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『君と僕』の言葉たちコミュの「ひまつぶし」続き

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シロ「じゃあ、次は君の番!」
クロ「そう、だね」
シロ「偉そうなこと言ったからには、ご都合主義じゃない、面白いものみせてくれるんでしょ」
クロ「そう、だね」
シロ「ふーん。で、設定は?」
クロ「設定は……ない」
シロ「ない?」
クロ「そう、人間は人形のようなもの。つまり、人形も、人間。だから、そのまま」
シロ「何それ、手抜きじゃないの」
クロ「それが、リアル、だよ」
シロ「うーん。よくわかんないなぁ」
クロ「じゃあ、始める、よ」

エチュード1。「人形」
人形は演者の素に近い芝居で、キャラ設定だけは守りつつ、役名・職業などはそのまま。
気がつくと暗い部屋の中、なぜかここにいる。全員が初対面で、共通点もない。
どうすればいいのか、何をすればいいのかも分からない。
ただ、困惑するだけの数分間。
以下、()内的な台詞をアドリブで。
「(ここはどこだ)」
「(誰かいるの)」
「(それぞれ自己紹介)」
「(状況を確認しよう)」
「(なにか脱出できる方法は)」
「(助けはくる、こない)」
「(終わりはくるか、もしかして一生このまま?)」
「(無言、沈黙へ)」

耐えきれないくらいの間で、クロ合図。

シロ「……何、これ」
クロ「人間の、本質。役割を与えないと、何もない。ただの人形」
シロ「なんだか、もやっとする。こう、何が言いたいとかよくわかんなくて、『なんだか不完全燃焼』みたいな」
クロ「そう。それが、リアル、だよ」
シロ「……ねえ、これは何が面白いの?」
クロ「面白い、かどうかじゃない。意味はない、ことの証明。あえていうなら、証明されることに、面白さがある」
シロ「わっかんないなー。これだから本好きは」
クロ「本好きは、関係ない」
シロ「まあ、面白くはないけど……。意味はない、なんてことはないと思うな。物事にはなんだって必ず意味はあるよ」

シロ、ちょっと考える。

シロ「これは、人形っていうか人間は生きている、ってことでしょ。僕も生きているけど、人形にも命があって、それ自体がメッセージってことだよね」
クロ「……そんなメッセージ、ない」
シロ「えー、絶対そうだって。そう感じたもん」
クロ「……そう、ですか」

シロ、客席に向かって。

シロ「ねえ、いまの面白かった? メッセージはあるって思った?」
クロ「学習しない。……馬鹿、なの?」
シロ「馬鹿じゃない!」
クロ「なんだ、うま、しか、か」
シロ「(ちょっと考えて)馬鹿じゃない!」
クロ「(気づいたことに意外そうに)そう、だね」

暗転。人形元の位置へ。

シロ「さて、次は僕の番だね」
クロ「終わり、じゃなくて?」
シロ「もちろん。だって面白いもの」
クロ「ひま、つぶし」
シロ「そう、ひまつぶし」
クロ「いいけど、次はナレーションはなし、ね」
シロ「え、なんで?」
クロ「しらける」
シロ「えー、そうかな」
クロ「そう、だよ」
シロ「まあ、ない方が面白いっていうならいいけどさー」

シロ、ちょっと考える。

シロ「やっぱり面白くなくっちゃね」
クロ「そもそも、面白いって、何?」
シロ「そりゃあ、希望や夢。ズバリ『ハッピーエンド』だよ」
クロ「そうかな」
シロ「君の好きな本でも、必ず希望や夢が出てきたでしょ?」
クロ「希望がないことも、ある。どうしようもない、不幸も」
シロ「たとえば?」
クロ「例えば、『ハンス・クリスチャン・アンデルセン作、マッチ売りの少女』」
シロ「『マッチ売りの少女』、かぁ。確かに、悲しいお話だよね。でも、希望はあるよ」
クロ「ないよ」
シロ「あるってば」

