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らむちゃんズ〃コミュのよしざわちゃん

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ほら、まえにきょィんちでさ、あらすじ話したことあったじゃん。
若干こうふんしながら。

あたし−まい
 ↓
よしざわちゃん−きっちょむ

な、おはなし作ってたんだぜーってよ。
あれ、発掘しました。
ので、おもしろいとこのせます。
トピ機能乱用してごめんなさい。
せっかく作ってたし、日の目みないと、さ?

読んだあとみんなあたしのこときもちわるがるとおもうけど、
その気持ち以上にすきになっちゃうとおもうな!ぜったい。





※完全フィクションです。実在の人物とは一切関係ございません。

コメント(35)

登場人物紹介

■山口はるか(じゃなかったけどわかりやすくするためにこの名前で)
M大。アパートで一人暮らし。

■吉澤さん
S女子大。山口と高校で同じクラス。すごい童顔。

■舞(じゃなかったけどわかりやすくするためにこの名前で)
山口と同じ大学。マドンナ的存在。恋人。

■市川先輩
サークルの先輩。香水くさい。もてない。しつこい。

■松下
山口の高校の友達。クラブ通いにはまる。ヘタレ。

■きっちょむ
吉澤さんの彼氏らしい。遠距離。
※クライマックス間近。
吉澤さんを好きなことが舞にばれて、自棄になった舞が居酒屋で飲みつぶれて、迎えにいって自分ち運んで介抱しているシーン。(山口くんと舞しかでてきません)










無理に飲んだら倒れるに決まってる。舞の場合は二日酔いだってひどい。

ぐにゃぐにゃになっている体を背中から降ろすと、ベッドに投げ出された舞は暑そうに首をひねった。

「舞?大丈夫か」

呼び声にゆっくりと瞼を開け、舞は虚ろに僕を見た。

「…眼ぇまわる…」
「飲み過ぎ。酒、強くないだろお前は」

僕は呆れた口調にイラつきを隠さなかった。でも舞は、聞こえてない振りをしたのか、それとも頭に入っていかないのか。ベッドサイドに腰を下ろす僕の手を掴んで、自分の頬に当てた。

「冷たい手。気持ちいい」
「…お前が熱いんだよ」

思ったより高い舞の温度。僕は水を取りに台所へ向かった。グラスを手に戻ると、舞は瞼を閉じていて、呼吸も少し落ち着いたようだった。安堵したせいか、体の力が抜ける。

そしてふいに、いつだったか舞が、“寝る前に化粧はちゃんと落とさないと肌に悪いの“と言っていたのを思い出した。まだ僕が女の子の事情というものをよく知らず、無知ゆえの無神経で舞を怒らせてしまっていた頃の台詞だったと思う。舞は自分が美人だということを自覚していたけれど、そのための努力も怠らない子だった。

僕は洗面所からメイク落としシートを一枚取って部屋に戻った。

再びベッドサイドに腰を下ろして、眠る舞を見る。間接照明の光が彼女の顔に陰影を作り、散らばった緩いウェーブの髪は汗を含み首や肩に張り付いていた。僕は枕の横に左手を沈め、舞の顔にシートを近づけた。

「はるか」

いきなり話しかけられて、びくんと心臓が跳ねる。
舞は起きていた。

「抱いて」

シートを瞼に当てようとした僕の手を遮って、舞は言う。

「…何言ってんだ」

こんな状態のくせに
出かかった言葉を飲み込む。舞の額の汗が、彼女のこめかみを伝って落ちた。つらいんだろう、細い肩は荒く息をしている。
笑ってごまかしながら、僕は離れようと体を起こしかけた。だけど、首に回された舞の腕に強く引き寄せられて。彼女に覆いかぶさるようにベッドに倒れこんだ。

「…っ舞!」

いい加減にしろ!そう言おうとして顔を上げた。でも舞の目が、ひどく痛そうに歪んでいるのを見て。言葉が出ない。

「抱いてよ」
「……」
「…抱いて」

見上げる舞の声は小さくなり、その眼が赤くなっていくのがわかった。

「…何よ。あたしなんか、抱く気にもならない?」
「舞、違う」
「そんな価値も、なくなっちゃったの?」
「違う」

責めるように僕を見つめる舞を、やっぱりキレイだと思った。長い睫の縁が震えているのを、愛しいと思った。でもこんなときだって僕は、頭の隅で吉澤さんを想う。舞の泣き顔が彼女と重なる。

