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ダニエル・シュミットコミュの『人生の幻影』追悼上映及び講演

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日時:2006年10月21日(土)17:00〜
会場:アテネ・フランセ文化センター(御茶ノ水)

17:00〜回顧上映プロジェクト発表
    アテネ・フランセ文化センター
    ユーロスペース
    東京フィルメックス

17:15〜追悼講演
「ダニエル・シュミットは死なないー追悼を超えて」 
蓮實重彦(映画批評家)

18:15〜上映
『人生の幻影』1984(53分)ダニエル・シュミット監督作品


参加費:1000円(当日先着順)


■お問合せ・会場
アテネ・フランセ文化センター
東京都千代田区神田駿河台2-11アテネ・フランセ4F
(JR・地下鉄 御茶ノ水/水道橋駅より徒歩7分)
TEL.03(3291)4339(13:00-20:00)

http://www.athenee.net/culturalcenter/schedule/2006_10/DanielShmid.html

http://flowerwild.net/2006/10/post_7.php

コメント(10)

私もどなたかレポートお願いしたいです!
海外組なのでどうしても行けません。。。

前にも書いたかもしれないけど、ダニエル・シュミットってなぜかフランスではあまり知られていないようで。
追悼上映も今のところ見当たらず、です。

日本で彼の作品を見ることができるのは、やっぱり蓮見重彦氏らのおかげなのかな?有り難いですよね。

「人生の幻影」は私もダグラス・サーク特集で見ました。
最初っから、いいんですよねー。
カメラが人物の間で躊躇して、戻ったりするのもおかしかった。

もう1回みたいなー。
そして講演、聞きたーい。
簡単にでもよいので、どなたかお願いいたします!
座ってしまうと気が滅入ってしまいそうですので、しばらくこのまま立って喋ろうかと思います。私たちにとってはシュミットが亡くなってしまったことはとても、辛く悲しいことなのですが、間違っても「最後の言葉」など絶対に残さないであろうシュミットが、しめやかな追悼など絶対によろこぶはずがありませんので、今日は可能な限り、この追悼の場を明るいものにするためにやってきました。そして「ハッピーエンドとは何か?」についてみなさんと一緒に考えたいと思います。「ハッピーエンドとは何か?」、この問いは、これから私のつまらないお話の後にごらんいただく「人生の幻影」の中で、シュミットがダグラス・サーク監督にたびたび質問しております。

普段なら私は、講演の前日は、どんなことを喋ろうかと、そしてどんなビデオをお見せしようか、と悩み、見始めたら最後まで見てしまったりして、徹夜してしまうものなのですが、昨日に関してはその迷いは一切ありませんでした。私は衣装だんすに入って、この背広を探し当てたのです。この背広、ここ数年着ていなかったものなのですが、何故これか、といいますと、実はこれ、シュミット本人が着た背広なんですね。「俺はダブルを着たことがない。ダブルってどんなもんだ?」「どんなもんだ? って言われてもねぇ。じゃ、着てみる?」というわけで、「季節のはざまで」パンフレットに収まっている私とシュミットは、実はお互いの背広を取り替えて着ている、という馬鹿なことをしております。シュミットは「他人の服を着る人」なわけですね。こんなこともありました。私がシュミットの家を訪ねたときに何故か彼は半狂乱になって落ち着かない様子でいるわけですが、実はそれはファスビンダーが亡くなってほどなく、とは言ってもひと月ほどはもう経っていたわけですが、形見分けで、ファスビンダーのジャンパーが彼のもとに送られてきたわけですね。ところがそれが小さくて袖が通せない。ファスビンダーはいつも肩をそびやかせて居丈高に歩いており、とても大きな男に見えていたのですが、実はそれは、彼が大きな男のふりをしていただけだったのであり、本当はこんなに小さな男だったことを知ってとても動揺しているんだ、と言うんですね。

今日は、いくつかの映像をお見せしますけれども、まずはシュミット自身が死ぬ、というイメージが出てまいりますけれども、それを彼の「死」をお伝えするために選んだと誤解しないでいただきたい。本当に死んだ、のではなく、それは死んだふりでしかない、と思っていただきたいのです。

(『アメリカの友人』 シュミットが暗殺されたシーン)

