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今、鳥人戦隊ジェットマンが熱いコミュの小説 鳥人戦隊ジェットマン? 第一章 雨の日の出来事 1

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管理人さんが許可をくださったので、
15年ほど前、放送終了直後くらいに書いていた二次小説を公開させていただきますね。
ジェットマンの子供たちのお話です。
全然途中で、まだまだ続きますが(汗)、
おヒマでしたら読んでやってみてくださいね(礼)。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



降りしきる雨はすでに二日半、やむことも、勢いを弱めることもなかった。
一日目は子供たちも、部屋の中で一日中ゲームをやる口実ができて喜んでいたが、
二日目になると、体が外へ出ることを求め始めていた。
三日目になると、きっと我慢も限界に達することだろう。
それは主婦も同じことで、特に洗濯物が乾かないことがどうにもうっとうしかった。
「まいったわねえ、そろそろやんでくれないかしら」
十七年前に「鹿鳴館」から「天堂」という姓に変わったこの女性も、窓外の景色をながめながら小さくため息をついた。
それを受けて、窓に細かな水滴がつき、そして消えてゆく。
それを三度ほど繰り返した時、女性――天堂香――の視界にひとつの影が見えた。
それが車であることは一目瞭然なのだが、種類がかなり高級なものであることが香の目には奇妙に写ったのだ。
鹿鳴館家の屋敷に住んでいた頃にはめずらしくもない車種だったが、ここ十七年はごぶさたな光景だった。
「変ね、うちに用があるのかしら」
香がそうつぶやいたのは、その車が香の家の前で止まったからだった。
もしかしたら昔の友だちかな、と香は考えてもみたが、どうもそれとも違うらしい。
部屋の温度で薄く曇った窓を手の平でふいて、香は車から降りてくる人物を見た。
スモークガラスではないから、車内の様子は見えないこともない。乗ってるのはどうやら一人で、女性らしかった。
かなり年配なようだが、動作は律動的で、きびきびしている。
彼女がキーとシートベルトをはずしてる間に、また窓が曇ってきた。
あわてて香がそれをふき取ると、車中の女性はすでに外に出て、傘の下に身を置いている。
まだ少し距離があったし、香のいる位置の方がやや高かったので、
傘に隠れてその人の顔を香は見ることができなかったが、その颯爽とした立ち方と、身にまとった制服に見覚えがあった。
そして香は、その制服をああも見事に着こなすことができる人物を、たった一人しか知らなかった。
「長官!」
香は窓を開けると、その人物の元の官名を、うれしそうに大声で呼んだ。それを聞いて、その人物も傘をあげる。
「こんにちは、香」
やさしさと厳しさを同居させる笑顔を香に向けたその女性、
元鳥人戦隊司令官、現スカイフォース最高司令官、小田切綾、その人だった。



