ＳＯＮＧＳコミュの第234回　舘ひろし

更新　のちほどです。校正のちほどです。

　　　　守本アナウンサー＞俳優、舘ひろしさん。バイクを駆使したハードなアクション
　　　　で人気を集めました。現在放送中のNHK連続テレビ小説「純と愛」のヒロインが
　　　　勤めるホテルの社長を演じています。
　　　　1975年、舘さんは、ロックバンド「クールス」のボーカルとして芸能界デビュー
　　　　しました。その後、歌手としてもヒットを飛ばし「紅白歌合戦」に出演しました。
　　　　現在62歳の舘さんは、没後25年を迎えた石原裕次郎さんのカバーアルバムを発表
　　　　しました。

こんばんは。舘ひろしです。
「SONGS」今夜は石原裕次郎さんが残した名曲の数々を僕なりのアレンジでお届けします。

　　　　舘さんは1950年、名古屋市に医者の長男として生まれました。周囲の期待を受け
　　　　将来は医者になることを夢見ていました。
　　　　高校でラグビー部に所属。 3年間ラグビーに熱中したためか医学部の受験に失敗し
　　　　てしまいます。医者の道を諦めて別の大学に進むも今度はオートバイに夢中になり
　　　　バイクチーム「クールス」を結成します。やがてチームは注目を集め突然歌手デビュ
　　　　ーの話が舞い込みます。

歌手デビューのきっかけはすごくいい加減でですね。人前で歌ったことがなかったんですね。
それである時レコード会社のディレクターが僕のところに来てアルバムを作りませんかって。
その当時、映画もやってみないかと言われてたんですね。

　　　　歌手デビューに続き俳優としてもデビュー。松田優作さんと共演します。
　　　　そして1979年TVテレビ「西部警察」に出演。この作品で舘さんは石原裕次郎さんと
　　　　出会います。共演初日から舘さんは裕次郎さんの器の大きさを目の当たりにします。

現場に行ったら白い椅子が2つ置いてあったんですね。1つには石原裕次郎って書いてあって、
1つには渡哲也って書いてあって、僕はその白い2つあった椅子の隣に自分の黒い椅子を置い
たんですね。そしたら、たまたま石原さんが通りかかって「この椅子誰の椅子だ？」なんて。
「あぁ僕のです」って言ったら石原さんが笑って、「そうか舘くんのか・・。10年はやいな」
とかって言われたんですね。僕も若かったものですからちょっとカチンときて「いやー今は
そういう時代じゃないですよ。時代が違いますよ」みたいなことをつい言っちゃった。
そしたら石原さんが「あーそうか時代が違う。あはは・・」って笑って行っちゃったんです
けど、今思うと本当に失礼なことを言ったっていうか。何か石原さんの器の大きさを見せつ
けられた気がしますね。

　　　　今夜の1曲目は「嵐を呼ぶ男」
　　　　映画の大ヒットにより裕次郎さんの代表曲となりました。

嵐を呼ぶ男

　　　　「狂った果実」22歳の裕次郎さんは映画２作目にして主役に抜擢。スターへの階段
　　　　を駆け上りました。演技のみならず歌にも才能を発揮。歌う映画スターとしてヒッ
　　　　ト曲を連発。
♪赤いハンカチ
　　　　石原裕次郎さんがこれまでに発表したレコードやCDははおよそ1700枚に上ります。
♪夜霧よ今夜もありがとう

石原さんはすごく歌が上手い方なんで、それには到底及ばないんで僕なりの曲にしたいなと
思っていました。それと本当によく石原さんの歌ってたのを聴いて、ああこういう風にして
歌ってるんだとか、ここはこういう思いで歌ってるんだと言うのとにかく理解しました。
そういう意味では本当に石原さんと久しぶりに音楽を通じて会話ができたような気がします。

　　　　続いての曲は「銀座の恋の物語」335万枚の売り上げを記録した裕次郎さん最大の
　　　　ヒット曲です。デュエットのお相手は青木カレンさん。今注目のジャズシンガーです

銀座の恋の物語

　　　　先月、舘さんは完成したカバーアルバムを携え石原裕次郎さんの妻まき子さんを訪
　　　　ねました。

　　まき子さん＞お忙しいのに。さあどうそ。
ありがとうございます。
（お鈴の音）
　　わあすごい
私ごときが歌っていいものかどうかと。

　　　　まき子さんは女優北原三枝として活躍。映画「狂った果実」で裕次郎さんと運命的
　　　　な出会いを果たします。そして4年後に2人は結婚。その後は、裕次郎さんを支え後
　　　　輩たちに慕われてきました。舘さんが届けてくれたCDを聴くため裕次郎さんの部屋
　　　　へ案内しました。舘さんが足を踏み入れるのは裕次郎さんの葬儀以来実に25年ぶり
　　　　のことです。

