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自作 防音 音楽スタジオコミュの楽しい生ドラム防音;

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実験的要素豊富な生ドラム防音室を作ることになったので、初めてトピックを立ててみます。

ご両親所有の敷地内に二階建てを新築。
周囲は母屋以外には、細い道路を隔てて1軒のみ。周りは畑。
木造在来(筋交い)工法 。
外壁は柱の外側に透湿防水シート、通気胴縁、サイディングの順。(構造用合板なし!)
断熱材は一般的なグラスウール。
基礎は布基礎+土間コンクリート。床は転ばし(転がし)根太。
防音室は一階角部屋、隣は真壁造りの和室と廊下を挟んでガレージ。
(もうほとんど出来上がっているので、添付の画像は説明のためのネットの拾い物です。)

当初、防音業者に見積もりを出してもらったところ、構造躯体の壁を含めて三重壁になる700万円の仕様を提案され、しかも高飛車な姿勢だったそうで、嫌気が差して馴染みのライブハウスオーナーに相談し、巡り巡って私のところに話が来ました。


話を伺った時点の建築工程は、外壁のサイディングが仕上がりつつあるところで、残念ながら設計に関わることはできません。
この状況から完璧なドラム防音室を作るのは、技術的には不可能ではないにせよ費用対効果が悪すぎます。ご予算もピアノ防音と同額程度までとのこと。

防音のために一階の角部屋の壁を補強すると、建物の剛性中心が大幅にずれてしまって耐震性が落ちるため、ほとんど強化できません。
建物本体の防音性能がまったく期待できないので、Box in Box構造を採用せざるを得ませんが、防音ドア2枚とエアコン、防音換気ダクト、照明等の内装も含んだご予算に収めるのは至難の業です。

「やれるだけやってみますが、外部への完全遮音も部屋間の防音も期待できませんよ」と宣言し、それでも良いですと言ってくださったので引き受けることにしました。
隣家が離れているのと窓が無いのがせめてもの救いですが、果たしてどこまでできるやら。
条件が厳しいほど燃える性質(たち)なので、楽しみです。
ちなみに私は防音コンサルタントで、施工は知り合いの内装屋さん(本職:塗装屋さん)にやってもらいます。

コメント(42)

まずは状況確認です。

天井に見える二階の床の構造は、梁の上に根太を転がし、その上に下地合板、その上に直貼りフローリングです。
内装の石膏ボードがまだないので脇から明かりが漏れていますが、上と下で工具の受け渡しができるほどです。

壁は室内側から透湿防水シートが見えます。その外は通気胴縁というスペーサーを介してサイディング(外装パネル)が貼られています。
透湿防水シートは障子と同じ紙質なので、遮音性は何もありません。
透湿防水シートとサイディングとの間の通気層は、一階から二階へと外気が流れます。音も二階と外部へ流れます。つまり、外壁側の遮音性は期待できません。

隣は和室です。真壁といって柱より壁面が若干へこみます(奥に入っています)。つまり、壁厚は薄くなります。そのため間柱は非常に細いです。こちら側も遮音性は期待できません。

土台の上を見ていただくと、隣の部屋の根太が見えます。基礎の人通口をふさいだとしても、根太と根太との間の空間を介して、すべての部屋が床下で繋がっています。この空間は壁の内部とも繋がっているので、家中繋がっていることになります。

防音室を設計する場合、隣や上下の部屋との隙間は空けないようにするのですが、この物件の設計士は防音には疎く、まったく配慮がありません。
サイディングがまだ貼られていない箇所があり、そこから外光が入ってきて部屋が明るいです。今現在、建物の中の他の部屋とも外とも自由に会話ができます。
細部を確認したところ、土台と基礎の間の基礎パッキンは防音室部分だけ木材に代えられていて、ここからの音漏れがないよう配慮されていました。(画像は依頼者からもらったものです)