77年の作品ですから、映像の中でシュミットが37歳。ヴェンダースが最も力のあったころの作品です。他にも2本ほどシュミットには映画出演作品があるわけですが、「もう映画には絶対に出たくない」と言う。ヴィムは、撮影のために「俺のことを散々待たせやがった」と、怒っている。絶対に自分だって俳優を待たせているに違いないわけですが、「あんなに待たせやがって」。パリの地下鉄の中であれは、○○から○○へ(具体的な駅名、乗り換え順)乗り換えて、デファンス駅へと向かう途中なわけですが、別に車両を、二本も乗り換えなくても表現できそうな場面なのに、ヴェンダースはそれを敢行し、それでシュミットは散々待たされもしたわけですが、おかげで私たちは、かなりのクローズアップに近いサイズをも含むシュミットの顔、時折はカメラをにらんでいたりする顔を、何度か映画の中に観ることができるわけであります。シュミットは、「どんな人間か、役柄に関する説明は一切無かった」と言っておりましたが、素人くさい殺し屋のブルーノ・ガンツが、たぶんCIA関係か何かの重要な男、シュミットを殺してしまう。さてここで唐突にみなさんにクイズを出したいと思います。ブルーノ・ガンツと、シュミットの共通点は何でしょうか? どなたかお分かりになりますか?
(場内から、「スイス人」との声)
そうですね、どちらもスイス人なわけです。シュミットはスイスでも第四の言語と呼ばれる○○○語を話す周辺部・僻地の生まれでありますが、そんなふうにふたりのスイス人が、パリのメトロで追いかけっこをしているのが面白いわけです。最後はエスカレーターの上から転げ落ちてくれ、と注文されて、俺の上着がエスカレーターの端っこに引っかかったりして怪我でもしたらどうしてくれる、とシュミットは断固として拒否したそうです。

シュミットの映画に欠かせないのが、舞踏、踊りです。彼は映画の中の人物をまるで躍らせるように動かすわけです。踊りには、群舞も、カップルも、ソロもあります。群舞は「天使の影」の冒頭に、娼館でたくさんの娼婦たちが客に対して集団で値段の交渉をする素晴らしい場面があります。またカップルもあります。ここではカップルの踊りの代表的な場面をひとつ、観ていただきます。

(『ヘカテ』 窓辺で愛を交わす二人、ローレン・ハットンの乳房が見え隠れする)

シュミットの映画で男女ふたりが踊るときは、必ず男がやや後ろから、女を抱くという構図になっています。あの、変なことを想像しないでくださいね。必ずしもいつも、性器が絡んでいる、ということではないのです。今の場面はそうとして、シュミットの映画には群舞もカップルもソロも出てまいりますが、とりわけ、カップルのときは要注意です。いつも男がやや後ろから、女を抱く。では、男と女とが真向かいに向かい合うときには、それは……「死」です。男は女の首を絞めて殺さなければならない。「天使の影」にもそんな場面が出てきます。ではソロはいかがでしょう。最も簡単に思い出せるのは、玉三郎が主演の「書かれた顔」ですが、「ヴィオランタ」の中に宴会が盛り上がる中で、その片隅で静かにルチア・ボーゼが毒薬を飲み、その動きを止める、という素晴らしい場面が出て参ります。で、ここで「もうこれしかない」という場面、といえばみなさんお分かりになられるでしょうけれども、「ラ・パロマ」の名場面を観ていただきます。(映写室に向かって)済みません、順番が事前の段取りと違ってしまったと思いますが「ラ・パロマ」から、先にかけてください。お願いします。

(『ラ・パロマ』 山の上で歌う二人)

