韓国野球コミュのSportivaの連載

　月刊誌Sportiva（集英社）2005年６～９月号に連載「日韓野球秘史」が掲載されましたが、入手しそびれた方も多かったと聞きました。内容をごく簡単にまとめました。筆者は大島裕史さんです。

　第１回（６月号）・・・来日し、1930年代後半に帝京商業（現、帝京大学高校）に在学していた金永祚（キムヨンジュ・金光彬夫）と、その１年後輩の杉下茂との友情物語。金永祚は、志望する早大に進んだが、戦況悪化で六大学リーグが解散。軍需工場で働きながらプロ野球・朝日の試合に出るなどしたのち、終戦前に朝鮮半島に戻り、戦後は韓国アマ球界で活躍。杉下との交友は戦後も長く続いた。

　第２回（７月号）・・・金星根の半生。貧しかった少年時代。在日同胞学生野球団の一員として初めて韓国を訪れたのち、南海のキャンプに参加するなどし、韓国の実業団チームに入団。日本に残る家族との激論の末、韓国永住を決意。指導者となり、プロでは監督として866勝。2004年オフにバレンタイン・千葉ロッテ監督と意気投合、奇しくも（？）自分を育てた日本の地でコーチングスタッフとなり、李承燁の再生に一役買った。

　第３回（８月号）・・・白仁天の半生。超高校級のスター選手だった白仁天は、韓国代表チームの一員として日本に立ち寄った際、東映と仮契約を結ぶ。金永祚を始め韓国野球界の重鎮たちの怒りを買うが、折しも時代は日本との国交正常化交渉を進める朴正煕政権。運も手伝い東映入団。その後はパ・リーグを代表する外野手、韓国プロ野球最初の首位打者に。監督として優勝も経験。日本に進出した選手たちに対しては苦言も。

　第４回（９月号）・・・申鎔均（平山鎔均）の半生。八幡浜高のエースとして夏の全国高校野球にも出場した申鎔均だったが、就職活動時に激しい差別を味わった。在日コリアンに理解ある牛山善政が経営するヤシカに入社、帰化の準備を進める。しかし、韓国代表としてアジア野球選手権に出場したことが日本のアマ球界で問題化。逡巡した末、韓国の実業団に入り名投手として活躍。プロでは指導者生活を長年続け、04年シーズンを最後に日本に戻った。