隣の和室(2枚目の画像)は塗り壁です。柱と柱の間隔が広く面積が大きいので防音上は不利です。

防音室の真上は無垢材?フローリングのリビングです(3枚目の画像)。せめて遮音シートが挟んであればと期待したのですが、下地合板に直貼りでした。まるで楽器の響板のようです。
はじめまして。僕は古民家の一角をルームインルーム(Box in Box)構造で遮音材のメインに木毛セメント板を使用しての二重構造で実践しようとしてます。予算がないので自力で研究しながら時間かけてやってます〜w
>>[5] 私も常に研究しながらやってます。木毛セメント板は入手しにくいのが難点ですが、使い方によっては優れた防音素材です。知り合いの大工さんのご自宅の内装は全部これです。
>>[6] 最初は職人さん向きのホームセンターにあるかと思いきや、店員さんも知らない材でしたので、取り寄せを考えています。
1枚目の図は現状と防音業者案です。ドラム用防音室としては定番の三重構造です。
床は既存のコンクリート面の上に高密度グラスウールを敷き詰め、その上に防水シートを張ってコンクリートを打つという湿式二重床構造です。さらにその上に、防振ゴムなどでフローティングさせた部屋を作ります。

遮音性は非常に高いですが、コストも高いです。当然、室内は狭くなります。
さらに何かあったときに、点検もメンテナンスもできないことです。特に湿式二重床の間のグラスウールが漏水等で水を含むとクッション性がなくなり、しかも回復手段がありません。

次点の案は、二重壁構造の組み立て式防音室を入れる案です。
サウンドジャパンのパワ―ダブルブースが定評あります。
http://www.soundjapan.com/japanese/product/booth/d-60.php

でもいずれにしても、まず費用的に却下ということでした。予算的には二重壁構造が限度でした。

定番の方法は、壁と天井を張って、その中に部屋を作ります。石膏ボードは遮音シートを挟んだ二重貼りです。天井は防振ゴムを介在させた防振吊り木というもので躯体から吊ります。
天井が低くなるので、室内高さを稼ぎたい場合は床を下げることが多いです。
コンクリートの上にフローリングだと硬すぎるので、感触を改善したい場合は、防振ゴムを介して薄い浮き床を作ります。

この場合のデメリットは、床が冷たくカビやすい、温まりにくい、他のフロアと段差ができる、シロアリ被害の点検と対処が難しい、などです。

依頼者から、狭くなるのは構わないと言ってもらえたので、他のフロアと同じく床下を作ることにしました。もちろん防振ゴムを介在させて、躯体との間で振動伝達の縁を切ります。
防音用の空気層は厚いほど遮音性能が上がるので、なるべく天井を高くするため梁の間に天井を張ることにしました。
1枚目の図は木造住宅における二重壁の一般的な断面構造です。
構造躯体の柱に石膏ボードを二重貼りし、少し離して内壁用の柱を立て、同じように石膏ボードを二重貼りした後、その上に反響調整用の内装用グラスウールパネルを貼ります。内壁の空気層側にボードを貼らないのは、人が入って施工できないためです。

人が入れるほど十分な間隔を確保できる場合は、内側の壁の両面に石膏ボードを二重貼りします(2枚目の図)が、当然、狭くなるので、元の部屋にかなり余裕がないと採用できません。

今回の物件は外壁の構造用合板がなく遮音性能が限られているので、室内側の吸音材を厚くして、室内音量を下げることで防音性能を稼ぎたいと思います。でも、できるだけ狭くしたくないので、内壁のボードをなんとか空気層側に貼って、柱の間にグラスウールを収めたいと思います。(3枚目の図)

そこで、施工者と相談の上、ツーバイフォー工法のように、床で壁を寝かせて作って内側から外壁の方向に起こす方法を考案しました。石膏ボードを貼る前なら一人でも起こせます。起こしてから貼っても結局は動かさなければなりませんが、バールを使ってテコの原理で押せば動かせそうです。

内壁の柱には、バスドラムの破壊的な衝撃力に耐えるべく2x6(ツーバイシックス)材を使うことにします。柱の間の吸音材の厚みも十分取れます。狭い部屋で強固な壁に囲まれると反響が酷く、特にドラムの場合は耳を傷めがちなので、その対策にもなります。
というわけで、壁と言えるものは二重張りの石膏ボード二組だけです。

木造や鉄骨造の集合住宅の界壁(世帯を分ける壁)は建築基準法で柱の両側に石膏ボードを二重張りするよう定められていますが、実際の遮音性はお世辞にも良いとは言えず、薄くて音が筒抜けというイメージが定着していると思います。ドラム用防音室の壁がそれで良いわけがありません。実は秘策があるのです。


長年、超難題の防音物件ばかり手掛けてきて、昨年にようやく防音壁の技術が完成の域に近づいてきたので、安価で入手が容易な材料を使って、誰でも作りやすくて、長年に渡って高性能を維持できる工法をご紹介します。

