ナマケモノ倶楽部コミュのアンニャ・ライトさん講演内容

ナマケモノ倶楽部スタッフMLに紹介されたナマクラ世話人のアンニャ・ライトさんの来日時の講演内容報告を、その公共性を鑑み、転送させていただきます。深津さん、横山さんありがとうございます。

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みなさんへ

アンニャの講演内容を深津高子さんが送って下さいました。
27日のワークショップに参加するみなさん、見ておいてください。

りえ

８月６日（土）、７日（日）、アンニャとクレヨンハウス主催の夏の合宿に通訳とい
う形で参加してきました。
たくさんのスローライフのヒントや、彼女がオーストラリアで実践している具体例が
話されました。

いずれクレヨンハウスから記録集はでると思いますが、ずっとアンニャをアテンドし
ていた横山理恵さんも、二人の子どもの世話で会場で聞けなかったので、私の記憶の
フレッシュなうちに要約を書き残しておきます。


アンニャの存在はクレヨンハウスの合宿で、ユニークでした。まず子連れシンガーソ
ングライターであり、3人は合宿場にとってもハピーなエネルギーを振りまいていま
した。

開校式の挨拶でも、他の講師が自分の最近出版された本の宣伝ばかりする中、彼女は
「今日、８月６日は、広島に原爆投下されて６０年目です」という切り口で始めまし
た。

自分が１０年前の５０周年の時に広島にいて、妹と二人で涙していたら、どこかの
ＴＶ局が「外国人が泣いている！」と、面白がり映し始めたが、これは日本人だけの
問題ではなく、皆つながっていて、世界の問題であることをマスコミの人がわかって
いないと開校式で伝えていました。

１日目は「母として環境活動家として私が地球にできること」いう夜のライプ＆トー
クで約１時間半。合宿会場である池袋サンシャインのプリンスホテルの大広間に約
400人が参加しました。　

２日目は「子どもから学ぶスローライフのヒント」という講演で、約40人の参加でし
た。


1日目は、全部で新曲ハチドリやキャンドルナイトを含め10曲歌い、合間に歌の説明
や今、彼女が考えていることなどを織り込みながらのライブでした。途中でエクアド
ルでのスローライフ紹介として「エル・ミラグロ」のDVDをみせました。

♪Thinking like a mountainや、ハチドリの歌、キャンドルナイト、グローバル
ウォーミングソング、ナマケモノの歌、森の歌は、いつものように、会場の皆さんが
コーラスに参加し、とても盛り上がりました。

主催がクレヨンハウスという絵本専門店という影響もあって、この合宿参加者は殆ん
ど保育・教育関係者や絵本作家の熱烈ファンで、最初の日、アンニャを知る人たちは
とても少なかったように感じました。（サインテープルというのがあって、殆んどア
ンニャの列に人は並ばなかった）
でも、この夜のライブをきっかけに、彼女の存在感、歌とメッセージを聴いた人たち
は、終了後、直ぐにCＤやハチドリの本を買い求め、サイン・テープルに並びアン
ニャに握手やサインを求めていました。

余談ですが、恥ずかしながら今回初めて知った英語のフレーズがありました。
「キャンドルナイト」の歌詞で　"cut down the noise and let's face the music"
の時、アンニャが「これダブルの意味があるの」、と教えてくれたので知ったのです
が "face the music"は、「音楽と向き合 う」というだけでなく、「とるべき責任を
取ろう」とか「報いを受けよう」「進んで難局に立つ」という意味があることを初め
て知りました。（何でも芸術の神様ミューズとの関係で、この意味があるそうです
が）　「スイッチを切って。もっとよく見えるように・・・。」　素敵な歌ですね。
　

2日目の講演会では具体的に、自分ひとりでも始められるスローマザーラブの生き方
の提案がありました。 10ほどあったのでここに書いておきます。昨夜のライブで感
動して来た 人も何人か来ていました。

まず出産を迎えるにあたって彼女が考えたこと：
?子どもを迎える方法を自分で主体的に選び、どんな風に、誰と、どこでお産をする
かを考えてみた。出来るだけ病院に頼らない自然な形で産みたかった。
　
現在、まだ多くの女性がまだ病院以外で産む選択肢があることさえ知らされていない
現状が多いのは悲しいこと。「家」という、自分にとって一番愛着のあるリラックス
できる環境で子どもを迎えた体験は素晴らしく、その後の母子関係、姉弟関係にも影
響している。この体験があって、自分の体を信じるきっかけになった。

