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現場の外国為替!コミュの田原総一郎さんに異議あり

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先日の田原さんのポッドキャストである「田原総一郎のタブーに挑戦」で、同氏が経済について妙なことを力説していたが、どうもこれが的外れに感じられたので、異議を申し立てておこうと思う。(ちなみに私は、同氏のファンであり、同ポッドキャストを毎回楽しく拝聴している)



田原氏はこんなことを発言していた。

?政治家は大事な事に全く取り組んでいない。(同感である)

?今、なにより大事な事は経済問題である。(まー同感である)

?経済問題の原因は円高である。(賛同はしないが、一理はある)

?現在の円は、世界中で「独歩高」で推移している。(これは間違いだ)

?政府は円安誘導政策をとるべきである。(ありえない)

?具体的には、口先介入、日銀による更なる金融緩和、そして法人税の引き下げが必要である。(ナンセンス)





詳しく検討していこう。?、?に大きな異論はない。その通りだろう。?からおかしくなる。経済が不況なのは円高のためなのか?これも大いに異論はあるが、この問題はあまりに幅広いのでここでは議論しない。

さて問題は?からだ。

現在の円は独歩高なのか?田原氏の想定している時間軸が不明なので、例えばプラザ合意の頃の1980年代と比較して発言しているなら別だが、「現在=ここ最近」の相場は円の独歩高ではない。ドルの独歩安である。少し相場を巻き戻そう。少し長いタームを抑えておく。2003年頃からドルは全ての通貨に対して独歩安で進んできた。

例えば2003年初頭のドル円相場は119円前後で推移していた。ユーロは当時1ユーロ=1.04台で、ご参考で当時の日経平均は8700円近辺、原油はまだ30ドル台である。

これが2004年の後半はドル円102円、ユーロ1.36台となった。まさにドル安である。日経平均は1万1500円前後である。

2005年から相場の流れに変化が出る。それはドル安という大きな流れの中におけるドルの小幅の反発と、円の独歩安の始まりである。世界中の株価や地価が上昇する中、ドル円相場は120円台へと円安が進行した。ドルはユーロやポンド等に対しても小幅強くなったが、円安の勢いのほうが強烈で、その結果クロス円が軒並み大幅な円安になり始めた。ユーロ円が140円台となり、ポンド円が210円近辺へと円安が進む。ちなみに日経平均は1万6千円台を回復している。

2006年から2008年は、市場は「ドルも弱く、円も弱い」が基本トレンドで、その結果今では円安バブルと呼ばれる驚異的な円安となった。ユーロ円が170円近辺となり、ポンド円が250円というとんでもない円安である。その過程で日経平均も大幅な上昇、原油価格も1バレル150ドル近辺を目指す異常な展開となった。

ちょっと巻いていこう。

その後サブプライム、リーマンショックといろいろな大事件があり、相場は大崩。ドバイショックの昨年11月には1ドル=84円台後半まで円高となった。

最近のことは記憶に新しいだろうから省略する。

つまり過去5年から7年の相場で重要なことは、まず一貫してドル安という大きなトレンドで推移してきたこと、そのトレンドの途中で「円安バブル」と呼ばれる異常な円安期間が同時に起こったこと。リーマンショック等が起こり、その円安バブルは崩壊し、再びドル安のトレンドだけが継続しているということである。



そんな流れの中でつい最近はギリシャ問題を中心とするユーロの債務懸念問題が発生した。そのためにユーロはドルよりも更に弱くなり、「強いユーロ安、弱いドル安」が同時進行し、クロス円が急激に円高となった。このときは結果として「円の独歩高」となった。ところがユーロ問題が一区切りすると、ユーロは反転し、市場は再び緩やかなドル安基調となった。緩やかなドル安である。ドル円相場も昨年11月のドバイショック時のような激しい円高ではなく、非常に緩やかに85円前半まで円高が進行している。

つまり直近は円の独歩高ではなく、ドルの独歩安による円高なのである。この違いは非常に重要である。



次に政府は円安誘導策を取れという指摘だが、これはありえない。そもそも円安誘導策とは何なのか?どの水準に円安を誘導するのか?それはドル円を意味するのか?円の実効レートを意味するのか?不明である。確かにドル円相場では円高の水準にあるが、円の実効レートは過去の平均からの乖離はほとんどなく騒ぐようなレベルにない。

そこで田原氏が具体的に示したのが、口先介入と日銀による金融緩和、そして法人税引き下げである。

まず口先介入はまるで意味をなさない。政府の口先介入と実弾介入の歴史は、失敗の歴史だからだ。過去、強烈な介入政策を実施して円高を防止した時期もあった。しかし結果的には一段の円高を招いたほか、各国からの非難、市場機能の停止、そして不必要に外貨準備を溜めるという悲惨な結果となった。そしてこの外貨準備は時価評価すればとんもない損失を抱えている。

従って市場の共通認識は「介入は主要国の協調介入でなければ無意味」というものであり、日本単独のしかも口先介入は毛ほどの効果もない。



次に日銀による金融緩和、これも意味はない。そもそも現在既に日銀の資金供給はじゃぶじゃぶである。昨年の12月にも日銀はそれらしいことをしたが、結果として今があり、何の効果も発揮していない。金融緩和が為替に有効だとしたら、金融緩和により余った資金が株や土地にがんがん向かい、それらのリスク資産が急激に上昇するケースであるが、今の日本は金融緩和しただけで株が上がるような単純な国ではない。

法人税の引き下げは、今後の日本の競争力維持にとって必要であるが、こと通貨に関しては無意味だ。むしろ海外企業が日本を拠点にすべく直接投資を増やせば、それは短期的に円高圧力を生むだろう。



もしも本当に円安に誘導したいなら何をすべきだろうか?

最も効果があるのは北朝鮮がやったようなデノミである。通貨の価値を突然切り下げてしまう。しかし、これは日本がめちゃくちゃになるので、意味がない。

次に巨額の財政政策を行うことである。500兆円の財政政策を実施すると発表する。これは日本の財政状態を著しく傷つける。当然、格付け機関は日本を格下げする。ギリシャ問題のように日本の債務懸念が生まれ、円は強烈に安くなるだろう。そして財政政策の中身は、公共投資中心のばらまきが良い。この旧態依然たる姿は、海外投資家に日本の構造改革の断念とイメージされ、日本投資からの撤退を招くだろう。

法人税も80%くらいに上げると発表すれば、これも強力な円安を生むだろう。



円安誘導とは、このような全くナンセンスなとんでもない政策を実現して、日本をめちゃめちゃにしないと、日本単独の力学では誘導できないのである。



ということで、田原氏に反論してみました。

コメント(1)

ここ数年の為替と株の状況をまとめてくださり、ありがとうございました!
その時その時で新聞読んだりはしてましたが、過ぎたら結構忘れてしまっているので、頭が整理できて、すごくわかりやすかったです。

サブプライム問題の少しまえに、上海ショックみたいなのがあったりごちゃごちゃしはじめた時に
「これからの時代は、上がったと思ったら崩れる相場になる。昔のように上昇や下降の波が数年続くのはもう無い」
と言ってた人がいましたが、
まさにその通りになってしまったなぁ、と今振り返ってました。

羊さんのおっしゃるように、有効な金融政策はなさそうですね。

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