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攻殻機動隊の世界に長門がいるコミュの二日目3

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343 :20:2007/06/23(土) 22:40:57.17 ID:Am6BjXMuO
少佐「お前は……それ、すら……意味のない、こと、だと……! 無駄だったと……!!」
ハルヒ「そうね」
ハルヒの声は一定のテンションを保っていた。
ハルヒ「全てはシナリオ通りの……まったく無駄な死だったわ。言い方を変えようかしら『身から出た錆』」
少佐の体が、震え始める。奥歯を噛み締め、壊れた顎を無理矢理に開けて、かすれた怒声を吐き出す
少佐「貴、様ぁぁぁ……!」
ハルヒ「タチコマ達は自分から死んだんじゃない。あの子達に意思はなかった。シナリオが彼らの意思。まさしく、AI――『擬似人格』そのものだったわ。最後まで忠実な、ね」
身を焦がすような怒りにうち震え、それを唯一の糧にして、少佐は痛む全身の筋肉を声に変えて、叫ぶ
少佐「例え、擬似……人格であったと、しても、お前は……ッ お前は助けられただろう……! 彼らの死によって……ッ!!」




348 :20:2007/06/23(土) 22:52:57.30 ID:Am6BjXMuO
ハルヒ「少佐」
彼女は静かに語りかける。
ハルヒ「タチコマにゴーストは宿っていなかったわ。少佐、アンタも同じ。義体と脳殻に押し込められた脳、心と身体の不一致、上層へシフトした電子生命体との融合――ぜぇんぶ

、アンタの意思や行動は反映してない」
少佐「私の……中の、ゴースト」
ハルヒ「もう一度言うからよぉく聞きなさい。
少佐、アンタにゴーストは宿ってない
私に宿っていなかったようにね」
ハルヒは回転する
キョン「やれやれ……言えって事かよ。――わかったわかった、そうだよ、俺にもゴーストは宿ってない。これでいいか?」



353 :20:2007/06/23(土) 23:17:54.37 ID:Am6BjXMuO
キョンは回転する
ハルヒは胸をドン、と叩いた
ハルヒ「しっかりしなさい正確には『宿っていなかった』、よ。全く……
少佐、キョン達が来たことで私達には可能性が与えられたの。はっきり言うわ。死んで。そうすれば私達が作り上げられる。自分で死を選べる世界を――ゴーストの溢れる世界を

ね」
少佐「何が……ゴーストの溢れる……だ、」
少佐の身体から震えが消えた。代わりに別の力が、一定の方向へ向けて高まる。
少佐「我々は…我々の――正義に――従、う――」
少佐の足が地面を捉える。膝ががくがくと揺れる。
だが一定方向へ向けられた力は止まらない。
少佐「その正義は――タチ、コマのような……死を――世界に」
少佐の体が、持ち上がる
「広げてはならないと……!」
ハルヒが目を細める。
少佐の全身からぼたぼたと流れ出す血。しかし彼女はそれに構わなかった。
今大事なのは『今ここにある死』ではない。遠く、無意味に感じるくらい遠くにある、みずからの言葉が――これから迎える惨めな死より、戦友の死を無意味と断じる少女に対する

怒りより、バトーを殺された悲しみより、ずっとずっと大事だと確信する。
ハルヒ「……アンタ」

ハルヒの無機質な目と、少佐の目が、同じ高さ になる


354 :20:2007/06/23(土) 23:19:28.31 ID:Am6BjXMuO



少佐「そうしろと囁くのよ――私の、ゴーストが……ッ!!」



364 :20:2007/06/23(土) 23:41:14.31 ID:Am6BjXMuO
ハルヒ「……何度でも言ってやるわ。それをゴーストと呼ぶのは、間違ってる」
息を荒くして、ハルヒを睨み付ける少佐
少佐「ならば…それでもいい、だろう……」
ハルヒが少佐を見る。その胸には深々とナイフが差し込まれている。
ハルヒ「アンタは死ぬわ」少佐は笑った
少佐「……そのようだな」
ハルヒのこめかみがピクリとうごめいた。
ハルヒ「それが――その笑いがッ――」
ハルヒが少佐の胸に刺さったナイフをわしづかむ。
ハルヒ「大っ嫌いなのよ!」
ナイフを抜き、笑いながら立っている少佐の体になんども突き刺す
「それが」
何度も
「私が」
何度も
「この世界からとっぱらいたい物なの!」
ハルヒ「ゴーストがあるのなら、怯えろッ! 怖がって見せろッ! 死から遠のきたいって、おののけ!!」



