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文芸の里コミュの永遠への入場 その3

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        .Gabriel Faure - Sicilienne, for cello & piano, Op. 78


   ☆

 花嫁との識別が一番むずかしいのが、良い天使の存在です。良い天使と呼ばれるからには、その働きは模範的です。どこにも非の打ち所がないと言えるほどです。したがって花嫁探しに差し向けられている私としては、まず良い天使のほうに目が向いてしまいます。はじめから良い天使だと教えられているわけではありません。この人は花嫁と目星をつけて観察することになります。神も最初から教えはしないのです。観察しているうちに、あれ? っと、首をかしげたくなる場面が出てきたりします。花嫁ならこうなるかなあ、というふうに、意外に明るい方向に逸れて行く場合があるのです。といって、彼氏のことに現を抜かしているというのではありません。
将来の展望が見えてきたとでも言うように、どこか明るくはしゃいでいるのです。
 花嫁ともなると、もっと深刻で、いくら天職が転がり込んで来たからといって、明るくなどしていられないのです。花嫁こそが天職であって、いのちに繋がるのはそれしかないことを本能的に知っているからです。
 そうやって自分の生きる道を探している人の中に、そろそろ援け舟を出してあげなければいけないのではないかと、私のほうでもはらはらし始めた人がいました。
 そこで神に伺うことになったのです。雑念を払い、身を引き締めて父なる神と向かい合います。聖句を通して示されることがありますので、傍らに聖書と筆記用の白紙。音楽は常時鳴らしていますが、神の好むバッハをかけます。
 結果は良い天使でした。一箇月くらい前のことです。当然花嫁だと期待していただけに、意外でした。しかし多くのものが闇の中に散らされていくような現状において、はっきり良い天使とされたことは至福とも言えたのです。
 私はその人が世にあたたかく迎えられ、天使としての務めをまっとうできればいいと願いました。その人に対する私の花嫁探しの任務も終ったと考え、彼女の動向を探る事もきっぱり止めていました。 過去にもそういう例はあったのです。花嫁と思っていた人が、そうではなく、御霊の約束にある人だと言われたことが。しかしこの人は一箇月間悩みの中を通された後、私が机上のコーヒーカップを引っくり返すという失策が転機となり、俄然花嫁として躍り出てきた事例があったのです。
 私はそのことを思い出しつつ、一箇月前に良い天使と教えられた人のところへ出かけてみたのです。むろんすべてネット上のことです。
 すると彼女は、天使の明るい方向に身を転ずるどころか、光の見えてこない闇のなかを這いずり回って、花嫁という一筋の道を探し回っていたのです。彼女にとって他に道はなかったのです。花嫁の栄光を求める気持ちなど微塵もありません。この世においても、天においても花嫁こそが生きる道であり、いのちは他になかったのです。
 花嫁はみなそうだと思います。神の創造の厳粛さを目の当たりにした気がしました。とすれば、彼女は良い天使ではなく、紛れもなく花嫁なのだと、私は悟り、神に伺いを立てました。伺う先に決定していたようなものでした。
「その通り、花嫁である」
 神は悪びれることもなく、そう言いました。
「では、今日出す準備をしていたトピックのなかに、彼女を加えますよ」
 私は決定したと思い、そう言いました。
「そうしなさい」
 これが神の下した裁定です。
「永遠への入場」に出てくる、
〈まったく引けを取らずに新しい魚がついています〉
 この魚が彼女のことです。

   ☆

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