ゴスペルハウスコミュの「Jesus knows everything about you」2021.04.24

ゴスペルハウスメッセージ 2021.04.24
「Jesus knows everything about you」ヨハネ21:15-19

15 彼らが食事を済ませたとき、イエスはシモン・ペテロに言われた。「ヨハネの子シモン。あなたは、この人たちが愛する以上に、わたしを愛していますか。」ペテロは答えた。「はい、主よ。私があなたを愛していることは、あなたがご存じです。」イエスは彼に言われた。「わたしの子羊を飼いなさい。」
16 イエスは再び彼に「ヨハネの子シモン。あなたはわたしを愛していますか」と言われた。ペテロは答えた。「はい、主よ。私があなたを愛していることは、あなたがご存じです。」イエスは彼に言われた。「わたしの羊を牧しなさい。」
17 イエスは三度目もペテロに、「ヨハネの子シモン。あなたはわたしを愛していますか」と言われた。ペテロは、イエスが三度目も「あなたはわたしを愛していますか」と言われたので、心を痛めてイエスに言った。「主よ、あなたはすべてをご存じです。あなたは、私があなたを愛していることを知っておられます。」イエスは彼に言われた。「わたしの羊を飼いなさい。
18 まことに、まことに、あなたに言います。あなたは若いときには、自分で帯をして、自分の望むところを歩きました。しかし年をとると、あなたは両手を伸ばし、ほかの人があなたに帯をして、望まないところに連れて行きます。」
19 イエスは、ペテロがどのような死に方で神の栄光を現すかを示すために、こう言われたのである。こう話してから、ペテロに言われた。「わたしに従いなさい。」

今週の聖書箇所は、復活したイエスさまがペテロと対話する場面です。
ペテロは、十字架前夜から未明にかけて、イエスさまのことを知らないと、３回否定しました。
そのことの回復のために、イエスさまは「私を愛するか」と３回聞き、ペテロは「愛します」と３回答えました。
ペテロの３回の否認を、３回の肯定で回復したのです。
という説教も、お聞きになったことがあるでしょう。

ペテロの３回の否認について、イエスさまが予告した箇所を読んでみましょう。
ヨハネの福音書１３:３１-３８です。

31 ユダが出て行ったとき、イエスは言われた。「今、人の子は栄光を受け、神も人の子によって栄光をお受けになりました。
32 神が、人の子によって栄光をお受けになったのなら、神も、ご自分で人の子に栄光を与えてくださいます。しかも、すぐに与えてくださいます。
33 子どもたちよ、わたしはもう少しの間あなたがたとともにいます。あなたがたはわたしを捜すことになります。ユダヤ人たちに言ったように、今あなたがたにも言います。わたしが行くところに、あなたがたは来ることができません。
34 わたしはあなたがたに新しい戒めを与えます。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。
35 互いの間に愛があるなら、それによって、あなたがたがわたしの弟子であることを、すべての人が認めるようになります。」
36 シモン・ペテロがイエスに言った。「主よ、どこにおいでになるのですか。」イエスは答えられた。「わたしが行くところに、あなたは今ついて来ることができません。しかし後にはついて来ます。」
37 ペテロはイエスに言った。「主よ、なぜ今ついて行けないのですか。あなたのためなら、いのちも捨てます。」
38 イエスは答えられた。「わたしのためにいのちも捨てるのですか。まことに、まことに、あなたに言います。鶏が鳴くまでに、あなたは三度わたしを知らないと言います。」

十字架前夜、最後の晩餐のときの出来事でした。
イエスさまが「愛し合いなさい」という新しい命令を与えると、ペテロが自身の覚悟の表明をします。
それに対して、イエスさまがペテロの裏切り・ペテロの覚悟の不足を予告するのです。
ルカの福音書２２:３１-３４にも、こうあります。

31 シモン、シモン。見なさい。サタンがあなたがたを麦のようにふるいにかけることを願って、聞き届けられました。
32 しかし、わたしはあなたのために、あなたの信仰がなくならないように祈りました。ですから、あなたは立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい。」
33 シモンはイエスに言った。「主よ。あなたとご一緒なら、牢であろうと、死であろうと、覚悟はできております。」
34 しかし、イエスは言われた。「ペテロ、あなたに言っておきます。今日、鶏が鳴くまでに、あなたは三度わたしを知らないと言います。」

