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文芸の里コミュの煌く街

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                   Tomaso Albinoni "Adagio in G Minor"


☆煌く街


大雪連峰に初冠雪を見てしばらくすると、
旭川の街にも本格的な冬が到来する。
雪は冬の代名詞で、この街のシンボルだ。

シンボルと言えば、
雪とは鮮やかな対照を成すナナカマド。
すっぽりと雪をかぶったナナカマド目がけて、
キレンジャクが殺到する。
忽然と天界から現れたかのように、
鳥たちは赤い実をあさって、飛び去る。
鳥たちがいなくなった後は、
明らかに庭の様子が変わっている。
枝を覆っていた雪はなく、
当然ナナカマドも消えている。

見晴らしのよくなった枝越しに、
大雪連峰がくっきりと浮かんでいる。
しかしこのときは、
初冠雪に見たあの初々しさはなく、
ただ雪山が続いているだけだ。
雪はもう珍しくもなく、
この街を覆いつくしている。

初冠雪、ナナカマド、雪の街。
毎年風物の色取りは、
私の中を循環した。
その街を遠く離れてしまっても、
記憶にしまわれた風景は循環した。
時を大きく隔てても、
同じ光度もって耀いていた。

宇宙はビッグバンの後、
星星と地球との距離は大きく開いているのに、
星のきらめきに変化はなかった。

明日も
一年後も
おそらく十年後も
変わらない、同じ光度のきらめきを
送ってくるだろう。

宇宙の星と、
我が故郷の雪の街は、
いつしか親しく通い合って、
耀いていた。
同じくらいの光度をもち、
共に帰還できない、
莫大な距離を置いて。




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