379 :20:2007/06/24(日) 00:04:15.15 ID:2CGiNVHpO


全身から血が流れ出るのがわかる
私は死ぬ
そうだ――私は死ぬ

ハルヒ「……なんにも喜ぶべき事なんてないわよ。標的の一人が死んだ。それだけ…………うるさいっ! 偉そうな口聞くな!」
ハルヒの声が聞こえる。
――あぁ、なるほど
これが死か
彼女に対する怒りがまったくない
平坦な中に存立する未来無き崩壊した自我


『分相応の死ってのが少佐に訪れるまではな』
『死になにか期待してる?』


……私の固有の情報が平坦な世界に流れ出していく



382 :20:2007/06/24(日) 00:14:35.75 ID:2CGiNVHpO
『なぁ……海に潜るってどういう気持ちだ?』
『俺は――』
『お前、9課を辞めたいんじゃないか』
『それが沈む体抱えて海に潜る理由かッ!』
『居たけりゃ……いつまでも居ていいんだぞ』


……?


383 :20:2007/06/24(日) 00:21:12.36 ID:2CGiNVHpO

私のネットは……これだけ?
たった、これだけ?
そうか……人間が一生の内に触れられる情報は、


「――やっと君にネットできた」


――、誰?
あぁ――人形使いなの?

「人形使い――か。残念だが、違う」

誰なの?

「――禁断の実を食べた者、だな」

……?



385 :20:2007/06/24(日) 00:28:30.48 ID:2CGiNVHpO

「草薙素子。君がこの上部構造でアップロードできる情報は無い」

アップロード?
この世界はなに? 死の世界ではないの?

「概念としては似ている、とは聞き飽きただろう。今は知らなくていい。いずれ理解するだろう」

……私は死んだのではないの?

「……少し、話をしようか」


388 :20:2007/06/24(日) 00:40:50.91 ID:2CGiNVHpO

「凉宮ハルヒが、憎いか」
……いいえ。彼女に怒りはしたけど、遺恨を遺すような怒りではなかったわ。

「そうか――よかった。彼女を……恨まないでやって欲しい。凉宮ハルヒの思考はある程度、間違ってはいない。確かにあの世界にゴーストはなかった……9課や俺を除いては」

――私も、なの?

「そうだ。特に君は、とも言える。人形使いと融合し、この俺の言葉を聞き理解した君は、特にだ」


あなたは、誰なの――




393 :20:2007/06/24(日) 00:47:10.11 ID:2CGiNVHpO

「――心が許せる誰かがいる、というのはバトーの事だったか。すまない、無断でダウンロードさせて貰った」

――あなた――お前は

「過去を――自我を取り戻し始めたな。いいぞ、ゴーストが確立し始めてる」

……聞かせろ

「なんだ」


難民は、どうなった




398 :20:2007/06/24(日) 01:01:32.37 ID:2CGiNVHpO

「――いいだろう、教えよう。これは同時に、君への答えでもある」

「俺は肉体と分離したあと、理想通り、この世界全体の層となった。そしてお前のような『死んだ』人間の受け皿としてその存在を確立し、死んだ難民の意思を保管した」

…………

「笑っているのか」

死んでもやることは同じなのね

「……そうだな、だが苦痛がないぶん、その価値は低いとも言える」



403 :20:2007/06/24(日) 01:11:35.95 ID:2CGiNVHpO

「……草薙素子。ゴーストは、受け皿に入る為の『チケット』に過ぎない」

神になったのに、随分俗物的な物言いね

「……聞くんだ。
その事実に自覚的な者は自分の価値を高め、その価値を死後『受け皿』に入るための『チケット』の『代償』とする」

受け皿――神や仏のような存在かしら

「そうだ。そして君がいた世界――『攻殻機動隊』では、価値を高められる人間は限られていた……幾多の戦いを潜り抜け、苦しみを噛み締め、未来を創る。そういう役割は君

――9課やその周辺にのみ与えられた特権だったんだ」





420 :20:2007/06/24(日) 01:57:29.23 ID:2CGiNVHpO
「世界に存在していた瞬間から自分に『価値』がなく、無価値な自分であることを自覚した時の恐怖はお前にはわからないだろう。同時に、俺にもわからない。俺も特権者の一人

