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攻殻機動隊の世界に長門がいるコミュの三日目2

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626 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 18:40:09.84 ID:2CGiNVHpO
振り返る少佐 少佐「……これは」
極彩色の世界が一瞬のうちになくなり、代わりに気が狂うような純白の世界に少佐は取り残されていた
そして目の前には、純白世界に垂らした夕闇のような全身黒ずくめの男が一人
??「少佐、私のこのひきつった、歪みきった顔をどう思うかね」
黒ずくめの男はそういいながらも、頭にかぶった帽子で顔を隠している
少佐「……ゴウダ、なのか」
ゴウダ「私のこの、引きつった、歪みきった顔をどう思うかね」
少佐「何?」
ゴウダ「――私は根っからの悪役でね、君たちの前に現れる私は常に『悪』として存立していた。この、異形の顔をもってしてな。それに比べて、君の顔は美しいな少佐」
不可解な事態に少佐は眉根を強く寄せる
少佐「(くそ……朝倉は何を狙っている、気が狂いそうだ)」
ゴウダ「雑念を振り払え、私の話を聞け少佐」
ゴウダは微動だにしない。オブジェのように、少佐の前に君臨し続ける。
ゴウダ「ここは空白の世界――まだ何もない、空の空間だ」
少佐「空の――」
ゴウダ「だからこそここには存在しない。特権も、ゴーストも、私が『悪』であるという構造対立も、同時に、君が正義であることも絶対の名の下において『無い』のだよ少佐」


634 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 19:01:53.47 ID:2CGiNVHpO
ゴウダ「私は私の才能を必要とする国に行く――そう思うことは『悪』かね少佐」
少佐「……多くの難民と自衛官を犠牲にしようとして」
ゴウダ「もう一度言おう少佐」
さえぎるゴウダの声色は一定だ
ゴウダ「この空間には私が『悪』であるという条件付けも、君が『正義』であるという特権も存在しないのだよ
――これは私からの復讐でね、少佐。あらゆる言葉に気をつけたほうがいい。
なにせ、ここは何もない空間だからな。ここには横も奥行きも高さも存在しなければ、距離という概念すら存在しない。私が君にどう見えているかは知らないが、私が瞬時に君を殺

すことも可能だし、君が瞬時に私を殺すことも可能なのだよ
ここに世界の特権はない。私と君は対等に今、初めて語らっている
そして改めて聞こう、少佐」


「私は『悪』か」






644 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 19:41:52.94 ID:2CGiNVHpO
少佐は押し黙る。
自らが正義でないことを理解できない
ゴウダ「それが特権者の傲慢なのだよ少佐。あの世界はこの何もない空間と同じ。質量も実質的武力も関係ない。もちろん、量だって関係はない。唯一あったのは少佐、君たち

が絶対正義であるという特権だよ」
少佐「私は――特権の意志の元に生きていたというのか」
ゴウダ「少なくとも鈴宮ハルヒはそうでなかったといえる。君たちが私と接触する前の私もな。
それが許され、世界の上部構造へ登ることができたのはほんの一区切りの人間だけ。そしてもっともそれが恐ろしいのは」
ゴウダはすっと少佐へ指を突きつける
遠くにあるのに、間近で責め立てられているように感じる
そして自分には、その咎があるように――
「その一区切りの人間達は自分たちの特権とその下で苦しむ人間との関連性にも気がつかずに」
少佐「――やめろ」
「疑似体験の苦しみを経てまるで神にでもなったかのような全能感を得て」
少佐「――違うッ」
「下で苦しむものたちを鼻で笑いあしらい、絶対正義の名の下に立ち――――殺すッ!!」
少佐「そうじゃないッ!! 私は私の意志で」
「その意思があるのは我々のほうだ! お前たちは生れ落た瞬間からすでにもう、シナリオ通りに擬似意思を確立しているッ! われわれはそのための下地にしか過ぎんッ!!」
少佐「うるさい――うるさい! うるさいぞ!」
少佐は指を突き出し
少佐「ならば答えてやる!! お前は――悪だッ!」
意識せずこの空白の空間を操っていた


ゴウダの目に少佐の指が突き刺さる



42 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 23:17:02.15 ID:2CGiNVHpO
??・空白の空間・??
ゴウダの死骸が、純白の中にぽつんとある
少佐「あぁ……」
避けがたい、みずからの『殺意』の認識
殺そうとして、殺した
少佐「(私は――正義――ではなく)」
目玉をくり貫かれた死体
どす黒い血に濡れた指先
自分が、殺した
少佐「(この行為は――悪以外のなにものでもないのに――)」
死体は何も語らない黒い、ただ黒い死体
紅い血
紅い指
世界は白く
真っ白で
潔白な中にいる
自分は
少佐「(私は――悪……?)」
少佐「(悪……悪、悪、悪――――ッ!)」
この何もない世界では、誰も自分の後ろ立てをしてはくれない
ただ純粋な『殺し』の行為だけが残り
少佐「(では私が――私が殺して来た人間達は?)」
少佐「(ゴウダは!?)」

少佐「(私達の世界から放り出された時、正義の特権を無くした私は完全完璧なる―――!!)」


脳が発火する
熱く、うねる
暴れまわる





47 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 23:24:30.69 ID:2CGiNVHpO


少佐「――――ッぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!」



51 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/24(日) 23:37:34.84 ID:2CGiNVHpO
??・朝倉の極彩空間・??