懐かしいなぁ。
　　懐かしいでしょう。だけどここら辺全部変わったでしょう。
　　私はやっぱり「二人の世界」かなぁ。
♪二人の世界
恥ずかしい。
　　そんなことはない。優しいひろし節になってる。
そうですか。
　　　　「二人の世界」は舘さんが裕次郎さんから直接歌い方のアドバイスをもらった思い
　　　　出の曲です。

　　そうですねぇ。もうすぐね。
　拍手
ありがとうございます。
　　裕さんとよく似てる。うわ～。
　　　　まき子さんは裕次郎さんが「二人の世界」を歌ったリサイタルの映像を大切に保管
　　　　してきました。舘さんが目にするのは初めてのことです。
　　モノクロクでしょう。
おおー
　　ああー
ぱっと出てきた時に、スターってこうだなって思いますよ。
　　　　「二人の世界」が発表されたは1965年。裕次郎さんにとってもまき子さんにとって
　　　　も辛い時期でした。
　　ちょうどこの「二人の世界」をレコーディングした時は裕さんが独立プロを作って一番大
　　変な時だったんですよ。それでねテレビの仕事も映画の仕事もなかなかうまく企画が通ら
　　なくて。それでただただ歌の世界だけがとっても救ってくださって。
　　たまたまこの「二人の世界」が大変に大ヒットした。それで一時しのげるわけですよね。
　　そこで初めてリサイタルとか滅多に自分がOKしないリサイタルが始まるわけ。
そんな苦労をみじんにも見せず・・
　　本当の真っ只中、明日にも石原プロがつぶれるかつぶれないかの時期だった。この歌で
　　救われたの。
ああ、そうですか。

二人の世界

　　　　1981年9月1日。石原裕次郎さんは当時成功率3%と言われた大動脈瘤の手術を終え、
　　　　奇跡の生還を果たします。しかし病魔は確実に裕次郎さんの体を蝕んでいきました。
　　　　それでも気の置けない仲間たちとハワイで年末年始を過ごす事を裕次郎さんは楽し
　　　　みにしていました。今回、まき子さんはハワイでの舘さんと裕次郎さんの貴重な写真
　　　　を見せてくれました。

　　これこれこれ。（映像：ハワイで撮った写真を見て・・）
　　なんて素敵な。覚えてない？
なんか歌ってましたね~何だっけ。「聖者が町にやってくる」でしたっけ。
それを多分歌ってると思うんです。 2人でシャウトしてるんですよ。

　　　　この写真を見て舘さんは裕次郎さんが亡くなる前の年のお正月休みを思い出しまし
　　　　た。裕次郎さん夫妻に付きそって舘さん1人がハワイに残ったのです。

明日帰るぞって日に、僕が先代に
「じゃ社長、今日は僕がご馳走させてください。ブランチを」って。そしたら凄く喜んでく
れて。「おお、ひろし、お前も偉くなったなー」なんて言いながらすごく喜んでくれて。
　　私たちお酒も一切裕さんのためにみんな周りがやめてたわけですよ。
基本的には2杯なんて飲んじゃいけないわけじゃないですか。一杯だけでも特別なシャンパン
だったんじゃないですか。それを久しぶりだからってカッーと飲んで。
　　速かったの。その飲み方がね。
お前はどうせ飲まないだろって俺のに手をかけた。そしたら裕ママ(まき子さん)に怒られた。
おかしかったなぁ。でもあのブランチをしてよかったなぁと思います。何かすごく喜んでた。
　　でもね、しばらく裕さんも「ひろしがおごってくれたんだよ」ってよく言ってましたよ。
それはうれしいです。本当に。

　　　　1987年2月、裕次郎さんはハワイで人生最後のレコーディングに臨みました。曲名は
　　　「わが人生に悔いなし」裕次郎さんが亡くなったのはその５ケ月後のことでした。

あの時期によく歌ったと思うんですね。石原さんが。ただ声がそれ以前の曲と比べると全然
力はないですよね。ただその「人生」ってところと「青春」ってところはね、声を張って歌っ
てるんですね。だから、やっぱりかなわないですよね。

わが人生に悔いなし