2012年5/20(日)15時開演。本日トリノ・レージョ王立劇場で聴いた「ノルマ」(アルベルト・ファッシーニ演出)、素晴らしかったです。私が、これまで生の演奏で歴代のノルマきいた中で本日が一番の名演でした。曲の途中ですごい拍手や歓声がおき、しばらく静寂になるまでだいぶ時間があったりしました。観客もすごさのあっけにとられ、息を飲み込む瞬間もありました。アリアやデュエット拍手喝さいでした。ふだん拍手が起きない箇所で歓声や大きな拍手がおきたりしていました。カーテンコールはかなりながかったです。涙しました。自然と涙がこみ上げてきました。本日のディミトラは、全身全霊で歌い上げ、ドラマをつくり、迫真の歌唱・演技でした。雰囲気そのものまた彼女の存在がノルマでした。 しぐさ、身のこなし、堂々とした立ち振る舞いまさにノルマそのもの。昨日5/19(土)は、同じ会場で同じ舞台、セコンド・キャストを聞きました。(ノルマ:マリア・ビッレーリ、ポッリオーネ:アキレス・マチャード、アダルジーザ:ヴェロニカ・シメオーニ、オロヴェーゾ:エンリーコ・イオーリ)。 本日のディミトラのつくりあげるノルマ像のドラマと指揮のマリオッティのつくりあげる音楽が一体になり(融合して)、まさにノルマそのもので、これぞベッリーニという格調高いものでした。ベッリーニ独特のうねり(ベッリーニ節)など、まさにベルカントのスタイルだと思いました。 ポッリオーネのマルコ・ベルディ。ポッリオーネは最高でした。いま、まさにヴェルディなどの役を歌ったらイタリアでNO.1の実力派テノールではないでしょうか。冒頭のポッリオーネのアリアから最高でした。絶好調でした。 オロヴェーゾのジャコモ・プレスティアもすごいバスですね。いつもながら感心します。風格漂い格調高く見事に表現していました。 アダルジーザのケート。ノルマとの一幕フィナーレデュエット、ポッリオーネとのデュエットやニ幕のノルマとのデュエット「MIRA O NORMA」最高でした。
ディミトラは、登場のレチタティーボ第一声から女王の雰囲気で、アリアCasta divaを丁寧に柔らかく流れるように繊細に、なおかつドラマティックに気持ちをもってゆき、優しさと強さの二面を表現し一音一音・一語一語大切に歌い上げ、後半のカバレッタにおいても勢いがありすごかった。ポッリオーネとのデュエットIn Mia Man Alfin Tu Seiは鳥肌もので涙がでてきました。大感動いたしました。いままでのディミトラのノルマとはぜんぜん違いました。巧みなSOTTO VOCEを操り、表現の幅に深みがでて、表現力も演技力も見事なもので、すべて自然体でした。 彼女のイタリア語の発音・ディクション、解釈、表現、完璧です。 ディミトラは現代最高峰のノルマうたいですね。マリア・カラスの後を継ぐ正統派ノルマ歌いではないでしょうか。まさに神がかり、マリア・カラスがのりうつったようでした。迫力満点の舞台、迫真の演技・歌唱、ここまでドラマティックに歌い上げるとは思ってもいなかったです。期待以上×1000倍以上でした。今後もう彼女のようなノルマ歌いはもう二度と出現しないでしょう。 ディミトラのノルマを聴いてしまうと、ディミトラ以外のノルマを聴くと物足りなく感じてしまいそうで、(判断基準がディミトラになってしまい) ディミトラ以外のノルマはもう聴けない(聴かない)かもしれません。 いままでのマチェラータやカターニャのノルマのライヴcd,dvd、2003年と2006年のシチリア・カターニャのベッリーニ劇場来日公演のディミトラのノルマ聴いたりしていますが、ぜんぜん違いました。今日が最高でした。別格ですね。トリノの王立劇場、初日の公演(5月16日)の翌日は、新聞にディミトラ大絶賛、称賛の記事がでたそうです。「casta divaで観客を感動させ、泣かした」と書かれていたみたいです。初日聴いた方のお話では、一幕は見事で完璧の出来でしたが、ニ幕は、総合的にはもちろん素晴らしいが、バランスが乱れ、少し疲れが見られたとのことでした。 本日は、一幕もニ幕も見事に決まり、大感激でした。すべてにおいて完璧でした。まさに本物のノルマが舞台に出現したように見えました。