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篠栗*南蔵院コミュのほとけの里通信227 H21.1

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おやじの弁当の心

著者にとって大事なお得意先であり、長い交友の経営する「三笠会館」という有名なレストランが銀座にある。創業者の谷さんは奈良のご出身であり、在家仏教で名を成した方であった。その三笠会館より以前発行された「るんびにい」241号で、故樋口清之国学院大学教授の随筆が戦前の家庭の姿、親子の生き様を語って余すとこはない。
樋口さんの友人で、よく貧乏に耐えて勉学にひたむきに努める人がいた。その動機は「おやじの弁当」だという。
彼はある日、母の作る父の弁当を間違えて持って行ってしまった。彼いわく「おやじの弁当は軽く、俺のは重かった。おやじの弁当箱はご飯が半分で、自分のにはいっぱい入っており、おやじの弁当のおかずは味噌がご飯の上に載せてあっただけなのに、自分のにはメザシが入っていたことを、間違えて初めて知った。
父子の弁当の内容を一番よく知っている両親は一切黙して語らず。肉体労働をしている親が子供の分量の半分でおかずのない弁当を持って行く。これを知った瞬間、「子を思う親の真(愛)情」が分かり、胸がつまり、涙あふれ、その弁当すら食べられなかった。
その感動の涙が勉学の決意になり、涙しながら両親の期待を裏切るまいと心に誓った。」という。

それに引き換え、戦後の私権の主張のみに急な世相の中では、「お父さんの弁当の中身は少ないが、お前のはちゃんとした弁当だから頑張れ」などと、発言しがちであるが、それは「恩、愛の押し売りはごめんだ」と生意気な子供の言葉がはねかえってくるのがオチであろう。
この「おやじの弁当」の心こそ、仏道で説く「陰徳」の妙法であり、「慎独」の実践なのである。

「陰徳」とは、人に知られないようにひそかにする善い行いのことで、よく「陰徳をつむ」などと言われる。
「慎独」は、自分一人の時でも、行いを慎み雑念の起こらぬようにすること。独りを慎み、誰も見ていない状況でも、行いが変わらず立派であり続けるという意味がある。
一年のはじめに、「おやじの弁当」にこめられた「陰徳」と「慎独」の心をいただければ幸いである。

ほとけの里通信227号
2009年1月

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