僕は何も言えなかった。抱けない。突き放す言葉も持たない。吉澤さんを忘れることも、舞に嫌われる覚悟も、僕はできなかった。
目をそらさずにいるのが精一杯で、乾いていく喉がチリチリと痛い。

「好きじゃないなら…あたしなんか乱暴に扱ってよ。ねぇ最後だから、これで、もう終わりにするから、」
「できない」

別の人を想う今でも、君が大事だと、それは変わらないんだと。伝えたかった。伝わってほしかった。最大級のエゴで、僕は願った。

「…嫌な人。こんなときばっかり優しくして…」
「ごめん」

僕が言うと、舞はくしゃりと顔を歪めて、俯いた。首に回されたままだった腕にそっと力がこもっても、今度は抵抗することなく彼女の上に体を落とす。震える腕の中で僕は、声もあげず、子供のように泣く彼女の息づかいを聞いていた。

街の喧騒は遠のいて。隣りの部屋のテレビの音が、微かに漏れている。ほんの一瞬、目を瞑った。


  当たり前のようにそばにあった、香水のかおり。
  頬の上に落ちる睫毛の影。
  筋張った形のいい指。
  柔らかな体、
  温かい首筋。
  
  些細な言葉とか、
  唇を噛む癖とか。
 
  おかえりと顔を出すときの、揺れる、毛先、だとか。


ゆっくりと目を開く。
込み上げてきた何かに駆られて、持ち上げかけた腕を。僕は深く、深くシーツに沈めた。
うれしいっハート達(複数ハート)目がハート
続き見てみたいな。

ねっ、はーちゃんハート
>な

いい反応だ!ナイス!


>ち

変態でけっこう。
むしろ変態と言われるためにうぷした、といっても過言ではない。


>ま

舞の話は他にもあるんだお。そっちの舞たんはまあ…純粋ゆえにちょっと遊ばれるかんじで…でもでもそのうち本気に…みたいな…
あ、フラれる男役に神田が出演してたなそういえば。




残念ながらこの話きれいに最後まで書ききってないから物語全部とか無理なんだけどね、お三方には好評みたいなので、次は山口とよしざわちゃんとの再会シーンを。うぷしたいと思う。よ。

市川先輩が出てきます。
お楽しみに。
もはや作家だな。
将来は作家だな。
市川先輩と松下をもっと出してほしいです。



予想もしない出来事はなんの予兆もなしに突然訪れるもので。
そのことに意味だとか、ましてや運命なんてものがあったのならば。
あのときの僕は簡単にそれを受け入れただろうし、それを、諦めることなんてなかっただろう。





一週間前、サークルの飲み会で彼女を見つけた。

この日は、クリスマスを目前に控えた男たちに、サークルの先輩がスペシャルイベントを用意してくれたのだ。S女子大との合同飲み会、つまりコンパ。でもまさか、こんなところで彼女と再会するとは思わなかった。



彼女、吉澤さんとは高校時代の同級生だった。『高校時代』と言っても卒業してから1年も経ってない。お互いあんまり変わってないから、飲み会の席に着いたとき、隣の女の子が彼女だとすぐわかった。と同時に、ものすごく驚いた。僕は彼女と親しかったことはないけど、少なくともコンパなんかに来るような性格じゃなかったから。

僕は改めて隣に座る彼女を見た。まだ記憶に新しい彼女の姿。化粧気がないのは相変わらずで、髪色も一度も染めたことがないだろう自然な黒のまま。少し髪が伸びた、かな。

酒が入って徐々にまわりが盛り上がり始めても、吉澤さんは話に参加しないで、俯きがちに小さな両手で持ったグラスからちびちびとオレンジジュースを飲んでいた。僕はというと、どうやって彼女に話しかけようかとそればかりが頭の中でぐるぐる回っていて、友達に話題を振られても上の空で適当な返事しかできない始末。悩んだ末、ひねりもなく普通に声をかけた。

「…吉澤さん、だよね?」
「え?あ、あれ?…山口くん…?」
「うん、そう。名前覚えてくれてたんだ」
「山口はるかくんでしょう。クラスメートじゃない。M大だったんだね」