シュミットという名は忘れても、そして「ラ・パロマ」というタイトルも忘れても、この場面だけは一度観たら観客は一生忘れないだろう。そんな場面を俺は撮ってやった、とシュミット自身言っておりました。撮影時、シュミットは若干34歳。すごいことをやってのけたもんです。スタッフも決して完璧なプロたちとは言いがたい、いつも普段からシュミットの周りにいた人間が多く関わっていた、そんな人たちと、あの場面を撮ったときは、コンディションは最悪だったようで、本当に山の上高いところで撮っているのですが、カメラマンのレヌート・ベルタも「こんな天気であんなとこ行くの、もう止めようよ」というのを、叱咤して自分からどんどん山を登っていき、チャンスは一回きりでワンテイクしか廻していない。本当にシュミットは、誰にも考えないような大胆なアイデアを、しかし実に慎ましやかな表現で撮っています。アイデアは大胆に、表現は慎ましやかに(繊細に)それが、シュミットなんです。今ごらんいただいた場面も、たったひとつのカットで撮られているわけですね。ここで、意外と皆さん見落とされている方が多いので、もう一度またお尋ねしますけれども、イングリッド・カーフェンの髪の色は何色だったでしょうか? 覚えていらっしゃる方、どなたかお答えいただけますか?
(場内から、「赤毛」との声)
そうです。そしてこの赤毛であること、が非常に大事なんですね。何故か? と説明しろ、といわれてもうまく説明できないのですが、ここで私とシュミットは大きく握手したのです。「実は私は、ハンナ・シグラという女優が、ちょっと苦手で……」と言ったときに、シュミットが我が意を得たり、と言わんばかりに飛びついてきて「あいつはイモだろう」と言う。その後いくら私が「いや、ファスビンダーの映画は興味深いし…」とか言っても、まるで受け付けず「そうか、そうか、お前もやはりそう思うか」と言う調子でうなずきながら「わかったわかった」とニコニコし、「イモだろう」と言うので「イモだ」とも言えず困りましたが、彼ははっきりと「POMME DE TERRE」と言い、しばらくは勝利の美酒に酔いしれておりました。さて、さきほどふたりの場面になる直前に一台のスポーツカーが、去っていきますが、乗っていたのはペーター・カーンの母親(ビュル・オジェ)なんですが、シュミットは映画において、振付けるように人物に芝居をつけていますが、いつも劇中で踊りを始めろ、とそれに合図を送るのは、母親のように「年長の女性」なんです。「今宵かぎりは……」でも、最初にあれは、大きなホテルなのでしょうか? 召使たちがゆっくりゆっくりと行きかい歩いていますが、年長の女性が合図を送った途端に、ぱたっと止まってしまうわけですね。そして役柄の交換が行われます。後半には、旅芸人によってボヴァリー夫人の一場面が演じられます。

(『今宵かぎりは…』 旅芸人によるボヴァリー夫人の一場面)
(最初に観客のグループショットがあって、『これが、年長の女性です』と指摘する)

ボヴァリー夫人は、たくさんの映画監督が作品として残しておりますが、それらのどんな映画よりもこの「今宵かぎりは……」が最も美しい。そしてそれが良いところは、あの旅芸人たちも、最後にはさようなら、と言って手を振ってこの館を出て行くわけで、本当に死んではいないのです。

最後にシュミットと何の関係もない映画をひとつごらんいただきます。ところが私、たぶんビデオを間違えて頭出ししてしまっているのではないか、と思いますので、ちょっとかけてみてください。間違っていたらそう言って、直しますので……

(上映される映像は、壁に張られた映画ポスターがOLして何枚も変わっていくもの。そして最後にFINEマークが出て。
※たぶん頭出ししたあとでまたご覧になってしまったのでしょう)
はいはい、やはり間違えてしまいました。5分ほど巻き戻していただきますが、(音声をチュルチュル言わせたまま映像巻き戻る)ちょっと待ってください、今(映像を)出さないで、美味しすぎるので勿体無いんで、一旦消して明かりをつけてもらえますか、私そっちに行きますから、ここから、という場所に戻しますので少々お待ちください。

(『われら女性』 アンナ・マニャーニ篇 ルキノ・ヴィスコンティ ステージ上での歌唱)
映像はルーズから少しずつカットでアンナに寄っていき、クローズアップになる。最後は背中方向からのルーズで観客に手を振って手前にさりゆくアンナで終わる。

私は映画祭の5000人は集まっていた大野外会場で、これを見て、この次にも一本別の映画が控えていたのですが、すっかり感動してしまい、会場を後にしてしまいました。5000人以上もの観客たちの中で、「こんなに素晴らしいものを観てしまった後では、どんな映画も観る気はしない」と、一人で出て行こうとしたら、出ていくったって5000人以上もの人たちが集まっている場所ですから、なかなか骨が折れるわけですけれども、泣きはらした顔をなるべく見られないようにしてなんとか出て行こうとすると、前をもうひとり背の高い男が同じように会場を出て行こう、と四苦八苦している。それがシュミットなわけです。二人して出てきて「そうか、おまえもやっぱりそうか」と抱き合いました。5000人もいた会場で同じ映画に涙して、出てきたのがたったふたり我々だったというのも、何か縁を感じます。
最後にアンナ・マニャーニは観客に対して手を振って去っていったわけですが、我々も今宵を限りに、あれはそのままシュミットの身振りだと思うことにいたします。シュミットはどこへとも無く去っていった旅芸人のように、今でもどこかにひっそりと姿を隠して、たぶん死んだふりをしているのだと思います。

さて私はここで終わればいいのですけれども、不謹慎なものですから、実は私の本棚に、これはちょっと前のものですが、Die Erfindurg vom Paradies というシュミットを扱った本が二冊ありまして、一冊余っておりましたので、ここで皆さんに「競り」をしていただき、競り落としたお金はダニエル・シュミット財団の方に寄付させていただきたいと思います。100円から参ります。どうぞお声を!
(「200円」「500円」「1000円」「2000円」「3000円」)
はい、ここで競りは辞めにして、実は世の中に、ダニエル・シュミット財団などというものは存在しないのでありまして、この本は「3000円」の値をつけていただいた方に、「タダ」で差し上げることにいたします。どうもありがとうございました。