最初の図は壁を上から見た断面図です。あらかじめ、柱の間隔に合わせて12.5mm厚の石膏ボードを縦に割ります。丸鋸なら数枚重ねてカットできます。

一層目は、細いボードの中心線を柱に合わせて上下2箇所ぐらいで仮留めします。丸鋸の歯の厚み分だけ石膏ボード同士の隙間ができますが、そのままにします。上下の継ぎ目もスクレーパー等の薄いスペーサーを入れておいて仮固定後に抜き取ります。ボード同士が干渉せず別々に動くほうが望ましいのです。一層目は端材も使ってください。ある程度まで小さいほど遮音効果があります。

次に、横のボード同士の継ぎ目に、上から下まで両面ブチルテープを貼ります。一般的な0.5mm厚50mm幅で十分ですが、1mm厚のほうが性能と耐久性は良くなります。

最後に柱と柱を跨ぐよう二層目の石膏ボードを張り、通常のビスで通常ピッチで固定します。二層目は長くても構いません。上下はパテ埋めで繋いでも構いません。ただし、これも短いほうが遮音性能は良くなります。

二層目の横のボードとの隙間も空けておきます。化粧仕上げは塗装か、隙間を若干多めに空けて(目透かし貼りにして)クロスを巻き込みます。今回は壁の奥の見えないところなので、何もしません。

これだけで比べ物にならないほど遮音性能が上がります。
既存の一重石膏ボード壁でも、ボードカッターで表面のボードだけ慎重にカットすれば同じ構造が実現できます。

地図をコンパクトに折りたためる“三浦折り”の向こうを張って“中里張り工法”(ら〜ぼの本名)と名づけました。理論は後ほど説明します。
特許には馴染まないため全面公開しますので、ご自由に試されて構いません。ただし、どこかに“中里張り工法”であることを謳ってください。評価もいただければ幸いです。

今回の物件でも採用しますが、完成したら遮音性能を公表するつもりです。どうです?簡単でしょ。
防音床下地の構造です。

本来なら剛床(ごうしょう)下地のように大引(おおびき:太い角材)も根太(ねだ:細い角材)もプレカットで格子状に組むのですが、予算の都合で転ばし方式とします。

通常と異なるのは、鋼製束(つか)と床下地の間に防振ゴムを挟むことと、二重壁を乗せるため外周部の少し内側を支持すること、それから床の振動を吸収するためのミュート用束を配置することです。

ドラムから床に伝わる振動が壁に伝わる前に吸収してしまおうという目論見(もくろみ)です。太鼓の膜面に手を触れてミュートするのと同じ原理で、束が横ずれしない程度に軽く突っ張ります。

根太の間には高密度グラスウールボードを埋め込みます。これは断熱以外に床下の反響を吸収する目的があります。最近は発泡樹脂断熱材が全盛で、グラスウール製は在庫処分価格だったりします。

床板は縦3分割した板を千鳥上に張って、遮音シート(遮音マット)を敷いた後、直行させて2層目を張ります。

床下は基礎の人通口を通じて建物全体が繋がっているので、遮音用の蓋を作って嵌め込みます。

仕上げはタイルカーペットの予定です。
私の拠点は神奈川県川崎市の山手の方で、現場は千葉県君津市の久留里という同じく山手の方なので、東京湾を跨いでさらに距離があり、どうしても確認の間隔が空いてしまいます。

先日、図面で打ち合わせた後、床組みが出来たと連絡が入ったので見に行きました。

打ち合わせた内容と違います!

「2段目の角材の費用を節約するため細い角材を使った。その代わり、束はたくさん入れた」とのこと。
振動の節(動かない場所)と腹(動きやすい場所)を明確に作って、腹の部分に軽く触れることによって振動を吸収するというのがミュート工法の原理なのですが、これでは全体がフローティングされていて、どこが節でどこが腹なのか分かりません。

こんなに束があると、突っ張り強さを適切に調整することが不可能ですし、シロアリ被害が発生したときに駆除業者も入っていけません。

今から二段目だけをやり直すと床の高さが変わるので、全部やり直しになります。工期も予算もぎりぎりなので、束の数を減らして、これを活かして進めることにしました。
床を張ると石膏ボードの下のほうが固定できないので、壁から先に張ります。

石膏ボードを半分にカットする手間は増えますが、重さが半分になるので作業が早いです。

一層目の石膏ボードのセンター上下二箇所をビス止めしていきます。タッカーでも構いません。これだけでぐらぐらせず結構しっかりしていて、両面テープを貼るのには支障ありません。