朝倉「っふふ……ふふふ、あは、アハハ、アハハハハハハハハ!」

極彩空間の中央にある白の球体――中には取り乱して絶叫する少佐の姿

朝倉「あっはははは! アハハハ……ふふふ……ハハハハハハハハハハハ!」

腹を抱えてくの字になりながら狂気の笑い声を上げる朝倉。横では遂に両膝をついて、胸ををかき抱く雪の姿

雪「はぁはぁはぁ……ッ、はぁ――」
正面を見ていた彼女は視線を背ける
朝倉「ダメよ長門さん」
子供をあやすように語りかけ、朝倉は雪の背後に周り、抱きつく。
朝倉「ちゃんと見てあげなきゃ――名演技してるんだから、『ゴースト』を求めた挙句の姿をね」
顎に腕を絡め、ぐっと無理矢理に顔を上げさせる
雪「はぁ、はぁはぁはぁ――」
雪の目に、精神を崩壊させた少佐の姿が映る
雪「はぁはぁはぁはぁ――ッ」
朝倉「少佐は可哀想……ゴーストなんてただの世界の飾りつけみたいなのを追いかけたばっかりに、壊れちゃった――ねぇ長門さん。聞いてる?」



74 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/25(月) 00:07:09.46 ID:j86VtIEBO



頭をかきむしり、体を何処かに叩きつけようと走りまわる少佐の姿

朝倉「ほら、これがエンディング……このシナリオの終わり、アナタが進むべき未来を示唆する、最後のシーンよ」
雪「――ッ」
雪の体がわずかに動くが、すぐに朝倉に強く抱きしめられ、動けなくなる
朝倉「残念ね、ここはスクリーンの外よ――あなたには彼女の崩壊に関わる資格はない。自分の生き方を『他人の葛藤』に委ねたあなたが放棄した権利は、そういうものなの」
雪「――――」
雪、何度も何度も、暴れようとする
朝倉「無駄よ、どれだけ自分を重ね会わせても、アナタは少佐ではないもの。アナタはここで、悟るしかないの――自分に『命』を得る権利なんて無くて、一度シナリオが与えら

れる安寧の世界から足を踏み出せば、著しい罰を受けるってね」
雪の体から力が抜ける
虚脱の表情で永遠に続く狂気に暴れもがき苦しむ姿を見つめる
朝倉は美しい笑顔を見せた
母親の笑顔
朝倉「そう――アナタは無力よ」

雪の表情を覗き込み、満足そうに唇の端をもたげる朝倉
雪「――――」
ふと、雪の光が失われた瞳が横へ揺らぐ
朝倉「あら?」
朝倉は彼女の視線を追う
倒れているキョンの姿
朝倉「――あぁ」
朝倉は冷然とした無表情になると、冷たい呟きと共に立ち上がった
朝倉「希望は全部、潰さなくちゃ――」

朝倉の後ろ姿
手を開くと光の粒子が集まり、黒金の拳銃を形成する





94 :セミプロ20 ◆MNGyu73AVw :2007/06/25(月) 00:38:25.16 ID:j86VtIEBO

朝倉はキョンの下へ近寄ると、うつ伏せに弱弱しい呼吸を繰り返していた彼を足で仰向けにする
キョン「う……」
朝倉「お久しぶりね、会いたかったわ」
キョンわずかに目を開き、掠れた声で
キョン「……俺は…会いたくなんか、なかったぜ……」
朝倉「あら、ご挨拶ね。クラスメイトだったし、一緒におでんまで食べた仲じゃない?」
キョン「一生の…汚点だ……」
朝倉はクスリと笑う
朝倉「そう、よかったわ。一生だけで」


発砲


朝倉「これで消えたわ」


朝倉「さて、長門さん?」
まるでアイドルのように元気よくくの字に長門へ向き直り
朝倉「これであなたの希望は全部失われたわ。自分の投影としての少佐は崩壊して、絶対唯一の価値を与えてくれる可能性がある存在は死んだ――殺したんだけど」
その笑顔には血と肉片がついている
朝倉「全て私のシミュレーション通り。この先の予定を教えてあげるわ」
虚脱状態を通りこして、ただ光ないのっぺりとした黒目でキョンの死体を呆然と見つめている。
朝倉「今やアナタは完全に私に掌握され、私がその気になって指先一本動かせば死ぬ矮少な存在。同時に崩壊した少佐のストーリーによってアナタは絶望。そしてキョンは死に、アナタは最後の未来を失っう。そして、『私達のハルヒ』はキョンの消失を知り何らかの行動を起こす」
彼女はなまめかしく口元に二本の指を置く。

朝倉「――完全完璧な、大逆転」

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