間。

シロ「まあ、見てて」

暗転。人形スタンバイ。

シロ「じゃあ、いくよ」

劇中劇2「幸せなマッチ売りの少女」コメディータッチ
少女(ハイ)は働けない父(アオ)の代わりに働いて父を助けてあげたいと思っている。思いついたのがマッチを売ること。けれどなかなか売れない。そこで少女はこのマッチをすれば幸せになれると嘘をついて売ることに。騙されて買う通行人(ピンク)。売れたことを喜ぶマッチ売りの少女。けれど、悪いことをしてはいけないなと、すぐ思いなおす。
しかし、なかなか売れないマッチ。通りすがりの人(キイロ、ムラサキ)に『不幸な顔で売られると辛気臭い』、『マッチなんてそもそも役に立たない』などと言われる。少女はそれを忠告として受け止め、一生懸命セールスする。すると、通行人(アカ)が足を止め話を聞いてくれる。通行人は同情し、父親を責めるが、それを庇う少女。無事マッチは売れるが、また次売るにはどうしたらいいか考える少女。そして、本当に幸せになれるマッチなら売れると思いマッチを擦りながら『温かさは暖炉のよう』や『おいしい七面鳥のような香り』、『流れ星のような輝きは天国のあの人に逢える』といったキャッチフレーズを思いつき意気揚々と家へ帰る。父親にマッチが売れたこと、これからの商売戦略を話し、父親も喜ぶ。ここで合図。

シロ「めでたし、めでたし」
クロ「これは、もはやマッチ売りの少女じゃない」
シロ「そうかな」
クロ「そうだよ。物語を歪めてみるのは、害悪」
シロ「じゃあ、どういうのがいいのさ」
クロ「分かった。はじめからやり直すよ」
シロ「はじめから?」
クロ「そう、はじめから」
シロ「うーん。いいけど」
クロ「じゃあ、始める」

暗転。

劇中劇3「不幸なマッチ売りの少女」シリアスタッチ
父親にマッチが売れるまで帰ってくるなと追い出される少女。
道行く人に口々に悪態を突かれる少女。やがて人通りもなくなり、寒さに凍える少女。遠くからは幸せそうな家族の声が聞こえる。
暖を取ろうとマッチをすると、そこに現れる暖炉やおいしそうな食事。しかし、手を伸ばすと消えてしまうことに悲しむ少女。そして、マッチの灯りを見て祖母の話「流れ星が流れるとき、命が消えている」を思い出し天国へ行きたいと願っていると光の中に祖母が現われる幻想を見る。一生懸命にマッチを擦り、天国へ行こうとする少女。ここで合図。

クロ「そうして、少女は死んだ」
シロ「あぁ、確かにこれは本で読んだ通りかも」
クロ「そう、これが『マッチ売りの少女』」
シロ「でも、これには続きがあるよね」
クロ「続き?」
シロ「そう、君もわざとお話を途中で終わらせて絶望的なお話にしようとしてる」
クロ「そんなこと、ない」
シロ「そんなことあるよ。諦めちゃだめだよ」
クロ「そんなこと、ない」

シロが合図出すと、倒れている少女に気づく通行人。「可哀そうに」と言われているがやがて少女が幸せそうな顔をしていることに気づく。

シロ「ほら、めでたしめでたし」
クロ「めでたくは、ないよ」
シロ「でも、希望はあった」
クロ「ないよ」
シロ「あるってば。少女を見て可哀そうだというひとはきっと、僕がやったようなお話を望むはず。もし父親がこうだったら、通行人がこういう人だったらって想像する。それが希望だし、幸せそうに天に召された少女は救いだよね」
クロ「違う。人間の薄情さへの批判と、幻想を見るほどに狂って死んだ少女の哀れな話」
シロ「そうかなー」
クロ「そう、だよ」
シロ「じゃあ、(客席に向かって)君はどう思う? どんなお話でも希望を持つことは、解釈によっては救いを見つけることは、出来るかな?」
クロ「返事は、ないよ」
シロ「なんだか意地になってない?」
クロ「なってない」
シロ「やっぱ負けず嫌いだねー」
クロ「そういう君こそ、負けず嫌いなんじゃないの」
シロ「僕は負けないから、負けず嫌いじゃない」
クロ「そう、ですか」
シロ「どう、一本取られたでしょ?」
クロ「別に」
シロ「やっぱり君は(負けず嫌い)」
クロ「(前の台詞にかぶせて)そんなこと、ない」

