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文芸の里コミュの日常に介入する神の教え

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☆

こんな夢を見た。その女性はあらかた受けていて、ほんの一部を残すのみだった。
どうやら御霊のことをさしているようだった。
残りはおそらく10パーセントくらいのもので、そうなるとほとんどはその人の中に入っていると言えそうだった。しかし、残る10パーセントを受けなければ、御霊の授受が完了したとは言えないらしい。
すでに大方は貰っているのだから、残りは気楽にしていても満ちてくると思われた。これまで独りでやってきたのだから、同じようにしていれば、残りのものもひとりでに、受けるであろう。そしてそのほうが自然であるし、手数もかからず、簡単に済むと考えられた。
にもかかわらず、その女性は聖霊の導きを辿り、ややこしい手続きを踏んで、そこで受けようとしているのだった。何故この女性は、面倒なほうを取りたがっているのだろう。
夢から醒めた後も、僕はこの人への不可解さが頭に残っていて、釈然としなかった。
その釈然としないものを抱えたまま、僕は外出した。これは夢ではなく、本当の外出だ。

一つ先の駅まで足をのばすつもりで、最寄の駅までやって来た。その僕に用あり気に近づいて来る女性がいる。何だろう。僕は待ち合わせたわけでも、知り合いがいるわけでもないから、やり過ごすつもりで、切符売り場へ直行した。と、その僕に、いきなり声をかけたのである。
「N市から出て来たので、勝手が分らないのですが、どこで切符を買えばいいのでしょうか?」
「ここです」
僕はすぐ目の前に迫っている自動販売機を示して言った。それでもその女性は納得しがたい顔をしているので、
「他に何か?」
と訊いてみる。
「とりあえず東京まで出たいんです」
女性は心を他にとらわれている様子で、そこまで言った。
「ではお先にどうぞ。東京までだと、○○円ですね」
僕は運賃を記した路線図を見上げて、そう言った。
女性はいぜん何かにとらわれたようにぼおっとしているので、僕は先に切符を買った。女性はまだ横を向いたまま(ということは、切符を買う体勢ではなく)立っていた。
僕はその女性を押しのけて前へ出て行くのが憚られたから、
「まだ他にお分かりにならないことが?」
と訊いた。
「あの、改札はどちらで?」
「あそこです。僕もそこを通って、電車に乗るところです。東京とは逆の方向になりますが」
「ご親切にありがとうございます」
女性はそう言って頭を下げたが、それですっきりしたという感じではなかった。

瞳は澄み垢抜けした女性で、日常に支障をきたす病があるとはとても思えなかった。それだけに釈然としないものは、僕のほうに移され、わだかまりが解けることはなかった。
そんなときに浮かんできたのが、今朝の夢に出てきたもやもやした光景だった。
夢に現れた女性こそ、今現実に相対した女性ではなかったのか。
そう考え、帰宅すると、関わっているSNSで、夢に現れた一番その人らしいプロフィルを調べてみた。彼女は何とN市出身となっている。
SNSのこの女性と、駅で出会った女性が同一人物のはずはない。しかしまったく関わりがないかといえば、大いに関わっている。
神に天使として用いられたのである。つまり靄に包まれている今朝の夢を、解き明かすためにである。
こうなると、ただの夢として、曖昧のまま投げ出しておくわけにはいかなくなった。
そこでここからが本論ということになる。
前置きが長くなったが、N市から関東の一地方都市まで遣わされた女性までいたとなると、はしょるわけにはいかなかった。
SNSの女性の名を仮にEさんとしよう。Eさんは当サイトでも少し前にご登場ねがった「再起の人」のことだ。
Eさんは再起はされたが、花嫁としてなのか、最近神に、精鋭女性には、もう一つの道があると教えられた女パウロの道なのか。はっきりとは決めかねていた。女パウロの道なら、終わりの世を、清濁併せ呑むごとくブルドーザーのたくましさで驀進するだけである。再臨時に主から僅かな残り分を受ければ、勇気百倍して世界を駆け回ることになるだろう。主から直接受けなくても、祈ることで聖霊は満ちてくるだろう。
しかしもう一つの花嫁となると、そうはいかない。戒律が厳しく、これまでどれほどの花嫁候補が落伍していったか。一人ひとりを詳細に訊いてはいないが、返答に窮している父なる神の思いは伝わるのである。落伍の多くはサタンに魅入られて、霊が汚れてしまっている。
朝の夢の段階では、Eさんのイメージはあったが、Eさんと断定はできなかった。
たとえEさんであったとしても、何故彼女がすぐにも飛び込んでいける道があるのに、煩瑣な手続きを踏もうとしているのか、解読できなかった。
誤解のないように言明しておこう。この夢は、Eさんの心の内を照らして、僕に教えたのではない。あくまでも神が準備している道に招き入れるために、僕の迷いを正す目的があったのであろう。
神はのろまな僕が、夢だけでは悟ることはできないと見通し、先回わりしてN市から天使を遣わし、駅で出会わせたのだ。天使と言ったが、あくまでもただの人である。しかし彼女なりにのっぴきならぬ用件ができて、当市を訪れ、これからN市へ帰るところだったのであろう。遥かなる長旅である。

これに似たような出来事は他にもある。これも花嫁がらみなので、触れておくことにする。昨年、手を負傷した女性がいた。日記でそれを知った。神のしるしがあるなと思ったが、黙っていた。そのうち僕も手を挫いて、物を持てないほどになった。彼女の日記と重ねるのもさまにならず、やはり黙っていた。しばらくして、まだ残っている手の痛みをかばいつつ、電車の吊革に掴まっていた。電車が停まり、目の前の席が空いたので、坐ろうとすると、今までそこに坐っていた人が、手袋を忘れて行ったのだ。手袋を席に残したまま、僕は慌ててホームに飛び出し、その人の背中を叩いて「手袋忘れましたよ」と声を張り上げた。その人ははっと向き直り、電車に引き返そうとしながら、自分のオーバーのポケットをまさぐり、「手袋ありますよ」と言った。電車のドアがしまり、僕はホームに残されて次の電車を待った。
あの手袋は幻だったのだろうか。それともあの乗客は、手袋のあるのに気づかず、その上に腰掛けていたのだろうか。いずれにしても、神のしたことだろう。
そして今日、駅で出会った女性は幻ではない。容姿端麗な美しい女性だった。ひたむきさを抱えながら、どこかおっとりしていて、この世の人とは、思えなかった。しかし断じて幻ではない。


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