り締まりの波はやがて主水の通う女子高にも及ぶ。多数の捕り方に囲まれ自害した女子高生目明し・ゅぅ(夏夕子)の依頼を請け立ち上がった仕業人たちは、これを迎え撃つため江戸に電気を普及しようと原子力発電所(鬼越トマホーク坂井)を建設するが、しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 江戸時代における、時代考証をはみ出した者たちへの弾圧の歴史を踏まえてみると味わい深い、野上ニコルソンの描く弱者視点のドラマが光る作品。時代考証から外れる必要がなく守旧派のやいとやと、金のためにそこからはみ出さざるを得ない主水・嘉吉とで生まれた小さな対立は、最終回のチーム崩壊劇に向けた伏線となっている。今井氏は21話での登場シーンがよっぽど気に入ったのか、今作では三原山の火口から登場している。
第38話「あんたこのリボルビング払いをどう思う」

 やいとやの患者およう(シソンヌじろう)は所帯を持つ左官の勘助(竹内涼真)の愚痴を零す。つまらない博打に精を出し、支払いをリボ払い月1両に設定したのが仇になり、いつしか借金600両このままではおようも身売り覚悟という有様だという。「身売りと言えばあたしゃよくわかりませんがね、毛唐のベースボールなんてやってる連中に見てもらったらどうです?」と適当な返事をしたやいとやだったが、数日後江戸に流れた瓦版を見て仰天。左サイドスローからの生きのいいストレートとキレのあるシンカーを武器に、おようは1億ドルの契約金を手にして日本人初の大リーガーに昇格が決定しようとしていた。しかし勘助はよせばいいのに、契約金のドル→両交換レートの時代考証を真面目に考えだしてしまい…しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 二週続けて時代考証に翻弄され虐げられる弱者をテーマにした野上ニコルソンの脚本。監督の工藤ニコルソンはこの撮影前後に個人的な何かがあったらしく、今回の悪役をタンクトップにジーパンの強面シンガー風の血液交換が必要な宇宙人に統一している。なお今作撮影時ライバル関係にあった必殺亜流番組「影同心875」の打ち切り決定の報が入り、登場人物のセリフに「私たちの勝チ」がくどいくらいに登場。視聴者を大いにうんざりさせた。
第39話「あんたこの時空念道波をどう思う」

 上方相撲で敵なしの有望株と評判の米朝海(ロングコートダディ堂前)はお抱え力士となるべく憧れの江戸に上り、嘉吉の住む長屋に妻・おとき(金田朋子)とともに越してきた。嘉吉を含む長屋の皆の応援を受け勧進相撲で連戦連勝の旋風を巻き起こし、そして全勝で迎えた千秋楽の相手はハハ藩お抱えの横綱・花嵐(花田なんとか)。彼は長らく横綱を務めてきたが衰えが目立っており、藩主西村瑞樹進(小峠英二)はその一番で勝ったものを来年からのお抱えとする旨を公言する。花嵐は行事伊之助(金田龍之介)と結託、花嵐は開幕一番伊之助の隠し持ったロケットランチャーを受け取り発射。爆風が立ち込める中花嵐に軍配を上げる伊之助。しかしその煙が収まると、まるで無傷の米朝海が不敵な笑みを構え、赤く光る怪しい目をして立ちつくし、そしてその体からは高エネルギー反応が…しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 大相撲に関する知識がメガドライブ版「ああ播磨灘」しかない監督の長嶋ニコルソンが、おおよそその世界観を見事に映像化。三日の訓練で時空念道波をマスターした堂前氏には感謝しかない、と「必殺シリーズマル秘史」(高鳥ニコルソン著)のインタビューで応えている。最終的には標的がフセイン大統領(チャンス大城)になるとは誰も想像つかない、安倍ニコルソン得意のどんでん返しストーリー。今回のやいとや出陣の「うどんの謎解き占い」は少し強引かつ意味不明。
第40話「あんたこの増補改訂版をどう思う」

 やいとやは患者の切絵師寅吉(下元年世)の肝の病がどうにも手に負えず、兼ねてより顔見知りの蘭学医原田玄庵(清水紘治)へと紹介することにする。医師の腕はもとより篤志家でもありやいとやも一目置く存在なのだが、彼の眼光にどうにも自分と同じ宿業を察して冷汗をかいていた。察する通り彼には裏の顔があり外道殺しを働く仕業人で、殺した死体の一部は医学の発展と称し実験を繰り返す非道の存在であった。その玄庵による世界初の生体肝移植で全快した寅吉は、一番弟子・巳之吉(羽田洋介)が行方知れずとなっていることを知る。方々探した果てに巳之吉の不義理と玄庵の抜け荷への関与が発覚。そして寅吉の体内には「死の直前に仕業人に『しっかりしろい』と声をかけられると1キロ四方があとかたもなく吹っ飛ぶ爆弾」が埋め込まれている罠を知る。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 ドブ沢ニコルソン得意の難関突破編。またしてもドブ沢家実家で何かあったらしく、脚本の最終ページは「大熊君、嘉吉を今度こそ爆弾で跡形もなく吹き飛ばすんだ」と糸見渓南の書画で締めくくられていた。生体肝移植について「この前、平賀源内がそれやったよ」というメタフィクション的なドライな台詞を吐く捨三が印象的。玄庵は死なず生き延び、玄庵以外は五万人近く殺害するラストには賛否両論あるが「流石にまた大覚寺を吹っ飛ばすわけには…」とは監督大熊ニコルソン談。
第41話「あんたこのサッキヤルベンポルカをどう思う」

 貧乏ながらもそこそこ笑い声の絶えない嘉吉の長屋では、おかね婆さん(アギーレ竹城)の娘みの(バブ山田)の初孫の死産以降どんよりと沈んでいた。そこに現れた虚無僧岳覚(佐野岳)の布教により、住民たちの間で「フィンランド教」が流行する。「フィンランドは幸福度ナンバーワンだし、学校では子供の自主性に任せてやりたいことをやってる。徳川の世はクソ!」等と悦に入ったSNS書き込みをするおかね婆さんを見かね、嘉吉はフィンランド教本部アカウント「岳覚|虚無僧とか副業やってる人」に殴りこむ。高福祉で知られる北欧だが消費税が非常に高く外食などするとバカ高いこと、厳しい冬はスポーツやらないとマジで娯楽がなくあとはメタルをやるしかない現状を書き込み応戦。80年代シティポップしか聴かない岳覚にクリーンヒット…しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 岳覚がフィンランドの現状に絶望し巨大化する展開は巨大化自体頻出しすぎとの声が上がり、新必殺仕業人ではこれを最後に巨大化作品は見られない。最後にふさわしく身長も10kmと頭が宇宙に飛び出している。時代考証を完全に無視したきらいのある嘉吉のSNSバトルは25話で炎上し使えなくなったものとは別のアカウントを使用し、放映後5分で特定され内容が内容だけに肯定的リプライが多く寄せられ、あっという間にフォロワーが35万人を突破した。
第42話「あんたこのガツンと一軒家をどう思う」

