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集え!ガチな映画感想家達よ!コミュの小さな中国のお針子  (2002)

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小さな中国のお針子  (2002)

中国; Xiao cai feng
仏題; BALZAC ET LA PETITE TAILLEUSE CHINOISE
英題; THE LITTLE CHINESE SEAMSTRESS

110分
製作国 フランス(中国)

監督: ダイ・シージエ
原作: ダイ・シージエ
『バルザックと小さな中国のお針子』早川書房刊
脚本: ダイ・シージエ
ナディーヌ・ペロン
撮影: ジャン=マリー・ドルージュ

出演:
ジョウ・シュン     お針子
リウ・イエ       マー
チェン・クン      ルオ
ツォン・チーチュン  仕立屋

 文化大革命の中国を舞台に、2人の青年を通して西洋文学から影響を受け自ら運命を切り開くべく自我に目覚めていく少女の心の成長を描いた青春ラブ・ストーリー。監督はフランスで活動を続けるダイ・シージエ。原作はダイ・シージエ監督の世界的ベストセラー『バルザックと小さな中国のお針子』。主演は「ふたりの人魚」のジョウ・シュン、「山の郵便配達」のリィウ・イエ。
 1971年、文革の嵐が吹き荒れる中国。医者を親に持つ都会の青年マーとルオは、反革命分子の子として再教育のために奥深い山村へ送り込まれた。彼らはそこで過酷な肉体労働を強いられる。ある日2人は、美しい少女、お針子に出会う。ルオはお針子に一目惚れした。彼らは、同じ再教育で来ている若者が禁書である西洋の本を大量に隠し持っていることを知り、それを盗み出す。そして、文盲のお針子に毎夜西洋の文学を読み聞かせてあげるのだった。許されない秘密を共有することで結びつきを強める3人。そして、お針子は西洋文学が語る自由に次第に目覚めていく…。

と映画データベースの解説にあった。 日曜9時を廻ってベルギーの国営放送で放映されたものを観た。 はじめの30分ほどを見過ごしたことを後悔し、徐々にその話の仕組みが分かるにつれて、見過ごした30分に示されていただろう下放に至る部分に興味が行く。 

71年から73年の、後年三峡ダム建設の結果、水没する山村が舞台でその風景の美しさに山のない国に住む自分には垂涎の背景なのだが文化大革命時に当たりその生い立ちからブルジョアと国賊のレッテルを貼られ家族から分断された若者たちがそういう場所で生き残る術は知識と技術なのだともいえる甘く切なくもある若者の成功譚である。 ブルジョア家庭で習得したヴァイオリンからフランスに行き着いた一人と今は現代上海に住み歯科の教授として成功した歯科医の息子が回顧する甘い話でもある。 その甘さは若年に経験した現実の過酷さと時には無知蒙昧とも見える土地の人間、まるで天から降ってくるような党の命令、そこでの文化程度の違いからくる、時には面白おかしいちぐはぐさともなっていて、違いはあれ日本でも戦争前にはこういうこともあったのだろうと想像でき、実際、親の世代からは昔こういうことも聞いていた。 

なんとも時代の移り変わりの激しさを感じるものだとため息をつく。 中国ではそれに加速がついていてここでの主人公のように多くは都市に移動しているのだ。 移民といってもいいかもしれない。 環境的にみて世界から、とりわけフランスなどヨーロッパの国から批判のある三峡ダム建設にも本作では中国政府の検閲を通過するものとしてか、それとも元々原作者にはその自覚がなかったからか、建設で多くの人間が土地を追われたということも仕方のないものとしてのスタンスが見られる。 そこにも本作の趣旨が中国政府の意図に逆らわない、甘くできている、という感想が入りこむ隙があると看做される。

バルザックの言葉が主人公を動かすところにもフランス製作のポイントがあるのだろう。 「美」がキーワードなのだ。 世界に冠たるファッションから芸術の国のプロパガンダ映画としては最適だ。 主人公は魯迅を鼻にかけずにバルザックなのであるし、町の医者は主人公の堕胎を助けるにあたり禁書のフランス文学の翻訳書を手にし、同書を村の悪がきたちに見つけられても文盲たちの目にはフランス人の肖像がマルクスであったりレーニンに見え、それが何か分かっていれば密告すれば公安当局、ひいては村の委員から報償を得られるものを文字が読めないゆえに悪がきからの災難を逃れられるということも起こるわけだ。 漢字の国の今から35年ほど前の田舎の状況だ。

今から30年前に北京の故宮美術館の何もないスペースに一人来てみれば中学生と思しき子供たちが外国人である私に覚えたての英語で話しかけてくるその熱心さに驚いたことを思い出す。 機会があればその現実から外に出たいと熱望し生き残る術を全て動員して世界に対峙するという風でもある。 そのとき日本の同世代の子供たちを思い起こしその違いにどちらにも幸不幸がない交ぜになって来るべき未来に思いを馳せたのだが日常、自分の国から外に出る、ということではヨーロッパのあちこちで中国人、韓国人の若者と接することはあっても日本人の若者には、観光地や大都市ではみかけるものの、普通に地方を旅行する若者はこの10年ほどで激減しているように感じる。

中国の映画ではしばしば話の背景に写る景色の美しさに息を呑むことが多い。

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