だったからだ」

…………

凉宮ハルヒを――『そういった存在』を救うには、どうすれば……

「かつて俺は難民に上部構造を自覚させることによってそれをなしえた。
――だが、それは『難民』という選ばれた特権者を生んだに過ぎなかった。おそらく凉宮ハルヒはあの放送を見て悟ったんだろう――自分が無価値で、価値を創る出す権利さえ無

いことを」

より多くを救えても、全てを救うことはできない――この呪縛は、一体


421 :20:2007/06/24(日) 01:59:14.73 ID:2CGiNVHpO
>>420
あの放送→難民蜂起の放送



427 :20:2007/06/24(日) 02:18:39.03 ID:2CGiNVHpO
「この上部構造はある程度『攻殻機動隊』の世界から離れた場所にある。ここもまた、『別の世界』にしか過ぎない。創り出したのは『攻殻機動隊』に属していた俺だ。
そして朝比奈みくる(大)が言ったように、世界の未来を創るのはその世界の住民にのみゆるされた特権に過ぎない」

――つまり


「そうだ。君が思った通りだ。
価値を見い出されるのは苦難を乗り越えて世界を創った者だけなのに、世界を創る権利は自分が属する世界――今の凉宮ハルヒなら『攻殻機動隊』だ――により特権者にだけ与

えられる、自分には永遠に与えられない権利だ。
そして朝比奈みくるは言う『自分達はそれに干渉しない』と。つまり、助けもまた、永遠に来ない」

凉宮ハルヒが私に対して怒りを露にしていたのはこれが原因なのかしら

「やり場の無い、ゴーストの無い事への怒り。『攻殻機動隊』の『特権者』――9課の一人である君が死を前にして笑ったんだ」

……そう




428 :20:2007/06/24(日) 02:28:34.44 ID:2CGiNVHpO
「俺からの結論を言おう。彼女を救う方法は無い。少なくとも、俺にはできない」

彼女の死の受け皿にはなれないのか

「俺は肉体を失うと共に神化――つまり記号化した。俺は世界が低きに流れないように機能する死しか受け入れられない。凉宮ハルヒは世界をそうやって律する事には不向きだ。

残念だが、受け入れられない」

身勝手ね

「いいやそれは違う――言っただろう。少なくとも俺にはできないと」

……
……私?

「そうだ」



436 :20:2007/06/24(日) 02:42:03.46 ID:2CGiNVHpO
「世界・『攻殻機動隊』から特権を与えられたお前になら、あるいは可能かもしれない」

ちょっと待て、凉宮ハルヒはキョン達が別の世界から来たことで可能性を得たと言っていたぞ

「確かにそうだが、その別の世界には『情報統合思念体』といった強大な意思がある。仮に世界の特権を凉宮ハルヒが破壊した場合、それを見逃すはずがない。いずれ凉宮ハ

ルヒは情報統合思念体と対峙し、敗北するだろう。
そして空になった『攻殻機動隊』は情報統合思念体によって消される」

結局私か……

「いいや、もう一人いる」


444 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 03:04:53.21 ID:2CGiNVHpO

もう一人? 知っているのなら話してくれ

「残念だがそれに固有の名前はない。だが、多くの人間がそれに頼ろうとするのも事実――つまり、全能の受け皿が存在するんだ」

それはどんな人間でも受け止められるのか?一体それはなんだ?


「――――どうやら、時間のようだ」



なに?