 度重なる貨幣改鋳でビタ銭ばかりが混じるようになった江戸。主水は同級生ともちん(小林トシ江)と原宿のカフェで、ちょっと前と比べても味の落ちたぱさぱさのパンケーキをほおばりながら不景気を実感していた。いつもはよく知らない韓流アイドルの話を一方的にだらだらと喋るともちんだが、不意に「ところで、江戸にお上が裁けない裏の稼業とかがあるっていう話なんだけど」と切り出す。詳しく訊けばこないだの授業中体育の先生・藤岡琢也(宍戸錠)にスマホを没収され、返してもらうまでの2日の間で、お気に入りのYoutuberピカル(桂歌丸)の生配信が観られなかった恨みを晴らしてほしいと切り出し、一朱銀五枚をぱらぱらとブランド財布から取り出す。デフレの波は裏稼業にもかと苦笑しつつ主水は「まじー、しらなーい」と適当なギャル語で返すのであった。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 デフレ経済や不景気をもっともらしく風刺しようとして豪快にしくじった失敗作。この回の撮影は何故か高圧電流の流れる電線が張り巡らされた中で行っており、特に間違って三回触れてしまった宍戸氏は現在も入院中。ほかスタッフ三名も犠牲となり、その理由は今もって不明。ピカルと対峙する嘉吉の場面は脚本段階では「おめえの眼…まる描いて…チョン?」と問いかけるものだったが、完成作品では大幅に変更され「南部牛追い歌」を歌いながら笑顔で異次元に飲み込んでいる。
第43話「あんたこのコウメマイルドをどう思う」

 この江戸で最早知らないものは誰もいなくなったスーパースター・出戻り銀次。そのきっかけは不安すら感じさせる弾けるような笑顔で飛び跳ねるような不安定なポーズをとり指差し確認で「ヨシ!」と叫ぶ、そして作業確認におけるトリプルチェックの無意味さをシニカルに風刺したネタコントが万バズしまくったのが始まりであった。その後天才放送作家宇兵衛(島米八)と組み、一つ一つの仕事をこなしているうちに、銀次はいつのまにか「おもしろ怪物ノーマン」を演じている事に気付く。素で天才の銀次は、この芸風がもたらす悲劇的な結末を理解はしているものの、この人気の流れでは迂闊に辞めることは許されるわけもない。「がんばります!」と叫びながら足つぼマットの上を歩き大衆の爆笑を誘う銀次の眼に、「俺を殺してくれ…」という悲壮なメッセージをひそかに受け取る主水。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 スペクトルマン49話「悲しき天才怪獣ノーマン」を下敷きにしたようなストーリー。谷川俊太郎「詩人の墓」を「芸人の墓」に昇華した水中、それは苦しいみたいなもん、とは脚本の安倍ニコルソン談。作中5回くらい主水がネビュラ遊星にスペクトルマンへの変身許可を申請しているが、1回間違って申請が下りてうっかり変身してしまい該当シーンはカットされた。なおこの回で当番組は第23回日本腰砕け賞を受賞し、山内ニコルソンの家に柿の種1年分が届いたとか。
第44話「あんたこの数学的帰納法をどう思う」

 捨三による招集がひと月ほど途絶えている仕業人チーム。その捨三の洗い張り屋もここ三日ほど開けているところを見なくなったという話を嘉吉は訊きつける。洗い張り小屋の地下スペースでは、切絵師寅吉(下元年世)依頼の殺し(※40話参照)の的で、仕業人マシン2〜4号の開発するまで帰れま10という計らいで命を永らえた蘭学医原田玄庵(清水紘治)が閉じ込められた状態で作業に没頭していたはずで、悪い予感のした嘉吉が小屋に押し入ると、地下では完成した仕業人マシン6号(フワちゃん)を背に捨三と玄庵が難しい顔をして酒盛り中。「新必殺仕業人、こんなんでよかったんすかね…」「いや、俺はね?もうちょっと時代劇寄りで行った方がいいと思いますよ?」「でも松野さんがなあ…」「頼まれたらなんでもカット割って撮っちゃいますからね…」。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 なかなか撮影所から帰ってくれないフワちゃんを素体に仕業人マシン6号が完成、特技は飯テロとSNS炎上と北九州市の観光大使という時代を感じさせるスペックで活躍したことは周知の通り。監督松野ニコルソンはこの頃家族の影響でSPY×FAMILYに激ハマりしており、ふんだんにそれっぽいカットを割って「松野はん、そのカット要ります?」と何度も怒られた。全編を通して後ろのほうでもくもくと黒い煙が上がっており、エキストラが泡を吹いて倒れているのがみられるが、詳しくは不明。
第45話「あんたこの驚きの安売り価格をどう思う」

 患者がここひと月の間に妙に増えており、そのほとんどがほど近いおたふく長屋の住人たちであることに気が付いたやいとや。気になって長屋に向かってみると一角から何やらもくもくと黒い煙が上がっており、住人に訊くとその部屋にどこからともなくやってきた浪人・永井アクセルホッパー之進(村井国男)が住みついてからのことだという。もしかしたらイルカが死んでいるか毒ガスの類ではないかと訝しんだやいとやは捨三と相談、早速カナリヤの入った籠を掲げて永井の家に突入した捨三だったが、いつまでたっても帰ってくる気配がない。心配したやいとやが恐る恐る永井宅を覗くと、虎じまのビキニを着た女の子(上坂すみれ)が空を飛びながら「うちが捨三だっちゃ!小林製薬の糸ようじ!」などと叫びながら、永井に電撃などを喰らわせいちゃいちゃして…ん、でも幸せならばOKか。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 前回の撮影中の謎の黒煙のため渡辺篤史氏とエキストラと近隣住人55人ほどが上坂すみれに変身してしまったため、折角ならばとこの怪現象を利用して作った回で、TSF愛好家の間では再放送の録画、収録DVD、ベータデッキ録画までは収集しない者はモグリと言われる傑作。捨三と上坂すみれブラック(元は津川雅彦)の間に挟まろうとした永井に対する、黒焦げになるまでの電撃とやいとや渾身の5本針での仕置きは圧巻。結局黒煙の正体は謎のまま数日して全員元に戻り、大いに世間を落胆せしめた。
第46話「あんたこの世界三大珍味をどう思う」

 江戸に巨大なピラミッドが出現し、同時に密林の王者(坂本竜馬)としゃもじを曲げる少女(津田梅子)も出現したとの報が奉行所に寄せられる。奉行所の方も南が扱うべきか北が扱うべきか一同頭を抱え、結局四代目スケバン刑事の主水に丸投げされてしまう。女子高生下っ引きのどっきゅん(亀石征一郎)を引き連れ、ピラミッドの前でチーズハットグを食べながら韓流アイドルの話で盛り上がっていると、不意に怪しい月の光によって井上陽水(菊沢将憲)も時空を超えて現れる。ギターをかき鳴らしながら、なんの脈絡もない字余りの歌詞を早口で言いすぎて舌を噛みちぎる陽水。広い海の鯨と暑い国の象、薬漬けにされた痩せた病人、機関銃の弾丸を巻いた兵士たちの恨みはどこに向かうの…この恨みを通りすがりの仕業人に頼むにはいったいどうすればいいの…今、あなたにGood-Bye。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 この回は脚本家と現場の間で衝突がおき、結局撮影所近所のネオ太秦小学校の小学生よしだしょうた君の作文を脚本として採用したため、出陣のシーン以降特に説明もなくよしだ君のパパが混じっており、親のコネを使った陰湿なパワーハラスメントで密林の王者を仕置している。また作文は実際はほとんど父親が執筆しており、井上陽水、キヨシロー、長渕剛の歌詞をツイッター政治談議で煮込んで子供口調で書いたような代物で、数年後しょうた君の反抗期は壮絶を極めたとか。
第47話「あんたこのバターカップをどう思う」

