百韻三昧境コミュの巻乃三　歩暗く逃避行…(下)

51.びいる泡　髭に残して　師は去れり　　　淑山
52.　　もちろん麦酒は夏の季語です　　　　山姥
53.酒と女はにくくない　かたき役　　　　　　〈古川柳・柳歌留多〉　
54.　　泣いて手をふる　カスバの女　　　///大高ひさを///
55.歩暗くて　60年代　ゴーゴーブーツ　　山の魚
56.　　今は腐女子の足に踏まれる　　淑山
57.壁のすさ　むしりながらの　実ばなし　　　　　　〈古川柳・柳歌留多〉
58.　　ハウスシックを酒の肴に　　　　淑山
59.　師を探し新幹線の車窓越し　　　し句山
　　　　～旅の帰途、名古屋駅にて読める～
60. 　　逃避たびにて　訪ねたり旅　　山の魚
61.荼毘にふすパフォーマンスも三度まで　　　淑山
62.　　辻占に訊く失せものの痕跡（あと）　　　　七風姿
63.追われ来て冬間近なり桃花村　　　　淑山
64. 　　ふりゆくものは雪かわが身か　　////藤原公経////アレンジ
65.咎ありて　しばしの雪で　其が覆い（モラトリアム）　　　山の魚
66.　　身をつ串にし赤く倒るる　　　　淑山
67.月明かり踏む影さえも我を避け　　　淑山
68.　　月の冴えたる　脂身かざし　　　山の魚
69.焚き火あと冬の扉を開ける香も　　　淑山
70.野外露営の　護摩のあとさき　　　　山の魚
71.舎利子（茶利氏）　是諸法空相　二人旅
　　～般若心経より～　　　　　　　　山の魚
72.　　仏舎利肴に般若陶酔　　　　　　淑山
73.馬上杯呷りて女鞍に乗り　　　　　　淑山
74.　　月の砂漠を　どこまでもいく　　淑山
75.金銀の壺中に埋む過ぎし夢　　　　七風姿
76．　とめどなきわらい　挽歌をおくる　　山の魚
77.壺中天夢凝（こご）り成る海図あり　　淑山
78. 　示す磁北の何処や如何に　　　　　　山の魚
79.生きながら一つに氷る海鼠かな　　　　〓芭蕉〓
80.　　君の冷たきまなざしの下　　　　淑山
81.ホカロンを貼って緩めよ君が笑み　　　淑山
82. 　霊肉一致のにかわ澱粉　　　　　　山の魚
83.　　降る雪の
　　　指切りの
　　　明日は胸に咲く　　　　　　　　〓高柳重信〓
84.　　赤き花押を
　　　小径（こみち）にのこす　　　　　　淑山
85.イヴの夜は　赤と緑が　ほころびて　　山の魚
86.　　ほどけず焦る胸のリボンヌ　　　　淑山
87.のっけから指先技巧思いはす　　　　　山の魚
88. 勘定婆どっかと居座り　　　　　　　　七諷刺
89.お支払い　麗し君は　手洗いへ　　　　山の魚
90.　　今夜の会話に嘘いくつ　　
　　　　～クロード・ルルーシュ監督「しあわせ」から～
91.笑い顔心の鬼火（ふゅ・ふぉれ）隠して莞爾　　淑山
～ルイ・マル監督「鬼火」Feu Follet ～
92.　古き軒端にたなびく股引（ももひき）　　　　七風姿
93．サムサニモ　カゼニモマケズ　侘助や　　山の魚
94. 流星群の後出しジャンケン　　　　　　　　　山の魚
95　ただようて寒月光に素手ひたす　　　　　　　山姥
96. 真青さ（まさおさ）に染む今朝方の罪　　　七風姿
97.咲かぬなら裂かせて散らせ罪の花　　　　　　淑山
98 薄墨色にみひらよひらと　　　　　　　　　　山姥
99.師走りて去れば歩暗く苦吟する　　　　　　　淑山

前衛なれば９９（くく）で打ち止め
～師に代わりて門をとざさむ～