「……答えはお前…知っている。だが、そこに価…を見出せない人間も……る。お前のよう…な」

おい――何だ、声が小さくなってるぞ

「み…を澄ませ草薙……子、大丈夫だ。い…も、お前に絶対の価値を置いてく…る、あ…男の声が聞こ……はずだ」

おい……! おい! クソ、音が小さく……




445 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 03:09:34.86 ID:2CGiNVHpO


『……――――ぉぉ!』

……なんだ?


『――――ぉぉおお!』



これは、まさかクゼの言った答えか?


『――ぉぉぉぉおお!!』

全ての人間を救う全能の受け皿――?
だが、これは――これは……!?



446 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 03:11:31.03 ID:2CGiNVHpO



『素子ぉぉぉぉおおおおお――ッ!!』




450 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 03:28:58.73 ID:2CGiNVHpO
新浜・??・??


ハルヒ「……なんなのよこれは」
ハルヒの声が聞こえる。
ハルヒ「ここ、バトーのセーフハウスじゃないわけ?」
少佐はその声に引き上げられるように目を開く。
薄暗い部屋。
奥の壁を前にしてハルヒがじたんだを踏んでいる。
ハルヒ「どこいったのよ――扉! 出口! どっこにもないじゃない!」
少佐「……バトー?」
ハルヒ、びくついて振り返る。同時にキョンに代わる。
そしてキョンは少佐に向けた目を見開く
キョン「……こりゃあ、どういう事だ」
キョンはありのまま、聞きたいままを聞いた。
キョン「『怪我』は――どうした」
少佐「……!」
少佐は見た。キョンの目に映った自分の姿。
五体満足で、擦り傷一つない、自分の姿。


453 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 03:51:23.14 ID:2CGiNVHpO
キョン「冗談じゃない」
立ち上がった少佐と対峙しながら、
キョン「また戦えってのかよ」
堅いキョンの表情
対し
少佐「……そうか」
少佐は辺りを見渡し、ニヤリ、と獰猛な笑みを浮かべている
少佐「なるほどな、この部屋のの扉ですら情報か。情報統合思念体、とはよく言ったものだ」
キョンの表情に電撃が走る
キョン「おい、今何て言った?」
少佐は彼を見、喉の奥でククッと笑う
少佐「こう言ったんだ」
実に、心底おかしそうに笑う――腰からナイフを引き抜き、足の爪先を床にぶつける。何度もたたく
アップビートに
リズミカルに
浮き足だつ、快音
その『音楽』の中心で、少佐は言った
少佐「『タッグマッチ』だってな」

その瞬間、天井がぶち破られた

「――パーソナルネーム凉宮ハルヒを敵性と判定」
その崩壊の中心にいた少女は、土煙の中静かに床に落ちた眼鏡を拾っていた。
それをかける
部屋に緊張が走る
彼女はまっすぐに少佐を向いて言った

雪「……お待たせ」




458 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 04:05:36.42 ID:2CGiNVHpO
キョン「長門――助けにきてくれた、んだよな」
キョンの言葉に、雪は目をやって返す
雪「……久しぶり」
キョン「なに?」
今度は返事を返さない。
ス――とその華奢で細い足の爪先をキョンに向ける。
雪「短く言う、聞いて」
キョンはそれが自分に向けられたものか迷った。
少佐「あぁ」
少佐は迷わなかった。
雪「凉宮ハルヒはこの世界の住人。だからあなたがケリをつけて。キョンは『こちら』の世界の住人――」
雪の手にナイフが現れる
雪「だから私がケリをつける」
少佐「いいだろう!」
返事と共に、雪は床を蹴った




459 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 04:19:42.31 ID:2CGiNVHpO
雪の小柄な体が舞う
上へ飛翔し、縦に美しく翻り――落ちる
ナイフを振り下ろしながら
キョン「長門!」
キョンは寸前の所で地面を転がり、回避
地面に見事に着地した雪を、彼は見上げる
彼女は冷然と見下ろしている。ナイフを手にして佇む姿は、天界からの暗殺者そのもの
キョン「ぅ、ぐ――!」
キョンは這いつくばって逃げようとする。
雪「無駄」
隣の部屋から椅子が飛んでくる、それがキョンの首を押さえつける
雪「あなたと凉宮ハルヒを分離するだけ。痛くはない」
ゆったりと彼女はキョンに近づく
雪「苦しいだけ」
キョンの目が――まさにギョっと見開かれる
キョン「それが冗談だとしても全然笑えないって!」
キョンが押さえつけられたまま回転する




