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現場の外国為替!コミュの最悪のタイミングでの為替介入

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生意気で申し訳ないが、新聞やエコノミスト、経済界の最近の市場への解説、コメントを聞いていて、まともなものが一つもない事に呆れている。

その顕著な例が、先週の「為替介入」と「ニューヨーク市場で500ドルも下落した株式市場」への説明である。今回は、まず為替介入から私の視点で解説したい。



8月4日の午前10時頃、為替介入が行われた。1ドル=77円10銭近辺で取引されていたドル円相場は、意外なタイミングでの介入に驚き、一時は80円25銭まで大幅に円安に進行した。

私が呆れるのは、介入が実施されるとすぐに「介入は成功した、効果があった」などの解説がされることである。政府が実弾介入をすれば、その瞬間やその日は100%円安になる。介入をしたのに、その日に円安にならなかったケースなど一つもない。当然のことである。介入の成功、効果があったかどうかとうことは、「政府の市場へのメッセージにより、相場の方向性が変わるかどうか」ということであり、1ヵ月後、3ヵ月後、半年後と期間を経て、振返ってみることで検証する以外に成功も失敗もないのである。これは重要なことだ。



ちなみに介入が起こると、その瞬間に現場ではどのようなことが行われているか皆さんはご存知だろうか?例えば8月4日の午前10時頃に介入が実施されると、突然為替相場が30銭、50銭と跳ね上がる。巨額のドル買い円売り注文に市場が緊張する。現在は通信手段が発達してるので、1秒、2秒でこの動きが介入であることがトレーダー同士の情報で入ってくる。銀行のトレーダーは、まずは慌てて、ドル売りポジションを反対売買して、自分のポジションをクローズする。これはポジション的にも精神的にも軽くなるためであり、この時点で損切りを行う。また介入に乗り一儲けしようと追随してドルを買おうとするトレーダーもいる。初動はそういう動きになるので、政府のドル買いに加えて、皆がドルを買い戻したり、買い増したりするので、更にドル高円安が加速し、数十銭単位でどんどん円安となり、1円、2円はあっという間に円安が進行する。

さて、問題はその後である。

市場で為替の売買をするトレーダーは、「政府が単独介入して、2円50銭以上円安になったら、逆に対抗してドルを少し売れ、もしも3円以上円安になるようなら、気合を入れてドルを売り浴びせろ」と叩き込まれている。これは経験則である。だから77円10銭で介入が入ったら79円台では、「いつ対抗してドルを売ってやろうか」とギラギラしてモニターの前に張り付いている。79円後半、80円台になれば、「待ってました」とドルを売りまくるのである。こうなると、今度は市場でドルを買うのは政府だけ、一方で世界中がドル売りで対抗するという戦いの構図になるのだ。こうしたトレードを行っているのは、ヘッジファンドや外国の投資銀行ばかりではない。皆さんがお金を預けている日本のメガバンクから地方銀行の日本人トレーダーが主流である。

「政府が必死で円高を阻止して日本経済を救済しようとしているのに、同じ日本人がそれと逆の行為で円安を止めるようなことをしており、非国民だ!」と糾弾されそうだが、それが市場の現場で行われている実態であり、ディーラーは稼がなければ存在意義はないのであり、決して間違った行為ではない。それにこういう短期のトレーダーは、2円以上上からドルを売るが、すぐにドルを買い戻して逃げるので、市場への実質的な影響は少ないかもしれない。



話が大きく反れてしまった。私が言いたいことは、介入の成功失敗などと当日、翌日に論じているのは、あまりにナンセンスであるということだ。ただ介入のタイミングはどうだったのか?ということを論じるのは意味がある。

私は、今回の政府の8月4日の介入のタイミングは「最悪」であると思っている。



それは3つほど理由がある。

まずドルが自立反発しかけているタイミングで実施してしまったことである。先週は米国の連邦債務問題等を巡り、ドル安が加速し、ドル円は一度は76円29銭まで円高が進んだ。震災後につけた戦後の円の最高値である76円25銭に肉薄したということである。その後、連邦債務問題がとりあえず民主、共和党で妥結され、オバマの署名をもって最悪の事態を回避することができた。ドル円相場もこれを受けて一度は78円台に反発した。ところが市場では、米国のデフォルトという事態は回避できたものの、歳出削減による先行き経済への不安、その不安を裏付けるような実際の経済指標に対して、グローバル経済の景気後退をテーマとして不安が高まり、連日株式市場が大幅安、債券相場が急上昇という流れとなり、ドル円相場も頭の重い展開となり、ドル円相場もじりじりと円高ドル安となった。しかし株価の下落と比べると、ドル円相場の円高ドル安は鈍く、76円台後半はかなり底堅い展開であった。そこで為替介入が行われた。最悪である。

何が悪いのか?