吉澤さんは知ってて当たり前みたいに言ったけど、僕が彼女と話すのは初めてだった。クラスの中でも、授業中寝まくってそのくせ休み時間は騒ぎまくってた僕みたいのと違って、吉澤さんは静かな人だったから。なんていうのかな、住む場所が違う感じ。見ているものとか、考えてることとか。そういうものが根っこから違う感じがした。あの時は。でも今こうやって話していると、それはつまりは先入観みたいなものだったわけで、彼女はぎこちなくも普通に接してくれる。

「山口〜何2人で盛り上がってるんだよ〜」

僕たちが話していると、間に先輩が割り込んできた。酒臭い。先輩はもうかなり飲んでいるみたいだ。顔が真っ赤な上に、普段以上に呂律がまわってない。

「こぉんな可愛い子を独り占めは、いけないなぁ〜」

あ、吉澤さん顔固まってる。市川先輩、これだからモテないんだよな。

「吉澤さん、電話鳴ってるよ」

僕はテーブルの上にあった吉澤さんの携帯を掴んで渡し、店内じゃ電波悪いからと言って上着を持たせ彼女を店から出した。そのあとすぐに、ぎゃあぎゃあとうるさい先輩を宥めつつ軽くあしらって彼女の後を追った。


.




店の外に出ると、温まった体にちょうどいい風が吹いていた。12月半ばの夜だけど、厚手のセーターで少し寒いくらい。先に外に出ていた吉澤さんは、コートを着て店の前のベンチの横に立っていた。

「山口くん、電話なんかきてなかったよ」
「あー、ごめん。あの先輩、酔うとちょっとしつこいから」

ああでもしなきゃ、ずっと居座るだろうし。

「ありがとう」
「いーえ」

僕たちはなんとなく店の中に戻る気にはなれず、そのままベンチに座った。
今の時間、人が溢れる飲み屋の通りを、しばらく無言で眺めていた。都会の騒がしいネオンは好きじゃないけど、酔ったおじさんの陽気な笑い声や、店内から聞こえるテレビの音は何故か懐かしい。でも、それを一緒に聞いている隣の子が吉澤さんだなんて、なんだか可笑しな感じだ。

「なんか変だね」
「え?」
「山口くんと、今ここでこうして座ってるのが」

思わず吹き出してしまった。僕たち同じこと考えてる。本当に、変な感じだ。いきなり笑い出した僕を、不思議そうな顔で見る吉澤さんを見て、また笑ってしまった。

「なんなの?」
「や、別に」
「別にってことは、ないと思うけど」
「吉澤さんってさ、こういうのに、よく参加するの?」
「…あんまり。今日は友達に誘われたから」
「びっくりしたよ。S女子大に行ったのは知ってたけど、今日会うとは思わなかった」
「私も」

そのあと僕たちは、強くなった風も気にせずに、短かった高校時代をボソボソと思い出しあった。共通した話題といえばクラスの誰かの話しかないけど、それだけでも十分会話は尽きなかった。吉澤さんて、こんなに話す人だったんだ。こんな風に普通にしゃべれるなら、どうしてあの頃もっと話さなかったんだろう。なんだか、昔とっておいた彼女との時間が、今流れ出したみたいな、そんな感覚だった。



僕たちが飲み会の席に戻ったときには、思いのほか意気投合したらしいみんなが2次会の会場に移動しようとしているところだった。僕は先輩の誘いを断り、同じく帰るという吉澤さんを駅まで送った。そして、上野駅の改札の向こうで丁寧にお辞儀する彼女に手を振って、自宅へ向かった。

御徒町にある僕のマンションには、上野駅から歩いて行ける距離だ。いろんな人が行き交うアメ横の通りをゆっくりと歩きながら、吉澤さんとの会話を思い出して、また笑う。まだ少し残った酔いも手伝って、さらに笑う。傍から見てかなり怪しいけど、賑やかなこの通りは僕のことなんて気にしない。

なんだか、その日はひどく風が心地良かった。




.
>まりちゃ

いやいやまりちゃん、作家さんというのはね、こんな中身からっぽな話かきませんて。


>ゆ

それは難しいな。
なんせ脇役だからな。
主役は山口くんだからな。
リアリティーがあるのか、いや、ないのか……、、とにかくきもてぃわるい
けど夢中(笑)
なんてーか…なんてーか…
前のコメはチエがかわりに書いたもんだったし、色々黙ってたら面白い事になるんじゃないかとおもったけど…