間。

シロ「じゃあ、次は君が設定決めて」
クロ「まだやるの? 何回やっても同じなのに」
シロ「もちろん。だって、まだ、君にハッピーエンドの良さを伝えきれてないもの」
クロ「そう、だね。じゃあ、君が諦めたら、終わり」
シロ「何だか自信ありげだね」
クロ「終わりは、必ず、やってくるから」
シロ「諦めなければ希望はかなうんだよ」
クロ「そう、頑張って」
シロ「うん、もちろん頑張るよ。どんな状況でもどんと来い!」

クロ、しばらく考える。
シロその間に人形を初期配置へ。
並べ終わるころに、クロ本を手に取り、思いついた様子。

クロ「決めた」

暗転。スタンバイ。

シロ「よし、どうぞ」
クロ「舞台は漂流したイカダの上。6名の男女が来ない救助を待っている。漂流から時間がたち、水も食料も尽きている」
シロ「うわ、究極だね」
クロ「そう、生か死か、それが問題」
シロ「で、あらすじは?」
クロ「そんなの、いらない。人間の本質は、自然と悲劇を生む」
シロ「……もしかして、面倒くさいの?」
クロ「そんなこと……」
シロ「そんなこと……?」
クロ「どうでもいい」
シロ「やっぱ面倒くさいんじゃん」
クロ「じゃあ、始める」

クロが合図出すとスタート。
エチュード2「命の選択」。
舞台は漂流したイカダの上。6名の男女が来ない救助を待っている。漂流から時間がたち、水も食料も尽きている

アカ「(誰のせいでこうなったのか、これから何をすべきか。くじ引きで公平に決めるべきと主張)」
アオ(理由や理屈いってもしょうがない。何もせず体力温存した方がいい)」
ぴんく「(のどかわいた、お腹すいた、海水飲もうとする)」
キイロ「(いろんなアイディア出す。大声出して助けを呼んでみよう、海に潜って魚取ろうなど。)」
ムラサキ「(事実を言う。可能性があるかどうかや、行動の結果を予測する。誰かが犠牲になり、食料をなることを提案)」
ハイ「(誰かが責められると庇う。謝る)」

ストーリーの流れは、現状説明、誰のせいか話し合う、助かる方法を考える、誰かを殺して食料案、誰にするかはくじで決めよう、といったところでシロがストップをかける。

シロ「ちょっと待った! これなんか、どっかで聞いたことある話なんだけど」
クロ「よく知ってたね。そう、エドガー・アラン・ポー『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』」
シロ「だよね。確か、このくじを言いだした人がはずれを引いて……」
クロ「みんなでそれを食べ生き残る。そういう結末」
シロ「小説の話でしょ。手抜きだしずるい」
クロ「小説は人生と同じ、リアルだよ」
シロ「小説は人生とは違うよ」

間。

クロ「この小説が発行されて46年後、ある事件が起きる」
シロ「事件?」
クロ「『ミニョネット号事件』。漂流したイカダの上。漂流から時間がたち、水も食料も尽きている。極限状態の中1人がある提案をする。『このままではみんな死んでしまう、誰かが犠牲になるべきだ』そして、くじを引き仲間の為に身をささげるものを決めようと言い……」
シロ「それ、本当のこと?」
クロ「そう、だよ」

間。

シロ「ここから僕の番にするよ」
クロ「……いいけど、どうするの?」
シロ「やり直し、は使えないし。救助はこないんだっけ」
クロ「そう、そういう設定」
シロ「……分かった。僕が入る」
クロ「入るって?」
シロ「そうだなぁ。いいこちゃんの代わりに入って、役割を引き継ぐ。もちろん、設定は守るよ」
クロ「……どうぞ、ご自由に」
シロ「うん、ここから逆転できたらさすがに認めざるを得ないよね」
クロ「無理だと思うけど」
シロ「やってみなくちゃ分かんないって」
クロ「じゃあ、始める、よ」

クロが合図を出し、エチュード再開。
なんとかくじをやめさせ、説得しようとするシロ。その中ぴんくが耐えきれず海水を飲み、体調を崩す。ムラサキ・アカは彼を殺すべきと言いだす。キイロ・アオも同意した為どうにもならず、シロが身代わりとなり犠牲になること。シロはみんな許し、希望っぽい台詞で締め、死ぬ。しかし、合図を出さないクロ。やがて残った4人は生き残る可能性をより上げるため、結局馬鹿を殺す。そこで合図。

