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現場の外国為替!コミュの市場最大の為替介入と効果への疑問

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10月31日に日本政府が実施した史上最大規模の介入について取上げる。

まず事実からだが、10月31日の午前10時25分前後に為替介入が実施された。10月最終週の為替相場は10月25日に75円73銭、26日に75円71銭、27日に75円67銭と連日少しづつ戦後の円の最高値を更新する展開だった。そして31日、ドル円相場は朝方、オセアニア時間に一気に円高が進行し、薄商いの中75円32銭近辺まで円高が進行していた。そして政府は単独介入に踏み切り、ドル円相場は一時79円55銭と4円近くも円安となった。そしてその日の介入の規模は約7兆4千億円と史上最大規模となった。



さて、話はここからだ。書くべきことがたくさんあり、何から手をつけていいか分からないが、とりあえず今年の介入実績とその効果から取上げよう。

今年最初の介入は3月18日、19日の震災直後の急激な円高を防止するための協調介入である。震災前の為替相場は82円台、それが17日にはそれまで10年以上も更新されなかった戦後の円の最高値である79円75銭を大きく更新する76円25銭まで円が急騰していた。為替の水準はもとより、円高のスピードは激しく、まさにパニックを反映した「円高」であり、ユーロ円も114円台から109円と「円の独歩高」であった。震災という特殊事情への配慮から、世界が協力し協調介入が実施されドル円相場は1週間後には81円34銭、その後も円安基調で一時は84円84銭(4月6日)まで相場は反転した。それなりに効果があった介入であったが、実際の介入規模は6925億円に過ぎなかった。この金額を覚えておいてほしい。

そして次の介入は8月4日の日本の単独介入である。東京時間に77円10銭から介入し、一時80円25銭まで円安となったが、この時の介入規模は誰もが驚く4.5兆円の空前の規模だった。この時は日銀も担保資金供給オペを30兆円から35兆円、資産の買い入れを10兆円から15兆円へ引き上げ、金融政策により援護射撃した。しかし、その日のニューヨーク時間には78円台となり、NZD円などの複数のクロス円は1日で介入時点よりも円高水準となり、効果は全くなかった。介入から1週間後のドル円相場は76円68銭だ。この時は「円高」ではなく、「ドル安」が背景であった。欧州債務危機や米国の連邦債務問題、そして米国債の格下げという環境の中でドル安が進み、その結果としてゆっくりじりじりと円高が進んでいたのである。

ちなみにこのときの4.5兆円という介入規模は、それまでの1日あたり最高介入額の2兆円の2倍以上であり、とんでもない規模であった。それでも効果はなかったのである。

今回は75円後半から単独介入が入り、一時は79円55銭をつけたが、翌日にはすでに77円後半まで戻している。今回の介入規模は前回を遥かに上回る7.4兆円であり、私自身が飛び上がるほど驚いた。今回の介入は3月18日の介入ではなく、8月4日の介入時の環境と類似している。円が急騰している局面ではなく、「ドル安の裏返しとして円高」となっている点だ。先の失敗からして、この介入が成功するとは思えないどころか、これは非常に危険な兆候であると私は考えている。4つの点を強調して指摘したい。



