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集え!ガチな映画感想家達よ!コミュの「スラムドッグ$ミリオネア」 と 「亀も空を飛ぶ」

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スラムドッグ$ミリオネア(2008)
SLUMDOG MILLIONAIRE
120分
製作国 イギリス/アメリカ

監督: ダニー・ボイル
共同監督: ラヴリーン・タンダン
製作: クリスチャン・コルソン
製作総指揮: ポール・スミス
テッサ・ロス
原作: ヴィカス・スワラップ
『ぼくと1ルピーの神様』(ランダムハウス講談社刊)
脚本: サイモン・ボーフォイ
撮影: アンソニー・ドッド・マントル


出演: デヴ・パテル ジャマール・マリク
マドゥル・ミッタル サリーム・マリク
フリーダ・ピント ラティカ
アニル・カプール プレーム・クマール
イルファン・カーン 警部
アーユッシュ・マヘーシュ・ケーデカー
ル ジャマール(幼少期)
アズルディン・モハメド・イスマイル サリーム(幼少期)
ルビーナ・アリ ラティカ(幼少期)

 「トレインスポッティング」「28日後...」のダニー・ボイル監督が、インドを舞台に撮り上げたバイタリティに満ちあふれた社会派エンタテインメント大河ラブ・ロマンス。原作はヴィカス・スワラップの『ぼくと1ルピーの神様』。日本でもお馴染みのクイズ番組で史上最高額まであと1問と迫ったスラム育ちの青年が語る過酷にして波瀾万丈の生い立ちが、多彩な要素を巧みに織り込みつつスリリングかつ躍動感いっぱいに描かれてゆく。世界中で数々の映画賞を獲得し、ついにはアカデミー賞で作品賞を含む最多8部門を受賞する快挙を成し遂げた。
 インドの国民的人気番組“クイズ$ミリオネア”。この日、ムンバイ出身の青年ジャマールが、次々と難問をクリアし、ついにいまだかつて誰も辿り着けなかった残り1問までやって来た。ところが、1日目の収録が終わりスタジオを後にしようとしたジャマールは、イカサマの容疑で警察に逮捕されてしまう。スラム育ちの孤児でまともな教育を受けたこともないジャマールがクイズを勝ち抜けるわけがないと決めつけ、執拗な尋問と拷問を繰り返す警察。ジャマールは自らの無実を証明するため、これまでに出された問題の答えは、すべてストリートで生きながら学んだと、その過酷な過去を語り始めるのだったが…。

上記が映画データベースの記述なのだがオスカー受賞作品をそんなに時間をおかずに観ることは久しぶりで「イングリッシュ・ペイシェント(1996)」以来だろうか。  それも今日3月28日午後8時半から9時半までの一時間世界の各地で省エネルギーのキャンペーンとして余分な電気を消すというようなことをニュースで聞き、たまたま家族四人そろって夕食を摂った後8時のニュースを見た後、さてどうするかと言った時に息子がどこからかダウンロードしてきたいくつかのディスクを持ってきたのでそのうちの一つを観ながらうち中の電気を消して皆、ブラウン管の前に座ったところで皆の意見が一致してこれを見ようと選んだのがこの映画だったというわけだ。

オスカーの祭りの前からBBCなどではこの映画のことが大きく取り上げられ「トレインスポッティング」を撮った監督の作らしいから興味をもっていたものの一方では真摯に地域の問題などを考えるグループから批判があったりしたことも伝えられていた。

結局、なぜイギリス映画アカデミー、アメリカ映画アカデミーで賞をさらえたのか、ということが鑑賞後わかりはじめた。 それはまさに製作国、イギリス、アメリカの映画だだからだ。 さらに敷衍して言うとハリウッド映画そのものだ。 画調、シナリオ共にハリウッドのものでハリウッドのインド版ボリウッドの町、ムンバイの関係者やインド人一般からインドのスラムが写されてインドのイメージが悪くなるという画像がちりばめられているというのだが心配することはない。 ハリウッド的というのは写実は排除して一秒の何分の一かでそれを匂わせるようなショットをちらりと見せてその実、現実は見せない手法だ。 暴力は匂わせるだけで決して血や汚物、死体に生きていても変形した身体を長く見せることもない、いわゆる「ポリティカル・コレクト」にスリルあるフィーリング・グッド・ムービーなのだ。 精々汚物といえば幼少時の主演の男の子がボリウッド・スターのサインをもらうために肥溜めに自ら飛び込んでその力でそこから抜け出し汚物をあたまから垂らせたままでスターに群がる子供たちの間をその悪臭でぶっちぎり、掻き分け見事にスターからサインを勝ち取る、というエピソードがこの映画の意でもある。 体にまとわりついた汚物は映画の観衆までは匂わずそれは単なる笑いの対象でしかない。

