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生田 耕作コミュの生田耕作『黒い文学館』を読む

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特にトピックの話題も立てておらず、管理人が怠けており申し訳ございませんでした。

たまたま本日、名作『黒い文学館』についてのブログを発見いたしました

そのブログを以下に引用させていただきました。

児童ポルノ規制がどうも芸術狩り的な感が否めない今、生田先生をしのんでみたいと思いトピ立てました・・・

http://plaza.rakuten.co.jp/professor306/diary/200812240000/

(以下引用)

今日はクリスマス・イヴ。隠れキリシタンの我が家では、昔からこの日を神聖視し、家族で過ごす日と決めております。そしていつものように夕食は私が腕を振るって特製パエリアを作り(←作り方などは昨年のブログをご覧下さい)、家内とプレゼント交換をしたりして、この善き日を静かに過ごしたのでありました。

ところで、そんな中、先日、我が家の近くにある某古書店でゲットした生田耕作氏の『黒い文学館』(中公文庫・絶版)をぱらぱらと読んでいたのですけど、これがね、割と面白いわけ。

生田耕作というのは京都大学で教鞭を執っていたフランス文学者で、セリーヌの『夜の果ての旅』とかレーモン・クノーの『地下鉄のザジ』の翻訳者として有名ですが、こちとらは英米文化畑の人間ですから、何となく敬遠して今まであまり彼の本を読んだことがなかったんです。位置的には「ちょいとノーマル寄りの澁澤龍彦?」みたいな感じの人なのかしら〜、程度に興味はあったんですけどね。『黒い文学館』というタイトルからして、ちょっと澁澤っぽい匂いもするじゃないですか。

で、その『黒い文学館』、特に第1ページ目から読んでいるわけではなく、興味に任せて出鱈目な順番で読んでいるのですけど、中に泉鏡花の話が出てくる。鏡花が好きな私としては、「おや、どんなことを書いているのだろう」と思って読み始めたところ、これが結構強烈でして。

実はこの文、痛烈な篠田一士批判なんです。

篠田一士(故人)というのは、かつて東京都立大に勤めていた巨漢の英文学者なんですが、身体のでかさに劣らず読書量もガルガンチュアンな人で、それこそ数カ国語に通じ、数カ国語で書かれた万巻の書を読破し、そこからモノを言うので、なかなか常人には太刀打ちできない人っぽいわけ。(「っぽい」って何?)

ところが、生田さんはこの「っぽい」人にズバッと切りかかるわけですよ。

どうも篠田さんが泉鏡花ファンを評して、「泉鏡花ファンってのは、鏡花教の信者みたいなもんで、まったく無批判に鏡花を讃えているだけ。自分も鏡花は好きだけど、連中と一緒にしないで欲しい。自分はちゃんと鏡花のいいところはいいところとして認めるけれど、批判もするからね」的なことを書いたらしいんです。

で、これに対して生田さんが猛烈に噛みついたわけ。「鏡花ファンってのは、鏡花の良いところ悪いところ全部踏まえて好きなので、そもそも批判しようなんて考えてない。大体、そういう意味での熱狂的なファンにならずして、文学になんの意味があるか。今日、文学が衰退の道を辿っているのは、お前みたいに『この作家のここはいい、ここは悪い』みたいな読み方をしていい気になっている輩が増えたせいじゃ」という趣旨のことを述べて、篠田さんをクソミソに罵るんですな。

生田さんの文章はこうです:「長年にわたって読書生活を続け、古今東西の文学を閲し、常人の近づきえぬ海外最前衛の作品に数ヵ国語の原書で通暁しているという評判の批評家が、実地に批評を行なうにあたって、背丈の低い作品に背丈の低い評価しか下せぬとなれば、どれほど数多くの書物に目をとおしたと自負しようが、その分だけ批評眼が伸びもしなければ、肥えもしなかったということではなかろうか。」(75-76頁)

・・・これ、すごい文章ですよ。篠田一士に対して、お前がどんなに本を読んでいようが、その程度のことしか言えないというなら、お前の勉強とやらは全部無駄だ、と言っているようなもんじゃないですか・・・。

ひゃー、カッコいい!

いや〜、実はですね。私も篠田一士の巨漢伝説は色々読んだりするんですけど、その一方、彼の書いたものを読んで、あまり感心したことがなかったわけ。で、その感心が出来ない理由が、生田さんの一撃を読んで、はっきり分かった気がしましたよ。

で、他のエッセイを読んでもこんな感じで、ズバッとものを言うし、言っていることもよく理解できる。生田さんが編集した『バイロス画集』が猥褻図画として摘発され、その影響で京大から締め出しを食った顛末なんかも面白いですよ。生田さんの言い分は「『バイロス画集』は猥褻ではない、なぜなら趣味のいい私自身がこれを見て美を感じこそすれ、不快を感じないからだ」というのですけど、ある芸術作品が猥褻か否かを問う場合、これ以上、明確な線引きはないじゃないですか。

うーん、生田耕作という人、ひょっとして私好みの人物かも知れません。久し振りに、そういう手応えのある著者に出会いましたよ。

というわけで、今日は読書面でも、なかなかいい日になったのでした。年末・年始に書けて、少し歯ごたえのあるものを読みたいという方、生田耕作のエッセイ、教授のおすすめ!です。

コメント(2)

> キネマ怪人カマニアさん

今更、今頃もう一度あの審美眼と、孤高の姿勢をと思い掲載させていただきました。

もちろんコミュの皆様には常識の範疇とは知りながら

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