2018年1月22日は､｢幽幻道士(キョンシーズ)｣シリーズの連続ドラマヴァージョン｢来来! キョンシーズ｣放送開始から30年目にあたります。
元々は前番組が視聴率低迷で打切られ､急遽スタートされたシリーズですが､平均10％以上の視聴率をキープし､子供たちを中心とした"キョンシー･ブーム"が表面的ではなかったことを世間的に知らしめたブームの頂点といえる作品ですよね…というのは､何度か取上げた書籍｢テンテン美少女メモリアル｣始め､ネットでも様々な場で語られていること､そして何よりリアルタイムでご覧になったであろう入会者の皆様それぞれが実感されておられることだと思います。
何と言ってもこのドラマのイチバンの見どころは､『幽幻道士(キョンシーズ)』第1＆2作の世界観をリ･イマジネーション(再構築)したことで登場した多彩な新キャラクターにあります。勿論俳優の魅力のみならず､当時若手だった飯田譲治監督の絶妙かつハチャメチャな日本語吹替演出が大きな役割を果たしていたのは言うまでもありません。
代表的なのは身軽さがウリの子役トンボ(鄭同村)や､毒々しいメイクと笹岡繁蔵さんの強烈な声の演技が印象的な終盤の強敵コウモリ道士(朱克榮)でしょう。鄭同村は現在もダンサー兼振付師として活躍してますし､朱克榮はかつて香港最大の映画会社ショウ･ブラザースでカンフー映画の巨匠チャン･チェ(張徹)監督のグループに属し､多数の時代劇アクションに大役で出演していたことは､別項にてご案内致しました。
そしてもうひとり､ジャッキー･チェン(成龍)の声で知られる石丸博也さんの声とキテレツな台詞の連発で､世にも奇妙な善玉ヒーローとして登場する道士･浩雲(画像左)も忘れられない存在です。
しかし､鄭同村や朱克榮と異なり､浩雲を演じたグー･クワンツォン(顧冠忠･画像中)については､｢幽幻道士(キョンシーズ)｣シリーズのファンに充分知られているとは言いがたいようです。日本のWikipediaにも顧冠忠の項が載ってますが…､まぁ申し訳ないですけどひどい内容でしたね(おそらく幽幻ファンの方が作ったのでしょうけど)。
まずお伝えしたいこととして､顧冠忠もまた､香港最大の映画会社ショウ･ブラザース(画像右は同社のエンブレム)で俳優のキャリアを重ねていたということです。
1955年2月22日上海生まれの顧冠忠は､ショウ･ブラザースの俳優訓練所出身。つまりは当初から香港で活躍していた俳優なのです。海外のファンの間では､顧冠忠といえばショウ･ブラザースや傘下のテレビ局TVBの作品に登場する二枚目俳優とのイメージで固まっています。無論｢来来!キョンシーズ｣での浩雲役は全く伝わっていません。そういう意味では､海外には知られていない彼の当り役を知っている面で日本のファンは逆に得をしているともいえるのですが…。
とまれ､前述の張徹監督作『新･嵐を呼ぶドラゴン』(74年)の端役で映画デビューした顧冠忠は､キョンシー･ホラーのルーツといえる1本で『幽幻道士(キョンシーズ)1』(86年)にも多大な影響を与えた『霊幻少林拳』(79年)の劉家良監督デビュー作にして､同作の前日譚にあたる『マジッククンフー神打拳』(75年)あたりを皮切りに､徐々に大きな役を得るようになります。後年『キョンシー大魔王』(86年)に顔を出すなど､性格俳優としても活動したチョー･ユン(楚原)監督には特に重用され､時代劇を中心に､端正なルックスを活かして善玉から悪役まで幅広い役どころを演じました。70年代末期には当時大ベテランだった王風監督の下で主演作を数本撮っています。
一方､主演映画を撮ったのと同時期から､香港のTVドラマにも出演。やはりショウ･ブラザースで二枚目俳優として活躍し､後年TVドラマ版｢霊幻道士｣にも出演するチョイ･シウキョン(徐少強)と共演した時代劇で人気を博します。その余勢を買って80年代なかばには台湾へ進出､当時現地で大流行していたＴＶ時代劇に引っ張りだことなり､映画にも出演しながら台湾に拠点を移しました。その最中に出演した1本が｢来来! キョンシーズ｣だったのです。