まず連邦債務問題に絡む投機的なドル売りポジションは、連邦債務問題が解決し、76円台から78円台になる過程で清算されており、介入が行われた時点では、市場にそれほど投機的なドル売りポジションがなかった。ほぼニュートラルであり、こんな時にやっても通常あまり効果はない。もっと大事な事は、市場のテーマが世界経済の減速に移行していたということである。世界経済の減速は、ドル安要因のイメージがあるが、実際はその反対である。世界経済が減速すると、世界の貿易量が少なくなり、その結果米国の貿易赤字も減少し、ドル安圧力は弱まる。また米国の投資家が米国内に資金を戻す動きが顕著になり、ドルは一時的ではあるがドル高になることが多いのだ。介入は伝家の宝刀である。無駄に鞘から刀を抜くと、伝家の宝刀がなまくら刀になってしまう。そういう意味で、意外にドル円が底堅く、これからドルが良い理由ではないものの、ドル高に自立反発しそうな気配の時に介入により、ぶち壊してしまったことは、大変良くない。

次の理由は、何故金曜日の米国雇用統計の発表まで待たなかったのか?ということである。市場のテーマが先行きの経済になり、金曜日の雇用統計の発表が大きな注目を浴びた。市場もその指標を見守りたいので、為替相場も膠着して静かだった。その前に介入をやることは、全くナンセンスであり、ただ市場を混乱させ、変動率を上げるだけなのだ。なぜなら介入で円安に一時的になっても、仮に雇用統計が非常に悪ければ、絶好のドル売り場とされ、無駄な介入に終わってしまうし、仮に雇用統計が良ければドルは自立反発し、介入という伝家の宝刀を抜かなくて済む可能性があったのである。雇用統計が出て、その後のプライスアクションを見てから、行動を起こしても何も遅くないのである。

最後は、これだけ妙なタイミングで介入をやっておきながら単独介入であったことだ。これは言ってみれば各国の理解を得られなかったことを自ら証明したのである。なぜそんな不利な情報を自ら提示するのか?全く理解できない。75円が割れそうになって、やむにやまれず介入したなら、まだ同情できる。しかし今回の介入はおそまつ極まる。しかも介入後、米国からは「介入を支持していない」だの欧州からも、「国際的な協調は得られていない」などの否定的な発言までこぼれてきている。その辺の根回し、交渉はどうなっているのか?

これでは次に75円を割るような円高となっても、恐らくは単独介入であり、今回の介入である程度、政府がやれることは見えてしまったほか、市場は介入が入った場合のシミュレーション、トレーニングを経験してしまった。やはり2円以上の円安になったら、叩けばいいのだと確信した。

その政府の介入のタイミングの悪さは見事に実際の市場に出ている。介入後に一時的に80円25銭まで円安になったが、1日後には78円半ばまで半分以上の値を戻している。ドル円以上に酷いのはクロス円で、ニュージーランド円などは介入が行われたその日の終わりには、介入前の水準より円高となった。噂では4兆円もの介入が行われたとの報もある。昨年の9月に1日の為替介入額として過去最大の2兆円規模の介入をして、世界を驚かせた。もしも今回の介入がその倍の4兆円で、しかもこれほど効果が出ていないといたら、現在もっとも窮地に立たされているのは、介入をした政府そのものであろう。過去の介入による含み損は30兆円とも40兆円とも試算されている。しかも介入により得たドルは、短期の米国債で保有している。その短期の米国債の利回りは史上最低の利回りである。日本は無駄な金を使って何をしているのだろうか?



まるで疑問である。

次回は、先週の株価の下落の真相、何故500ドル以上も下落したのか?を解説する。

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