1.エンドレス介入の恐怖再び

今回、政府は75円台で介入を実施した。現在ドル円相場の変動率は主要通貨ペアの中で最も低い。つまり、しばしば介入の理由とされる「急激な為替変動を防止する」という大義名分は全くない。これは、すなわち75円を死守する攻防戦になることを意味する。これは政府が75円に暗黙のラインを引いたことを意味し、今後は日本政府vs市場の75円攻防戦になるということだ。これはまずい。数年前に自民党政権は105円という水準を死守する攻防戦を行い、政府は為替水準が105円に近づくと介入を実施し、介入を行うとそれを待ち構えたように、政府以外のあらゆる市場参加者がドルを売り浴びせ、介入の1時間後には再び105円へ接近し、政府はまた介入するという構図になってしまった。市場参加者にとっては、それが最も儲けるために効果的な手法となる。介入を繰り返すうちに、政府の介入原資であるFB発行限度額は限度ぎりぎりになり、慌てて限度額を引き上げるような事態となった。政府の目的は105円を死守して、市場の流れを円安に反転させることにあったが、実際の市場は105円近辺で膠着する事態となった。また連日の介入は国際社会のひんしゅくを買い、名指しで非難され始めたのである。そして結果的に介入の継続は困難になり、ある日突然ぱたりと介入が止まり、105円を割り込み、円高は急激に加速した。105円という水準は、これまで通り介入で政府が死守してくれるだろうと期待し、安易に105円近辺でドルを購入した人は、見事に裏切られ、損切りのドル売りが円高を加速させたのである。その苦い経験以降、政府は1ドル100円を割り込もうが、90円を割り込もうが介入を実施しなくなったのである。単独介入は、超短期的には効果があるが、やればやるほど効果を失い、市場で政府が孤立し、ドルを買うのは政府から委託を受けた日本銀行だけという構図になってしまい、中期的には一段の円高を生じさせることを学んだからである。ところが政権交代となり、民主党にその経験をした人は誰もいなくなり、あの教訓が忘れ去られた。特に素人のような財務大臣になったことは、大変に危険なことである。水準で介入を実施すると、介入を止められなくなるという恐怖を民主党も味わうことになるだろう。



2.日本への国際的な批判は高まる

最近、欧州や米国から中国の人民元操作を非難する声が強まっている。その理由は言うに及ばず、欧州も米国も経済が非常に苦しいからである。今回の7.4兆円の介入は変動相場制度の下で為替変動を市場に任せると謳う国が行う介入としては、あまりに異常な規模である。それは3月の協調介入でさえ6925億円だったことからも窺えるだろう。震災を理由とした日本への寛容な姿勢は既に剥落している。このような介入を継続すれば、「世界最大のヘッジファンド(投機筋)は、日本政府である」として、再び大きな非難を呼ぶだろう。特にオバマのドル安の力で再選を果たしたいという意向は明白である。現在の対米偏重の民主党政権が、介入を継続できるとは思えず、75円の攻防戦に勝てる見込みは低い。また日本政府が如何に「75円は異常な円高である」と叫んでも、世界の人々は意味が分からない。レベル感さえよく知らないのである。そんな状態で日本政府が中国や韓国の通貨が割安に放置されると批判すれば、「お前には言われたくない!」と逆襲されるだろう。今回の介入規模は、それほど無茶苦茶なものである。



3.介入は財政難に拍車をかける。

日本の介入は政府が国債(FB)を発行し、政府債務を増加させることで実施されている。FB自体は短期だが、ロールを繰り返しているので、実質的には長期債と変わらない。つまり今回7.4兆円の介入を実施したことは、それだけ日本の財政赤字をまた拡大させたことになる。そして介入で購入したドルは、日本と同様に低金利で魅力の無く、格下げ懸念もある米国債の購入(私自身は米国債は格付け以上の信頼性があると考えているが)に充てられる。世界が外貨準備をドルから幅広い通貨へ分散しているのとは正反対であり、国益という観点からは疑問が残る。ちなみに政府は2012年予算において介入原資であるFBの発行限度額を150兆円から165兆円に引き上げることを決定した。これで介入余力は理論的には46兆円ほどあるようだ。一方で財政回復のために増税議論、見えにくいところで介入による財政悪化・・あべこべである。



4.今回の介入で日本企業は助けられたか?

面白いデータがある。介入の直前の外為証拠金取引のドル買い円売りポジションと介入後のポジションを比較したところ、約4兆円程度減少したとのことである。つまり簡単に言えば、政府が7.4兆円の介入を実施、その半分以上は投機目的の個人投資家の利益確定のドル売り円買いにより吸収されたということである。一体誰のための介入なのだろうか?外為証拠金のプレイヤー(投機筋)にとっては、干天の慈雨のような介入であっただろう。



あれだけ大規模な介入をすると暫くは相場が壊れる。すなわち膠着するのである。しかし、いづれまたじりじりとドル安円高となるだろう。問題は円高ではなく、ドル安のためにこの流れは米国がゼロ金利政策を解除して金利を十分に引き上げるまで継続する。再び75円台を迎えるときに政府は試されることになる。

次回は、円高を防止するための有効な介入政策について言及する。

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