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ふぃくしょんコミュの雨

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たまに出かけた、街中。ひとりで街中をふらつく。
雨がふってきそうな空。傘はもっていない。
雨がふるまえに家路につこうと足を急がせる。
その途端やはり雨が降ってきた。
急などしゃぶり。雨宿りと思い、店のアーケードに身をおく。
すると、右側の外用灰皿の前にたばこを吸いながら雨がやむのを待つ男がひとり。
左側には、大荷物を抱え、雨をうらむように見上げる女。


と言う書き出しから続けた自作ストーリー





−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−




「タバコ、止めてくださる?」
僕の言葉をさえぎるように女性が言った。
その言葉に特に動じた様子もなく、男はゆっくりと煙を吐くとまだ少し先の残ったタバコを地面へと落とす。

その様子に、ナゼか目を奪われた。

「あぁ・・・、悪りぃな。
 地面に捨てるべきものじゃぁないよな。」
男は僕の視線に気付いたのか、そういうとタバコをつまみあげ、空き缶で作られた簡易の灰皿にタバコを捨てた。
「あ、いや。僕は・・・そんなつもりじゃ。」
すっかり気まずくなってしまった僕は顔をコートの襟へとうずめた。
そんな僕をみてか、男はふっと軽く微笑むと締め切られたシャッターへ寄りかかりしゃがみこむ。

「ま、なんだ。何か話すか。」

その言葉に女性がちらりと視線をこちらに向けたのがわかった。

「別に、強制じゃない。そう睨み付けんなや。」
男は力なく笑う。

「知り合い・・・ですか?」
すこし戸惑いながら僕は言った。

「・・・そうだなぁ
「違います。」
男の声に被るようにして、女性が強い口調で否定をした。
思わず、僕の視線は女性に向けられる。

さっきまでは気付かなかったけれど、彼女のこの苛立ちの矛先は本当に雨なのだろうか、とふと疑問を抱く。

いつの間にやら彼女の視線は地面へと注がれていた。

「ただ、偶然こちらで一緒になっただけです。」
何者も寄せ付けないようなその口調に、次に繋がる言葉を失う。

「お前は、ココら辺に住んでんのか?」
そこでまた男が沈黙を破って口を開いた。
「え?」
「いや、なんとも軽装だからさ」
とまどう僕に下から見上げるようにして男は言った。
初めて目を合わせ、何か引っかかるものがあった。
黒い髪、白い肌、そして、茶色味の強い瞳の色・・・。
「あぁ・・・、まぁ。」

「・・・あなたここら辺に住んでいるの?」

突然の女性の参加に僕は一瞬驚く。
「はい。ココの道をも少し行ったとこを左に曲がったとこで・・・。」
「おぃ!!!時雨荘か!?」
今度は男が食いついてきた。
女性も何やら驚いた表情で顔を上げる。
「え、えぇ。」

僕は戸惑いながらもそう返事を返し、両サイドから注がれた視線にどう応えたらいいのかわからずに、視線を落とした。

「驚いたわ・・・。」
女性は静かに口を開いた。
雨脚は着実に弱まってきていた。

「まったくだ。」
そう言って男も苦笑いをしながら髪をかきあげる。

「あの・・・?」
僕はアーケードギリギリまで行くと、振り返り二人の顔を見た。

「俺達も時雨荘の住人だよ。」
「今日から・・・ね」

男の言葉に女性が付け加える。

「えと・・・?」

僕は未だに意味がわからず困惑のまなざしを向ける。

「俺たち結婚したんだ。子供ももうじき生まれてくる。が、だ。ちっとケンカしちまってな。今、奥さんと子供を失うか否かの一大事なんだな。」
「・・・」
「アナタが言うと一大事に全然聞こえないのよ。
だいたい、悪いことしたなんてちっとも思ってないんでしょう。」

二人の間をまたぐモノがなくなった途端、二人は顔を見合っての言い合いになった。

それを遠巻きに見ていた僕にはなんとも信じ難い考えが脳裏をよぎっていた。
この二人が、一体誰なのか、と言う。

「ま、いいわ。今回は私が折れてあげる。」
「それは、ありがたい。」
僕がぼーっとしている間にひとしきりの会話を終えたらしい二人は、すっかりわだかまりが取れた様子で、晴れ晴れとした顔をしている。

「雨が、あがるわ・・・。」

その声に一同が空を仰いだ。

灰色に染まっていた空に、うっすらと青空が顔を覗かせていた。

「行くか」
男は立ち上がると、女性のかばんを取り上げる。

そして、すたすたと前へと歩きだす。
時雨荘へ向かって。

「まったく・・・。」
呆れたように女性はつぶやいた。

「ねぇ、君」
女性が僕に向かって微笑む。

「名前は?」

・・・・・

「晴(はる)」

「晴・・・。
 い〜ぃ名前。もらっちゃおうかな。」

そう言って最高の笑顔を見せて彼女は去っていた。


「うそ・・・だろぉ?」

僕は小さく呟いた。
カルト系のものなんてまったく信じていない僕だった。
ましてや、あいつらは死んでもない。
なのに、今の二人組みは
あまりにも似すぎているじゃないか。
小さい頃一度見た
写真の両親そのものじゃないか。


僕の父も、母も、若くしてできた僕を育てきれずに、施設へ預けてそれきりだった。4・5年前から届き続けている手紙は、未だに開けることなく押入れのどこかにしまってある。


こんな日だ。雨にも濡れたし、会いたくないと思ってた奴らにも会った(ナゼか若い日の。コレをデジャビュと呼ぶのだろうか?)。
このさい、たまった手紙でも探してみようか。
晴の名前の由来でも、書いてあるかも知れない。
今日のこんな日がもしかして書かれているのかも知れない。


父も母もいないことで、悩んだことは幾度とあった。
でも、どんなときだって乗り越えてきたし、今はこんなに気分が晴れ晴れしている。


どんなに雨が降り続いたって、
止まないときはないんだ。


そう、どんな天気であろうと、雲を抜ければ、そこはいつだって晴れてるんだから。


そうして、跡形もなく消えた二人の影を追うように僕は前へと進み出した。

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