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伊東潤とその作品群コミュの新年のご挨拶と2010の展望

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あけましておめでとうございます。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 未曾有の不況に見舞われた2009年も終わり、新たな年を迎えました。依然、国内経済面では不透明な状況が続くことになりそうですが、日本を除く世界に目を向ければ、回復の兆しが各所で現れてきており、遠からず日本も、その恩恵に浴せるのではないかと思われます。
 出版業界を取り巻く状況も、依然として厳しく、地滑り的に書籍雑誌販売総額が二兆円を切り、この傾向が反転する兆しもありません。
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/business/n_publishing_b__20090924_6/
ネットの普及が書籍という媒体を圧迫していることは確かなのですが、それを今更、言っても始まりません。われわれ小説家は、出してくれる版元ある限り、矜持を持って、次世代にまで語り継がれる作品を書き続けねばなりません。
私も初志を貫くつもりです。
この時代が、暴力と露骨な性描写に溢れた、低劣なアニメとゲームだけの暗黒時代ではなかったことを証明すべく、「人はいかに生きるべきか」ということをテーマに、読者諸氏の生きる指針となるべき歴史小説を書き続ける所存です。
今年は、いよいよ「小説宝石」の連載も始まり、ハードカバー書き下ろしという第一段階を脱し、小説雑誌掲載→ハードカバー出版→文庫化という、一人前の小説家としての流れが作れるようになってきました。いよいよ大海に漕ぎ出した心境です。
2009年を振り返ると、当初、「読者層の開拓」という目標を掲げました。その達成のために、施策として「実用本分野への進出」「小説専門誌への掲載」「文庫本の発行」「短編作家としてのステータスの確立」を施策に掲げました。これらについては、ある程度、目標を達成しました。
 「実用本分野への進出」については、『天下人の失敗学』において実現しました。内容については、私自身「ほぼ完璧」というものでしたが、実売数が期待したほどではなかったのが、大きな反省材料です。題材やタイトルから狙いどころまで、ジャストのはずだったので、私自身、たいへん落胆しています。
 「小説専門誌への掲載」については、「KENZAN!」、「小説宝石」二誌への掲載が成りました。講談社と光文社という一流版元の専門誌への掲載が成ったことは、大きな収穫でした。
 「文庫本の発行」については、『北条氏照 秀吉に挑んだ義将』(PHP研究所)と『武田家滅亡』(角川書店) の二作で実現しました。前者はマイナーデビュー作をベースとした書き下ろし、後者はメジャーデビュー作の文庫化という違いはありましたが、双方ともに、文庫本読者が、どのように読書しているかをじっくりと研究し、その読書形態に適合させた文体への脱皮を図ったものでした。ハードカバーと文庫での書き分け技術を会得したことは、たいへんな収穫でした。
 「短編作家としてのステータスの確立」については、『戦国奇譚 首』(講談社)で実現しました。この作品も連載中の短編諸作も、内容については十分に満足していますが、今後、作風をいかに変化させていけるかが課題です。「同じようなものを書けばいい」というご意見もありますが、同じようなコンゲームを書き続けると、必ず飽きられます。読者に新たな刺激をもたらしつつ、次々と新機軸を打ち出していくことが課題です。
 一方、「戦国時代という軸を変えずに他分野に進出する」という施策は実現できませんでした。これは用意していた作品が夏前に出すことが叶わず、一年先送りしたためです。実は、海洋冒険譚という季節モノのため、他の季節の出版を見送ったためです。これは、今年、実現の見込みです。
 いずれにしても2009年は、大作はなかったものの、粒ぞろいの逸品を発表できたと自負しています。ただ実売数に関しては、どうしても満足がいかず、それだけが心残りです。景気低迷+出版不況云々という二重の外部要因があるにしても、売れている本は売れているわけですから、言い訳はできません。
 2009年は固定読者層の開拓という目標を掲げました。これは引き続き、大きな目標であることに変わりはありませんが、やはり知名度の低さにより、どうしても購買につながらないというネックがあります。それが「図書館では待ち行列二桁」でありながら、実売は振るわないという現象に現れていると思われます。今まで月平均五冊の購買予算を持っていた方が、可処分所得の減少から三冊に落ちているのが現実です。その時、残る三冊には、過去の読書実績がものをいいます。私の場合、賞も取っていないので、信頼性を保証してくれるのが大手版元ブランドだけとなっていますので、どうしても購買手控えのグループに入ってしまうのでしょう。
 それゆえ今年は、知名度を上げることを目標に掲げたいと思います。むろんこちらがいくら望んでも、賞が取れるわけではありませんし、公募の賞に応募する時間的余裕もありません。
そこで、作業レベルの話では、2010年は以下のものを掲げたいと思います。
・ 実売数に直結する時代のニーズに適った作品
・ 歴史小説スタンダードとして残るようなロングライフな作品
・ 新たな分野を開拓することよりも、戦国なら戦国を題材にした新機軸の作品
こうしたことを念頭に置いた作品を出していくつもりです。
引き続き、皆様のご支援、ご教示、よろしくお願いいたします。

2010年正月朔日

伊東潤

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