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シュタイナー的生活を楽しむコミュの数学的思考 シュタイナーと心理学(4)32週

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11/7〜11/13  

 私は力の充実を感じて
  自分を世界のために
   役立たせたいと願う。

 自分の存在が力づけられて
  この世の運命の中で
   明晰な自己を保ちたいと感じる。
       (Rudolf Steiner  高橋 巌訳)

……………………………
先日は、ドライブがてら車で二時間ぐらいのところにある

渓谷に紅葉を見に行ってきた。

もみじが真っ赤に染まっていて山々の生命に触れてきた。

さて、『心理学講義』の─神智学と心理学─の中でシュタイナーは、

彼が求めた認識の方法について詳しく語っている。

その方法はプラトンに通じるものである。

ギリシアの賢人プラトンは、

前もって数学の基礎を学んでいない者は

彼の哲学学校に入るのにふさわしくないとした。

数学の本質を知っており、

人間が数学に取り組むときの独特の精神活動の本質を知っていることを、

プラトンは彼から心理学の手ほどきを受ける者たちに要求したのである。

まさにそれは数学を学ぶときのような「思考」によって

「人間」と「世界」を認識する方法である。

この内容はシュタイナーを学ぶ上での基礎的部分であると思う。

この内容を理解するためにシュタイナーが

数学(幾何学)に出会ったときのエピソードを

まとめておきたい。

『シュタイナー自伝』(R.シュタイナー 伊藤勉・中村康二訳)によると

彼が小学生の時の幾何学との出会いのことが書かれてある。

「シュタイナーが8歳の時、一家は、ハンガリーの小さな村に引っ越した。

その村に移住後、すぐこの地の小学校に入った。

小学校には教室が一つしかなく、このたった一つの教室の中で

五クラスの少年少女が同時に授業を受けた。

全部の授業を補助教員が一人で見ていた。

こうした悪条件にもかかわらず、

彼はかなり早い時期に読むことができるようになった。

そして、シュタイナーはその小学校に入ってまもなく、

補助教員の部屋で『幾何学』の本を見つけた。

彼は8歳にしてこの本に熱中した。

何週間もの間、彼の心は三角形、四角形、

多角形の合同や相似の問題で占められ、

平行線は一体どこで交わるのか、という問題に頭を悩ました。

ピタゴラスの定理は彼を魅了した。

外的感覚の影響を受けずに、

純粋に内面的に直視された形態を心の中で形成することができる

という経験は、彼に非常な満足をもたらした。

心の中で純粋に事物を把握できること、

このことが彼に内面的な幸福をもたらした。

彼は、『幾何学に接することによって初めて幸福というものを知ったのだ』

というのである。

この幾何学の見方は既に幼少期においてほとんど無意識的に

彼の裡に芽生え、およそ20歳頃に、

一つの確固とした完全に意識化された姿をとった。

感官の知覚する物体や事象は空間中に存在している。

しかし、こうした空間が人間の外部に存在するのとちょうど同じように、

人間の内部にも、精神的な存在や精神的事象の舞台となる一種の魂の空間が存在する。

彼は、思考を、人間が物体に関して作り上げる

イメージのようなものとみなすことはできなかった。

彼にとって思考とは、この魂という舞台の上で演じられる

精神世界の顕現に他ならなかった。

幾何学は、人間自身によって産み出されたように見えるが、

しかし、人間から全く独立した意味をもつ認識であるように思われた。

このころは子供であったので、もちろん明言するまでには至らなかったが、

人間は精神世界(霊的世界)の認識も幾何学と同様に、

自己の内部に所有しているに違いないと感じていた。」
(シュタイナー自伝より)

この部分は人智学における認識の方法の原点である。

この部分を念頭において『心理学講義』をさらに読み進めてみたい。

以下の部分も文脈に忠実にその方法を考察してみたい。

シュタイナーによるとアリストテレスの著作は古代の知の宝庫であり、

アリストテレスの著作を研究する者は

古代におこなわれていたことを知ることができるという。

「学問領域において心魂に接近しようとする者は、

アリストテレスの道によって心魂に接近しなければなりません。

時代を考慮に入れると、アリストテレスは、どのような点においても、

自然科学的な思考の要求を満足させる人物です。

ただ、これから見るように、ひとつの点においてはそうではありません。

アリストテレスに見られる、心理学にとって満足のいかない唯一の点が、西洋の

あらゆる科学的心理学の宿命となったのである。

アリストテレスは自然科学的な進化論者でした。」(『心理学講義』p18)

