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悠々の心コミュの元祖「総合政策学部」(3)創設のための資源調達と教育ソフト

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元祖「総合政策学部」(3)  設立のための資源調達

元祖「総合政策学部」教育の基本理念が
「中間報告書」にあるように
地球社会で活躍する人材能力の育成です。

このように設定されると
この目標を達成するために
様々な教育資源の新たな導入が必要になる。

学内では、
新学部の設立は、資源がないので難しい
と一般に言われていましたが、
設立に投入される個々の資源を詳細にみると
決して絶対不可能なプロジェクトでもないことが明らかになりました。
設立に賛成するか反対するかは、ここで分かれました。


新学部の理念、
さらに、
大学のおかれた厳しい外部環境に関する認識については
大学の正規の検討機関(研究教育審議会)ですでに提出されています。

大学を取り巻く厳しい社会環境の中で
中央大学も、なんとかしなければならない、と皆が思っている。

また
グローバリゼーションが急速に進展する中で
地球社会の発展を支えるような優れた人材の育成を通じて
中央大学が社会貢献するという
大学の基本理念については、
目を開いて地球社会を見ている限り
誰も否定のしようもないことです。


しかし、
現実に大学がそれに取り組もう等すると、当然新たなコストが生じます

中央大学は、
100年を越える長年の優れた伝統の教育体制を、今後とも大きく発展させていかなければならない。
その時、学部体制の拡張によって、新たに生じる大きな負担を大学が担うべきかどうか、
さらに、
現実的に実現可能な資源の調達ができるのであるのか、
当然、意見が鋭く対立してきました。

(慶応大学でも、その後
こうした「拡張路線」に対して反対意見が強まり、私の同級生の鳥居学長が、失脚してしまいました)

しかし
法人サイドの真剣な努力によって大きな壁が突破され、学内に新学部棟が建設されることになりました。

設備、人。資金、情報が基本的な資金です。
以下、個々の資源調達に関して、当時を振り返ってみましょう。
(15年も前のことですから記憶の曖昧なところが一杯あります)

こんなに苦労して、学長や理事者はじめ、多くの先生方が、
初めて「総合政策学部」を創設された
この事実を知って、
学部の学生諸君が
せっかくの教育機会をより大切により有効に活用しよう
学習モチベーションがあがってくることを期待しています。



● 設備

新しい建物を多摩キャンパス内に立てることは
「建築基準法」によって禁じられている
学内では、長い間そう言われていました。


私は、越谷市の建築審査委員
市内にある文教大学のキャンパス整備計画などに対して
「建築審査会」として、しばしば
建築基準法の「但し書き」(特例措置)を使って許可を与えている。

おかしい議論と思っていましたが、
よく調べてみると
キャンパスに新たな建築は可能!!! 
できるよー!!
快哉

● 学部創設の資金

大学のキャンパス外に所有する(最後の大きな)土地の売却が
当時問題になっていました。
バブル絶頂期の最後の取引
この分野に働く偉大な先輩の協力支援で、
間一髪間に合った!!!

学内で予想されるよりも遙かに高い金額で
土地売買が成立

これぞ、天の恵み

この資金で、総合政策学部棟の建設費用が十分賄える。
実は、それよりも遙かに高い金額の売り上げで
新しい野球場の整備などに使っても
まだ、まだ大きな金額が残っているとの噂まで出る。

あの時、総合政策学部の創設がなければ
間もなく弾けたバブルの後で
3分の1程度???の価格でしか売れなかったのではと、
仲間は、我田引水の自慢話

● 教員スタッフ

新学部は、問題解決型の能力を養成するために
どうしても小人数のトレーニングが重要になります。
それを支えるスタッフをどのように集めるかが
新学部設立における大きな課題でした。


川添学長の当初の構想では
地球社会問題解決型の教育活動を支えるには
スタッフの中の
3分の1がネイチブの専門家
3分の1が実務経験のある専門家
3分の1がアカデミックな研究者

多文化・異文化理解と国際情報コミュニケーションの教育には
現地社会の文化を知った現地人材が重要な役割を果たす。
また
現実社会に生じている諸問題の解決方法を教育するには
実際に社会で具体的に問題に取り組んでこられた実務経験者が
重要な役割を果たす。

実際は、なかなかそのような人材は集まりません。
どうしてもアカデミックな教員が中心になりました。

私も
大北佐武郎先生などのご推薦をもとに、今も学部教育の中核をなしている先生方を、新学部に迎えました。

(私がどうして新学部に移らなかったのか?、
10数名の先生に、学部設立の趣旨を説明してお迎えしたのに、本人が逃げてしまったと批判され、
当時の高木学長から年賀状でのお叱り、
“生むよりも育てる方が大切”、
まったくその通りですが、初めの構想が大きく変わってしまって・・・)

◎ FLPの原型

実務家教員については、
官庁などの実務専門家にお声をかけるために、
スカウティングの行脚をしました。
やはり採用人数に、教員経費の面から限界があります。

そこで出てきたのが
「プラットフォーム構想」(FLPの原点の構想)
ここに外部(学部の外)の実務家や先生を迎えて(客員)、
学生と共同研究を進めて貰い、問題解決型の能力のトレーニングを行う

