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2007年度入学金沢大学法学部コミュの政治思想史H18年度

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二〇〇六年度 政治思想史試験
授業に即して、以下の問いに答えなさい。
問い一(30点)
ホッブズとロックが想定する「自然状態」のイメージが極めて異なったものになってい
いる理由を、「所有」という視点から説明しなさい。(250−300字程度)
問い二(30点)
『社会契約論』におけるルソーの議論では、法とは一般意志を表現したものであるが、
彼は同時に、その意味での法を具体的に起草することの困難を指摘している。どうして困
難なのか説明しなさい。(150−200字程度)
問い三(20点)
ベンサム流の功利主義を「権利」という視点から批判しなさい。(100−120字程度)
問い四(20点)
ロールズの無知のヴェールは正義の第二原理(格差原理)の選択に際してどのような役
割を果すか説明しなさい。(150−200字程度)



二〇〇六年度政治思想史試験講評
総評
登録者144名(旧政治発展論を含む)中、答案提出者128名。原則として、S=90
点以上、A=80点以上、B=70点以上、C=60点以上、D=59点以下。授業中の
中間小テストに参加した者については、56点以上を合格とした――この影響でCとなっ
た者が数名いる。S4名、A33名、B51名、C26名、不合格14名。
採点は下記の模範解答例を基準にしたが、当然のことながら、キーワードが並んでいても、
文全体の意味が不鮮明になっている答案に高い点数は与えていない。また重要なところで
人名を間違えたり、否定形になるべきところを肯定形で書いていたりして、そのまま読め
ば、文意が逆になってしまうような記述も減点の対象とした。
授業に即して、以下の問いに答えなさい。
問い一(30点)
ホッブズとロックが想定する「自然状態」のイメージが極めて異なったものになってい
る理由を、「所有」という視点から説明しなさい。(250−300字程度)
(模範解答例)
ホッブズの想定する自然状態では、各人は、他者の生命・身体までも含めてあらゆるもの
を自己の生命・身体を保持するために利用しようとする。そうした自己保存欲求に従って、
いかなる制限も受けずに行動することが、自然法によって各人に与えられた自然権である。
そのため自然状態は戦争状態になる。それに対して、ロックの想定する自然状態では、各
人が自然物に対して投入した労働を基準にして、自/他の所有の境界線が確定しており、
各人は自らの理性に従ってその境界線を認識している。よって、自然状態は基本的に平和
であり、例外的にしか対立は生じない。
*ロックにおける「労働」の意義や、ホッブズにおける「自然権/自然法」についての適
切な言及がないと、満点にはならない。
問い二(30点)
(模範解答例)
『社会契約論』におけるルソーの議論では、法とは一般意志を表現したものであるが、
彼は同時に、その意味での法を具体的に起草することの困難さを指摘している。どうして
困難なのか説明しなさい。(150−200字程度)
一般意志は、各人の特殊意志の総和にすぎない全体意志とは異なり、その内にいかなる部
分性も含んではならない。しかし一般意志を法という形で表現しようとすれば、特殊意志
を持った特定の人物が起草するという形を取らせざるを得ない。自らの特殊意志を反映さ
せない形で一般意志としての法を起草してくれると信頼できる人物を選ぶためのルールを、
一般意志自体の成立以前に確定することはできない。
*起草者が自らの「特殊意志」を法に反映させてはならないというだけではなく、「一般意
志」が成立する以前に、「法」を起草することの矛盾も指摘しないと、満点にはならない。
問い三(20点)
ベンサム流の功利主義を「権利」という視点から批判しなさい。(100−120字程度)
ベンサムの功利主義は最大多数の最大幸福を実現することを政治の目標として提唱するが、
各人の個別の権利が必ずしも考慮に入れられていないので、全体の幸福のために、個人の
基本的な権利を侵害するような選択が正当化されてしまう恐れがある。
*完全に見当外れな答案はそれほど多くなかったが、「個人の権利が侵害されてしまう」、
と決め付けている答案が多かった。適宜減点した。
問い四(20点)
(模範解答例)
ロールズの無知のヴェールは正義の第二原理(格差原理)の選択に際してどのような役
割を果すか説明しなさい。(150−200字程度)
無知のヴェールは、社会の中における自己の立場の相対的な有利/不利についての情報を
一時的に遮断する仮想の思考実験装置である。無知のヴェールの下に置かれた個人は、自
らが社会的に最も不利な立場にあると想像し、その不利な自己にとっても利益になるよう
な形での財の再配分を好むように誘導されるはずである。こうした各人の内面における想
像を通して、格差原理についての社会的合意が可能になると考えられる。


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