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天の川を渡る様にコミュのことばを

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人と人を、

今と昔を、


現在と未来を、





紡ぐひとのために。

コメント(7)





また、冬が来たよ。
体を底から冷やす風が、僕の隙間を通り抜けては他の人を撫でる。

月が見えない今夜は星が綺麗だ。


声が聞こえるかい、届いているかい。

歩道に散らばる落ち葉は、多くの足音に千切られて、
飛んで行くこともできずに泣いている。

ひどく残忍な気持ちで。
僕は背を伸ばして前へ進んでいく。


居場所を忘れてしまいそうな洪水の中で、
僕が泳ぎ続けることができるのは……

その冷酷さを想っては目を閉じる。


ここから一番遠いばしょへ向かいながら、
僕はどれだけの悲鳴と涙を無視するんだろう。

きっとそれに気付くこともなく、
誰かのために生きたいとか、多くの人を救いたいとか願いながら、

のうのうと歳を重ねるんだ。

また一年が終わる。
新しいものが増えていく。
僕はまたそれに馴れて、忘れて、戻れなくなって……


吐く息が白い。僕は、





たぶん、生きてる。
愛の味



どうして、お前だったんだろう。
どうして、ぼくだったんだろう。

高いところにいれば高さが怖い。
幸福を知れば、失うのが、怖い。


こんな思いをするなら、初めから手に入れなければよかった、
知らなければよかったと後悔するのは、筋違いだった。


今なら信じられる。


疑い嘆くことは、お前を否定することだ。
でもお前は確かに、ここにいた。

生まれてくれてありがとう、ぼくのところに。
短くても、尊い時間だったよ。


...i love you Dad.


涙を流すのは間違いだ、
ぼくは、笑うべきだ。

きみが今でも、ぼくたちの中に生きていて、
そばにいることを。


...i love you, Dear.
夜行銀河


アナウンスが終わると間もなく、故郷へ帰る夜行バスの車内の明りが消された。
斜め前の天井がぼんやりと照らされている。携帯電話を開いているのだろう。後ろのほうの座席からはぼそぼそと話し声が聞こえる。
隣の通路側の座席に置いたかばんの口を閉め、僕は目を閉じる。疲れていた。

しばらく寝ていたようだった。
もう高速に乗っただろうか。確かめようかと思ったが、体はだるく、カーテンをめくって窓の外を見るのも億劫だった。車内はしんとしていた。かすかなエンジン音、対向車のすれちがう音。それでも静かだった。心地よい静粛だった。
窓にはカーテンがかかっているが、あまり厚くない生地のためか、外の明りがぼんやりと灯って見える。濃い青の向こうに白やオレンジ(その灯りの色から僕はもう高速に入ったかもしれないと思った)が輝きながら流れていく。宇宙を走ってるみたいだ、と僕は思う。

故郷から遠く離れて過ごす毎日は、とても刺激的で、不安定で、だが愉しかった。時折、自分は頽廃的な生活をしているのではないかと疑うことがある。社会的、人間的活動を行わないと、人間は自分の存在に自信を持てなくなる。何もしていないわけではない。何も、考えていないだけだ。

自分を思う。人を思う。未来を思う。しかし考えない。
出会い別れる。本を読む。生活する。しかし考えない。

過去を嘆いたり、未来を憂うことはない。だけど、足りないものが分からない。漠然とした焦燥が、いつでも付きまとい、僕の心を急きたてる。考えようとすると、ざわめくのだ。


しかし窓の外を流れる銀河を思うと、なぜか安心した。
僕は知っている、このカーテンの向こうには無機質で単調な高速道路が拡がっていて、故郷までの長い道のりを思わせては僕を退屈にさせることを。

この安物の宇宙で満足する僕は安物だろうか。
……おおいに結構。想像力は、時に現実を凌駕するのだ。未だ見えないものへの想像の余地は、きっと僕を飽きさせないことだろう。

