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文芸の里コミュの象

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象




☆象



平原を行く象の群れは
なぜかいつも
夕日を背負っている
象よ
夕日をいずこへ
運んで行こうというのか

夕日を運んで
しかるべき場所に置いてしまえば
安心して余生が送れるとでもいうように
ひたすらに黙々と進んでいく
だがその姿を目に容れようとしても
砂埃にかすみ夕日に呑まれて
象の姿をしっかりとらえることができないのだ

いっそのこと象よ
夕日をそこに置いて
明日からは朝日を運んでくれないか
そうすれば視界も澄んで
象の姿をしっかり捉えることができるかもしれない
夕日はおまえに石のように重いのだよ
ただの石ではない
赤く燃える巨大な石だ

それでも象は夕日を運ぶのをやめない
やめようとしない
やめれば己の使命を放棄してしまうかのように
それどころか地球の歴史が灰燼に帰し
奈落の底へ赤い石もろとも転げ落ちてしまうとでもいうように
象は歩みを進める

象の遅々とした行路は
砂埃が赤い帯のようになって燃えている


   ☆


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