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レ・シエクル Les Sieclesコミュの2008年5月2日 「大地の歌」

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マーラー作曲/シェーンベルク・リーン編曲「大地の歌(室内オーケストラ編)」

イザベル・ドリュエ:ソプラノ
パスカル・ブルジョワ:テノール
レ・シエクル
フランソワ=グザヴィエ・ロト:指揮

昨年に引き続き例によって国際フォーラムB7会場。およそ日本でこれ以上デッドな会場は無いのではというくらいの残響のなさで客席数500。かつmemberの来日費用しぶられたせいか(?)、なんと演奏者は15人!。シェーンベルクによる室内楽版の演奏であった。こんなんでまともな演奏になるのだろうかと憂いていたが、信じられないものを聴いた。おそらく二度とは無いのではという程の名演であった。

1曲目「大地の哀愁を歌う酒の歌」、フルオーケストラ版の海の嵐のようなうねる冒頭を聴き慣れた耳には、音がすかすかで明らかに違和感をもって聴こえた。テノールもオケも、残響を完璧に殺された生音で音が客席に届いてこないのだ。

かつ彼らは、昨年も思ったことだが&CD2枚で確信したことだが、彼らは残響を殺ぎ落としたような音のcoreをぶつけてくるような演奏スタイルを貫く。それが2曲目「秋に寂しき者」で奇跡をもたらした。狭いステージの上、オーボエのppのmonolog、音量絞ってヴィブラートを絞って丁寧に切々と歌う。そうすると客の側がステージ上に引き寄せられていくのだ。ソプラノもそう、無論弦も木管楽器もホルンもピアノも、アコーデオンも指揮者もそうやって、徹底的に小さなステージ上での濃密なアンサンブルを聴かせる。曲の物悲しさが絶妙にそのスタイルにマッチして、その後は500人の客が皆食い入るように狭いステージ上に引き込まれ続けた。3曲目「青春について」の楽しさ、4曲目「美について」の美しさ、5曲目「春に酔えるもの」のせつなさ、客は引き込まれ揺らされ突き押され、シエクルの技に翻弄された。

そして圧巻は6曲目「告別」。この長大な曲は、執拗な静かな「んっ、たっ、たーらっ、らーらっ」のリズムに貫かれ、何度も消え入りそうなppとパウゼ(無音)が現れる。このパウゼこそがこの曲の最大の魅力だったのだ。このとてつもなくデッドな残響ゼロの会場でこそ、乾いた執拗なリズムと輪郭の震えるようなpp、そして何よりパウゼが映える。切々としたもの悲しさを歌う静かなソプラノがしみわたる。マーラーがこの曲で何を描きたかったのか、初めてわかったような気がする。「Ewig...Ewig...(とこしえに、とこしえに)」。9番の冒頭に連なるこのフレーズの意味が、実感としてわかった気がする。

おそらく芳醇な響きばかりの日本のホールと、いかに響かせるかいかに客席に音が届くようにするかを考えている日本の音楽家には無理な演奏なのかもしれない。しかしそれに慣れきっているはずの観客は、この演奏の素晴らしさに気づいたようだ。平日仕事帰り22:30からの演奏会、周囲を見回しても居眠りする人がほとんどいなかった(←少しはいた)。ステージ上に食い入り、共感の拍手。非常に貴重な体験をした。

コメント(1)

去年とうってかわって物悲しい重めの曲、
これまた響かない会場でも
やっぱり引き込まれました。

しかし うう、予習しておけばよかったです。


それから、epoqueさんおっしゃるとおり、
2公演目(深夜)の翌日にはもう日本を出る
と言ってましたから、コストのしばり厳しかったのでしょうね・・・

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