上限無しの性格上大男たちが力任せに殴り合いをしていたヘビー級に華麗なフットワークのアウトボクシングを持ち込んだアリのボクシングスタイルは、「蝶のように舞い、蜂のように刺す(Float like a butterfly, sting like a bee)」と形容された。ただし、これはアリのオリジナルではなく、プロレスラーのゴージャス・ジョージ(これはアリの勘違いで、実際にはフレッド・ブラッシー)に由来する。 シュガー・レイ・ロビンソンの影響を指摘する声もある。本人もシュガー・レイ・ロビンソンを尊敬していた。レオン・スピンクスとの再戦を前に「俺は三度ヘビー級チャンピオンを獲得する最初の男になる。ヘビー級のシュガー・レイ・ロビンソンになるんだ」と語っている。 後にはシュガー・レイ・レナードを育てた名トレーナー、アンジェロ・ダンディーと常にコンビを組んでいた。 リングを縦横無尽に動き回れる体のこなしだけでなく、ジャブに右ストレートでカウンターを合わせる離れ業をやってのけるパンチのスピードも持っていた。マイク・タイソンが出現した現代においてもヘビー級史上最速との意見が根強い。 鋭い左ジャブを持っていた。 その派手な言動から「ほらふき」(big mouth)と呼ばれることもあったが、ショーマンシップにあふれ、華麗なボクシングスタイルを保ちつつ不屈の闘志をみせ、クレバーな戦法をとるチャンピオンであった。 精神的支柱としてバンディーニブラウンといつもコンビを組んでいた。「蝶のように舞い蜂のように刺す」とバンディーニブラウンと一緒にいつも大きな声で叫んでいた。
タイトル剥奪後、ジョー・フレージャーに挑戦、初めての敗北を喫したが、3年後、フレージャーにかわり新王者となっていたジョージ・フォアマンに鮮やかなKO勝ちをおさめ、王者に返り咲いた。 この挑戦試合はアフリカのザイールで行われ、"Rumble in the jungle"というタイトルがつけられていた。当時、一般には全盛を過ぎたと見られていたアリが史上最高のハードパンチャーと目されたフォアマンを破ったため、「キンシャサの奇跡」とも呼ばれる。 この試合でアリはたくみに相手のパンチをかわし、空振りさせることでフォアマンの体力と精神を消耗させる一方、ロープを利用して自らの体力は温存するというクレバーな作戦をとり、見事な勝利をおさめた。アリはこの戦法を"rope a dope"と名づけた。