この部分の最後に語られている考え方が、

のちの弁証法的唯物論の先駆けとなったのであろう。
・・・・・

では、人間以外の心魂、動物の心魂と人間の心魂はどのように

区別されるのであろうか。

それは、人間のみが数学を学ぶことができるということで

区別できると考えた。

「外部に見出される人間以外の心魂とは本質的に区別されるものが

人間心魂のなかに現れていることは、アリストテレスには明らかでした。

人間のみが数学を学ぶことができるという真理を本当に洞察する者は、

人間と動物はどこが違うかを知っている、

とピュタゴラス学派の人々はいっていました。

しかし、人間のみが計算できるとはどういうことなのかを本当に洞察するのは、

容易なことではありません。

ギリシアの賢人プラトンは、

前もって数学の基礎を学んでいない者は

彼の哲学学校に入るのにふさわしくないとしました。

数学の本質を知っており、

人間が数学に取り組むときの、独特の精神活動の本質を知っていることを、

プラトンは彼から心理学の手ほどきを受ける者たちに要求したのです。

このことは、アリストテレスにも明らかでした。

数学を学ぶことが問題なのではなく、

『人間には数学を学ぶことが可能である』というこ

とを理解することが大事なのです。

外界からは与えられない、

みずからの内で完結した法則を人間は見出せるということです。

思考の訓練をしない者、自己観察をなしとげることのできない者には、

たんなる観察だけではもっとも簡単な数学の定理さえ、
得られないということがわかりません。

自然の中には本当の円、直線、楕円はどこにも存在しません。

数学では、本当の円、直線、楕円を探求します。

そして、内面から得られた世界を、わたしたちは外界に適用するのです。

この事実をじっくり考えることなしには、

心魂の本質を本当に観照することはできません。

ですから、神智学を極めようとする者には、

厳密な思考の訓練が要求されるのです。

日常の揺れ動く思考、西洋哲学の揺れ動く思考ではなく、

内的に徹底的に自己省察を行う思考が要求されるのです。」(『心理学講義』p20)

人間は数学のように外界からは与えられない、

みずからの内で完結した法則を見出せるのである。

さらに天文学のケプラーについて述べている。

「数学的訓練をとおして天文学の分野で大きな成果をあげた

偉大な天文学者ケプラーが、

自己観察の基礎現象について語っていることを読んでみると、

彼が何を語ろうとしているかがわかります。

彼は、数学的思考の射程がはるかな天空にまでいたることを知っていました。

『ひとりで研究室にいて、円と楕円について考えたあとで空を見上げ、

その思考と天空との一致を見出すのは、素晴らしいことだ』と、

彼はいっています。

このような学問においては外的な探求が問題なのではなく、

認識の深化が重要なのです。

哲学学校に入学を希望する者は、その入り口で、

どのような者が入学を許可されるかを知らされていました。

五感によって外界を探求できる者が、

思考によって心魂の本質を探究できるということが知られていたのです。

要求されたのは、それだけではありません。

数学的思考だけでは十分ではありませんでした。

数学的思考は第一段階なのです。
・・・・
数学が星空の真理を心魂の深みから取り出すのと同様の方法で、

心魂の深みから最高の人間認識を取り出すことを

古代の心理学者は要求しました。

そのことをプラトンは、

『わたしの学校に入学したい者は、最初に数学課程を修めねばならない』

という言葉に秘めたのです。

数学が必要なのではなく、数学的思考と同様の独立した認識が必要なのです。

そして、人間は自分のなかに外的な自然の生から独立した生を有しており、

人間は自分自身から最高の真理を取り出さねばならないということを洞察すると、

人間の最良の活動は自然のあらゆる活動の彼方にあるものに達するということも

洞察できます。」 (『心理学講義』p21)