変態。
そこから左上にでまして




変態!変態!変態!
>カン

なにそれ知らない。


>きょ

まったくお前はかわいいやつだなあ


>まいたん

ううううわー!!
まいの反応があまりに好感触だからちょっとまじでうれしかったのに

そういうことかよちくしょー!!
なによりちえに踊らされてたというのがいっちばん!いっちばんむかつく!
>みかん

そんなあたしが好きなくせにね。


>ゆ

お前のはただの嫉妬さ。
みんなから変態変態罵られてるあたしがうらやましいのさ。そこでよだれ垂らしてな。


>ちえ野郎

違うだろ?
左上にでたところにあるのは“愛しい”だろ?

だが僕がおまえの気持ちを受け入れることだけはけしてないと言っておく。残念だったな。



着々とファンを増やしていることだし次は余談として山口少年の青春時代の回想を。
読まなくてもまったく支障ないけど、読んだらもっともっと山口くんが気持ち悪くなるよ。もっともっと大好きになっちゃうよ。

お楽しみに!



似合わないと言われるかもしれないけど、僕は高校の3年間ずっと美術部だった。

中学でやっていたテニスが合わなくて、というか、運動部のノリについていけなくなった僕は、必ず部に入れという学校の校則でなんとなく美術部に入部した。親の影響で小さい頃から絵を観るのは好きだったし、部の規律もそれはもうゆるかったし。入ってしまえば意外と居心地が良かった。

部活動なんてした記憶は一切ない。強いていうなら、同じような理由で入ってきたヤツらとやってたオセロが活動内容だ。3年間で身についたのはオセロの技術だけ。たまに妙なやる気を出してチェスやら囲碁やら将棋やらを誰かが持ち込んでは、ろくにルールも覚えられずに、(教えられるヤツもいなかった。できるまでやろうという熱意のあるヤツもいなかった)結局なんの上達もしないまま、僕らはいつのまにかまたオセロをしている。

気の向くままに集まっては、美術室の奥の使われていない準備室で、オセロしながらだべる日常を、肩身が狭いながらも僕はそれなりに楽しんでいた。絵を描くために入部してきた部員は、それこそ真面目になんかのコンクールの作品を描いていた。



いつだったか気まぐれに、1人でふらりと美術室に行ったことがある。僕は部員がいない日を狙ってよく彼らの絵を勝手に見させてもらっていた。確かそのときも、テスト期間で部室立ち入り禁止の時期だったと思う。一言頼めば、たぶん彼らは見せてくれたんだろうけど、そういう関わり合い自体、僕には面倒だったから。

僕は正統派の部員たちが描きかけの油絵を置いている部屋に入って、あやまって触れてしまったりしないように距離をとりながら作品を見ていた。独特の空気が充満する空間。鼻をさす油の匂いがとても好きだった。

その部屋の中で、陽を避けるように壁際に立て掛けられていた絵が目に留まった。真っ白な絵だった。右端にうっすらとある影は人だろうか。一面の白を何故か雪だと思った。

その絵はコンクールには入賞しなかったようだけど、僕はあの部屋にあった作品の中で一番好きだった。しばらくして、作者が「吉澤 光子」という人だと知った。



それまでは彼女に関して、そういえば同じクラスの、同じ部活だったっけくらいの認識しかもってなくて。あの絵を吉澤さんが描いたのだと知ってから、勝手な話だけど、改めて彼女を意識するようになった。話をしてみたいとも思った。でも、バリアを張るみたいに教室の中では目を伏せて過ごす彼女に、話しかけることなんかできなかった。むしろ妙な緊張のあまり、避けていた気がする。

ただ今でも、窓際の席に座る背筋の伸びた彼女の姿を覚えている。冷えた冬の陽に照らされて、白く光る彼女の肌をあの絵のようだと思った。


.
吉澤ちゃんのフルネームを初めて知りました。笑
>まい

この話を考えていた当時、リサーチした記憶があります。
抜かりなし!