「ダメだ! 三人で行け! とにかく天堂を止めろ!」
たしかにそうだった。もちろん一人の選手に何人もマークが付けば、他が手薄になってしまうが、
天堂鷹男(たかお)以外はただの一年坊主、残りで止めることだってできるはずだった。
だが、この三年六組の考えは甘かった。
たとえマークが五人でも、中背で育ちの良さそうな、どちらかといえばおとなしそうなこの少年、鷹男を止めることは無理だったのだ。
「こっちだ、早乙女!」
軽くステップすると、鷹男は三人のマークを簡単にはずし、同級生に自分へボールを回すように指示する。
「よっしゃ!」
突進してくる三年生をなんとかかわすと、早乙女は鷹男へパスを出した。
「キャア〜〜〜!!」
鷹男がボールを受け取ると、周囲から黄色い喚声があがった。早々に負けてしまった一年八組の女子生徒たちである。
なにしろ今日の球技大会で一年八組が決勝まで残ったのは、この男子バスケチームだけなのだから、応援も自然と総力戦になるのだ。
当然男子生徒もいるのだが、それが目立たないのは女子に比べてやや無秩序だからである。
「オラア! 行けえ! 天堂!」
「てめえ、ぜってえ勝てっつってんだよ!」
応援というより罵声であるが、それだけ熱が入っている証拠でもある。
その声を聞きながら、鷹男はセンターサークルからドリブルを始めた。
一人目をサイドステップでかわし、二人目をフェイントでかわす。三人目をスピードの緩急で抜いたところがゴール下だった。
しかし壁はあと二人いる。しかも二人とも、鷹男より頭ひとつ背が高い。普通なら点を取るのは絶望的である。
が、鷹男は普通ではなかった。
「シッ!」
軽く息を吐くと、鷹男はジャンプした。同時に二人の壁もジャンプする。
しかしその位置は、鷹男のはるか下だった。
「高すぎらあっ!」
壁の一人が叫ぶと同時に、鷹男の手は激しくリングにたたきつけられていた。
「なんであの身長でダンクができんだ?」
早乙女が苦笑いしながら首をかしげる。鷹男の身長は170センチそこそこなのだ。
これで点差は10点になっていた。
またも喚声があがる。早乙女がちょっとぼけっとしてる間に、鷹男がインターセプトしたのだ。
そのままゴールへ走る鷹男を、早乙女はあわててフォローしにゆく。

雨は降っているが、体育館は換気のために窓を開けている。だがそこから風の他に、もうひとつ入ってくるものがあった。
それは虫の形をしていた。だがそれは虫にしてはやや大きすぎるし、形も奇怪だった。
そしてその虫の視線は、明らかにいまコートでもっとも活躍している少年に向けられていた。
まるで怨みでもあるかのように、強く、激しく……



「天堂くん、スゴーイ!」
「やりやがったな、このヤロウ!」
女の子からは賛辞の言葉を、男の子からは賞賛のゲンコツを笑顔とともにもらいながら、
鷹男はクラスメートと自分のクラスへ歩いていった。
結局試合は、完全に鷹男にペースを乱された三年六組がダブルスコアで負けるという、大番狂わせで終了した。
「あ、はは、ドモドモ」
鷹男は腰を低くしてクラスメートの祝辞に答えた。
実際のところ、鷹男にとって今日のゲームはいろいろな意味で不本意だった。
ずっと秘密にしてきた、自分の異常なほど発達した運動神経を、みんなにバラしてしまったのだから。
最近鷹男は、奇妙な視線を感じつづけていた。
はっきりと感じたわけではないが、敵意や悪意がこもったその視線が、この数日鷹男をイラつかせていた。
それが今日の試合の最中、強烈に強まって、鷹男はいてもたってもいられなくなったのだ。
つまりクラスメートに絶賛されたあのプレーは、フラストレーションの爆発だったわけである。
気の毒な三年六組バスケチームは、そのとばっちりを受けたにすぎない。
「悪かったなあ…」
盛り上がってるクラスメートから少し離れて、臨時更衣室になっている一年七組の教室で、鷹男はしみじみ考えていた。

自分が生まれながらに並外れた運動神経を持ってる理由を、鷹男は知っていた。
それは約二十年前、父と母が浴びた「バードニックウェーブ」という、
人間の体力を、その細胞を損なうことなく強化する光線が原因だった。
バードニックウェーブは、もともと宇宙探査のために開発された発光結晶体だったが、
結局はとある侵略者と戦うために使用されてしまった。
この光線を、スカイフォース正隊員だった父は志願して浴びたのだが、母を含めた四人の民間人は、
侵略者「次元戦団『バイラム』」の攻撃の際にまったくの偶然から浴びてしまい、
それからの運命を少し変えなければならなくなってしまったのだ。

バイラムとの死闘は約一年におよび、その間、そしてその後もいろいろなことがあったらしいが、
とにかく十六年前に天堂鷹男は、天堂竜(りゅう)と天堂香を親として、この世に生を受けた。
それをいやだと思ったことは一度もない鷹男だったが、ただひとつ、
自分の体力が他人に比べて異常に発達してることを知った時には驚いた。