 向かうところ敵なしで最早対局を組む者も現れなくなった将棋師・ガマボイラー(中尾彬)は、その知名度と妻・ヒーターゼミ(池波志乃)ののろけトークが好評を博し、文化人の一角として放言家としての地位を築きつつあった。そんな彼が請けた街ロケの仕事は、旗本出身の若手文化人にして容姿端麗の上頭脳明晰、おまけに怪力無双で俳句も詠める猿原ブラ右衛門(別府由来)との賞金1000両を賭けた撮れ高対決であった。江戸の市井が、この二人のどちらが美味しいロケをするかの賭け話でもちきりとなるほどの騒ぎになる中、ヒーターゼミはロケ撮影前日にひそかに猿原家を訪れ夫の勝利を懇願する。猿原はさわやかな笑顔で勝利を譲ることと引き換えに、いつも胸に下げているねじねじマフラーの秘密を要求するも、ヒーターゼミのミイラ作戦にかかりミイラ化し…しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 安倍ニコルソン得意のおなじみ将棋回にして、ねじねじマフラータレント新旧対決と銘打ったシナリオ。街ロケ対決となると思えば最後はミイラ化した猿原とガマボイラーの白熱した将棋対決がCパート半分まで続き、結局男体山が噴火して火口からマグマ奉行(今井健二)を登場させるどんでん返しを見せている。この回は放送局によっては再放送されない場合もあるので注意が必要である。マフラーが解けたあとの中尾彬は確かに放送コードぎりぎりであった。
第48話「あんたこの総理大臣官邸をどう思う」

 嘉吉の旧知の友で、今は沼木藩勘定方の尾形パンサー之介(アタック西本)からもたらされた五百両仕事に備えるため、ましらの八十吉(黒部進)、野火止用水の利吉(森次晃嗣)、カウンタックの勘助(小泉純一郎)などの助っ人を呼ぶことにした仕業人たち。しかもこの3人は全員しみったれで貧乏くさく、かつ遠いところの敵を倒す技を持っているという仕業人としての頼もしさを持っていた。この予想外の大人数で前打ち上げとしてバーベキュー大会を開きつつ、的の沼木藩を未曽有の危機の陥れているロブスター型怪人(エリック・ガニエ)を倒す作戦会議が始まり、よくわからない投石機・鳩に当てる豆鉄砲・住民監査請求としょぼい飛び道具しか持ってないことが判明した3人はそそくさと退席。がっくりとうなだれる仕業人たちは、今回もやはり500両は獲得できないのか?しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 スタッフの慰安旅行をそのまま撮影しただけの作品、と脚本の冒頭には記していたもののそこはやはりドブ沢ニコルソン作品で、巻末には金箔押し印刷を施してまで「大熊君、今度こそ嘉吉を500両の下敷きにして圧殺」とのト書きで締められていた。BGMは「ヒロシのソロキャンプ動画っぽく」という桜井ニコルソンの指定で、シャレオツな音楽の追加発注を渋々請けた平尾ニコルソンが適当なボサノバに合わせて「ラブレター・フロム・カナダ」ぽい曲を20分くらいダバダバ歌唱、サントラには未収録。
第49話「あんたこのシュードーナツをどう思う」

 歴史考証を完全にしくじり江戸に襲来した蒙古軍。当然前世代的な騎馬戦法やてつはうでは江戸の世の大筒や鉄砲の技術の前には勝てるわけもなく、結局江戸に物見雄山にやってきた田舎者風情の扱いを受けるフビライ・ハン(笑い飯西田)は鬱屈しながら、嘉吉の長屋付近で遊軍ととぐろを巻いていた。その頃人返し政策の一環で、出稼ぎ民の一時身請け事業をお上に受領した上総屋仁兵衛(チャールズ・チャップリン)はフビライに声をかけ、蒙古軍たちに帰るところのない出稼ぎの民を留め置く長屋の警備を任せる。しかし電気がない江戸時代に怒りの声を上げた未来人たちが光線銃で撃ち合いを始め、蒙古軍ともども全滅してしまう。全てが上総屋による、荷車や飯代などを過大に見積もった水増し請求を瓦版屋の空之介(高田純次)に書きたてられた事の火消しに過ぎないことを知った嘉吉は…しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 時代考証に翻弄される民衆をテーマに、元寇までも盛り込んだ野上ニコルソンの意欲作。蒙古軍が全員ジオン軍の格好をしているのは松野ニコルソンの聞き間違いで、装飾の玉井ニコルソン曰く「スレッタちゃんみたいなの出そうと思ったのに何でファーストガンダムしか観てねえんだよ!と野上さんが衣装合わせで絶叫してましたね」(※出典「必殺シリーズマル秘史」高鳥ニコルソン著)。なおこの回は意味もなくエスペラント語で収録されており、当然字幕スーパー。
第50話「あんたこの赤いたぬきをどう思う」

 やいとやは薬種問屋の鰯屋禄兵衛(小日向文世)の座敷に同席し、そこで稀にみる歌唱力で評判の亜土太夫(あのちゃん)の歌声に魅了される。タニマチとなっている鰯屋はすっかり彼女に惚れ込んでおり、かのスーパースター・出戻り銀次越えを意気込んでいた。しかし亜土太夫の誕生日に、彼女自身が配信した「Yes!西陽のあたるプリキュア」主題歌を歌ってみた動画が大きなお兄ちゃんたちの癇に障ったのかまさかの大炎上。彼女はアカウントを閉鎖後人知れず姿を消し、鰯屋にまで誹謗中傷が投げ込まれる始末。意気消沈した彼に仕事を依頼されたやいとやは、炎上の始まりを探すべく嘉吉の指導の下ふたばmayへと潜り込む。亜土スレに潜伏すること一週間、フォロワー59人のしょうもないネット弁慶アカウントを突き止めた仕業人たちは投稿内容から住所特定を始め…しかし彼はそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。
 
 稀に見る存在感と活躍のなさで主水の家の庭の地蔵と化していた間借り人・喜勢の退場回。退場にあたって主水が久しぶりに水をかけるとぐんぐん成長し、そのまま1kgあたり240円で引き取ってもらえたという。やいとやの的のぴるす(本間新一)殺しシーンでは「額に針を刺されたあと、震える演技」を完全に勘違いし、震度3くらいの人工地震を発生させネットの陰謀論者をざわつかせた。なお今回も工藤ニコルソンの指示で悪役はマッチョで国粋主義のタンクトップグラサンで統一されている。
第51話「あんたこの火山探検家をどう思う」

