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歌詞から妄想コミュのMr.Children/ゆりかごのある丘から

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寂しさの雨が降る



親愛なるあなたへ
無事に過ごしていますか?あなたが戦場に行って3年。私は毎日教会であなたの無事を祈っています。

あなたが帰国する兵士に託す絵が、あなたの無事を確認できる唯一の方法です。
しかし尋ねてきてくれる兵士はあなたの訃報を伝える死神かもしれないという恐怖に毎回怯えています。

あなたの描く絵には必ず私がいて、あなたとの思い出と、あなたの想いが溢れていて私は涙を流します。

あなたがどんな気持ちで戦地に赴いたのか分かっているつもりです。

でも、あなたは私の気持ちを分かっていてくれているのでしょうか?

この手紙が無事あなたの元に届き、そして無事に帰国してくれる事を何よりも願っています。

さようなら。


僕はゆりかごに揺れながら彼女が一度だけくれた手紙を読み返した。

ゆりかごのある丘は彼女と僕が幼い頃から気に入っている場所だ。

草原にはいつも優しい風が吹いていて、草花たちが一日中ワルツを舞ってた。
鳥たちの賛美歌をミツバチが運んできて、それが僕らの耳元で飛び交ってた。
ゆりかごがいつもそこには置いてあり、腰掛けた彼女の揺れる髪をそっと撫でるたび、柔らかな香りが僕をそっと包み込み、思わず僕はその髪にキスをした。
いつもここで待ち合わせて、彼女の作ったランチを食べてたっけ・・・


僕が戦場に赴いて5年目でやっと戦争は終わった。
双方に多大な傷跡を残し、心にはもっと深い傷を作った。
そういう意味ではこの戦争はまだ終わっていない。
きっとこの戦争に限らず全ての戦争は一度始めたら終わる事が無いのだろう。
大切な人や物を守る為に攻撃し、攻撃された側も大切な人や物を守る為に攻撃をする。
この無限ループをどうやって止めればいいのだろう?

武力で制圧してなんになるのだろう?
武力で制圧した事が勝利なのだろうか?

僕が武器を持って直接攻撃したわけではない。
けれども、傷ついた兵士を治し、また殺人現場に送り込む。
殺人に加担している事には代わりが無い。
でも、目の前で人が傷ついているのを治さないわけにはいかなかった。

僕はいったい何をしに行ったのだろう?


僕は戦場でひとつ学んだ。
大切な人や物を守る為に戦う事を放棄する。
僕は話し合う。話し合ってだめなら逃げる。
生き延びて、逃げて守る。

僕は彼女をそうやって守る事を決めた。


僕は会いたかった
僕はそう伝えたかった
僕は彼女に会いたかった




ゆりかごで手紙を読み返したら、戦場では気付けなかった彼女の寂しさが降ってきて、切なさがぎゅっと胸を締め付ける。

「ごめんね」とつぶやいてももうどうにもなる訳じゃない。

「この素晴らしい、慌しい人生を二人三脚で越えて行こう。」
あの約束を頼りに、生き延びて戻ったのに、
僕が戦場に行っているその間、君は大人になっていて、
君はもう違う誰かの腕の中・・・

争いには勝ったけど、大事な物を無くして、僕はいったい何をしてきたんだろう?

僕の肩に頭乗せた君と写っている写真をゆりかごに置いた

そして僕は一人。


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