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文芸の里コミュの逆行 ← (覆水盆に返らず)

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             箱根 マイセンとラリック美術館, アルビノーニ オーボエ協奏曲ト短調

     ☆

私はその時、酒宴の席にいたわけではありません。自宅で机に向かっていました。何気なく次の情景が浮かんだので、いま取り掛かっている原稿用紙の余白に、次のようにメモしました。

盛り上がる和気藹々の宴を抜け出し、冷気を吸いながら、ふと仰いだ夜空に発見した一個の星の瞬き。

つまらない徒然の短文に過ぎません。それでも書き留めたクリップボードを机に置いたのはよかったのですが、下に文具や画材や書きかけの原稿等々があって、はなはだ安定が悪く、でこぼこしていました。
下にコロでもあてがわれたように、クリップボードが机上を転がりはじめたのです。私は慌て手を伸ばし、クリップボードが机の下に落下するのは防ぎましたが、弾みで置いたコーヒーカップに引っ掛けてしまい、机上はコーヒーの海。
カップを倒して、中のものが一滴も残らないなどという失策は、これまでなかったと記憶しています。
覆水盆に返らずなどという諺を思い出し、さてはあの花嫁が消えるのか、などとよからぬ想像までしていたのです。
しかしこのとき、つい先ほどあるSNSで詩を見ているうちに、そのコメント欄から、クリックして飛んだ先で、星が瞬くという内容の記事を目にしていた事に気づいたのです。
私はよく自分の仕事をしながら、気晴らしにネットを逍遥したりするのですが、このときも少し前に見たものが私の中にインプットされていたものらしく、前掲の短文として浮かんできていたようなのです。
私は早速その箇所に飛び、詩の作者を確認しました。何と約一箇月前、この作者の詩を読み、その深さに花嫁のしるしを感受して、神に伺いを立てていたのです。神は詩の巧拙など花嫁の条件とはしません。言葉があればあるで、言葉がなければないで、裏側の真髄を見ます。
さて私が詩に花嫁のしるしを見たこの人についてですが、神は花嫁ではないと語ったのです。私からすると不本意な回答でしたが、御霊の約束はあるということでしたので、ふっと胸撫で下ろしてもいたのです。御霊とはキリストの霊を核として含み持ち、広くはこれもキリストとの結婚を意味します。それらの人たちが集う教会が花嫁とも呼ばれる所以です。羊はみな御霊を受けることになっていますが、実際となると、数は少なく、御霊不全のまま天に昇り、そこで長い訓練を受けて、完全なものになると、私は神に教えられています。話がそれていますので、元に戻します。その人についてです。
神は私にコーヒーカップを倒して、強く印象させ、「覆水盆に返らず」の逆を教えたのです。つまり、花嫁ではないと言って、妻の座から離した者を、花嫁に戻すという業をやってのけたのです。一箇月前では時が早すぎたのでしょう。その人にどう伝わっているのかは分かりませんが、相当の苦しみの中を通されたものと察せられます。そういう星の下に生まれていながら、神から声がかからないという苦しみは筆舌に尽くし難いものがあるはずです。
そういった試練の時をあえて与えられたのかもしれません。ひとり子に妻合わせる準備に、キリストの十字架の受苦を教えるためだったとも言えます。小舟よ 安らかにあれかし。

     ☆

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