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2007年度入学金沢大学法学部コミュの政治思想史H19年度

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政治思想史
授業に即して、以下の問いに答えなさい。
問い一(20点)
ホッブズとロックの社会契約論を比較して、自然権を主権者に対して「譲渡」をすると
考える場合と、政府に「信託」すると考える場合では、どういう違いが出てくるか簡潔に
説明しなさい(150字―200字程度)。
問い二(20点)
『社会契約論』第二篇第七章においてルソーは、「立法者」をめぐる困難に言及している。
どういう困難か簡潔に説明しなさい(150−200字程度)。
問い三(20点)
ミルは『自由論』において人間の行為領域を二つに区別することを提案したが、この二
分法思考を、「自由」と「他者」をキーワードに簡潔に説明しなさい(150−200字程
度)。
問い四(20点×2)
?ロールズの無知のヴェールは正義の第二原理(格差原理)の選択に際してどのような
役割を果すか簡潔に説明しなさい(150−200字程度)。
?ロールズの正義論と対立する関係にある現代政治思想の一つの潮流を取り上げ、その
立場からの批判の要点を示したうえで、自分自身がロールズとその立場のいずれを支持す
るか明確な基準と共に述べなさい(300字程度)。



二〇〇七年度政治思想史試験講評
総評
登録者162名(旧政治発展論を含む)中、答案提出者142名。原則として、S=90
点以上、A=80点以上、B=70点以上、C=60点以上、D=59点以下。授業中の
中間小テストに参加した適切と思われる答案を提出した者については、55点以上を合格
とした。S2名、A4名、B22名、C52名、不合格62名。
採点は下記の模範解答例を基準にしたが、当然のことながら、キーワードが並んでいても、
文全体の意味が不鮮明になっている答案に高い点数は与えていない。また重要なところで
人名や理論・立場の名称を間違えたり、否定形になるべきところを肯定形で書いていたり
して、そのまま読めば、文意が理解できないような記述も減点の対象とした。
授業に即して、以下の問いに答えなさい。
問い一(20点)
ホッブズとロックの社会契約論を比較して、自然権を主権者に対して「譲渡」をすると
考える場合と、政府に「信託」すると考える場合では、どういう違いが出てくるか簡潔に
説明しなさい(150字―200字程度)
(模範解答例)
ホッブズは、各人は自らの自然権を主権者に全面的に譲渡する形で国家を成立させるので、
その自然権を取り戻すことはできないと考えた。一方ロックは、各人は共同社会の成立に
合意した後、統治権力を一時的に政府に信託するだけなので、政府が信託された責務を果
たさない場合は、人民は政府を解体することができると考えた。
*ロックの場合、政府を解体しても「共同社会」が残るというところまで書かないと満点
は与えていない。
問い二(20点)
『社会契約論』第二篇第七章においてルソーは、「立法者」をめぐる困難に言及している。
どういう困難か簡潔に説明しなさい(150−200字程度)。
(模範解答例)
ルソーにとって、法とは、主権者である人民の一般意志を表現するものであり、一般意
志は、その定義からしていかなる特殊性も含まれてはならない。したがって、法を起草す
る立法者は、自らの特殊利害によって一般意志を歪める恐れのない人間でなければならな
いが、現実に生きている人間は何らかの形で特殊な利害関心=党派性を有している。特殊
利害を有する人間の中から適切な立法者を選ぶのは困難である。
*起草者が自らの「特殊意志」を法に反映させてはならないことを、「一般意志」との関係
で記述することがポイント。
問い三(20点)
ミルは『自由論』において人間の行為領域を二つに区別することを提案したが、この二
分法思考を、「自由」と「他者」をキーワードに簡潔に説明しなさい(150−200字程
度)。
ミルは人間の行為領域を、他者に関わる領域=公的領域と、自分自身にのみ関わる私的
領域に分け、後者が「自由の領域」であると主張した。私的領域は、その定義からして、
そこでいかに自由に振舞っても他者に危害を与える恐れがないので、他者たちから見てい
かに愚かに見える行為であったとしても、本人の自己決定に基づく最大限の自由を認めら
れるべきであるとミルは考えた。
*バーリンによる「積極的自由/消極的自由」の区別や、「内的自由/外的自由」について
の一般的区別と混同している回答が多かった。「公/私」区分は、これらの問題と全く関連
がないわけではないので、関連がある程度分かるような回答であれば部分点を与えた。
問い四(20点×2)
?ロールズの無知のヴェールは正義の第二原理(格差原理)の選択に際してどのような
役割を果すか簡潔に説明しなさい(150−200字程度)。
(模範解答例)
無知のヴェールは、社会の中における自己の立場の相対的な有利/不利についての情報を
一時的に遮断する仮想の思考実験装置である。無知のヴェールの下に置かれた個人は、自
らが社会的に最も不利な立場にあると想像し、その不利な自己にとっても利益になるよう
な形での財の再配分を好むように誘導されるはずである。こうした各人の内面における想
像を通して、格差原理についての社会的合意が可能になると考えられる。
*単純に、「情報がないので、格差を受け入れる」ということではなく、どのような思考プ
ロセスを経て格差原理を受け入れるようになるのか説明することがポイント。
?ロールズの正義論と対立する関係にある現代政治思想の一つの潮流を取り上げ、その
立場からの批判の要点を示したうえで、自分自身がロールズとその立場のいずれを支持す
るか明確な基準と共に述べなさい(300字程度)。
(模範解答例A)
ノージックなどのリバタリアンは、ロールズの正義論が結局のところ財の再配分を目的
としているものであり、再配分は個人の「自由」の最大限の尊重というリベラリズムの品
来の趣旨と相容れないと考える。ノージックはロールズ的な福祉国家を否定し、各自の所
有権と契約の自由の保障に自己限定する最小国家のみが正当化され得ると主張する。私は、
人間が現実に「自由」に振舞うには、単に行動に対して直接的な制約を受けないという「消
極的自由」だけでは不十分であり、最低限の物質的基盤が不可欠であると考えているので、
「基本的自由」のための財の配分方式をめぐる合意の可能性を探るロールズの立場を支持
する。
(模範解答例B)
サンデルなどのコミュニタリアンは、ロールズが「正義」の原理を「共通善」の問題と
切り離していることを批判する。サンデルに言わせれば、ロールズの正義論で想定されて
いる個人は、それぞれの共同体的文脈と切り離された「負荷なき自己」であり、個人の選
択に不可避的に反映される共同体的価値観を視野に入れることができない。私は、人間は
いかに先入観から自由になろうといかに努力しても、自分の生まれ育った文化的共同体の
中で習慣として身に付けてきたアイデンティティを離れて、全くのゼロから自分らしい生
き方を選択することはできないと思っているので、共通善をベースにするコミュニタリア
ンの主張の方が現実的だと考える。
*ロールズ批判の代表的な立場であるリバタリアン、コミュニタリアンのいずれかを取り
上げる場合、両者とロールズの対立点をきちんと踏まえていなければ、高い点数は与えて
いない――自由作文ではない。フェミニズムの立場からの批判を取り上げる場合は、現代
リベラリズムにおける「公/私」区分の問題もしくは、「善」に対する「正」の優位に言及
する必要あり。「無知のヴェールの下では男女格差が広がる・・・」というような根拠のな
いことを書いている場合、かなり減点した。資本主義、法実証主義・・など、そもそも政
治思想ではないものを“ロールズの敵対者”としているのは論外。


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