>ちえ

「うわぁ…」なんだよ。
続き言えよビビってんのか。


>なあ

ちなみにあだ名は
まろん、みっこ
などがあります。


S女子大との合同飲み会から一週間後の今日。
サークルの代表市川先輩が、また飲み会を計画したらしく、脂ぎった顔でみんなに参加の有無を聞いて回っていた。前回の飲み会でカップルになった奴らも何人かいる中、自分はそれらしい展開にまったくならなかったのが悔しいのか必死の様子だ。僕もまぁそれらしい展開になどまったくならなかったけど、それ目的でもなかったので今回はやめておこうと思っていた。もともと酒は得意なほうではないし。

「山口!お前は行くよな?」

いきなり先輩のデカイ顔が近づく。僕は思わず身を引いた。

「や、今回は…」
「行くよな?」

顔面の圧迫感。強制的な声色に思いっきり他意を感じる。もしかして前回のことを根に持っているんだろうか。これ以上このやり取りを続ける気はないので僕は早々に首を縦に振った。先輩は満足そうな顔でようやく僕から離れた。気づかれないように小さく咳き込む。

市川先輩は体臭を気にしてか、異常なほど香水をつけるのだ。しかも何故か女物。そのせいで僕は以前とてもめんどくさいことになった覚えがあるので、密かに先輩を恨んでいる。まぁ、そのひどい匂いと、人よりしつこいところと、強引すぎるところと、空気が読めないところと顔がでかいところと……諸々をのぞけばいい先輩なのだ。

僕は異臭を放ちながら歩き回る先輩の背中をながめ、深々とため息を吐いた。


.



「ただいま」

マンションのドアを開けると、部屋の奥から舞がひょっこりと顔を覗かせた。やっぱり来てたのか。

「おかえりはるか〜飲み会どうだった?」
「ん、疲れた」

二度目の飲み会が終わり、今夜も二次会には行かずに僕は帰った。
吉澤さんは今回も来ていて、可愛らしいパッチワークの鞄を手に「こんばんは」と言った。店の入口で、童顔の彼女は店員の女の人に「お母さんと一緒じゃないの?」と尋ねられ、爆笑しているみなの前で恥ずかしそうに俯いて。僕が笑いをこらえながら「気にしないほうがいいよ」と言うと、小さな声で吉澤さんは「慣れてるから」と呟いた。耳まで真っ赤にしている彼女に悪いなと思いながらも、その様子があんまりかわいくて僕はずっとニヤニヤしていた。

相変わらず吉澤さんはオレンジジュースを頼んでいて、アルコールは飲めないのかと聞いたらそういうわけではないみたいだ。いわく彼女の両親は酔うと記憶をなくすタイプの人だそうで、吉澤さんももれなくその血をひいてしまったらしい。だから家以外では飲まないようにしているのだとか。

味自体が苦手そうだと思っていたから少し意外ではあったものの、僕も似たり寄ったりな理由で酒はあまり飲まないから、飲み会も後半になると僕らは二人してウーロン茶。ときどき邪魔しにくる市川先輩を払いのけながらも店の隅で地味に楽しんでいた。

どうやら前回彼女が最初ずっと俯いていたのは、僕が無言のままあまりに無遠慮に彼女を見すぎていたのが原因らしい。そりゃ隣りの知らない男(この時点で彼女は僕だと気づいていない訳だから)がじろじろ見てきたら警戒するよな。吉澤さんにそのことを謝られ、なんとも居たたまれないような、恥ずかしい思いをしたのは言うまでもない。



