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今、鳥人戦隊ジェットマンが熱いコミュの小説 鳥人戦隊ジェットマン? 第四章 三人の鳥人 3

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沙羅は立ち上がり、そのままよろけた。ダメージで体がふらつく。
だが沙羅は倒れなかった。
よろめく足に力を込めて、五本になった脚を持つ怪物に向かって行った。
少年は地に伏せたまま動かない。力を最後の一滴まで使いきってしまったようだ。
「鷹男、逃げて――」
言葉にならない。胃から吐き気がこみあげてきて仕方がないのだ。
しかし、いま動けるのは自分しかいない。
この時の彼女には、それを利用して一人で逃げるという選択は、かけらも思いつかなかった。
ワームは激痛に耐えていた。
沙羅が一歩ずつ近づいてくることには気がついていない。そんな余裕はなかったのだ。
腕一本失った痛みとショックはまだ続いていたが、恐怖心は次第に薄れていった。
二、三歩後ずさると、泥にまみれて雨に打たれながら校庭に倒れる鷹男に対する怒りが、
またぞろよみがえってきた。
キシャアアーーーーッ!!
奇声が行動に移ろうとした。
「待ちなさいっ!」
沙羅の渾身の一声だった。その勢いのまま彼女は胃液を吐き出した。
黄色い液体が雨で濡れた校庭に飛び散り、沙羅もまた大地に倒れ伏した。
いや、倒れたと思ったのは彼女の意識だけで、実際には倒れはしなかった。
なにか爆音のような音がして、それが近づいたかと思うと、
沙羅の体は抱きかかえられ、そのまますごいスピードでワームに体当たりをしていった。
「――誰…?」
沙羅の首が上を向いた。
その視線が流れる途中で、ワームが宙を飛び、地面を滑るのを彼女は見た。
「ダイエット中なのか、沙羅。胃液以外はなにも出てきてないぜ」
三台目のジェットスピーダー改に乗ってきた少年は長身だった。
そして冷静な、それでいてあたたかい笑顔を持っていた。
「禅?――」
「そうさ、助けに来てやったぜ。よくここまでがんばったな」
そう言うと羽生禅は、沙羅をやさしく地に降ろした。
「気をつけて禅。あいつ――」
「動けたら鷹男を見てやってくれ」
沙羅の言葉を待つことなく、禅はワームと対峙した。ワームはすでに復活している。


「長官、無茶です。沙羅ちゃんと鷹男でもかなわなかった相手ですよ。なんとか逃げなくちゃ――」
香はモニターから顔をそらすと、綾に向かって進言した。
「大丈夫よ」
「でも――」
香はなおも言う。
「でも鷹男と沙羅ちゃんは私たちジェットマンの子供たちなんですよ。それがほとんど歯が立たなかったんです。あの子がどんな子か知らないですけど、鷹男たちより強いわけがないじゃないですか」
そして思いついたように付け加えた。
「たとえあの子がバードニックウェーブを浴びていたとしても」
ネオ・ジェットマン。
彼らは香たちと同じようにバードニックウェーブを浴びて超人的なパワーを身につけた。
その後、彼らは香たちに自分たちのバードニックウェーブを与えてその力を失った。
バードニックウェーブは希少ではあるではあるが、
本家のジェットマンたちの独占物ではないことを証明したのである。
「そうね」
綾もうなずいた。ということは、やはり彼もバードニックウェーブを浴びているのだろうか。
香はそう自問し、答えを待たずに語をつなげた。
「だったら――」
「でもあの子は勝つわ。少なくとも負けはしない」
綾の確信に満ちた声は、香の口をふさいだ。

「さあいらっしゃい、虫ケラちゃん」
禅は口元を皮肉にゆがめて笑った。
癇にさわったのだろう。ワームは標的を禅に切りかえた。
超硬質の脚を禅に突き刺しにかかった。
「よっと」
禅は軽くそれをかわした。
いくらワームの動きが鷹男の攻撃のダメージで遅くなっているとはいえ、
それは驚異的なことだった。
「どうした、虫ケラちゃん」
禅の笑みは挑発には最大の効果をもたらすようだ。
ワームはランチャーを乱射した。残弾すべてを使用した。
それを禅はどうしたか。
驚くべきことに身じろぎもしなかった。
爆発、轟音、粉煙――。
並の肉体、いやバードニックウェーブで強化されたそれでも、
ただの肉片となるであろう物凄さだった。
「禅――!」
なんとか鷹男を引きずって倒れる圭子の場所までたどり着き、
二人をかばいながら禅たちの戦いを見守っていた沙羅が叫んだ。
「小田切のおばさん、あれじゃあ……」
大地は絶句した。香とこずえにいたっては呼吸することも忘れている。
だが綾は緊張した雰囲気は漂わせているものの、不安を抱いてはいなかった。
爆煙が急速に薄れてきた。雨のおかげだろう。
視界が利くようになって沙羅が最初に見たものは、直径10メートルになろうかという大穴だった。
そして――、
禅はその中心に立っていた。姿を変えて。
「なにっ!」
誰よりも早く――どの「人間」よりも早くその姿に驚愕したのは、
ワームの目を通して舌打ちしながら戦況を見ていたトランザだった。
彼にとっては鷹男、大地、沙羅、そしてこずえ。
この四人だけが新たなジェットマンになりうる人間であるはずだった。
だが五人目が存在したのだ。
黒く光るメタリックスーツとヘルメット。
ブラックコンドル。
それが羽生禅のもうひとつの姿だった。
「長官、あの子、ネオ・ジェットマン――?」
「いいえ」
モニターに映るブラックコンドルを見て、香が綾に尋ね、綾は小さく笑って答える。
「あの子も正真正銘、バードニックウェーブを受け継いだ本物のジェットマンよ。鷹男たちと同じ」
「え、でもそれって……」
一瞬、綾がなにを言っているのかわからなかった香が「あっ」と声をあげた。
「そんな、それじゃまさかあの子は――」
「そうよ」
モニターの中のブラックコンドルが翔んだ。その勇姿は香の記憶の中に確かに存在した。
「あの子、羽生禅は結城凱の忘れ形見よ」

コメント(5)

第一章 雨の日の出来事
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第二章 亡霊対雛鳥
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第三章 巣箱にて
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第四章 三人の鳥人
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大変遅くなりました…(汗)
待っててくださった方がいらっしゃったら申し訳ありません。
これからもお詫びすることが多々あるかと思いますが、
見捨てないでいただけるとありがたいです(照)。
 ついにブラックコンドルキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!って感じですね。
 初代のリーダーはレッドホークでしたが、2代目のリーダーはブラックなのでしょうか?そしてこの戦いの結末と、羽生禅の生い立ちも気になりますね。

 続きを期待しています!!
>masaさん
どうもありがとうございます。
そうですね、やっぱりブラックコンドルがリーダーになるかな。
このあたりは最近の戦隊モノに準じる(笑)。
続きは鋭意製作中ということでお願いします(汗)。

>桂 眞枝さん
催促ありがとうございます(笑)。
じゃないとこのまま埋もれてた可能性もありましたので(汗)。
感想もらえるとがんばろうって気になります。

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