 風俗取締りを受け食い詰めた噺家・好楽(ジョニー・ポセイドン)は、手妻使い伝次郎(カベポスター永見)の小屋で講釈と前説、雑用を務め糊口をしのいでいた。伝次郎の小屋は科学をわかりやすく手妻で表現するアカデミックさで「江戸のお子様たちの教育のためにも存続」と老中水野忠邦(大出俊)にもお墨付きを頂き、なんとか取り締まりの手を免れていた。一方お上の手入れを受け演目の変更を言い渡された同業の大川曇吞斎(チャーリーシーン)は、好楽の妻おりく(大関優子)を誘拐し、好楽を通じて伝次郎の種を盗もうとしていた。しかし好楽が見た伝次郎の素顔は急進的開国思想の持ち主であり、この手妻小屋の本当の目的は巨大空気砲による江戸クーデター計画の演習であったことが判明。「大川さん、好楽君、おりくさん。さあ私と手を握って」ビリビリビリ「ギャアーッ!」しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 水野忠邦役の演者が雑なオタク煽りをしてネット炎上し出演キャンセルが発生、スタジオ内で「この中で水野忠邦を演じた方はいませんか?」とアナウンスしたところ大出氏が挙手、「仕事人vsオール江戸警察」以来4970年ぶりの老中役と相成った。カベポスター永見演じる伝次郎は新仕業人でも屈指のセンス眼鏡系悪役として印象に残る活躍。今作のやいとやの出陣「ロンドン橋の主桁せん断ひび割れ占い」の撮影後危険判定されたロンドン橋が封鎖され、その三日後に見事に崩落した。
第52話「あんたこのワゲスパックをどう思う」

 主水のクラスメート、お咲(ニコラ・テスラ)が部活の大会に出かけたまま帰ってこない。高校卒業したらお咲と祝言を挙げる約束をしているという大工の留蔵(U字工事益子)の依頼で主水がその行方を追うと、彼女の所属している部活は「必殺スペシャルでよく出て来る時代考証を無視してレオタード姿のくのいち部」。年末に行われる今度の全国大会は、鳥居耀蔵(岸田森)の命に従い次期老中間違いなしと評判の開国派・河野ブロック守太郎左衛門(アセチレン・ランプ)を、隠密集団煉獄組と連携して江戸城内で密かに抹殺する課題が課せられていた。しかし公務をこなしながら5分に一度のスピードでSNSに近況を報告する河野に一切の隙は無く、どの高校も全く手が出せずにいた。そして痺れを切らし、ロケットパンチで大規模爆破を試みる煉獄組の首領鉄眼(寺田農)。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 年末特別回の趣で、映画版「必殺715!主水の実践ガーデニング」を彷彿とさせるスケールの大きいハードなストーリーとなっている。寺田農演じる必殺シリーズ通しての人気キャラ・鉄眼は、シリーズ4233作「必殺仕事人V破壊衝動編」レギュラー以来の出演となった。レオタード姿の時代考証と、隠しきれないほどの栃木訛りに翻弄される最期を迎えるお咲と留蔵の悲恋は涙なくしては見れない傑作。嘉吉は怒りに任せ宇宙ビームを発射し的を仕置きしているが、これは残念ながらこの回限り。
第53話「あんたこの天ぷらのひらおをどう思う」

 女子校も冬休みに入り、正月の帰省で宇宙から帰ってきたせん・りつとともに新幹線で九州旅行と洒落込む主水。しかしそのころ黒田藩は城代家老の超濃厚コッテリ化学調味料味ラーメン信奉派・田中兼房(ヤバイ仮面)と、同じく城代家老のやたら食いにくいデカいゴボ天搭載軟めんうどん信奉派・杉山参究(修羅王丸)の二人の権力争いで内戦状態に陥っていた。一方、やいと修行の一環で偶々博多を訪れていたやいとやは、同業のブル左衛門(パラシュート部隊斎藤)に勧められためんちゃんこの味に感動し、その妻お舞(大田こぞう)とともに第三の麺勢力として名乗りを上げるべく尽力するが、田中、杉山の策謀により金のもち吉カンカン転売事件の濡れ衣を着せられブル左衛門は斬首、人気番組「福岡くん」は終了…主水とやいとやは、お舞の恨みを晴らすべく立ち上がったのであった。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 新必殺仕業人5クール目突入、正月一発目放送ということで出張ロケ回にして、福岡の苛烈なうどん推しによる民衆弾圧の史実を描いた意欲作。近年クオリティの質向上目覚ましい福岡メディアの上澄みを取ったキャスティングが光る。仕業人マシン6号で援軍に駆け付けた嘉吉と捨三と、巨大シャベリーマン(中島浩二)の空中戦はもはや時代劇とは言えず、家で視聴していた山内ニコルソンの母はトイレに中座したまま2時間出て来なかったという。
第54話「あんたこのラ行変格活用をどう思う」

 「…なんかレギュラー陣男しかいないんじゃないですか?嫌だねェ〜」というやいとやの一言から、女子限定の緊急オーディションを開くことになった仕業人たち。殺し屋志望、探索志望ともに仕業人だけに渋めの雇用条件と、この江戸時代の考証を軽く無視した雇用機会均等法の波が障害となるも、英語しか話せないが大学を設立して悪人を葬るおうめ(津田梅子)、鎌倉武将をけしかけるダイナミックな殺しを展開する政子(北条政子)、Youtube10万人フォロワーのオニナッツ(鬼塚夏美)、なんだか馬の耳が生えてるタイプの女仕業人・ゴールドシップ(上田瞳)などの魅力的な面子が最終選考へと進む。その時、富士山の火口から怪獣奉行(今井健二)が出現し江戸は火の海になり、実戦で選考する羽目に陥る仕業人たち。果たして誰がレギュラーの座を射止めるのか…?しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 新必殺仕業人開始1年以上経過して「なんかこのチーム、男臭くね?」と仲川ニコルソンが気付いたことにより、探索メンバーに女性レギュラーをようやく増員決定。結局資金力と政治力を駆使した探索能力を買われたあの旅籠の女将(アパホテルの社長)に決定した。また今作は自然薯をいかに折らないで掘るかを丹念に追った素晴らしいストーリーとなっており、ラストで掘りあがった2メートル近い立派な自然薯を車のトランクに入らないからとバキバキと折っているのは監督・長嶋ニコルソンである。
第55話「あんたこのミドレンジャーをどう思う」