もちろん
学部の専任教員は、この指導に責任を持ちますが、
広い人脈ネットワークを最大限に活用して
外部の知的資源をうまく動員すること
この学術人材のコオージネイト・マネジメントが一番重要な役割です。

実際には
なかなか期待したようには行かなかったようです。

私も大来先生(外務省と企画庁)と相談しながら
優秀な人材の登用に協力しました。

生まれて初めて
事務次官室を訪問したり
日本銀行の中枢部に入り
豪華な部屋の厚い絨毯を踏みながら、
(恥ずかしげもなく天下の日銀マンに向かって)
これからの日本、人材教育の重要性を、理事に訴えたことも
今では良い思い出です。

**********************

元祖「総合政策学部」(4) 教育ソフト


● 厳しい集中的トレーニングと
   学生の自主的な学習モチベーション

当時から、日本の大学は
レジャーランド化したと世間から批判されていました。
新学部は、この批判を乗り越え
アメリカの一流大学の教育訓練に負けないように
小人数教育で、学生の能力開発をしていこう、
そのための教育ソフトの開発が重要な課題になります。

問題解決型教育には
学生の主体的な学習モチベーションを高く維持すること
他方
高度な国際交流の能力育成には
語学教育、情報リテラシー教育など
よくできたプログラムにしたがって
体系的に徹底的なトレーニングを積み重ねること

この二つの大きな課題を、
限られた教育時間の中で
どうのように調和させるかが、学部教育ソフトの最大の問題

語学学習や情報リテラシー学習では
繰り返しの詰め込み式トレーニングが、どうしても必要ですが
あまりそれをやりすぎると、
学生は、自分の時間と体力が擦り切れてきて
自主的に自分の関心を深めながら、地球社会の問題を探求する
という学習モチベーションが低下する。

多くの総合政策学部では
このような教育上の課題をどのように解決しているのか
カリキュラムの組み方が、重要な課題になっていると思います

一般に
1,2年生では、徹底的なトレーニングで非常に忙しく
その後に、
自分の課題を見つけた問題解決型のトレーニングに集中する

これを予想して
当初の元祖「総合政策学部」の基本コンセプトでは
教育期間の長期化(大学院教育への発展)が考えられていました。
大学院までの一貫教育で
初めからスケールの大きな人材を育成しようと
夢を語りました。


● 専門的な基幹知識の蓄積  T字型能力の縦軸強化

中央大学の「総合政策学部」では
「法律」「経済」「政治」「行政」「経営」「文化人類学」、
それに「社会調査法」などを基幹学問として、
学生が、どれかの分野で十分体系的な学習を深めるように工夫されています。

「総合政策学部」が、
時々「教養学部」と誤解される面があります。
決してそうでなく
異文化理解を背景に、個々の専門分野の総知識を動員しながら
問題解決のための総合的な政策を形成する方法を修得していきます。
いわば「T字型能力」の修得です。

その縦軸になるのが、これらの基幹学問の知識体系です。
ある組織やグループにおいて、
多様な専門の仲間と協働しながら問題解決をしていくには
自分の得意とする何か一つの領域について
豊富で深い専門的知識体系を確立しておかなければなりません。

政策科学学科の学生で、
たとえば、基幹科目の「経済」を選んだ学生は、
経済学部の学生と遜色のないようなマクロミクロの専門知識をしっかり修得することが要求されています。

国際文化学科の学生でも、
「文化人類学」の知識体系が研究にベースになります。

(ここでいう文化とは、
 人々の広い範囲での生活の工夫「design for living」を指します)

現地社会の抱える問題を解決するための政策形成には、
現地社会の文化の成り立ち・仕組み、
すなわち
住民の生活様式を深く分析することが、不可欠な作業です、

そのためには、現地社会には行って、
フィールドワークなどの社会調査を進めていくことも、
非常に重要な教育課題になります。

学生にとっては、
社会の発展を促す政策形成という視点をもちながらも
その社会の文化の在り方を深く研究することが重要であり、
地球上の各地域に分かれて、
集中的体系的に文化研究を深めていきます。
その時、個々の社会の文化研究における共通の知識基盤になるのは
文化人類学に関する、体系的で深い専門知識です。



 私のゼミが、2007年行った、
ネパールの生活調査と
それをベースにした貧困削減策の提案について説明しましょう。
ネパールの貧困削減には、女性の地位向上が不可欠です。
ヒンヅーという宗教のもとで、
人々は長年暮らしており、
女性の低い社会的地位の問題(ジェンダーの問題)は、
女性を低く見る宗教観と密接に絡んでいます。

さらに、
コミュニティにおける人々の伝統的な生活様式を分析すると
女性のおかれた低い社会的地位が説明されます。
したがって
女性の貧困削減という政策形成では、
人々の生活様式の変革の中で
貧困削減策(女性の組織化と教育支援策)
を具体的に作り上げることが重要になります。