舞が入れた紅茶を飲みながら、僕はテレビのチャンネルを変えた。土曜のこの時間はあまり好きな番組もないので、適当にボタンを押していく。

「疲れるなら行かなきゃいいのに。市川って先輩しつこいならあたしが断ってあげるよ?」
「んーこんど頼む」

舞に言われたら市川先輩たじたじだろうなぁ。そういえば今日、吉澤さんに本気で怯えられて先輩かなりショック受けてたな。

思い出してニヤニヤしていたら、舞は途端に訝しげな顔になる。しまった。

「…なんかはるか機嫌良くない?そういえばこの前の飲みの後もさ。イイことでもあったの?」
「何言ってんだよ。この番組が、」

慌ててテレビのせいにしようとしたけど、チャンネルはちょうどニュース。埼玉県上尾市で起った殺人事件、犯人は依然逃亡中。笑いどころはひとつもない。

「…あやしい。めちゃくちゃあやしい」
「は?」
「付き合いだってゆうから、行くの許したんだからね」

言いながら腕を組んだ舞が、ソファに座る僕の前に立つ。湯上りなのか、シャンプーの香りが僕の鼻を掠めた。目の前に舞の細い腰と、丈の短いロンTから見えるへそ。

逃げるが勝ち、という先人の教えに従うべく、はいはいと適当に答えながら風呂に入ろうと立ち上がりかけた。が、舞に体を押さえ込まれ無理矢理座らされる。

「他の女、くどいてないでしょうね?」

ああ、また始まってしまった。
舞は飛びかかってきそうな目で詰め寄ってくる。

「何もしてないって」
「なんか隠してる」
「しつこいよ」

いい加減苛つきを含めて僕が言うと、舞はコートを乱暴に掴んで「帰る」。そしてさっさと荷物を持って出て行った。まただ。僕は別に引き止めようなんて考えることもなく、改めて脱衣所に向かった。


.



大学で知り合った舞とは、夏休み後に付き合いだした。張りのある体、大きな目、通った鼻筋が日本人離れの彼女は、学校の中でも噂されるほどに目立つ。男なんて選び放題の彼女が何を好き好んで僕と付き合うのかは本人にしかわからない。付き合おうと言い出したのは舞のほうだ。

舞は見た目どおり積極的で、知らぬ間に合鍵を作ったと思ったら、勝手に僕の部屋に上がりこんでいる。「あなたの家、大学から近いんだもの」といいながらしょっちゅう泊まっていく舞。彼女の住むマンションのほうが僕の家より大学に近いと知ったときは、さすがにかわいすぎると思った。

舞みたいなタイプが実は苦手な僕だったけど。以外に料理上手で、そのくせ甘え下手で。生意気な彼女を好きだと思った。

でもこの頃、この関係がめんどうだと感じるようになってしまった。合鍵を持つ彼女は、僕が家にいないこともすぐに確認できる。僕は出掛けるとき、どこに行くにしても舞に連絡をしなければならない。そして連絡をする度にどんな用なのか聞いてきて、その日は必ず僕が帰ってくるかどうか確認するために家で待っている。

初めは「おかえり」と言われる心地よさに浸った。風呂上りで待っている舞はやっぱりキレイだったし、待つ人のいる家というのは上京したてでホームシック気味だった僕にとっても安心できる場所になっていたと思う。だけどどうしてだろう。変わったのは舞だ。

いつからか、何が不安なのか彼女は、よく僕を疑うようになった。今日みたいに舞が怒って出て行くのは珍しいことじゃない。女の子も来る集まりに出るときは、決まって僕を問い詰め、ありもしない事実を吐かせようとする。

以前上着に移っていた市川先輩の香水の匂いを女のものと舞が勘違いしたときは本当に大変だった。わざわざ舞と市川先輩を会わせて先輩に匂いが移った状況説明までさせてようやく誤解をといた。噂の美女と話せると言って浮かれていた先輩も舞の剣幕に驚き、以来舞を怖がっている節がある。そう、冒頭の「疲れた」は彼女に対してだ。



すっかり湯煙で満たされた浴室に、ため息が響く。家に帰るまで心地よかった酔いも醒めてしまった。舞が入れた白い入浴剤は香りつきなのか、充満した甘い匂いのせいで少しクラクラする。

「吉澤さん、無事に帰れたかな」

あの時間の電車じゃ、変な奴が乗っててもおかしくない。舞は痴漢に遭うのはしょっちゅうだから、あの高いヒールで相手の足を思い切り踏んでるらしいけど。彼女の小さな声じゃ、助けを呼べないだろうな。

そう考え出したら急に心配になって、僕は湯船から出た。ろくに体も拭かずに、今日教えてもらった吉澤さんのアドレスにメールを打つ。

舞がいたら送れなかったな。
そうは思いながらも、返信を待つ間の時間。舞の匂いが残るリビングにいると、やっぱり少し寂しかった。



.
はるかってそういう人だよね。 それにしても舞さん。酷すぎるでしょ。設定。
上尾で事件かよ!(笑

ちなみにリアル上尾駅はあの頃が懐かしい、見事に期待外れな変身をとげましたよぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)
>ちえ

その場合の「はるか」は、この話の主人公であるはるかくんに対してなのか、それともこんな設定にしたはるかちゃんに対してなのか。どっちや。


>まい

ええーこんなヴィジュアルでこんな性格の女の子ってちょうツボなのにー。


>なあ

まじか!上尾駅進化したんか!みてー

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