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集え!ガチな映画感想家達よ!コミュの セント・オブ・ウーマン/夢の香り   (1992)

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セント・オブ・ウーマン/夢の香り   (1992)

原題; SCENT OF A WOMAN

157分

監督: マーティン・ブレスト


出演: アル・パチーノ
クリス・オドネル
ジェームズ・レブホーン
ガブリエル・アンウォー
フィリップ・S・ホフマン
リチャード・ヴェンチャー
サリー・マーフィ
ブラッドリー・ウィットフォード
ロシェル・オリヴァー
マーガレット・エジントン
トム・リース・ファレル
ニコラス・サドラー
ロン・エルダード
フランセス・コンロイ
ジューン・スキッブ
デヴィッド・ランズベリー

 気難しく人間嫌いな全盲の退役軍人と、心優しいエリート寄宿学校の苦学生との年齢差を越えた友情を描き出した感動作。A・パチーノの熱演(彼のまったく動かない“瞳”の演技に注目!)やC・オドネルのさわやかな演技は言うに及ばないが、「ミッドナイト・ラン」で男同士の奇妙な友情を軽快に見せてくれたM・ブレスト監督が、今度は打って変わってじっくりと人間愛を描き、コミカルなアクション映画が得意と思われていた監督の奥の深さを認識できる点も記憶しておきたい。尚、A・パチーノは七度目のノミネートにして遂にアカデミー主演賞受賞! G・アンウォーとタンゴを踊るシーンは絶品!(ゴールデン・グローブ賞でも作品賞、脚本賞、主演男優賞を受賞している)

上記の映画データーベースの記載でこの作品がアル・パチーノにオスカーをもたらしたのをはじめて知ったのだけれど私はこれを見るのは初めてではなかった。 本作を再度見ようと思ったのにはいくつかの理由があった。 一つはフィリップ・シーモア・ホフマンをみようとおもったこと。 スパイク・リーの「25時」に助演して「ハピネス」や「カポーティー」で主演して困惑顔が特徴の俳優なのだがそれが10年以上前に本作を見てどこか心の片隅に強く印象つけられたこと、特に後半の諮問公聴会での困惑振り。 

退役軍人を住まわせている甥、姪夫婦のパチーノに対する気持ち、姪の対応に興味があった。 パチーノは厭われているのは承知だがそれがどのように嫌われているのかが焦点だ。 姪の主人は嫌っているのかどうかはよく分からないが少なくとも姪のほうは愛情をもって離れにパチーノを住ませているのだが私が今回確かめてみたかったのは以前に見たときに彼らの子供の一人のパチーノに対する嫌い方だったからそれがその家族全体のパチーノに対する態度だったのかどうかを確かめたかったこと。

パチーノの兄の家の感謝祭の晩餐に飛び入りで訪れるシーン。 歓迎されない家族の一員がそこいることで凍りつくようなざらつく食卓の場面。 パチーノがどのようにして全盲になったかを兄の息子から毒のある厳しい事実の一面をみせられるその場の家族の対応を見たかったのだ。 兄の態度に興味が行き、エリート軍人を出した平均的家庭の典型的な風景だと感心した。

もう一つはタンゴを踊るシーンで踊りが終わったあとガブリエル・アンウォーがどのように二人から、つまり映画から離れるかというところだ。 彼女がいなくても本作の話には何の支障もないのだがこのシーンが本作を代表するものとして華やかな思い出となって我々の胸に残るのは間違いないのだからここでの彼女は重要だ。

本作では全盲退役軍人のハンディキャップを補い、彼の第一級の軍人であったということを我々に示唆する武器としてここでは嗅覚が機能して、盲人の頭に世界を正確に形成するための知覚としての嗅覚を、特に女の香りがパチーノをこの世に引き止めるものとして「性」と「生」が混ざったものの象徴、主題としていることが我々「目あき」の目をいまさらながら匂いの達人のさまざまな感性表現を示されることで感心させられるのだ。

退役軍人は日頃ジャックダニエルとテレフォンセックスの生活だと姪から学生に告げられるのだが世間から離れて厭世的に生きている男にこれ以外に何があるのだろうか。 映画の当初、この学生がパチーノの離れに入ってくるシーンが秀逸だ。 敵を分析して一番弱いところをすばやく見つけてそこを突くというのが軍の常道であり鋼のような論と正確な叙述が汚い言葉を斟酌しないまま飛び出してくるというのはパチーノの映画の中では時々見られるものだがこれほど効果的なものはなかったのではないか。 だれでもそこにいるのが嫌になるような出だしはのっぺりとした学生の態度と対照されて我々に記憶される。 

このようなアメリカの軍人を見せられるとまだ国軍と正式に呼ばれるようになって間のない日本の軍隊で汗水ながして国のために生死をあずけて精勤する日本国軍人の影の薄さに対照されて驚く。 古くから情報伝達媒体を使って最大限、軍の宣伝を行ってきたアメリカの政策と戦後は日陰の花として扱われてきた自衛隊の差が同じ軍人の扱われかたの差となってでているのだ。 ここでも人間がすべきこと、何への忠誠がもっとも大事かということが求められている。 学生のジレンマはかつての軍人のジレンマでもありそれが小気味よい公聴会でのスピーチにつながる。

二日ほど前、BBCテレビの深夜映画でB級映画としてテレビガイドにも載っていなかったロッド・ホルコム監督のテレビ映画「Code Breakers」(2005)を観た。 そこでは1951年にウエストポイント陸軍士官学校で実際に起こった、大学選抜アメリカンフットボールのチームが組織的に試験を不正な方法で受けたとして退学させられた経緯を描いたものがこれで、不正を届けることとそれによって友人、同志を裏切るようになることのジレンマの境で悩むことがテーマなのだが本作でもそれがサブテーマとなっていて苦学生の貧しさと友人への忠誠、友人と思っているものが状況によれば簡単に裕福な親の袖に隠れて自分は裏切られる結果になるようなことは多分そこを卒業しただろう退役軍人には目が不自由になるまえから見えていたことだろう。 けれど公聴会でのパチーノのスピーチが自分をも回生させる転機となり結局は大団円で終わるのだが、パチーノを死から生に戻らせ、ニューヨークのホテルから公聴会に向かわせる直接の動機、言葉を見逃し、聞き逃した。 そこにコマーシャルが入ったのだ。 その間他のチャンネルを見ているうちにシーンはもう次に移っていた。

結局また大事なほんの一瞬を見逃し聞き逃してしまった。 それがなくとも話の流れには支障はないのだが人一人が死から生に戻る確かな契機に立ち会えなかったのは残念で間抜けなことだ。 その瞬間をこの次テレビの放映で見られるのは何年先のことだろうか。

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