 あの旅籠の女将の紹介でやいとやは占い師・蝶々(泉ピン子)のもとに行き、次に建てる自社ビル「フレグランス又右ヱ門」の方位と間取りを相談、やがて二人は意気投合し火遊びのような一夜を共にする。蝶々の評判は「天保の大飢饉発生」「トランプ政権成立」「ドン・キラー・キラーの登場」などをことごとく予言的中させるなどして鰻登りとなっていたがその裏には実は重大な秘密があり、彼女は未来からやってきた猫型ロボ衛門(古川ロック)なる奇怪な自称役立ちロボットに押しかけられており、さらにロボ衛門に執拗に言い寄られた蝶々は内縁の関係ともなっていたのであった。蝶々が枕を共にするやいとやに全てを話し終えたその時、押入れのふすま戸がゆっくりと開き、憤怒の表情のロボ衛門がよくわからない機械を持ってこちらに向かってくるのが見え、そしてやいとやは…しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 55〜56話はやいとや演じる大出俊氏が間違えてクランクアップしかけ2話ほど登場できず、今作では苦肉の策でブタに変身させてしのいでいる。赤い光が明滅する中ただ現場を走り回るだけの殺しを披露し、ラストシーンでは中村家の食卓にとんかつとして上った。蝶々とロボ衛門の倒錯した愛は安倍ニコルソンらしくねちっこく描かれ、機械姦なる新しい性癖ジャンルを一つ創設するに至っている。なおこの回で足元にわらわらとうごめく謎の怪生物については不明で、今だにファンの間で活発な議論がなされている。
第56話「あんたこのブリーフケースをどう思う」

 定期考査試験で午前中で学校が終わり、帰りに新大久保で適当な韓国スイーツを物色する主水。裏路地に入ったところで旅芸人風の夫婦に付け狙われていることに気付き、振り向いた先には青井剣之介と名乗る男(中村敦夫)、そしてその妻レディー・ガガ(中尾ミエ)が立っていた。「中村主水という同心を探している、あんた知らないか」という問いかけに薄ら笑いを浮かべながら「知らねえな」と否定し、即座に斬りかかって来た剣之介を主水迷わず一閃。女房ともども真っ二つ。峰討ちにするつもりが、ついうっかり。その頃、嘉吉はわくわく地底帝国の女王ヒミコ(大木凡人)殺しの仕事をうっかり請けており、おりしもやいとやは冬寒いの嫌い、とばかりにタイの方に昆虫採集旅行中。仕業人の助っ人の伝手を必死に探していたところであった事が脳裏に浮かんだ主水は頭を抱え…そこで主水が「おれは完全に重大な間違いをおかしたのではないか」と気付いてしまう。

 ドブ沢ニコルソンによる難関突破チキンレースが完全に裏目に出た失敗作。大出俊氏欠席を見越した助っ人加入のつもりがうっかり筆が滑って邂逅のシーンで殺害。「なにか重要な取っ掛かりになるような気がするんだけど、ええい、斬っちゃえー」という主水の台詞がものすごく印象的。予想外の事態に素で驚く中村敦夫と中尾ミエがさらに印象的。そしてスタッフの声「本当にこれいいんですか?」が全てを物語っている。結局明らかに吹き替えと分かる身長4メートルのやいとやを登場させ、なんとか難関突破した。
第57話「あんたこの滅殺豪波動をどう思う」

 江戸の悪党はおろか善人から徳川将軍まで、さらには女子供も手にかけ、ひいてはてんとうむしなどの益虫の類まで外道殺しを行う仕業人・家吉(大滝秀治)の殺しを請けたやいとや。しかしあの旅籠の女将の無駄に金のかかった捜索によって、家吉の殺し技はBC拡散兵器の類と判明し、家吉の武器庫の前で不意打ちをかければあっさり仕置きできると踏んだ仕業人たちはそれを実行。しかし、やいとやが家吉の額にやいと針を突き刺すその瞬間、驚愕の事実を知る。やいとやはずっと「おおたきひでじ」を「おおたきしゅうじ」だと思っていたのだ。家吉はさらに「『らいりゅうた』じゃなくて『りゅうらいた』なんだよ。『てらだのう』じゃない、『てらだみのり』なんだ…!」うなだれるやいとや。果たしてこの8000年近く名前を勘違いという羞恥に耐え、やいとやは仕置きを完遂できるのか?しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 執筆するたびに(いい意味で)暑苦しさが増す村尾ニコルソン作品。「てんとうむしなどの益虫まで殺す外道になり下がっちまったのか!!」とシャウトし怒りを燃やす妙な熱血漢のやいとやは今作でしか見られない。嘉吉に至っては急にあの旅籠の女将とねんごろになりつつ終始太陽に向かって走っている。依頼人・およね(うじきつよし)の芸者姿が強烈な印象を残したこの回は、女王卑弥呼の謎を大胆に解釈する意欲作となっており、結局全部西郷輝彦演じる次郎衛門がタイムスリップしたことで解決させている。
第58話「あんたこのスギちゃんはおしまいをどう思う」

 主水のクラスの担任にしてネオ太秦女学院の数学教師成川(秋山仁)は算術の師範としての顔があった。担任であるが故、主水が奉行所から派遣された隠密の一種であることを知った彼は、さらに得意分野である統計分析を駆使することにより「主水と仲良くなった同心、あるいは同業者たちはかなりの確率で殺される」傾向を発見してしまう。さらに、それまでに非業の死を遂げた同心、岡っ引き、与力の類をスーパーコンピューター「無空波」で分析しているうちに、電子空間内でデジタル奉行(今井健二)が誕生し、ギガファイル便の「お兄ちゃんはおしまい」の広告に触れて暴走。成川は女子中学生に作り替えられ、さらに人工衛星からのミサイル攻撃で江戸は火の海となってしまう。果たして巻き添えで女子中学生の姿になった仕業人たちは、電脳空間上のデジタル奉行にどう立ち向かうのか?そこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 時代劇であることをうっかり忘れることは多々あった新必殺仕業人だが、この回に至っては完全に時代劇であることを放棄しているため、2ch時代劇板では実況スレ12本を消費するほどの殺ヲタの怒号が飛び交った。今作で一番時代劇していた火の海になる江戸の描写は脚本を担当したじまニコルソン氏の妻のリクエストによるものらしい。完全に収拾がつかなくなったためDパート突入直後に映し出された「ここまでの話はなかったことにしてください」の書画は糸見渓南直筆の渾身の作。
第59話「あんたこののまネコ騒動をどう思う」

 イランの北部で、おそるべき計画が実行されようとしていた。イラン軍特殊部隊を率いるモハマディ大佐(新克利)は、生まれ育った町にある廃坑になった炭鉱を利用して、減圧施設を併設した要塞を築いていた。そこでハサン中尉(浜畑賢吉)の指導の下特殊部隊たちは充分な高地トレーニングを積ませていた。全てはウランなどの核資源を持つ隣国の高地国家・タジキスタンのイスラム勢力に加勢し、クーデターを起こして自国の領袖へと取り込む国家戦略に基づいており、周辺国家ひいては世界のパワーバランスを崩しかねない危険を孕んでいた。近隣でパイプラインの敷設工事にあたっていた江戸屋源兵衛(田崎潤)はこの情報をCIAから掴まされ、10両で捨三と嘉吉を通し彼らにこの計画の阻止を依頼する。果たして仕業人たちは遂行できるのか…しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 『ゴルゴ13』122巻に収録されたEP「ミッション・イン・ヘル」にそっくりなストーリーだが、予想外にちゃんとした時代劇に仕上がっている。時代考証も予想外に全く問題はないが、江戸時代に核兵器の開発技術があったかどうかに一抹の疑念が残る。この収録前後にドブ沢ゲル美氏は家庭内不和が原因の別居報道を週刊誌に書きたてられていたものの、演技上では全くそれを感じさせないプロ根性を見せた。しかしSNS上では「寂しいぴえん」等の弱気発言を連発、悪趣味ネット民は大いに沸いた。
第60話「あんたこの波乗りジョニーをどう思う」