両面テープの剥離紙(写真で薄茶色にみえるもの)を剥がして二層目を張っていきます。通常のボードビスを200mmピッチで留めていきます。

一層目は隙間があってスカスカなので外の音はそのまま聞こえますが、二層目を張るにつれ、部屋がどんどん静かになっていきます。ただし、天井を張っていないので、まだ上からは良く聞こえます。

でも、施工している方いわく、何十年もやってきて防音室も何件も経験しているが、こんな経験は初めだ。静か過ぎて気味が悪い、とラジオ(BGM)を鳴らし始めました。
>>[15] 懸念されているとおりゴム材は劣化しやすいものです。私は劣悪な環境にさらされるエアコン室外機の防振用ゴムを使っています。色々なゴムをさまざまな条件で何年も掛けてテストしてきましたが、コメント11に記載したBG-100は性能、耐久性、コストが群を抜いて良好でした。環境変化の少ない床下で、単位面積当たりの荷重を適正に保てば経年劣化の心配はほとんどありません。

石膏ボードの切断はコメント10に書いたとおり丸鋸です。歯の厚さ分、幅が狭くなるのが好都合なのです。
通常は出来るだけ隙間を空けないように作り、さらに空気漏れの無いようシーリング剤やテープ等で丹念に塞いでいくのが防音のセオリーですが、中里張り工法ではあえて隙間を空けて作る部分があります。(すべてではありませんが)
束の数を減らして突っ張り強さを再調整しました。

一層目の板を張り、その上に厚さ3mm以上の遮音シート(マット)を敷くのですが、下地の構成が変わったため、1.2mm厚の遮音シートを3枚重ねにして制振性を強化しました。これはちょうど施工店の倉庫に余っていた在庫品を流用できました。

その上に直行させて二層目の板を張り、床下地が完成しました。一層目、二層目ともに隣り合う板同士が接触しないよう若干隙間を空けて張っています。

まだ内側の壁を乗せていないので現時点での踏み心地は弾力性が多めです。いつもと感触が違うので、少し不安が残ります。
すみません、コメント17の2枚目の写真と3枚目の写真の順序が逆でした。
残りの壁も張り終わり、天井に取り掛かりました。

天井を出来るだけ高くするため、梁と梁の間で軽天(軽量鉄骨(LGS)天井下地材)を組みます。

一般的には、防振ゴムが組み込まれた防振吊り木というもので野縁(のぶち:天井下地材)を吊って、上階の構造材全体を覆う防音天井を作るのですが、安価で良い防振吊り木が見当たりません。
防振とは名ばかりの硬いゴムを使ったものばかりです。やわらかいゴムは劣化しやすいから仕方がないという理由も分かりますが、真剣に開発する気がないのでしょうね。

ツーバイフォーなら床根太とは独立した天井根太を組むのですが、在来工法では天井が下がりすぎてしまって、この方法が使えません。

吊り木が硬いと糸電話の糸になってしまって天井面の振動を上階の床へ効率良く伝えてしまいます。なので吊り木は使わず、梁の側面で支えるようにします。

下から梁が見えても防音上、問題ないの?と良く言われますが、まったく問題ありません。機械(物理)インピーダンスが大きく異なるからですが、長くなるので詳しい説明は後ほどにします。

しかしながら、軽天はもっとも防音に向かない天井なのですが、なぜこれを使うのかというと、材料コストと工賃を抑えるためです。でも、中里張りによって軽天が防音天井になってしまいます。(なるはずです)
目に見えないぐらいの僅かな隙間でも音が漏れるというのに、この家は多数の大きな断面積で建物全体が繋がっています。もう隙間というよりは開口部と言っていいくらいです。
これは設計時に対処すべきことですし、コスト的にも限界なので「隣や二階の部屋にはかなり音漏れしますよ」とお施主さんには断っていました。

元の計画では、予算上の都合で天井は中里張りの簡易版である一重張りの予定でしたが、職人さんが床組みを無断で変えてしまったお詫びとして、コストアップ分は自分持ちでいいと言ってくれて二重張りすることになりました。

かなり細かく分割した石膏ボードを二重張りしてくれることになったので、これで音漏れが随分緩和されると思います。
残りの大きい区画も同様に二重張りします。

重さに頼る通常の防音施工なら重量も剛性も大きく変化するので、耐震設計にそれを見込んでない場合は建物全体の耐震強度が落ちることがあります。防音室が重すぎて不等沈下を起こした例も、先の大震災で多く耳にしました。