両親は、鷹男が生まれて一ヶ月で立ち上がったのを見て、驚きつつも自分たちの能力が息子に遺伝されたのを知ったが、
鷹男本人がそのことを知ったのは、意外にも小学校に入学してからだった。
それまでの鷹男は、「力を抜いて生活すること」が普通なことだと両親から教えられてきていた。
竜と香は、べつにバードニックウェーブの効力そのものを忌避したわけではない。
その力はすばらしいもので、決して恥ずべきものではないことを知っていたが、
物心つく前の子供にその力を思うままに使わせるのはあまりにも危険だとわかっていたので、
自分でその力をコントロールできるようになるまでは、意識的に使わせないようにしたのだ。

幼稚園まではそれもうまくいった。
その頃ならば運動するにしても遊びの延長でしかないから、鷹男がつい全力を出してもごまかすことはできた。
だがやはり、数字まではごまかすことができなかったのだ。
小学校一年の二学期、運動会も近くなった頃、鷹男たちは徒競走の順番を決めるために五十メートルのタイムを計ることになった。
同じような足の速さを持った子供同士を走らせて、あまり差がつかないようにするためである。
他の子たちは十秒や十一秒で走り、速い子になると九秒くらいで走るのだが、
先生に「力いっぱいで走りなさい」と言われた鷹男は、タイムというものに対する興味も手伝って、
つい全力を使って走ってしまったのである。
結果はなんと、六秒を切る速さ。
タイムを計っていた先生が、ストップウォッチの故障と考えたため事なきを得たが、
そのことと鷹男から聞いた香は竜と相談し、その日、小学一年生の息子に事実のすべてを教えたのだった。
小学生にもわかるようにやさしく教えてもらったので、鷹男にも事情はわかったが、
そこから鷹男が感じたことは、両親にも意外なことだった。
「そんなの、がんばってる人にわるいよ!」
バードニックウェーブという「与えられた」力に対して鷹男が感じたのは、罪悪感だったのだ。
ちょうどその頃、鷹男は父親から格闘技全般を、母親から剣術を習っていた。
あらゆる場合で力を制御するように躾(しつけ)をされた鷹男には、明らかにストレスがたまっていた。
それを発散させる機会を与える必要を感じた竜は、暇を見つけては息子に自分の武術を教え込んだのだ。
同時に武術によって鷹男が自分の能力をコントロールする術(すべ)を身につけられるように、とも考えていた。
竜が仕事で忙しい時には、香が代わって教えていた。
香も並の武術家に比べれば、ずっと腕は上なのだが、それでも竜にはおよばない。
そこで香が教えるのは、多少の自信がある剣術に限った。
「そんなこと気にしなくていいのに」と竜は言ったが、香としては鷹男にある程度、自主学習の機会を持たせたいと思っていたので、
格闘技については竜が教えたことを鷹男が自分で復習するという形をとらせたのだ。
鷹男はみるみる上達していった。
なにより練習すれば上達することが、うれしくて楽しくてしょうがなかった。
それまで全力を尽くす機会が少なかったせいもあって「がんばること」は鷹男にとって、とても貴重なものになっていった。
だがバードニックウェーブはそんな練習などを完全に否定するものだった。
なにもしなくてもできる。これは鷹男にはちょっとしたショックだった。
「だってたけしくん、てつぼうのまえまわりできるようになるまで、五時までがんばってんだよ? けいこちゃん、でんぐりがえしできるようになるまで、いっしょうけんめいだったんだよ?」
だが自分はそんなことをする必要が無い。
そうと知ったとき、鷹男は自分の能力を人前では解放しないことを、自分で決めた。
それは他人をさげすんでいるからではなく、その逆の理由からだった。