個人的な思い出話を随所に挟みながらも、しめやかな雰囲気を払拭し、場内を甲高い笑い声に包ませてくださった、先生の観客への、そしてシュミットへの愛情の深さに打たれました。確かに久しぶりに再見する映画も素晴らしかったのですが、今日のメインは先生の講演でした。

観た映画についても記憶が頼りなく、聞いた話もどちらかというと右から左へぬけてしまうことの方が多い私は、だからこそ先生の本を読んでは、観たい映画をいつでも観なおせるようにと思いつつ、オンエアされた映画をいろいろ録画して20年間。しかし未だに、それを十全に活用できているとは思いません。それでも20年前にシネ・ヴィヴァンや、アテネでシュミットの作品群と出会い、先生のお話を聞いていた私にとっても、ぼんやりしている間に時代は確実に変わっていき、大事な人を亡くしてしまう、という体験にもそろそろ我慢することを覚えていく今日この頃です。

いつも先生は「挑発」や「激励」などを含めた「煽動」をエンターテイメントに仕上げたような、刺激的で内容豊富な講演をお聞かせくださいますが、今日はことさらに「盛り上げる」ことを照れずに、楽しい時間を分けてくださいました。本当に嬉しかった。楽しかったです。

なので、mixiについては、私はこれまで人の記事を読んだり情報を得たりすることに使う以外は、日記など書いたこともない人間ですが、今日は自分としては特別に、講演を聞き逃した方のために、内容を思い出しつつ、書き残してみました。もし録音されている方がいらっしゃったら、採録の順番もでたらめで、数字や固有名詞がいい加減に歪曲されているひどい採録だとお思いでしょうが、その場合はどうぞご遠慮なくご指摘ください。全くメモも取らずに聴いていた内容を思い出しながらの文章ですので、みなさんどうぞそのおつもりで。あしからず。
WoOさん、レポート本当にありがとうございます。
まるでその場にいることができたような、WoOさんの撮った講演のドキュメンタリーを見ているような、不思議な気持ちになりました。

ファスビンダーの背広の話、いいですね。涙が出てしまいました。
ヴェンダースとのやり取り、怒ってる彼も、いいなぁ。
そして『シュミットという名は忘れても、そして「ラ・パロマ」というタイトルも忘れても、この場面だけは一度観たら観客は一生忘れないだろう。』という彼の言葉は、彼が亡くなった今、(きっとどこか別の山の奥に、隠れているだけなのかもしれませんが)せつなくなるほど心の底にグッときますね。。。

それにしてもハンナ・シグラがpomme de terreとは。(フランス語の辞書をひいたら、話言葉で「醜い太った女」とありました!!)ひどいなぁ。何ともいえぬ色香が大好きなんだけどなぁ!あまりのことに声を出して笑ってしまいましたが。

彼がスイス人といっても『第四の言語と呼ばれる○○○語を話す周辺部・僻地の生まれ』だったと初めて知りました。
スイス人の友達に聞いても、彼のことを知らなくてビックリした記憶があるのですが、そのせいだったのかな。。。

pckgさん
「振り返る映画」というのは、どんな内容なのでしょうか?
簡単にでよいので教えていただけないでしょうか?

知りたいこと、読みたいもの、そして観たい映画、語りたい映画がまだまだたくさんあるなーとしみじみ思う今日この頃です。
ノラクラと時間を過ごしてる場合ではないですね。
『ぼんやりとしている間に時代は確実に変わっていき、大事な人を亡くしてしまう...』
本当に、そうなんですよね。
>3: WoOさん
あなたの最後の数行に泣きました。

昨夜は行けなかったのですが、
スイスでも第四の言語と呼ばれる○○○語
→ロマンス語

○○から○○へ(具体的な駅名、乗り換え順)
→これどちらかシャトレ駅が出てたように思います。

ではないかと思います。わたしも忘れています。
昨日、会場で「ラ・パロマ」のシーンを観ていたら、不覚にも涙が出てきてしまった。。。
>WoOさん
詳細なレポート有難うございます。

回顧上映プロジェクト発表内容は
確か以下のようでした。

既に決まっている東京フィルメックス2本の他に
来年一月以降
アテネ・フランセ文化センターで3本
ユーロスペースで9本のシュミット作品を
上映予定だそうです。     

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