ペテロは、納得できなかったことでしょう。
自分はできるはず、なんでイエスさまはこんなことを言うのだろうか。
「立ち直ったら」なんて、ひどいじゃないか。

イエスさまは、弟子たちに語り続けます。
「わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合うこと、これがわたしの戒めです。」（ヨハネ １５:１２）
「あなたがたが互いに愛し合うこと、わたしはこれを、あなたがたに命じます。」ヨハネ １５:１７）

ペテロは、自分は愛せると確信していました。
イエスさまを裏切ることなんて、ありえないと思っていたことでしょう。

さて、新約聖書は、ギリシャ語で書かれています。
ギリシャ語には「愛」と訳される言葉が複数あります。
アガペー、フィリオ（フィレオ）、エロス、ストルゲです。
聖書には、アガペーとフィリオが使われています。
アガペーは、神様の愛、自己犠牲をいとわない愛、意志の愛、覚悟の愛という意味合いがあります。
フィリオには、夫婦・兄弟などの家族愛、友情などの心情の愛、意志というよりも感情から湧き上がる愛という意味合いがあります。
エロスとストルゲは、使われていないようです。

アガペーとフィリオのどちらがより優れているかは別として、イエスさまが弟子たちに「愛し合いなさい」と求めたのは、アガペーの愛でした。
ペテロは、その意志の愛・覚悟の愛が、自分自身にあると確信していました。
しかし、イエスさまの逮捕のときに逃げ、鶏が鳴くまでに３度もイエスさまを否認したのです。
彼は、自分の弱さを、はっきりと突きつけられたのです。
聖書かるた「な」に、「泣きながら 悔い改めた ぺてろさん」とあるように、彼は号泣したのです。

イエスさまを裏切ったペテロは、イエスさまに向ける顔がありません。
だから、イエスさまが十字架にかけられたとき、十字架の真ん前に来ることもできなかったのでしょう。
同じ使徒のヨハネは、十字架上のイエスさまから言葉をかけてもらったというのに。

そんなペテロに、イエスさまが１対１で問いかけたのです。
「わたしを愛していますか。」
「はい、主よ。私があなたを愛していることは、あなたがご存じです。」

日本語で訳されていると、ペテロが肯定しているように読み取れます。
しかし、聖書の欄外にもあるように、イエスさまはアガペーの愛を使い、ペテロはフィレオの愛で答えているのです。
「わたしを（アガペーの愛で）愛していますか。」
「はい、主よ。私があなたを（フィレオの愛）愛していることは、あなたがご存じです。」
つまり、「アガペーしてますか」「（アガペーできずに）フィレオしています」という問答なのです。
ペテロは、「できませんでした」と、告白したのです。
自身の覚悟不足・意志薄弱を、イエスさまに打ち明けたのです。

１回目の問答（１５節）は、
「アガペーしてますか」
「（アガペーできずに）フィレオしています」
「わたしの子羊を飼いなさい。」

２回目の問答（１６節）は、
「アガペーしてますか」
「（アガペーできずに）フィレオしています」
「わたしの羊を牧しなさい。」

３回目の問答（１７節）は、イエスさまの問いが変わります。
「フィレオしてますか」
「（アガペーできずに）フィレオしています」
「わたしの羊を飼いなさい。」

ですから、「三度目も」と聖書にありますが、「三度目に」「三度目は」が正解なのではないかと、私は思うのです。
そして三度とも、イエスさまはペテロに大切な役割を与えるのです。
「私はあなたの不十分さも知っているよ。だから、立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい。」
「そしてあなたは今、そう今、立ち直るのだ」
とイエスさまはペテロに伝えているのです。

ペテロは自分の弱さを見せつけられ、限界を知らされ、そして神様によって立ち直ったのです。
そして、死の姿に至るまで、神様の栄光を現す生涯を送ったのです。

聖書は、私たちを励まし、導き、教え、力を与えてくれます。
しかし時に、私たち自身の弱さ、醜さ、覚悟のなさを見せつけ、突きつけてきます。
むしろ、そのようなことの方が多いのかも知れません。

でも、そのことを通して、あなた自身の弱さを受け入れることで、あなた自身の不覚悟や意志の限界を知ることで、神様の栄光が・神様の力が、あなたの人生に現れるのです。
あなたの人生に、神様の力が満ちてくるのです。
「弱いときこそ強い」
これが、聖書の現実、聖書の真実なのです。

「Jesus knows everything about you」
イエスさまは、あなたをすべてご存じです。
あなたの不十分さも、弱さも、醜さも、すべて知っています。
そのうえで、あなたの人生に、神様の栄光を現そうというのです。
この神様の計画に、神様の御心に、神様の愛に、期待して今日も生きましょう。