今までも地震のことを考えて、防音性能を多少犠牲にしてでも極力軽量な防音対策を心がけてきましたが、今回の熊本地震を踏まえ、その方針に間違いがないことを再認識しました。

通常の木材で野縁を組んで一重張りするのと比べても、大きな重量変化はないので、建物の耐震強度にはほとんど影響はないと思います。
地震対策関連の会社に勤めていたことがあるのですが、実物大震動実験など、そこで得られた知識や経験が役に立っています。
躯体側の天井の二重張りが終わりました。障害物を避けるため梁より石膏ボードの厚み分だけ下がっているところもあります。なるべくボードが振動しやすくするため、ボード同士の隙間は意図的に空けてあります。

天井が張り上がると一気に静かになりました。まだドアは付いておらず、隣の車庫を介して外が丸見えなのですが、外の音はほとんど入ってきません。特にトラックの重低音がなくなって静寂な雰囲気です。

中の音も同様に、外では聞こえなくなりました。もう中と外とでは叫んでも会話できません。マキタの現場用ラジオが結構低音まで出るので、フルボリュームで鳴らしてみたのですが、ドアの開口部から車庫を周って届く音だけで、壁の透過音はほとんど分かりませんでした。
これでドアが取り付けば、ピアノぐらいなら十分実用的な防音室になりそうな気がします。
続いて内側の壁の製作に取り掛かります。下地(柱)材は2x6(ツーバイシックス)材を使います。

通常の二重壁の場合は下地(柱)材を完全に組んでから内側にボードを張っていきますが、そうすると内装用吸音材(ガラスクロス巻きグラスウールボード)は壁表面にしか貼れません。
吸音材の背面の空気層が厚いほど低い音まで吸音できるので、今回は柱の外側に石膏ボードを張り、柱と柱の間に内装用吸音材を嵌め込んでいく予定です。

でも、躯体の壁との間が150mmしかないので、柱を完全に組んでしまうと人が入れず外側からボードを張ることができません。
そこで、ツーバーフォー住宅と同じように床で壁を作って起こすことにしました。ただし、石膏ボードを二重張りすると重すぎて一人では起こせないので、所定の位置近くに立ててから、そこで下地材の外側に石膏ボードを張ります。立てていればボードを二重張りしていても一人で動かせるそうです。
内側の壁はこのようにしてお互い立てかけながら作ります。

中里張りを内側から見ると柱と柱の間に石膏ボードの継ぎ目が見えます。たぶん見たことない風景だと思います。

3枚目の写真は一層目を張ったところで光に透かして撮ったものです。結構光が漏れるのでボードの真ん中に柱があるのが分かると思います。
ドア側の壁は分割して作ります。

内側はスチール製防音ドア、外側は木製無垢ドアを加工して取り付ける予定です。
内側の壁に防音ドアのスチール枠が入りました。スチール製防音ドアの中では一番軽量なタイプですが、それでも扉だけで75kgもあるので、吊り元(ヒンジ側)の下地材を重ねて補強しています。

続いて内側の天井を製作します。壁と同じく2x6材を使います。

内側の壁と天井には制振性強化のため、下地とボードの間にも両面ブチルテープを貼っています。

当初計画の一重張り(簡易版)の場合は、このブチルテープが制振材になります。(二重張りの場合は、ボード同士の合わせ目に貼るブチルテープが主要な制振材になります)

天井に張る石膏ボードと壁面の間には、気密のためエプトシーラー(クッションテープ)を貼っています。
もう手慣れたもので、何の問題もなく、あっという間に仕上がりました。

天井仕上げは塗装の予定で、色はこれから打ち合わせます。
防音室は気密性が高くなってしまうので換気は重要です。窓がある場合は音を出さない時に開け放てばいいのですが、ここはドアしかないので換気扇を取り付けます。

直接屋外との間で換気するには高性能な消音器が必要になってくるので、コストを抑えるため、廊下との間で換気することにしました。

二重壁の間の空気層も空気を入れた換えたいので、給気は廊下から一旦空気層に入って(1枚目の写真)、部屋の対角に位置する場所の空気層から室内に取り入れます。室内の開口部はエアコンの真上にして、空調およびフィルタリングされてから室内に供給されます(2枚目の写真)。