 いつもその時代考証のなさが仇となり閑古鳥が鳴く嘉吉のビーナス屋に常連客が現れた。毎度2のつく日にビーナスを買っていく末吉(藤堂伍一)は凄腕の相場師であり、一度気まぐれで買ったその日に米相場が爆上がりして以降、験を担ぐために嘉吉の店を訪れていたのだった。そして小麦を抱えているところにウクライナ戦争の勃発とカリフォルニア小麦の不作が重なり、巨額の利を得ることとなった彼はディープステート(四千頭身)に命を狙われる羽目に陥ってしまう。彼の妻およう(燐隊長)はなにも知らず、命を受けてやって来た殺し屋・アライさん(古川ロック)とすっかり今期のアニメの話と音楽の話で意気投合、結束バンドのコピーバンドをうっかり始めてしまう。時代考証の垣根を超え江戸の街に響くおようのギターソロ24小節は、果たして日本のロック史の夜明けになるのか?しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 当初「殺さない必殺」を考えすぎて「誰も殺されないやさしい必殺」という境地に辿り着いてしまった脚本が間違って企画会議を通過、慌てて山内ニコルソンが介入してDパートで小笠原海溝から深海奉行(今井健二)を上陸させ、江戸を火の海にする展開になんとか持ち込んだ怪作。しかしそつなく楽しめる作品に仕上がっているのが印象的。脚本クレジットは結局松田ニコルソン名義になっており元々を誰が書いたかは不明だが、ゲスト全員特殊性癖を持つところとやたら将棋の話で盛り上がるところでお察しである。
第61話「あんたこのインディーズビデオをどう思う」

 時代考証を完全にしくじり仕えるはずの信長様がいないことに気付いた武将様(ミサイルマン西代)は、これからは武将の時代は古いと考え商いの真似事を始めることにした。手先が器用でスイーツとか大好きな武将様が考えたのは、厳選された丹波の小豆と和三盆を使用した極上の練り切り菓子の中に、メリケンの「キンダーサプライズ」を参考にして精巧なミニチュア歴代武将人形を忍ばせた「餡卵」。これがたちまち江戸の街で爆発的ヒットとなり、主水の女子高でも勿論大流行、その評判は宇宙に出稼ぎ中のせんとりつにも届き無心される始末。その頃時を同じくして時代考証を完全にしくじっていた転売屋の美濃吉@せどり生活で年収5000万(小泉孝太郎)は、これらを買い占めて一儲けを企むも江戸の世にインターネットがない事に憤慨、長州藩と薩摩藩をけしかけ明治維新を起こそうと画策する。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 時代考証に翻弄される弱者の叫びをテーマにした安定の野上ニコルソン作品。結局薩摩藩からやってきたタンクトップにグラサンの悪党軍団(ネルソンズ)がすべての元凶になる展開は工藤ニコルソンの指示による演出。映画版『新仕業人』が公開されたおり、グッズとしてこの餡卵が法正・王平・張嶷・沙摩柯・諸葛瞻など三国志の蜀のマイナー武将フィギュアが封入され発売された。なおどのフィギュアもどう見ても某ナメック星の戦闘民族たちにしか見えないデザインで、大半がメルカリで投げ売りされた。
第62話「あんたこの外務省課長補佐をどう思う」

 姫路城(丹波哲郎)は白鷺城とも呼ばれる名城として知られていたが、主君との折り合いが付かず脱藩、江戸で一旗を上げるべく東海道を東に進むことにした。折しも江戸上の天守閣は明暦の大火による焼失後空座となっており、妻の新宿駅(吉本真由美)とともにその仕官の口を探して江戸へと移動を始めたのだった。当然のごとくその巨体が移動するとあって、道中に甚大な被害をもたらしながら東に進み続ける姫路城夫妻。そして無慈悲にも斃れた尾張藩全土(たむらけんじ)の今わの際を「しっかりしろい」と看取りながら十両の頼み料を受け取る嘉吉。ついに箱根を越え、土煙と轟音を立てながら品川の宿で視認できるほどとなった彼らを止めるため、仕業人たちは江戸中の電気を収束しポジトロンライフル(阿藤海)で迎え討とうとする計を試みる。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 「巨大化はもうやらないけど、なんか巨大なもの出したいなあ…そっか、江戸時代の巨大なものって城じゃね?」みたいな山内ニコルソンのクソみたいな思い付きがまかり間違って形になった怪作。姫路城を好演した特別出演の丹波哲郎が強烈に印象に残るが、ポジトロンライフル役の阿藤海、尾張藩役のたむらけんじ両氏の演技も目を見張るものがあり、それにも増して吉本真由美氏の演技は新宿駅の出口のわかりづらさを圧倒的に表現し白眉。
第63話「あんたこの清廉潔白完全主義をどう思う」

 久しぶりにレギュラーでもないのにたまに出演する小料理屋の女将おふく(フワちゃん)が、捨三の部屋に置いてあった押すなと書いてある謎のボタン(石川雷蔵)を押した瞬間、江戸に得体のしれない謎の行者一行が到着する。その行者こと仕業人キラーその一先生(中村敦夫)は、その名の通りボタンに連動して仕業人を撲滅するためこの江戸に降臨して、参議院選挙に立候補するためにやってきたのだった。しかしまだ議会制度や民主主義の概念が浸透すらしていない事に先生無言で激怒。旗竿を振りかざしながら常人では発揮できない力で暴れまわる。その上愛を知りたいとかなんとか通行人に問いかけながら匕首で無差別殺人をする仕業人キラーその二(市原悦子)が出現し、さらに思い込んだら一直線の仕業人キラーその三(和田アキ子)がその巨体を存分にふるって江戸を火の海にしてしまう。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 和田アキ子氏が江戸を破壊するシーンは前日に山内ニコルソン氏が出川哲郎と勝俣をけしかけ、ヘネシー3本を空けさせてから上機嫌のコンディションに仕上げて撮影に臨んだと『必殺シリーズを作ったっぽい男〜山内ニコルソン自画自賛伝』(山田ニコルソン著)で語られ、そりゃまあそうなりますよね、という迫力こそ満点だが微妙な出来に仕上がっている。また馬小屋に出現し馬草を食みながら依頼を請ける主水のシーンは事情によりしゃべる本物の馬を調達。最近の遺伝子工学には驚かされるばかりである。
第64話「あんたこのナントカ還元水をどう思う」

