ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

Biophysics of Computation 輪読コミュの20. 計算の担い手になりうる新しいメカニズム

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
20章です。いきなりへんな章です。というのは、ほかの人が興味を持ちそうな章を避けようと思ったからです。そのかわり依存関係がないので好き放題にはじめて見ます。
わー。生化学関係の文章なんて日本語で書いたことないよー。書き方がわからない。「たんぱく」「タンパク」「蛋白」のどれが majority なんでしょう。

ここで出てくる Crick というのは、例の DNA を発見した Watson & Crick の Crick です。
Crick は、Koch と共同研究していて、二人で「Neural Correlate of Consciousness」を探そうと主張しています。細胞レベルの研究を続けていけば意識まで到達すると思ってていいのでしょうか。

中身はまだ生化学の基本なので特にコメントなし。次回は 3/16 までに 20.1.2 をやる予定です。

Hiki の書式で書いているので、数式など Hiki のほうがみやすいと思います。以下のリンクからたどってみてください。
http://www.tahoiya.org/BoC/?20.+%B7%D7%BB%BB%A4%CE%C3%B4%A4%A4%BC%EA%A4%CB%A4%CA%A4%EA%A4%A6%A4%EB%BF%B7%A4%B7%A4%A4%A5%E1%A5%AB%A5%CB%A5%BA%A5%E0

----

! 20. 計算の担い手になりうる新しいメカニズム

p.452

1: この本の はじめに で書いたように、なんらかの物理的変数を変換するメカニズムは、それが意味のある数学的操作にマップできるなら、計算として扱うことができる。昔、神経系で計算の役割を担っているのは、[$V_m$]、スパイク列、発火頻度 [$f(t)$] だけと考えられていたが、近年、前シナプス端、樹状突起、細胞体における細胞内カルシウム濃度 [$[\mathrm{Ca}^{2+}]_i$] の分布が注目され、短期記憶、バッファ・カルシウム依存酵素・拡散といった操作が特定の計算を実現できるといわれている。

3: しかし、もっといろいろなものが使われている可能性も依然としてある。この章では、伝統的なのメカニズムとは異なるが、計算に利用可能な例をいくつか見ていく。

!! 20.1 分子フリップフロップ

1: ここで説明する計算は、分子フリップフロップを形成して、典型的な皮質細胞がもつ数千のシナプスのそれぞれに2〜3ビットの情報を格納できる。その動作を説明するには、生物化学の基本的概念をいくつか導入する必要がある。

!!! 20.1.1 自己リン酸化キナーゼ

1: キナーゼと呼ばれる一群のタンパク質は、特定の対象タンパク質をリン酸化する ($\mathrm{PO}_4^{3-}$] を付加する) ことができる。リン酸の持つ負の電荷によりタンパク質は変形し、機能が変わる。リン酸化は、神経細胞でも、シナプスのレセプターで働くなどさまざまな役割を果たしている。キナーゼの多くは、細胞内カルシウムの濃度が増加すると活性化される。

p.453

2: 理論的には、あるタンパク質が「リン酸化しているか、していないか」で1ビットの記憶装置が作れる。

3: 問題は2つで、フォスファターゼ (脱リン酸化酵素) がリン酸を取り去ってしまうこと (分のオーダーで起こる) 、生体を構成する分子は DNA 以外が代謝回転する (ゆっくりと新しい分子にいれかわる) こと (日〜週〜数ヶ月のオーダー)。リン酸化されたタンパクもいつかは新しい分子 (リン酸化されていない) に置き換えられる。

4: 不安定な分子機構で安定した記憶を作るにはどうしたらいいか。DNAに書き込む方法がもしあるとしても、数千あるシナプスそれぞれのシナプス強度をコントロールする方法はわからない。そこで、各シナプスに bistable なキナーゼがあり、情報を格納しているという仮説が立てられた (Crick 1984b; Lisman 1985; etc.)。

5: 原則的には、自己リン酸化という作用を利用する。これは、あるキナーゼ (ここでは一般的な名前として kinase-1) には、自分自身に触媒として働き、自分をリン酸化することができる作用のことである。図 20.1 が基本的な仕組。何らかの神経刺激 (樹状突起でカルシウム濃度が短期間だけ多量に増加するとか) によって kinase-2 がトリガーされ、kinase-2 が kinase-1 をリン酸化して、不活性状態 [$K_1$] から活性化状態 [$K_1^*$] する。でも、脱リン酸化酵素があるので、徐々にもとの [$K_1$] に戻る。つまり、[$K_1^*$] が維持されるのは、kinase-2 がある間だけ。

6: 分子間自己リン酸化 ([$K_1^*$] がほかの [$K_1$] をリン酸化することができる) が起きると話が違う。平衡式は

$$ \frac{d_[K_1^*]}{dt} = c_1 \frac{ [K_1] [K_1^*] }{ K_{d1} + [K_1] } - c_2 \frac{ [P] [K_1^*] }{K_{d1}^* + [K_1^*] } \quad (20.1)

p.454

7-8: さらにkinase-1の総量は一定なので、その関係を加え ([$ T = [K_1] + [K_1^*] $])、定数を与えれば反応速度のグラフが書ける。Fig. 20.2A 参照。右辺第1項 (リン酸化の項) は両端が 0 の放物線型、第2項 (脱リン酸化の項) は右上がりに saturate する形。第1項と第2項の差 (Fig. 20.2B) は 3 箇所のゼロ点がある。安定性の分析は7章の方法が使えるがもっと簡単で。1番目の左からゼロ点は安定だが、kinase-2 によってリン酸化率が 2 番目のゼロ点を越えれば 3番目のゼロ点に収束し、kinase-2 がなくなっても戻らない。脱リン酸化・代謝回転の作用よりも自己リン酸化の作用が強ければ、このような2番目の安定点を作ることは可能。これで、1ビットの情報が格納できるので、分子によるフリップフロップが作れたことになる (構成分子自体はゆっくり入れ替わるにもかかわらず)。

9: もちろん記憶にもコストがかかる。この場合は、オン状態を維持するためには、再びリン酸化するために ATP が消費されることになる。オフにするためには脱リン酸化酵素を増やして、自己リン酸化作用を上回る強さにすればいい。

10: 重要なのは、長期の情報格納が正のフィードバックを含んだ生化学反応による分子スイッチで実現できる、ということである。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

Biophysics of Computation 輪読 更新情報

Biophysics of Computation 輪読のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング