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ふぃくしょんコミュの台風

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「は、」
思わず武は笑った。
どちらかと言うと自暴自棄な笑い。
武は家へと向かう自転車の上。何日か前から騒がれていた台風の中を、今、まさに突っ切っているところだった。
「まいったな。」
そう、武は嬉しそうに呟いた。
空には絵の具をチューブから出したような青。そしてすっかりと雨で洗い流された地上。
 武もそんな地上の一部だった。
もとから黒かった制服のズボンはさらに深みを増し、白かったワイシャツは今や新種のシースルーの素材へと変わっていた。
 両サイドには家が並びその庭からきれいな緑をのぞかせる。授かった滴を重そうに抱えて。

ぴるるるる・・・・

なんとも古典的な携帯の呼び出し音に武は自転車を止める。
そしてハンドルに掛けてあったコンビニの袋をおもむろにほどく。
 コレは武がこの台風から携帯を守る為に編み出した案だった。
・ ・・そう、自分のカバンと少しの教科書を犠牲にした。

「もしもしっ」
すでに留守電になりかけていた携帯に急いで答える。
「お、出た出た」
電話の向こうからはさっきまで一緒にいた友達の声。
「今どこだよ?」
笑いを含んだ声で問いかけてくる。
「目ん中」
武は面白そうにそう答えた。
「はぁ!?」
友人のその声に武は笑って答える。
「どうせお前等オレのこと馬鹿にする為に電話してきてんだろ??・・・と、スイマセン」
重たそうに荷物を下げた主婦の行き先を塞いでいることに気付き、武は謝罪をし、また自転車を走らせる。
「何??お前等まだ学校なの??」
すでに電話の向こうは武の存在を忘れたかのように騒いでいた。
「今、バス停に向かってるとこ」
相手が答える。
「急いだ方がいいと思うよ」
武は言った。
すると額に落ちてくる滴があった。
びしょびしょに濡れた髪からではなく、濁ったような色を取り戻した空からの滴だ。
「ま、せいぜい頑張れよ」
そう一言言い残して武は一方的に電話を切った。
そして自転車を一時止め、携帯を雨風対応の防御バック・・・もとい、コンビニ袋へと入れ口をきつくむすぶ。
 そして小さく自分に気合を入れると勢いよく自転車をこぎだした。

 風の音と共にまた台風の風が吹き荒れた。

END

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