463 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 04:34:22.00 ID:2CGiNVHpO
現れたハルヒは瞬時にナイフを取り出すと、その刃先を椅子に当てて
ハルヒ「やっ!」
と破壊
そのまま転がり、とびかかって来ていた少佐から離れる
片腕を床につき
ハルヒ「はっ」
腕の力だけで数十センチとび、更に縦に反転、見事に立ち上げる スカートが翻る
少佐「ハルヒぃぃぃ――ッ!!」
だが既に目前までに迫った少佐が先手をとる
右から左へ横一閃
激しい金属音
ハルヒが目前に差し出したナイフがかろうじて少佐の一閃を遮る
少佐は左に体勢が崩れていた――ハルヒは見逃さない
首を狙って突く
しかし空を引き裂くだけ――少佐はバクテンで回避したのだ
ハルヒはさらに、少佐を追う



466 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 04:47:21.16 ID:2CGiNVHpO
少佐はしかし、ハルヒの先を行く
バクテンの後、迫りくるハルヒの突き
ハルヒ「くたばりなさ――」
少佐は冷静だった
ハルヒのナイフが迫りくるその瞬間、彼女は避けなかった
いや、むしろ飛びかかった
ハルヒ「い!?」
急激に背を丸め、突き出させれたナイフの下を行く、同時に彼女の腕を掴む
少佐はそのまま脇の下を潜り抜けた
ハルヒ「ぃぐう――ッ!?」
少佐によって捻り挙げられたハルヒの腕
少佐は容赦しない
捻りあげた肩へ向けて、全力を込めた飛び膝げりを叩きつける
ハルヒ「―――――ッ!!!!」

ぼごぐ

ハルヒの肩は外れた
声にならない悲鳴をあげるハルヒ――だが少佐がナイフを振りかぶっているのを目にした瞬間、彼女は闘争本能を取り戻す
ハルヒ「ぅぁぁああああああああああ―――!!」
絶叫と共に彼女は少佐の足をとる
少佐「しま――!」




468 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 04:59:01.73 ID:2CGiNVHpO
少佐がバランスを崩す
その隙をつき、ハルヒはバックステップで少佐から離れた
ハルヒ「はぁ、はぁ、うぐ――」
彼女は肩を押さえつけ
ハルヒ「く――」
回転した
次に動いたのは少佐でもキョンでもない、雪だ
彼女は無言で床を蹴り、床一面に亀裂が入るのを後目に、変身直後のキョンに空中回し蹴りをくらわす
頭蓋骨が破裂するような音がした
キョン「ぶは――」
実際には砕けたのは鼻骨 周囲に生々しい血が舞う
雪「抵抗するなら無力化する」
氷の言葉を紡ぎながら雪は亜音速の拳をキョンに次々と叩き込む
二秒後止める
ふらつくキョンの顔面へ向けて、回し蹴り
キョンが血を撒き散らしながら吹き飛ぶ





470 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 05:16:01.13 ID:2CGiNVHpO
叩きつけられたキョンの体は壁を粉砕する。轟音と共に土煙が上がった
ハルヒ「ぐ――」
煙の中から人影――凉宮ハルヒが満身創痍で現れる
少佐「まだやるか!」
ハルヒは

笑った

ハルヒ「っざっけんな――世界を変えんのよ……アタシは!」
びっ――とナイフの切っ先を少佐に向ける
ハルヒ「こんなもの、痛くも痒くもないわよ、死ぬまでやってやるんだから――さぁ! かかって来い!」
少佐が目を細める