人生で、何か不安がある時、つまずいたとき、自然分娩は「私にもできたんだ」とい
う静かな自己自身への信頼につながり、一生涯その人の「心の拠り所」となるだろ
う。

またアンニャは、エクアドルでは今だに自宅分娩は貧困の象徴であり、病院で産むこ
とが「豊かさ」のシンボルであることを彼女は懸念していて、女性にも男性にも意識
変革が必要だと話していました。

?布おむつを使うこと
地球環境によいだけでなく、具体的にヤニのを使って、子どもにとって通気性がよ
い、またフランネルの生地がいかに肌や地球に優しくて、乾くのが早いかを説明。

興味深かったのは、アンニャにとって、一日の中で幸せな時間（モーメント）は、太
陽の下で、パッパッと布おむつを広げて干す時だそうです。この瞬間、彼女は”I'm
hapｐｙ！”と感じるそうです。

日々の暮らしで、どんなことが自分に幸福感をもたらすかを感じ、それを日々意識し
始めると生活が変わってくるといっていました。

?はだしになること。
これは直ぐに、お金をかけズーニできる大地とのつながりで、大地からの足のマッ
サージ。日本に来てからも何度か「危ない！」といわれたが、子どもたち大丈夫だっ
た。
　（少しカンボジアの子ども達の裸足の話をしました。地雷もあるし五寸釘もあるけ
れど、日本に比べて怪我をしない子ども達が多い。彼らの体の危険察知能力が高いこ
と等）

?十分睡眠をとること
東京は眠らない街。太陽と共に起き、太陽と共に寝ているアンニャ。エルミラグロで
の電気のない生活で、夜の蛍のダンスや、キャンドルナイトの話が出ました。親子の
会話にもキャンドルは最適。

?児童公園の質を上げること
日本のあまりにも貧弱な児童公園の遊具を見て驚いた話。幼い子どもの遊び場はデ
パートの屋上だけになったのか？
高いお金を出してテーマパークに行くだけではなく、もっと身近に質の高い公園が必
要。いったい公共事業は何のためにあるのか？将来の地球の担い手である子どもに
とって、もっと知的興味が湧き、生きる助けになるような公園をクレヨンハウスも真
剣に考えては？と提案していました。
（アンニャが意見を求めたので、児童公園がおとなのために設計されていることを話
しました。自分で水が飲めて、自分でトイレが流せる、子どもサイズでデザインされ
た、子どもが主役になれる児童公園がない現状の話。）

?手放すこと　英語で”letting go"。
環境活動家をしていた頃の仕事の量は、もう子育てでこなせなくなったが、逆に子育
ての中に、そして子ども達とのスローな時間の中に、環境問題や、政治経済的なこと
に触れ、考え、何かアクションを起こすきっかけもあると実感している。例：一人の
消費者、一人の母親として、子どもに何を買うのか、食べさせ、着せるのか、等。

?子どもにお手伝いをしてもらうこと：
家族の中で子どもも参加できること見つける。それが家族の絆になっていく。またハ
チドリのように子どもでも何かできることを一緒に見つけてあげることが親としてで
きること。

（便利な電化製品に頼る暮らしより、実は幼い子どもたちは自分の手や体を使いた
がっている。なぜか？それは成長・発達するためには試行錯誤しながら繰り返し失敗
しながら、自分の体の運動を調整していくから。その機会を周りの大人や「便利」が
奪っている。例として、電気鉛筆削りより手で回すタイプや小刀、電動シュレッダー
より手動タイプ、エスカレーターより階段、風呂の掃除、車の洗車を手伝う、等の話
をしました）

?人工乳に頼らずおっぱいをあげること：
アンニャは電車の中でも、レストランでもおっぱいをサッと出し、上手にスカーフで
子どもとのプライバシーを守りながらあげています。
彼女にとってはこれはポリティカルアクション、つまり政治的な意味合いがしっかり
あり、心理面、栄養面や衛生面にとって人工乳（粉ミルクを哺乳瓶で与える）より良
いだけでなく、女性のおっぱいに対する認識をとらえ直すきっかけになると言ってい
ました。

現在、広告や車内吊りには目を覆いたくなるような女性の体のイメージがもっと商品
を売るための手段として氾濫しているが、もともとおっぱいの役割は、赤ちゃんに
とっての生命の糧であることを再認識して欲しいと話していました。

以上が講演会の主な内容です。
講演後何人もの人が握手を求めにやってきました。中には「16年間、私はアンニャの
日本での活動を知らなかったことを謝りたい」と、感動を伝えにきた受講生もいらっ
しゃいました。

以上、簡単ですがアンニャの講演内容を送ります。私もこういう形で参加できて感謝
しています。何かの記録に役立てば幸いです。
深津高子