シロ「ちょっと、ずるくない?」
クロ「何が?」
シロ「僕の台詞でみんな感動したよね? 普通、あそこで終わりにするんじゃないかな」
クロ「現実は、残酷、だから」
シロ「残酷なのは、君でしょ……」
クロ「……で、治った?」
シロ「何が?」
クロ「……希望なんて、ないでしょ。小説でも、リアルでも、運命を変えようと努力しようと、結局同じ」
シロ「そんなことないよ。小説とリアルは違う。運命は努力すれば変わる『可能性』がある。少なくとも、可能性を信じて行動することには価値があるんじゃないかな」
クロ「それは、違う。変わらないことは、受け入れるべき」
シロ「そうかなぁ……」

シロ、客席に向かって。

シロ「ねえ、どう思う? 君ならどんなお話にする? 運命や役割が決まってるとしてもそれに抗うことは価値があるかどうか……」

間。クロ、ため息。

クロ「1つ、分かった」
シロ「え、何が?」
クロ「新たな格言。馬鹿は、死んでも、治らない」

間。シロ、様子がおかしい。

シロ「……僕は死んでないよ」
クロ「人形の代わりに、死んだ」
シロ「違う、僕は死なない!」

間。

クロ「……そう、だね」

間。シロ、落ち着く。

シロ「そう。僕は死ぬことはない。だから、こんなに暇なんだよ。何しろニートだからね」
クロ「夢も、希望もない」
シロ「そんなのは人間だけで十分でしょ」
クロ「そう、だね」

間。

シロ「そうだ、今度は僕の番だけどさ。死ぬのなしにしよ」
クロ「なぜ?」
シロ「だって死ぬのばっかだと、飽きてきたんだもん」
クロ「でも、人間は、死ぬ」
シロ「そうだけど! ……まあ、君の言う死んだら終わりっていうのも、悔しいけどちょっと分かるからさ。じゃあ、終わらない話を考えようよ」
クロ「そんなの、ない」
シロ「いいじゃない、人形なんだから。やってみようよ。次は僕の番だよね」
クロ「そう、だね」

エチュード「終わらないおままごと」
シロのターン⇒ループもの。こども達が楽しそうに遊んでいる。

ぴんく「(あーそーぼー)」
アカ「(いいよ、何をして遊ぶ? みんなが楽しくあそべるものがいいよな)」
アオ「(楽で手軽で長く楽しめるのがいい)」
ハイ「(誰もいやな思いをしないものがいい)」
キイロ「(おままごと、人形遊びにしよう)」
ムラサキ「(じゃあ、役割がいるね)」
アカ「(みんなかぶらないようにしないと。俺は正義感溢れるヒーロー)」
ぴんく「(ぼくはすなおで純真無垢。愛されキャラ)」
アオ「(のんびりマイペース)」
ハイ「(誰より優しいひと)」
キイロ「(いつでも前向きでチャレンジャー)」
ムラサキ「(冷静な、みんなのまとめ役)」
一同「(楽しそう、面白そう)」
アカ「(じゃあ、さっそくやってみよう)」
以下冒頭へ戻り、ループ。途中で、見るに耐えかねたクロが合図を出し止める。

シロ「ねえ、楽しいでしょ」
クロ「……悪趣味、だね」
シロ「なんで? ずっとずっと楽しそうに遊んでる。幸せだよ」
クロ「いつまでも続く幸せなんて、ない。こんなものに、意味はない」
シロ「でも、楽しそうだよ。人間なんてこんなもんじゃない」
クロ「違う、これは、現実ではありえない。人間は、必ず終わりが来る」
シロ「そうかな」
クロ「そう、だよ」
シロ「そう、だよね」

シロ、客席に向かって。

シロ「ねえ、君はどう思う? どう感じた? 人間は終わりが来る。けど、もし永遠に終わりが来なかったら。終わりのない時間を過ごしたら。どんなに楽しくってもそれは幸せなんだろうか……。それともそれは不幸なんだろうか……。ねえ、答えなよ。こたえてってば。ほら、早くなんとか言えよ! 聞こえてんだろ!! これは、幸せか、そうじゃないか。分かるよね……?」