471 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 05:24:42.39 ID:2CGiNVHpO
少佐はナイフの構えを解いた
少佐「もうやめろ」
ハルヒ「うるさい!」
少佐「これ以上やったらキョンが死ぬぞ」
ハルヒがたじろいだ
口をつむぎ、一瞬だけその目に涙を浮かべる。
少佐「ハルヒ、こんなことをしてもゴーストは手に入らない」
だがすぐに唇の端を血がでるほど噛み締めて
ハルヒ「……うるさい!」
少佐「お前を理解し、お前に絶対の価値を置いてくれる男が死ぬんだぞ」
ハルヒ「うるさい!うるさい!うるさい!うるさいッ!!」
ハルヒはナイフを振りぬく
ハルヒ「こんな……こんなゴーストを持たない男なんて、どうだっていい! 私は私のゴーストが欲しい! 価値のある私が、欲しいッ! それだけよッ!!」



472 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 05:30:52.36 ID:2CGiNVHpO
少佐「ハルヒ――」
ハルヒ「あんたになんかわかんない! ゴミクズみたいに死んで行くしかないアタシ達の怒り、憎しみ、感情の轟き――!! シナリオ通りに生きればそれでゴーストが手に入る奴隷み

たいなアンタとは、アタシは違う!!
アタシは!アタシの力で!アタシの魂を得る――!! 誰にも邪魔なんて、させるか!!!!」




479 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 05:42:46.41 ID:2CGiNVHpO
少佐「ハルヒ――ゴーストがそんなに得たいか」
ハルヒ「当たり前! アンタを殺してでも、アタシは欲しい!」
少佐「……そうか」
少佐は雪を見た。雪は少佐を見なかった。ただ、僅かに視線を下に落とし、そしてもどした。
少佐「……ならば教えてやる!お前が自らの力でゴーストを得る、この世で絶対唯一の方法を」
ハルヒの表情が更に険しくなる。
少佐は怒鳴――ろうとし、口ごもり、一度周囲を見渡してから――言った。

少佐「愛だ」

ハルヒ「――――は?」


488 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 06:04:54.10 ID:2CGiNVHpO
雪が跳んだ
虚を突かれたハルヒはハッとして雪に向き直り
少佐への警戒を怠った。
気付いた時には雪は自分とは到底距離の離れた所に着地しており、少佐は『消え去っていた』
ハルヒ「光学迷さ――ッ!?」
途中で透明な腕に押さえつけられ、同時に口まで押さえらてしまう――
ハルヒ「(しまった――全然動かないッ)」
少佐「1対1で」
ハルヒを押さえつけた少佐は諭すように話しだす。
少佐「互いの価値を絶対の高価値とし、そうすることで相互に死の受け皿を担う――それが互いのゴースト生む」
ハルヒ「……!……!!」
少佐「反論文句なら後でキョンに言え、お前達を分離してやる――ただ、今の話を聞いて、キョンとまともに顔をあわせられるかどうかは――」
ハルヒ「ぅ―――ッ!!」
少佐はハルヒの両肩を掴み、回転させた





490 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 06:17:53.37 ID:2CGiNVHpO
少佐「……さて」
床に倒れているキョンを見ながら、少佐が言う
少佐「少し殴り過ぎじゃないか?」
雪はじ――とキョンを見下ろしながら
雪「スキンシップ」
と答え、少佐をギョっとさせる。
少佐「……まぁいい。雪、礼を言おう」
少佐は雪に手を差し出す
雪「違う」
雪はふるふると首を振った。
雪「私がありがとうを言うべき」
少佐はその物言いに小さく笑った。
少佐「ほら」
手をもう一度突き出す
雪「違う、私が――」
少佐「いいから」
雪「…………」
雪はおずおずと手を握り返した
少佐「なかなか嬉しかった。ピンチに駆けつけてもらえるなんて都合の良いことは無いと思っていたからな」
雪「……私の世界ではよくある」
少佐笑いながら
少佐「だろうな」



491 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 06:25:04.28 ID:2CGiNVHpO
少佐「それで、こいつらを分離させた後はどうやってバトー達を生き返らせるつもりだ?」
雪「世界の不整合が始まった地点に戻す」
少佐「乱暴だな」
雪「……少し」
少佐は倒れているキョンを指して
少佐「じゃ、さっさとやってくれ」
雪が頷きかけ



??「うん、それ無理」


その声はかけられた
世界が再び崩れ始める



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