排気はダクト用ターボファンを使って廊下に排気します。大風量は必要ないので、安価で静かで静圧が強いこれにしました。
http://www2.panasonic.biz/es/ai/products/search/detail?c=search&item_no=FY-08PK7&item_cd=FY-08PK7&b_cd=501&bh_cd=5
ダクトが空気層を直接貫通するので、振動が伝わらないようアルミフレキシブルダクトを使用しています(3枚目の写真)。ファンの仕様書にアルミフレキは使うなと書かれているのですが、曲がりもないし手にも触れない場所なので大丈夫でしょう。

巷では二重壁の空気層を介して換気する場合、給気側をダイレクトにして、排気側を空気層経由にするという例を多く見受けるのですが、そうすると人が発する湿気が空気層に入ってしまいます。防音室は断熱性も高くなるので冬は外壁側に室内の熱が伝わらず、冷たい壁体内で結露する恐れがあります。なので、逆にしました。
内側の部屋のスチール製防音ドアが設置されました。

静岡の防音会社(有)幸昭に特注で作ってもらったスチール製防音ドア“ガーディアン2「改」”です。
実は昨年にフラメンコ教室を作るときに作ってもらったのですが、ドアの仕様変更により在庫していたものです。ドラム防音室には丁度良いので流用することにしました。

板の振動モードは長辺を固定辺として短辺が撓むのが支配的なのですが、市販のスチール製防音ドアはなぜか縦の補強桟を採用しているものが大半です。必然的に窓も縦型になります。でも、防音上は、どう考えても横桟のほうが有利なはずです。
幸昭に掛け合ったところ、横桟でもコストは大きく変わらないとのことなので横桟にしてもらいました。

100Kg越えは当たり前といわれるスチール製防音ドアですが、実際には重さほどには遮音性が得られないのは、もう一つ理由があります。叩けばドーンと鳴ってしまうことから分かるように減衰性が少ないのです。
そこで、内部にマグネットシートを貼って、鳴らないようにしてもらいました。

気密性はマグネットパッキンに頼ることにして、ドアノブをグレモン錠ではなく美和ロックの開力軽減プッシュプル錠「POMR」を採用しています。
http://www.miwa-lock.co.jp/tec/products/pomr.html


躯体側のドアも内装吸音パネルもまだ設置されていないのですが、現時点での遮音性を測ってみました。
もう、ラジオや家庭用スピーカーでは全く太刀打ちできないことは分かっていたので、音響屋さんに協力してもらってPA用パワードスピーカーを持ち込みました。測定用音源は、ホワイトノイズを各周波数帯域ごとにフィルタリングしてから出力レベルを揃え、出音3秒、無音2秒を繰り返す測定用音源を作って臨みました。

防音室内での音量を概ね120dB(耳が耐えられる限界)にして、1台の騒音分析計で内外の差を測定したところ、125Hz帯で-36dB、250Hz帯で-59dB、500Hz帯で-75dB、1kHz帯以上では測定不能との結果でした。ドラム防音で重要な低音域での遮音性能が低いのは、多分ブチルテープがまだ馴染んでいないせいだと思われます。

躯体側のドアが設置され、室内の吸音パネルが設置されたら、音響エネルギーが不足することが予想されるため、本番ではPAスピーカー2台体制で臨みたいと思います。
外側の無垢ドアが納まり、お施主さんとの打ち合わせで配色が決まりました。

天井は黒の塗装、壁は黒のガラスクロス巻きグラスウール。床は施工店に一任。
内側のスチールドアは濃い青、外側の無垢ドアは黒です。
もうほとんど真っ黒けの室内にスポットライトで照らされる部屋です。

でも、エアコンとコンセントは白のままのようです。
外側の無垢ドアが黒に塗装されました。

真っ黒の天井と壁に合わせて施工店が選んだカーペットはこれ!
関係者一同「どひゃ〜」
でも、お施主さんは、、、拍手喝采!でした。良かった(汗)
柱の間に柔らかいグラスウールと硬めのグラスウールパネルを押し込んで、壁全体に布を張る予定でしたが、施工店に在庫していたグラスウールパネルをいざ確認してみると、保管方法が悪くて新築の部屋には使いがたいものでした。

新たに新品を買うのなら表面仕上げ材として使っても問題ないのですが、片側の壁で厚みの50mm分、部屋が狭くなります。(低音の吸収性は良くなります)
幸い、お施主さんからOKがもらえたので、一般的なスピンドルピンとボタンワッシャーによる固定方法に変更しました。http://item.rakuten.co.jp/yamayuu/pk55d/