その禁を、鷹男は今日破ってしまった。しかも自分の気分の悪さを解消するためにである。
味方であるクラスメートはともかく、バスケット部員三人を含む三年生に対しては「悪かったなあ…」という気持ちでいっぱいだった。
「よし、とりあえず胴上げだ!」
鷹男がぼけっと着替えをしている間にも級友たちの盛り上がりはエスカレートしており、
ついには今日のヒーローを胴上げするというところにまでたどりついたらしい。
「ちょっ、まっ!」という鷹男の制止を無視して、彼らはワイシャツのボタンが半分以上はずれたままの名バスケットプレイヤーを空中に放り上げた。
「まさかこのあとの部活では、こんなことないだろうなあ」
二度三度、宙に舞っている間に鷹男はそんなことを考えていた。
「まあやられそうになったらトランペットにしがみつけばいいや。ブラバンの連中が高価な楽器を犠牲にするような無茶はやらないだろうし」
そんな鷹男の予測は、無理矢理楽器を取り上げられるという形で破られることになった。
バードニックウェーブの力でも、予知能力は身につかないのである。

コメント(9)

おおっ!?仕事早っw

っと、コメはこのトピに直接書いちゃって良かったですかねー?
判断は管理人さんや文叔さんにお任せし、早々に対応させて頂きますね。

またmixiでの楽しみが一つ増えましたなw
おもしろいかどうか自分ではわからんですが、
読んでいただいたようで、本当にどうもありがとうございます。
ぼくはこちらにコメントいただいても全然問題ありませんが、
管理人さんにお任せです。

でもこれ、公開しはじめたのはいいけど、ずいぶん長いんですよね…(汗)
あまりにたくさんトピックスを作ると他のトピックスの迷惑になるし、
ひとつのトピックスに長々と書くと読みにくくなるし、どうしましょう(汗)。
しばらくしたら前の小説のトピックスは消すのがいいのかな…
>GAIさん
コメントは直接、書いても構いませんよ。
後から見た方が「色々な人がいて、こういう捉え方もあるんだなぁ。」と色々と参考?になる部分もあると思いますし。

>文叔(ぶんしゅく)さん
トピックス作成されても構いませんよ。
わかりやすいと思います。
消すのはもったいないですよ。
時間を使って、一生懸命に書かれた文章です!!
思い入れもあると思いますし。
大切にしましょう☆
 私も面白いと思います。
 十数年の時を経て、長官と元・ジェットマンとの繋がりをまた見ている感じで嬉しいですね。
>陽子さん
どうもありがとうございます。
それじゃお言葉に甘えてそうさせていただきますね。

>masaさん
どうもありがとうございます。
こういうのは感想をもらえると本当にうれしくて(照)。
よければこれからもよろしくお願いしますね。
楽しませていただきました。ほっとした顔
それから、読んでいて思わず、2004年の東映ヒーローMAX Vol.11(アコ以外のジェットマンの面々+小田切長官による座談会が掲載されている)に載ってる十数年後のキャストの顔が思い浮かんだのは私だけでしょうか?

まだ 続きは拝見しておりませんが、ぜひ拝見したいです。
>えとり太郎さん
ありがとうございます! 本当にありがとうございます!
読んでくださるだけでなく感想までくださって、
比喩じゃなくパソコンの画面に向かって両手を合わせています。

ぼくはそれ、見てないんですよねー。
つらーっと考えてみると、この話は2011年あたりの話になると思うので、
2004年だと鷹男は9歳くらいですね。
座談会は子供たちをどっかに預けてのことでしょう(笑)。
>文叔(ぶんしゅく)さん
こちらこそ 素敵な作品を掲載して下さりありがとうございます。

それから、東映ヒーローMAXですが、私はブックオフで購入したのですが、結構 雑誌コーナーにあったりしますので、探してみるのもよろしいかと思います。
ただ、座談会の後半部分が「東映ヒロインMAX 2005 Vol.1」に掲載されているのですが、こちらは古本では見たことがありません。なので、探されるのなら 大きめの書店で新品を求められることをお勧めします。
>えとり太郎さん
重ね重ねどうもありがとうございます(照)。

なるほど、そういう場所で探さないといけないわけですね。
アドバイス、どうもありがとうございます。

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