間。

クロ「君は、馬鹿だ」
シロ「……馬鹿じゃない」
クロ「もう、終わりにしよう」
シロ「まだだよ! まだ終わらせない。そうだ。まだ、君の番がある。見せてよ、とびっきりの不幸を、さ」
クロ「不幸」
シロ「うん、面白いんでしょ、バッドエンドって」
クロ「そう、だね」

エチュード「夢の終わり」
とある部屋。夢を追うか現実を見るかで言い争う若者(劇団員)たち。

アオ「(もう芝居なんてやめよう)」
ぴんく「(なんで、僕の書いたお話つまらなかった? じゃあ、もっと面白いの考えるから続けようよ)」
アカ「(自分の楽しいを押し付けるな)」
ムラサキ「(楽しくってもお金がないと続けられない。面白いだけではただのひまつぶしにしかならない)」
キイロ「(プロになるからこの劇団は抜ける)」
ハイ「(喧嘩しないで。続けたいけど夢を応援しようよ)」

どこまで話しても平行線で、終わりが見えない。そして、一人、また一人といなくなっていく。最後の一人(ぴんく)も去り舞台上は誰もいなくなる。けれど終わりの合図はない。

シロ「ねえ、これは何?」
クロ「終わりのない、話」
シロ「これは何の意味があるの?」
クロ「意味なんて、ない」
シロ「誰もいなくなっちゃったら、つまらないじゃないか」
クロ「そう、人間はいつかいなくなる。だから、つまらない。最高の、最低の、バッドエンド」
シロ「ダメだよ、それじゃ。ダメなんだよ。だってそれじゃつまらないじゃないか」

シロ、叫び暴れる。クロは黙って見ている。
シロ、やがて放心したように、座り込む。

間。シロ、思いついたようにつぶやく。

シロ「そうだ。代わりだ。代わりの人間が続きをやればいいんだ」

シロ、客席に向かって。

シロ「ねえ、誰でもいいよ。代わりにここへきて、このお話の続きをやってよ」

シロ、客席に向かって語り続ける。

クロ「……無駄、だよ。人間が自分から動いたり、するわけない。役割を与えなければ、ただの人形と同じ」
シロ「そんなの分かってるよ! でも、もしかしたらって考えない? 期待だってしちゃうんじゃない?」
クロ「僕は、期待なんて、しない」
シロ「……君は負けず嫌いだからね」

間。

シロ「ねえ、言ったよね。希望があるから、絶望があるって。期待するから裏切られるって。それは不幸だって」
クロ「そう、だね」
シロ「僕もそう思うよ。だから、人間には希望を持ってもらわなくちゃ。信じて信じて信じて、最後に裏切られる。それって最高に不幸だよね」
クロ「そう、だね」
シロ「結局人間は死ぬんだ。僕たちと違ってさ。必ずどうしたって最後には不幸になる。幸せであればあるだけ不幸になる」
クロ「そう、だね」
シロ「そこに意味はあるのかな?」
クロ「意味なんて、ない」
シロ「じゃあ、僕らには? 僕らには意味はあるのかな」
クロ「意味なんて、ない」
シロ「僕らは幸せ? それとも不幸?」
クロ「期待しなければ、幸せでなければ、不幸じゃない」
シロ「僕らは何なんだ……」
クロ「ただ、死なないだけの、何か」

間。

シロ「そうさ。僕は死なない。だから、こんなに暇なんだよ。何しろニートだからね」
クロ「夢も希望もない」
シロ「……もちろん。そんなのは人間だけで十分だよ」
クロ「人間は、希望を持ち、そして、絶望する。そのことに、意味はない」
シロ「いいんだよ、人間はそれで」
クロ「なぜ?」
シロ「だって、そうじゃなきゃ面白くないじゃん」
クロ「結局は、ひまつぶし」
シロ「そう、ただのひまつぶし」

シロ、客席に向かって。

シロ「ねえ、どうだった? 君はこれから何を考え、何をするの? 教えてほしいなー。……だって僕、とっても暇なんだもん」
クロ「……」

間。BGMが流れる中ゆっくりと照明F.O.し、終劇。

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