私は笑い続けなくちゃならない。笑う事をやめたら
生きることをやめることに思えるから。
顔や、声にださなくてもいいの。ただ笑っていなくちゃ
ならない。
今日のこの道には、いっそう冷えた風が流れてる。笑ってなくちゃ凍死しちゃうよ。
枯れ葉のパリパリと踏まれる音の響く道で、ふと足をとめてベンチに目をやったなら、確かにそこにいた、あの人を思い出す。
だけど、震える手でそっとベンチに触れたなら、なんのぬくもりも感じない。あの人は確かにそこにいたのに。
触れなければよかった。枯れ葉に包まれたこの道で、そっと
見つめていればよかった。
目頭がじんとしては、私は何かに挑むように、涙を堪えて
きたけれど、今はとまらない。頬が儚いぬくもりに包まれて
留め金の外れる音が心に響いた。会いたい。
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