主演のテンテンちゃんことシャドウ･リュウ(劉致��)によると､元々浩雲はシリアスな二枚目役だったとのことですが､前述の日本語版演出によって別人の様なキャラに変更されており､後年日本語版の素材を見たシャドウ･リュウは､その変わり具合に唖然とし憤慨したというエピソードが､書籍やDVDのコメンタリー､飯田譲治監督のインタビュー等で明らかにされています。
ただシャドウ･リュウの話では､演者の顧冠忠自身はユーモアにあふれた明朗な人柄だったそうで､彼女が驚いたのは｢浩雲のキャラが顧冠忠本人と同じように喋っている｣という点だったようです。その後このふたりは､ミレニアムに中国大陸で撮影されたTV時代劇の撮影現場で再会することとなります。
90年代に入ってからも､台湾の身分証を取得し､TVの時代劇をメインに台湾での活躍を続けていた顧冠忠ですが､21世紀に入ってから､徐々に古巣の香港から声がかかるようになり､やはりTV時代劇の大作に出演し､散発的ながら香港映画にも出演するようになります。そして2012年､何と57歳にして香港のTVで活動する女優と結婚したのを契機に､およそ四半世紀ぶりに香港の芸能界へ帰還し､翌年にはかつてショウ･ブラザースの傘下だった香港の大手TV局TVBの専属スターとして迎えられ､現在もTVBのドラマを中心に中華圏の映画へも出演を続けています。
元々は前番組が視聴率低迷で打切られ､急遽スタートされたシリーズですが､平均10％以上の視聴率をキープし､子供たちを中心とした"キョンシー･ブーム"が表面的ではなかったことを世間的に知らしめたブームの頂点といえる作品ですよね…というのは､何度か取上げた書籍｢テンテン美少女メモリアル｣始め､ネットでも様々な場で語られていること､そして何よりリアルタイムでご覧になったであろう入会者の皆様それぞれが実感されておられることだと思います。
何と言ってもこのドラマのイチバンの見どころは､『幽幻道士(キョンシーズ)』第1＆2作の世界観をリ･イマジネーション(再構築)したことで登場した多彩な新キャラクターにあります。勿論俳優の魅力のみならず､当時若手だった飯田譲治監督の絶妙かつハチャメチャな日本語吹替演出が大きな役割を果たしていたのは言うまでもありません。
代表的なのは身軽さがウリの子役トンボ(鄭同村)や､毒々しいメイクと笹岡繁蔵さんの強烈な声の演技が印象的な終盤の強敵コウモリ道士(朱克榮)でしょう。鄭同村は現在もダンサー兼振付師として活躍してますし､朱克榮はかつて香港最大の映画会社ショウ･ブラザースでカンフー映画の巨匠チャン･チェ(張徹)監督のグループに属し､多数の時代劇アクションに大役で出演していたことは､別項にてご案内致しました。
そしてもうひとり､ジャッキー･チェン(成龍)の声で知られる石丸博也さんの声とキテレツな台詞の連発で､世にも奇妙な善玉ヒーローとして登場する道士･浩雲(画像左)も忘れられない存在です。
しかし､鄭同村や朱克榮と異なり､浩雲を演じたグー･クワンツォン(顧冠忠･画像中)については､｢幽幻道士(キョンシーズ)｣シリーズのファンに充分知られているとは言いがたいようです。日本のWikipediaにも顧冠忠の項が載ってますが…､まぁ申し訳ないですけどひどい内容でしたね(おそらく幽幻ファンの方が作ったのでしょうけど)。
まずお伝えしたいこととして､顧冠忠もまた､香港最大の映画会社ショウ･ブラザース(画像右は同社のエンブレム)で俳優のキャリアを重ねていたということです。
1955年2月22日上海生まれの顧冠忠は､ショウ･ブラザースの俳優訓練所出身。つまりは当初から香港で活躍していた俳優なのです。海外のファンの間では､顧冠忠といえばショウ･ブラザースや傘下のテレビ局TVBの作品に登場する二枚目俳優とのイメージで固まっています。無論｢来来!キョンシーズ｣での浩雲役は全く伝わっていません。そういう意味では､海外には知られていない彼の当り役を知っている面で日本のファンは逆に得をしているともいえるのですが…。