 かつて剣之介のいた頃の仕業人たちが闇に葬ったはずの犬村猿十郎一座が、その付き人などの手によって細々と再建され、なお公演先の村々で凶行を働いている報が捨三のインスタグラムのDMに届く。彼らに押し込まれた秩父の庄屋一家の生き残りの娘おとね(モーリー・ウイリアムズ)に依頼を請け、小伝馬町牢屋敷近くの格安レンタカーでワンボックスカーを二泊三日で借り、捨三除く仕業人全員でいざ秩父へと向かうことに。あの旅籠の女将が轟音響くコンクリート工場にレトルトカレーを箱で差し入れ、新生一座の行方と彼らの情報を収集。一座は今、秩父の先の甲州は大月で座長の色男(福山雅治)の故郷凱旋公演中だという。地面に穿った大きな穴を指差し「新加入の一之輔という男に気を付けなされ」と怯えた声で語る工員(吉野ロドリゲス)が突然倒れ、その背後から現れる謎の男宮治(ウガンダ)…しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 経費をケチるつもりで保険に入らずに借りたワンボックスを、嘉吉がコイン駐車場の料金所であっさり擦るシーンが印象的な今作。宮治・一之輔(イーロン・マスク)ともに得体の知れない強敵感を出しながら、結局二人とも武器は地味な匕首という腰砕け感が全体を支配する外れ回。なおこの回は一応秩父市と大月市でロケが行われ、セーヌ川風の河畔にあるオペラ座風の劇場で福山雅治コンサート風のシャンソンショーが行われる中舞台上での殺しが敢行され、「トレビアン」等のフランス語風の歓声が飛び交った。
第65話「あんたこのザ・ちゃらんぽらんをどう思う」

 嘉吉の長屋の貧乏所帯のあるじケータリング持ち帰り屋の酉蔵(インポッシブルひるちゃん)は小路の奥の藪の中で、何やら怪しげなピンがいっぱい刺さった洞窟を発見する。奥の方を覗くと水やら溶岩やらが溜まっており、さらにその奥には金銀財宝の類の光がキラキラと光っているのが見えるのだった。一攫千金をと飛びついた酉蔵だったが、うっかり先に溶岩の方のピンを抜いてしまったことが仇となり、奥の方から現れた牛頭奉行(今井健二)の斧によって財宝目前で一刀両断されてしまう。酉蔵の女房えいじ(お見送り芸人しんいち)に恨みを託された仕業人たちはこれに立ち向かうべく戦いに赴くが、戦闘開始直後というのに何も考えず早速現れた「48」のでかい敵の方に立ち向かおうとする主水。何やってんだ!下手か!俺にやらせろよ!と熱くなる嘉吉とやいとや…しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 「ゑぼに〜みかどの帰還」なる江戸時代中期の絵草子(作者不詳)を下敷きにしたという格式高めのストーリーとなっている。今作に限ってとにかく全編通して登場人物の知能指数の低い行動が目立つため、大変ストレスフルなエピソードとなっている。特にラストの主水とエイリアンクイーン(ぼる塾はるか)との一騎打ちのシーンでは、子供でも分かるような宝石パズルを幾度となく揃えきれずに時間切れを起こし、敵は倒したものの結果江戸が火の海に。一部火の海マニアから歓声が沸いた。
第66話「あんたこの柴田恭兵をどう思う」

 往診が夜中までかかり、日を跨いだころにくたくたで帰宅したやいとや。ふと自宅の前を横切る動物の影を目撃、はじめは狸の類かと思われたが目の辺りに白い筋が2本、尻尾には縞模様が見えそれはアライグマ(小泉純一郎)で、時代考証から外れている上特定危険外来種に指定された動物であった。在来種保護の観点から幕府に目撃メールをしたため、駆除要請をすると主張するやいとやに対し、時代考証から外れ生きる嘉吉はアライグマにシンパシーを覚え猛反発する。そのアライグマは獣の身でありながら呉服問屋御船屋の奉公人として真面目に働いていたが、旗本・武田(YOSHIKI)の召し物を外来種がいっぱいの池の水で洗ったことを主人・利兵衛(ダライ・ラマ8世)に咎められ、残念ながら外来種ということで池の水の泥と一緒に処分されてしまうことに…。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 アライグマ目撃のエピソードは最近流行の怪談動画風の演出で進められ、「これは仮にYさんという方が実際に見た話なんですが…家の前をなんだか、ばたばたばた、ばたばたばたと大きな獣が…」と人気怪談師の毛利ニコルソンによる情感たっぷりな語り口が楽しめる。なお放送は春で、真夏の怪談という訳でもなく単にやりたかっただけである。アライグマを演じた小泉氏はおなじみの台詞「感動した!」を様々な感情を込めて叫び鳴き声として各シチュエーションを完璧に演じ分け、視聴者の度肝を抜いた。
第67話「あんたこの社会道徳ゼロをどう思う」

 借り手こそ見つかったものの、引っ越し以来人っ子一人出入りした様子のない中村家の間貸し部屋。家賃だけはちゃんと払いが良いからとばかりに放置していたものの、入居から三月にもなりこれではと主水は気にかかってしまう。一方その頃宇宙に出稼ぎ中のせんとりつが拝領したその日の仕事は、超時空戦闘機(阿藤海)に搭乗し惑星の危機を救うというもの。オプション4人(ゴスペラーズ)を引き連れ、スポンサー・藤商店のからし酢味噌をレーザーのごとく噴出、よくわからないモアイや触手などを蹴散らし機械要塞を突破した。その頃間貸し部屋が気がかりであった主水は嘉吉を引き連れ、中を覗く決意とともに引き戸を手にかけた瞬間、轟音のような爆発音が響き、からし酢味噌まみれになった室内から一機の戦闘機が脱出していったかと思うや、巨大な脳のような生物が消滅していき…しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 宇宙に行ったままなかなか帰ってこないことに腹を立てた菅井きん氏のスポンサー・藤商店からの猛プッシュでせんりつ主役編が実現。「藤商店の本社工場はリンガーハットの居抜き」というどうでもいい地元民トリビアがからし酢味噌ガチ勢の心を打ちまくる。ストーリーも捻りがあり、実は惑星の危機はオプション四人の策謀というどんでん返しと、触手たちと性的密通関係にあるというねちっこい人間模様が描かれるところは、安倍ニコルソンの面目躍如といったところ。
第68話「あんたこのクックパッドをどう思う」

 和紙の産地として知られる房州のある村はその年増え過ぎたキョン(たむらけんじ)の食害に遭い畑が壊滅。百姓・萬蔵(石橋蓮司)は同じく食い詰めた数名を集め、紙問屋どんぐり屋の丸兵衛(スーパークレイジーさん)の長男勘太(イーロン・マスク)を誘拐し、良心の葛藤に苦しみながら身代金を強請り取らんとする計画を実行に移す。Twitter買収中の勘太を巧みに誘し、丸兵衛からは身代金の334両をせしめることにも成功。あとは勘太を無事に引き渡せば人知れず終わり、というところで仲間のクボ吉(やす子)が青い顔をして萬蔵のもとに駆け付ける。勘太を匿った富津の岬に聳え立つ謎の建物は、よりによって嘉吉が時代考証を越えて電気を使用するために建設した個人所有の原子力発電所であり、何かしらのはずみで人型ロボに変形、勘太を乗せたまままっすぐ江戸に向かっているのだった。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 「今度こそゲル美を殺すつもりで書いた」と胸を張るドブ沢ニコルソン作品。時代考証を超越してしまう嘉吉の業が深く描かれ、結局やいとやが放射能汚染から江戸を守ることになる結末と相まり新仕業人チームに亀裂を走らせる展開となっている。この回から最終回へと続く殺伐とした作風を予兆させる佳品となった。出戻り銀次の入浴シーンや、嘉吉の伝説のアメリカンフットボール殺しなど外連味のある演出も満点で、この回をベスト・エピソードに選ぶ人も多い。
第69話「あんたこのポイ捨てNO宣言をどう思う」