そうすると柱の間のグラスウールは必要なくなるのですが、少し余っているので防音室に隣接する和室側の壁に使うことにしました。ほんの少しですが遮音性に寄与すると思います。

途中まで立ち会って細かい納まりなどを決めた後に現場を離れましたが、特に問題なく仕上がったと連絡が来ました。

これでドラム用防音室の完成です。
多忙のお施主さんが休めるゴールデンウィーク中に遮音テストを実施します。
完成した防音室の画像が届きました。
細部の処理が多少残っているのですが、お施主さんが待ちきれず楽器を持ち込み始めているようです。
ようやくデータ整理ができましたので遮音テストの結果を発表します。

当初予想通り、低域が漏れるという結果でした。これは1年ほど掛けて5dBぐらいは徐々に上がっていくと思います。
それに比べて中高域の遮音性能は予想をはるかに上回っていて、低域の漏れが目立ってしまいました。

周波数特性は1オクターブごとのノイズ源を用い、リアルタイム周波数分析計で帯域を絞って計測しました。音楽とドラムはA特性フィルターを通して総合値(一般的な騒音計と同等)で計測しました。
音楽音源は重低音がたくさん入っているKARAの代表曲「ミスター」、ドラムはT氏がバスドラ・フロアタム・スネアで低音重視の定常パターン繰り返し、M氏が通常の演奏で安定して音量を維持できるフルパワーで叩いてもらいました。

幸い、隣家まで25mほど離れているので、お施主さん曰く「そこまで行くとほぼ聞こえない」という状況で、目的は達成することができました。「これで気兼ねなくドラムが叩ける」と喜んでもらえました。
意外なのは、建物内の隣接する和室と直上階のリビングへの音漏れが少なかったことです。これも、漏れたのは重低音だけでした。やはり設計段階から関与したかったです。難しい制約が多すぎました。

テスト当日は風が強かったこと、ドラムが完全にセットされておりスピーカーの配置が制限されたこと、PAスピーカー2台と大出力アンプを用意したにもかかわらず壁の吸音材に吸われて音量が十分上げられなかったこと、協力者の人数が多く時間の制約があったこと、などから一人でじっくり検証することができませんでしたので、後日、機会を見つけて要因を探っていきたいと思います。

とりあえず「中里張り」は実用十分な遮音性能が得られることが実証できましたが、重低音の音漏れ対策については、今回の施工で新たなアイデアが浮かんだので、今後さらに技術開発を進めたいと思います。

部屋の温度が上がるほどの出力で、15inchのウーファーを持つ2台のスピーカーが悲鳴をあげるほど鳴らしたにもかかわらず各帯域とも110〜120dBが限界でしたので、今後、音源も検討が必要です。
壁の内装材でそこまで吸音させたにもかかわらず、息が詰まるようなデッド感にはならなかったので、防音室には慣れている関係者を含めて全員に好評でした。
お施主さんから「私が普段演奏している音楽(インプロビゼーション)が、ロックのようにバスドラム等を常にドカドカ叩くスタイルではないので、周囲に遠慮せず安心しきって快適に練習できており…」との感謝メールが届きました。

さて、その後のデーター解析により低音の漏れの原因が分かりました。
予想されたことではありますが、躯体の柱の外側に合板が無く、薄いサイディング(外装パネル)が盛大に振動していました。

今回は設計段階どころかサイディングまで施工された状態からの関与でしたので、こればかりはどうしようもありません。
それでも内側から壁を補強して遮音性を上げることはできるのですが、建物の剛性バランスが狂って耐震性を落としてしまいます。(普通の防音業者ならそんなこと無視するか、そもそも知識が無いでしょう)

防音にはほとんど無配慮の建物でしたが、二組の石膏ボード二重張りによりここまで遮音できる、ということが分かったことは大きな成果でした。
換気ダクトの音漏れを測り忘れました。

外部への音漏れを少なくするため廊下との間で常時給排気しているのですが、100Φのアルミフレキの端部が壁からそのまま見えていたので、化粧リングプレートを付けてもらいました。(網状のグリルはないので、それでもアルミフレキは見えます)

換気ダクトをただ繋いだだけでは文字通り音が筒抜けになるので、空気層や壁の内部が消音器として作用するよう防音設計してあります。特別なフィルターや吸音材等は使っていません。