ケプラーは、孤独な研究室で得られた法則は

外的な自然の出来事に適用されうると語っている。

この言葉によって、彼は世界精神(ヌース、マハト)が入り込んで、

人間の心魂を一段高めるということを明らかにしているとシュタイナーは述べている。

シュタイナーが小学校時代に外的感覚の影響を受けずに、

純粋に内面的に直視された形態を心の中で形成することができる

という経験に通じるものである。

心の中で純粋に事物を把握できるのである。

感官の知覚する物体や事象は空間中に存在している。

しかし、こうした空間が人間の外部に存在するのとちょうど同じように、

人間の内部にも、魂的、霊的な存在や魂的霊的事象の舞台となる

一種の魂と霊の空間が存在するのである。

人間の思考とは、人間が物体に関して作り上げる

イメージのようなものではない。

人間の思考とは、この魂という舞台の上で演じられる

霊界の顕現なのである。

だからこそ、自分の「思考」を静かに見つめることによって

私たちは、魂的世界、霊的世界を知ることができるのである。

幾何学は、人間自身によって産み出されたように見えるが、

人間から全く独立したものとして定理は存在しているのである。

人間は魂的世界、霊的世界の認識も幾何学と同様に、

自己の内部に所有しているのである。

ケプラーは、孤独な研究室で得られた法則は

外的な自然の出来事に適用されうると語った。

それと同じようにシュタイナーは

人間の自己省察によって得られた内容は

魂的世界、霊界の出来事に適用されると考えたのであろう。

数学が星空の真理を心魂の深みから取り出すのと同様の方法で、

心魂の深みから最高の人間認識を取り出すことができるのである。


( 補足メモ )

ニュートンとライプニッツによって数学は一段上のレベルに到達できた。

彼らは「微分」という思考によって、五感では見ることも

感じることもできない世界を純粋思考の中で見えるように導いたのである。

天上界の過程の頂点に近いほうに、生きている思考の

領域があるとされている。

いわゆる思考の池(領域)のようなものがあるのかもしれない。

これは、プラトンの「イデア界」に通じるものであろう。

彼らは同時期に高次の数学の思考の領域に周波数が合ったのだろうう。

「なぜ人間は思考することができるのか」

という問題に、ゲーテの自然科学論文を考察したシュタイナーは、

「それは宇宙に思考があり、その思考力にうながされて

人間のなかに思考力が育ったのだ」と考えた。
 
そして「人間がなぜ感情を持っているのか」

という問題に「宇宙に感情が働いているので、

その力に呼び起こされて人間が感情をもつようになった」と考えたのだ。
 
宇宙に宇宙魂や宇宙霊というものがあるので、

人間の中にも霊とか魂があり、同じように人体というものは、

巨大な生命のエネルギーが満ち満ちていて、

そのエネルギーにさそわれて

一人一人の人間に生命が宿ったのだと考えた。

そして、ありとあらゆる生命の形の中で、

宇宙にある生命体の最高の傑作であるのが

人間であり人体であるというのだ。
 
人間がこの純粋思考の境地に到達すると、 

宇宙魂や宇宙霊から時代が熟し、

高次の純粋思考に到達した人にここから思考は流れてくるのであろう。
 
ニュートンとライプニッツに同時期に高次の世界の

思考が流入したのではなかろうか。

彼らは、もともと宇宙に存在する定理を、

思考を高次に高めることによって

発見したのである。

これと同じように、精神科学も思考を高次へと高めていくことによって

魂界、霊界における認識にも到達できるのではなかろうか。

コメント(4)

おたかさま
コメントありがとうございます。

>つい何か(つまらない事が多いでしょ) 書きたくなってしまします

とんでもありません。
いつもコメントを拝見して勇気づけられています。
もっとシュタイナーの奥義を学ぼうという思いになってきます。
今後ともコメントよろしくお願い致します。

>シュタイナーは 東洋インドのヨガの方法ではなく
>「意識」をもってして 霊界へと入って行こうと 
>西洋哲学の思考から導かれてゆくのですね
>数学がいかに思考にとって重要であるかを語っています 

そうですね。
このことを理解すると、「思考」によって高次の認識に至るという
このと意味がよく理解できるように思います。

プラトン、アリストテレスと共にトマス・アクイナスの延長上にある
人智学として学んでいくと、とっても思考が整理されてくるのを感じています。
ありがとうございました。
リトセアさま

コメントをとても嬉しく思います。
親子で楽しく図形を学んでいる様子が浮かんで来ました。

数学、算数は思考を、ああでもないこうでもないと巡らせて
五感から自由になれる勉強というのがいいですね。

小学生の頃から図形の楽しさを味わえるのは素晴らしいです。
小学校、中学校の頃に内面で思考を高めていく面白さを体験したら
算数ももっと楽しく学べたように思います。

おっしゃるように、
マクロコスモスとしての自然、大宇宙と
ミクロコスモスとしての小宇宙である人間が相応しているとするなら、
もともと人間の中に数学の定理もあるわけですから、
いかに認識を深めて、それを発見するかなのだと
コメントを拝見して思いました。

体験を拝見すると、ますますシュタイナーの世界が
深まっていくのを感じています。
ありがとうございました。

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