 原子力発電所の暴走の件でSNSが大炎上した嘉吉。ビーナス屋公式アカウントには毎日暴言が書き込まれ、遂には店に突撃するものまで現れる始末。イタズラ動画を撮ろうとしていた主水のクラスメートの女子高生・ロミっち(内田裕也)を現行犯で捕まえた嘉吉は、反抗的な彼女を問い質すうちに先の件で江戸の電力供給が不安定になったこと、時代考証の歪曲による不合理が正されることによりネット回線の存在が消滅の危機にあることを思い知らされる。一方で嘉吉の時代考証と必然性のなさに苦しむ姿に共感し、LINEを送りあうようになったロミっちは、教室での些細ないさかいで同級生でいじめグループのめぐたん(カニバブラー)・念仏のペコ(ザンブロンゾ)と衝突し、嘉吉との交流をゴシップとか大好きで趣味は拡散の旗本・樫是涸之助(ピーポ君)に暴露され、巷での炎上の餌食となってしまう。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 近頃のネット炎上を揶揄する現代風刺回としての側面が後世では取り上げられがちではあるが、嘉吉とロミっちの悲恋を描いたラブロマンス回としての評価も高い。旗本・樫是を異次元殺しにかけながら「おめえの顔写真と禄高が江戸の連中に晒されようと、あの子は帰ってこねえんだ!」と熱い台詞を吐き、涙を浮かべながら仕置きをする嘉吉の姿が印象に残る。旗本樫是は誰も演者をやりたがらないまま撮影開始し、やむなくそこら辺にあったピーポ君人形を使用し事なきを得た。声は松野ニコルソンが裏声で担当した。
第70話「あんたこのおにいちゃんに超電磁砲をどう思う」

 歪曲された時代考証の弊害で市中取り締まりの強化された江戸。そんな中一人の一匹狼の仕業人・青二才の玉助(山本一郎)が立ち上がる。飼っていたジャンガリアンハムスター(野田クリスタル)を世話してくれた蘭方医デジタルツーカー博士(クリストファー・ロイド)が、町奉行の尋問により「ニポーン、ダイスキ」と言わせられる辱めを受けたことに怒り心頭。この排外主義と国粋主義の蔓延るジャップランドは殲滅しなくてはならない、と意気込んだ玉助は超電磁砲を独力開発し五重塔へと立てこもり、特に恨みとかはない善良奉行(今井健二)、時代考証を間違えて就任した老中・河野太郎(マック赤坂)、脚本家早坂ニコルソン(若林正恭)の三人を狙撃しようと試みる。事態を察知した仕業人ほか裏稼業の住人たちが呆れながら見守る中、果たして玉助の身勝手な凶弾の行方は…しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 放送当時頻発したテロ事件(いわゆる火星統一連盟騒乱)をうけて制作されたカウンター的なシナリオとなっており、世情を鑑み結局弾道に通りすがったお兄ちゃん(鳩山由紀夫)、奉行その他3人の順で美少女に変身というマイルドな展開となった。しかしそれはそれで視聴者たちの性癖を歪ませる結果になってしまったと山内ニコルソンは語る。ラストは意味もなくありったけの火薬で五重塔を爆破したが、偶々コンビニに買い物に行っていたドブ沢ゲル美氏は無事で、ドブ沢ニコルソン氏は臍をかんだという。
第71話「あんたこの六番目のユウウツをどう思う」

 深川河岸に上がった男女の惨殺体を偶然見つけた捨三は、その片割れの女が洗い張り屋に現れる常連客だったことをふと思い出す。いつも持ち込んでくる赤と青のジャージを手掛かりに、他の常連客の女郎たちの聞き込みを頼りに女の素性を洗っていくと、その男女が嘉吉の住む長屋に住む伝吉(ピーター・フォーク)とたき(小野田紀美)の夫婦と判明する。二人は野太鼓で、あらゆる世間への疑問やちょっとしたあるあるを弦楽器と抜群の歌唱力と分かりやすい動きで表現。江戸近辺の座敷で常勝をほしいままとして玄人の間ではまさに人気絶頂の芸人であった。二人が最後に呼ばれた座敷を開いた回船問屋・大和屋主人ペ左衛門(ローリー寺西)を探索しているうち、ペ左衛門の本業は実は海中に生える昆布であり、海の中で出汁が出ないよう耐える秘術を守っていることを仕業人たちは突き止める。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

 「仕業人はひたすら暗く、熱く重苦しい」と食卓で母親から苦言を受け、山内ニコルソン自ら脚本を執筆(名義は松田ニコルソン)。後期仕事人を思い起こさせる安易な現代パロディ作風に終始、現場は大混乱となった。昆布が海の中で出汁が出ないその秘訣について感動し「昆布は生きているからこそ、浸透圧で海の中に出汁が出ないよう頑張って耐えているのか。生きてるって凄いなあ」と薄ら笑いと棒読みで解説する大出俊氏の表情から撮影中の苦悩が読み取れる。しかし何故か傑作に仕上がった。
第72話「あんたこのお兄ちゃん大好きをどう思う」

 長い年月をかけ、死んだという事実をも超越して江戸の街に帰ってきた赤井剣之介(中村敦夫)とお歌(中尾ミエ)。彼らが久しぶりに虚無の町・江戸に足を踏み入れたちょうどその頃、片隅の荒れ野でかつての仲間であった仕業人たちはよくわからない怪物奉行(今井健二)と戦っていた。中心で戦いを仕切る嘉吉が「ようし!フォーメーションBだ!」と声を上げるや否や、死んだ目をした主水とやいとやが両翼から一斉に飛びかかり、その隙に嘉吉が距離を詰めて異次元に放擲するといった連係プレイを見せ仕置き完了。確かに悪こそ倒されたが特にカタルシスもなく、淡々と解散するかつての仲間たちを呆然と見送る剣之介たちに気付いた嘉吉は彼らに近づき、「ぶっちゃけもう、あんたたちとは縁が切れてるんです」と言い放つ。しかしその頃江戸に最強の敵・柏餅奉行(今井健二)が誕生し…そこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしているのではないか」と気付き始める。

 脚本を担当した安倍ニコルソンの「こういうこともあるんだよ」が昂じ過ぎ、作中意味もなく80年を経過させたアイロニカルかつ難解な舞台設定のエピソードに視聴者が困惑。何故か全く無関係の飾り職人の秀助命嘆願が2万通届いたとされている(「必殺シリーズファンクラブ・とらぼるとの会会報45」参照)。剣之介とお歌は天女を従え神輿に乗り高笑いを上げながら名乗りを掲げ再登場、あっさりと柏餅奉行に屈し二度目の殉職。その奉行も嘉吉考案のフォーメーションCで淡々と四散した。こういうこともある。

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