音漏れテストの日は私を含め6名が立ち会ったのですが、あまりに上手くいったのか、給排気口からの音漏れには誰も気が付きませんでした。また、次の機会に測ってみたいと思います。
その後、検証を進めたところ、中里張りは剛性の低い下地材ほど効果的という傾向が明らかになりました。

つまり薄い、広い、たわみやすい壁(天井)です。今回で言えば、和室の真壁や天井のLGS(軽天)です。
下地材の長さが長い外壁、躯体天井中央部、内壁天井部です。

また、中高音域においては遮音パネルとして働き、低音においては吸音パネルとして働くことも分かりました。
吸音材は遮音材で囲まれた内側になければ効かないので、中里張りの外側の壁が弱いと低音が抜けてしまうようです。

したがって、通常の住宅であれば重くて硬い塗り壁などの内壁に適用すれば最も良い結果が得られそうです。
また、ツーバイフォー住宅の吊り天井根太や、(低音への効果は限定的ですが)千鳥配置の柱にも大きな効果が期待できます

吊り天井根太の例
http://www.2x4assoc.or.jp/quality/livability/livability01.html
千鳥柱の例
http://yoshino-gypsum.com/kouhou/taika/taika09a.html
>>[37]
はじめまして。生ドラムの防音を調べていてたどり着き、大変興味深く拝読いたしております。私自身はドラマーではなく、日曜大工を趣味としているにすぎないのですが、ドラマーから「防音室作って!」と相談されて往生しております。
ひとつ質問ですが、過去のご投稿で「スタイロ壁でドラム防音」をご検討中とのことでしたが、その後のご進捗はいかがでしょうか?
>>[38] コメントありがとうございます。
スタイロをケイカル板でサンドイッチした複合パネルが、今のところ最高の遮音性能が得られています。
グランドピアノの防音に用いた場合、ピアノの音質を悪化させないどころか、一クラス上の音質に引き上げられるところまできました。
しかし同時に、理論が理解できないと使いこなせないことも分かってきましたので、残念ながら万人向けではありません。

音に関しては今回紹介した方法は、誰がやっても一定の性能が得られるので安心してお勧めできます。今回は制約があって出来ませんでしたが、一番外側の壁面をなるべくガッチリと作ってください。それから、床へ振動が伝わらないように工夫することも忘れないでください。
>>[39]
さっそくのお返事ありがとうございます。
スタイロなので、てっきりかるーい壁だと思い込んでいましたが、ケイカルサンドでしたか。

そうなると、
・ドラムスペースを最少でサブロク2枚分と見て
・サブロクのケイカルサンドの重量は大雑把に20〜40Kgとして、
・ドラムスペースを、床以外の5面をケイカルサンドで囲んだだけで200〜400kg
・このほかに衝撃緩和フロアも必要

床荷重や耐震の知識がない素人DIYerの範疇を超えますね。。。
>>[40]
一般的には重さに頼るしかないので、ドラム防音ですと相当な重量になります。プロでも敬遠するぐらいですのでDIYで対処できるレベルではありません。
技術的には飛行機や新幹線の防音技術のように軽く作ることも可能なのですが、一般の防音業者でもそこまでの技術は無く、まして素人に全く無理な話です。

そこで、完全防音は清く諦めて、半減程度を目標にすればDIYでも何とかなるのではないでしょうか。
1.床下に束を沢山追加する。
2.床以外の5面を軽量鉄骨材(LGS角スタッド)で組む。
3.プラスターボードを中里張りする。(窓も換気も諦める)
4.ドアは厚さ30mmのパーチクルボード1枚で作る。
  (パーチクルボードの4辺の断面側に防音用隙間テープを貼り、さらに滑りテープを上貼りする)
5.防振床は「タイヤふにゃふにゃシステム」で作る。
6.内部は冬物衣類や毛布や布団を吊り下げて吸音する。
>>[41]
御礼が遅くなりすみません。
石膏ボードを中里張りということは、やっぱりン百kgコースですね。。。
軽鉄は、視野には入っていたものの扱ったことがないので勉強してみます。

この相談をいただいているドラマーはメタル系なので、窓はともかく換気がないと熱中症で死んじゃう懸念などあり。
もう少し細かい話を聞いて、またご相談するかもしれません。
図々しくて大変恐縮ですが、その節はよろしくお願い致します。

換気付きのプラだんぼっちとかで成功した人いないかなぁ。

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