めでたい自分の脳に呆れながら、再び目を閉じる。
夜行バスは宇宙を行く。かすかなエンジン音。対向車のすれちがう音。

心地よい静粛だった。
22歳


夕暮れ近い東の空がうつくしい。

そして、こんなにも汚くて醜くて狡くて愚かな私、
その存在を許している世界の馬鹿正直な素晴らしさに嫌気がさした。

「……滅べばいいのに。」

そう呟いて、
60億の輝ける未来と、短絡的な憂鬱に襲われた自分ひとりの価値を天秤にかけた結論の明白さに、
私は不覚にも涙を流した。

コインランドリーに洗濯物をつっこんで、踊るようにもみくちゃにびしょ濡れに犯される、私の下着に不愉快は募り、他の客に目を移す。
住宅雑誌を熱心に読み耽る男の人生設計。終わった洗濯物を丁寧に一つずつ取り出す女の胸は洗濯板よりまな板に近い。
少し天秤が揺らいだ。


誕生日のお祝いに何が欲しい? と聞かれて、
致死量の睡眠薬、と答えたなら彼は……
私のことをもっと見てくれるだろうか。

天秤は過重に耐え切れず、私の乗った皿を、
天高く舞い飛ばす。

そこで私は、うつくしく鮮やかに夕焼けた西の空を見るのだろう。
ぼくだけが後ろを向いたまま歩いている。

相対性の彼方で、ぼくは、
やっぱり、いつまでも一人なのだ、とさえずり続けている。
26歳

「変われたかなあ」
トンネルの向こうから声がする。オレンジ色の光と、黒い影が、ハンドルを握る腕を交互に襲ってくる。
自分がどこかへ消えてしまって、僕は僕にもわからない誰かの、入れものになる。

変わりたかった?
だけど、月日は僕を変えてしまった。
変わりたかった?
だって、大人だもの。
変わりたかった?
もう、違うんだ、前みたいではいられない。

………「変わりたかった?」



トンネルを抜けると白が襲う。
高速道路の明順応には時間がかかる。
本当はわずかな時間も、なんだかすごく長く感じられる。

僕は僕じゃなかった僕が聴いた声を、忘れないように大切にしまいこんで、
結局どこにしまったか忘れてしまった。

あの時アクセルを踏み込んだ君の気持ちが、
今では痛いほどにわかるよ。
信じられない。……変わったんだね。
空(くう)

いつか僕を救けてくれると思っていた世界は、
いつまでたっても僕に語りかけることばを持たなかった。
そして気がつけば、何もかもを――善も悪も、無さえも内包する、
途方もないその大きさからくる沈黙に、僕はおびえてしまっていて、
つくられた常識やルールが支配する通俗な、社会なるもの、
その予測できる喧噪の中に身を置くことで満足することに、している。

僕を導いてくれる新しい世界なんてどこにもなかった。
絶対的なものとか、ゆるぎないものとか、
傷つかないためにひとつずつ否定しているうちに、
僕の中の世界も空っぽになってしまった。

(だから)今から僕が語ることはぜんぶ嘘です。
(もしかしたら)これまで僕が話したことも、ぜんぶ嘘です。

空は何も生まない。空は何も否定しない。
空は何も聞かず、何も語らない。
それはとても楽なこと。そしてとても孤独であること。


やわらかい体温の中で、僕は君をさがしている。
遠い昔、泣いている僕の手を取ってうつくしい夕日を見せてくれたのは、
もしかしたら幸福な夢だったのかもしれないと最近では思う。
誰かに君を重ねようとして、いくつかのドアをノックして、
その先で過ごした時間や、確かだったはずのぬくもりは、
いくつかの間違いで――春の淡雪のように溶けて、

消えてしまった。

(ねえ)君はいったい、君はいったい誰だったんだ?
(そうか)いつかの、もしくは遠い未来の、僕自身だったのかなあ。

空は何も蓄積しない。空は何も排出しない。
空はすべてを受け流し、すべてを微笑むだろう。
それは誰にとっても間違いではない、
けれど正しいかどうかはわからない。

時おり聞こえる、誰かのやさしい声がする方向へ、
導かれるように僕は歩きつづけている。
ひとりじゃなかったと教えてくれるはずのその人に、
涙をこらえてきっと言うだろう。

僕は、ほんとうは、

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