今、自ら死を選ぼうかと悩んでいる人は、もう少しだけ待つべきかもしれない。眠っているだけで新しい未来にたどり着ける技術が近いうちに実現されるかもしれないからだ。何のことを話しているかというと、かつてはNASAが惑星間の有人宇宙飛行に応用しようとしていたものの、研究を断念して久しい“人工冬眠”の話である。 “The Sunday Times”が伝えるところよると、米国では昨年晩秋以来、人工冬眠の実用化競争に再び火が点いた。いったんは、実用化があきらめられた人工冬眠だったが、ある男性の奇跡の生還が再びその可能性に光を当て、研究資金がつぎ込まれるようになったのだ。
“The Sunday Times”の記事には、“fell down a snowy mountain”(雪山で倒れた/転落した)とする不正確な記述もあるが(10月の六甲山に雪はない)、このニュースが世界を駆け巡ったおかげで、再び人工冬眠の実用化研究に資金が拠出されるようになったらしい。ただし、欧州宇宙機関では、既に2004年から人工冬眠の実用化に本腰を入れていた。
“The Sunday Times”の記事では、神戸の医師のコメントが次のように引用されている。「彼がそんなに長く生き延びた理由は、私たちにもわかりません。しかし、彼の体は1ヶ月近くにわたって氷漬けになっていました。そして、今は普通の生活に戻っています。この仕組みが理解できたらなら、将来、多くの人命を救うことができるようになります」