メディアで話題になっていたこの映画のことを想像したときには英語で撮られた映画の大賞で受賞したというより、本来なら娯楽映画だけでなく良質な英語以外の外国語映画として受賞するのが相当なのではと思っていたのだが今日本作を観た後、明らかに受賞した部門が大賞で相当だと確認した。 大手の映画業界がアメリカで選んだものとして正統なものだ。

もう何年も前、オランダの写真家、エド・ヴァンデル エルスケンが彼の写真集「HALLO!」(1978年)の中でアフリカに観光旅行したアメリカ人の中年以上の団体が貧しい現地の村で幾分かの「伝統」衣装をつけてよちよち歩きする子供に群がりその子供たちにカメラを向けているところを撮っている。 エルスケンの眼はその老人たちのと同じ機能をもつカメラというものでそのアメリカ人たちを撮り、世界の現実を提示する批判的な写真を創作しているのだが、ここではそれぞれの退役アメリカ人のフィルムに焼きついた写真が貧しくも可愛そうで可愛い黒人幼児なのだ。 旅行の後、フロリダの冷房の効いた部屋でその写真を隣人に見せるのだ。 くしくも本作の中にもそういうアメリカ人の旅行者が束の間登場するのだがそのけなげにもこちらを向いて写っているだろうくりくりとした丸い眼の黒人幼児がアメリカ人が見たい画像、すなわち本作なのだ。

観終わって息子は自分の下宿に、娘はボーイフレンドと土曜の夜の遊びに出かけ、家人はベッドで読みかけの本を読んでいる間、猫をそばに初めの15分ほど見過ごした、オランダ国営放送にかかっていたイラン映画を観た。

亀も空を飛ぶ(2004)
原題; TURTLES CAN FLY
メディア 映画
上映時間 97分
製作国 イラク

監督: バフマン・ゴバディ
製作: バフマン・ゴバディ
脚本: バフマン・ゴバディ
撮影: シャーリヤル・アサディ
音楽: ホセイン・アリザデー

出演: ソラン・エブラヒム サテライト
ヒラシュ・ファシル・ラーマン ヘンゴウ
アワズ・ラティフ アグリン
アブドルラーマン・キャリム リガー
サダムホセイン・ファイサル パショー
アジル・ジバリ シルクー

 「酔っぱらった馬の時間」「わが故郷の歌」のバフマン・ゴバディ監督が、アメリカによるイラク侵攻を背景に、イラク北部のクルディスタンで過酷な状況の中たくましく生きる子どもたちの姿を、リアリズムと幻想的表現を混在させつつ力強く描き出した衝撃のドラマ。世界各地の映画祭で高い評価を受け、数多くの賞を受賞。
 アメリカ軍のイラク侵攻が目前に迫る2003年春。幾多の戦争で荒廃したイラク北部クルディスタン地方の小さな村。ここに、サテライトと呼ばれる戦争孤児の利発な少年がいた。機械類に詳しい彼は便利屋として大人たちに重宝にされていた。また、子どもたちを使って地雷除去のアルバイトを取り仕切るなど持ち前の才覚を発揮して抜け目なく立ち回っていた。そんなある日、サテライトは目の見えない赤ちゃんを連れた難民の少女アグリンに出会い一目惚れする。少女には両腕のない兄ヘンゴウがいた。やがてサテライトはヘンゴウに不思議な予知能力があることを知るだった…。

以上の映画データベースの記述からこれが貧しいクルディスタンの難民キャンプで群れる子供たちを描いたものであることは「ミリオネヤ−、、、」の、インドのスラム街でこどもたちが主役になっているもとと相似形であるもののその質は180度違う。 ここでは実際に眼もちゃんと見えず、両手のないもの、足がないものまで現実どおり出演させ、いたいけない幼児まで演技ともそのままともいえるような過酷なことをさせ、観客の目を背けさせそうな画面の現実を創り上げ、そこでには真の現実が画面の現実を侵食している。 フィーリング・グッド映画の、いかにも現実だという「ポリティカル・コレクト」には組しようもない贅沢の無さだ。 親から生き別れ兄弟とつながりながら世の中をこどもの体で大人のすることをして生き延びるところも同じだ。 インドのスラムではクイズで大金を掴む夢が現実から逃れるために機能する、ある種のアメリカンドリームなのだがイラクの現実は夢を語る余裕はなくただ現実につぶされないように走るしかなく、それぞれの現実は二つの映画に現れる、少年達にとって「運命」の少女達の顛末だろう。

二つの映画を比べて観られる僥倖を多くの人と分かち合い、それぞれの現実に自分がいたとするとどのような物語が紡ぎ出し得るのかを語り合うのも一興かもしれない。

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