ここで
ネパールの人々の生活様式そのものを
より深く、より体系的に研究する文化研究は
政策形成の視点から見ても
非常に重要な学習課題になります。
 
● 学部の規模の限界と他学部カリキュラムとの連携

総合政策学部は、
もともと学生のトレーニングに重点をおきますので
規模としては、小さな学部になります。
通常の大規模学部が実施しているような
大人数のマスプロ授業とは、基本的に異質な教育システムです。
しかし、
基幹となる専門領域は、複数の分野に分かれています。
その時
それぞれの基幹分野について、
多くの関連科目を配置したカリキュラムをつくって
体系的な学習を深めるには、当然限界が出てきます。

そこがしばしば教養学部と誤解される側面になります。


中央大学のような総合大学では、
これらの基幹学問を固有の専門プリンシプルとする、学部学科が
すでに多く創設されています。
そこには
(総合政策学部でも重視している)基幹科目の上に、
多数の細部に分かれた専門科目群(発展科目)が、
体系的に開設されています。

全学的な教育協力の体制がよく整備されていると
既存の学部のカリキュラムとうまくドッキングさせることで
学生の得意な分野の専門知識は、より豊かに深くなっていきます。

総合政策学部の学生が、
自分の基幹とする学問分野について、
他学部履修(上限30単位)制度を通じて、
さらに深く学習できるようになっています。
これはあくまで学生個人の関心に沿った他学部科目の選択履修です。

特定の課題について、
初めから他学部の科目群を体系的に組み入れたカリキュラムを作成して、
学生に履修させているのが、FLPです。
個人の関心で他学部の科目を履修するとしても
他学部の科目情報などが不足して
時には歪んだ科目履修に終わる危険性もあります。
FLPでは
初めからプログラムの関連科目に関して、
全学レベルで他学部履修のカリキュラムを設定し
FLP学生の専門学習の体系化、専門家を誘導しています。

FLPの選抜試験において、
総合政策学部の学生の希望者が多いのも、
教養学部の限界を克服し、
学習体系の深化を模索したいという思いからでしょうね。


● 幅広い知識基盤の形成  総合政策学部学生の強み

現実の問題を取り上げて
有効な解決策を取り上げるには、
狭い一つの学問領域や枠組だけの知識では、
しばしば偏りのある解決策になりかねません。

幅広い視野に立って問題を発見し、
総合的な判断のもとに
解決の方向を模索するような、
学際的総合的な能力の習得が重要になります。

総合政策学部の強みは、ここにあります。

繰り返し述べたように、
地球社会で生起する問題を取り上げようとすると
異文化に関する、幅広い豊富な知識基盤の強化が
学部の重要な教育課題になります。

長年、総合政策学部の学生を教えていると、
彼らに共通した非常に大きな特徴が見られます。

それは、
彼らの若い脳の働きが非常に活発で、知的好奇心が強いことです。

知識の細分化された枠組みや限界を知らないほど、
それを乗り越えてフリーハンドで
自由自在に発想しています。
次々にいろいろなものに強い興味を示し、
興味が出ると、すぐに行動に移して、
海外にまで調べに、どんどん自由に飛び歩く。
柔らかな発想と逞しい行動力
そこから生まれる新しい創造性、斬新な政策提言
非常に魅力のある学生が多いですね。

(ただ、学生は、しばしば何か一つの専門領域の知識体系の修得に苦労しています。専門領域の大学院進学や編入などさらに一層のキャリアアップを考える学生が多くなる)

私も
自分に似たような知的好奇心と足の軽さを感じて
学生との仲間意識が強くなります。

こうした強い好奇心に支えられて
脳は活発にいろいろな未知のものに挑戦し
新しい知識体系を次々に蓄積していきます。

ここで得た幅広い体験や知識が
現実問題の発見解決に非常に有効な働きをします。
自分の固有の専門知識を縦軸にしながら
活発な活動を通じて得た多様な知識郡を横軸にして
問題解決のT字型能力が逞しく育っていきます。


● 小グループによる実地トレーニング(演習)

総合政策学部には、
他学部に比較して、はるかに人数が少ない
という大きな利点があります。

この利点を生かして、
総合政策学部では
小人数の演習活動を活発化することが可能になります。
個々の学生は、もともと非常に活動的であり、
小グループのゼミ活動のレベルは高く維持されています。

演習では、
実際に問題を取り上げて、
問題解決型教育のトレーニングを繰り返していかなければなりません。

実地に即した実現性の高い政策形成をするためには、
実地応用の高い能力が求められます。

学生は、現実社会の現場に立って、
具体的なケースについて
問題発見・問題解決の努力を積み重ねていくと、
実地応用能力が格段に鍛えられます。

その時
調査手法として、「社会技術」やフィールドワーク、
さらに、シンボリックアナリシス(計量的分析法)など
専門的な調査スキルを修得することが
求められています。


これらの内容に関しては
また別の機会に詳しく話します。







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