とまれ､前述の張徹監督作『新･嵐を呼ぶドラゴン』(74年)の端役で映画デビューした顧冠忠は､キョンシー･ホラーのルーツといえる1本で『幽幻道士(キョンシーズ)1』(86年)にも多大な影響を与えた『霊幻少林拳』(79年)の劉家良監督デビュー作にして､同作の前日譚にあたる『マジッククンフー神打拳』(75年)あたりを皮切りに､徐々に大きな役を得るようになります。後年『キョンシー大魔王』(86年)に顔を出すなど､性格俳優としても活動したチョー･ユン(楚原)監督には特に重用され､時代劇を中心に､端正なルックスを活かして善玉から悪役まで幅広い役どころを演じました。70年代末期には当時大ベテランだった王風監督の下で主演作を数本撮っています。
一方､主演映画を撮ったのと同時期から､香港のTVドラマにも出演。やはりショウ･ブラザースで二枚目俳優として活躍し､後年TVドラマ版｢霊幻道士｣にも出演するチョイ･シウキョン(徐少強)と共演した時代劇で人気を博します。その余勢を買って80年代なかばには台湾へ進出､当時現地で大流行していたＴＶ時代劇に引っ張りだことなり､映画にも出演しながら台湾に拠点を移しました。その最中に出演した1本が｢来来! キョンシーズ｣だったのです。
主演のテンテンちゃんことシャドウ･リュウ(劉致��)によると､元々浩雲はシリアスな二枚目役だったとのことですが､前述の日本語版演出によって別人の様なキャラに変更されており､後年日本語版の素材を見たシャドウ･リュウは､その変わり具合に唖然とし憤慨したというエピソードが､書籍やDVDのコメンタリー､飯田譲治監督のインタビュー等で明らかにされています。
ただシャドウ･リュウの話では､演者の顧冠忠自身はユーモアにあふれた明朗な人柄だったそうで､彼女が驚いたのは｢浩雲のキャラが顧冠忠本人と同じように喋っている｣という点だったようです。その後このふたりは､ミレニアムに中国大陸で撮影されたTV時代劇の撮影現場で再会することとなります。
90年代に入ってからも､台湾の身分証を取得し､TVの時代劇をメインに台湾での活躍を続けていた顧冠忠ですが､21世紀に入ってから､徐々に古巣の香港から声がかかるようになり､やはりTV時代劇の大作に出演し､散発的ながら香港映画にも出演するようになります。そして2012年､何と57歳にして香港のTVで活動する女優と結婚したのを契機に､およそ四半世紀ぶりに香港の芸能界へ帰還し､翌年にはかつてショウ･ブラザースの傘下だった香港の大手TV局TVBの専属スターとして迎えられ､現在もTVBのドラマを中心に中華圏の映画へも出演を続けています。
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コメント(7)
>>[2]
年をまたいでの返信となりまして恐縮です。
今年もよろしくお願い致します。
> この書剣恩仇録のジャケットに大きく映ってる5人の内、
> 右から二番目って朱克榮さんでしょうか？？
違います。ジャケットの方は孫建(画像左)という香港のアクション俳優で､別のトピックでも紹介しているショウ･ブラザース制作の張徹監督作『五毒拳』(78年)に主演したひとりです。彼は後に『ロボハンター』(88年)とかフィルマークのキョンシー物にたくさん出てきますｗ 色んな場面に顔出してきますよ。その孫建が張徹監督作から一旦退いてから大役で入ってくるのがコウモリ道士こと朱克榮(画像中)なんです。当時は主客という芸名でした。似て…ますかねぇ？
あとついでといっては何ですが…画像右には､おまけで若き朱克榮のオフショットを置いておきます。
年をまたいでの返信となりまして恐縮です。
今年もよろしくお願い致します。
> この書剣恩仇録のジャケットに大きく映ってる5人の内、
> 右から二番目って朱克榮さんでしょうか？？
違います。ジャケットの方は孫建(画像左)という香港のアクション俳優で､別のトピックでも紹介しているショウ･ブラザース制作の張徹監督作『五毒拳』(78年)に主演したひとりです。彼は後に『ロボハンター』(88年)とかフィルマークのキョンシー物にたくさん出てきますｗ 色んな場面に顔出してきますよ。その孫建が張徹監督作から一旦退いてから大役で入ってくるのがコウモリ道士こと朱克榮(画像中)なんです。当時は主客という芸名でした。似て…ますかねぇ？
あとついでといっては何ですが…画像右には､おまけで若き朱克榮のオフショットを置いておきます。
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