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みんな〜やってるか!

製作=オフィス北野

北野武

1995年
110分

このDVDを私の息子と同じぐらいの年恰好のオランダ人で大学生のかわいい娘さんが持ってきて、こんなのを観たのだけど意見を聞かせてほしい、というので観た。

北野武 狂想曲 Getting Any?  と題された中国製の違法コピー?されたもののようだ。 日本で北野武のキャリアがどうか知らずにヨーロッパでもてはやされた後年の知識だけで観て、ひどい映画だ、猥雑で、、、といって手渡されたことを思い出したのははじめの20分ほど観て、ひどく退屈でどうしようもない、とても計算されて退屈を装っているものでもない、と思ったからだ。 けれどそのあとどうなるのか、と退屈さを我慢して見続けたのだが映画のタッチからこれは1980年代中頃につくられたのだろうと思った。 それは今から思い起こすと中の陳腐なファッションとそのころのギャグのようなものが散りばめられていたこと、意図したのかどうかわからないが所謂「だささ」などがそう思った理由だ。

観たあとでこれが95年のものだと知って驚いた。 大島の「戦場のクリスマス」でYMO坂本龍一のどうしようもないイモ演技に比して北野の存在感に驚いて以来、北野が映画をつくり、ソナチネ、キッズリターン、菊次郎の夏、などをヨーロッパの映画館やテレビ放映で観てからのこの映画であれば眼もあてられない、という意見は納得のいくものだ。

どちらにしてもこれが北野の好きなようにしてやる、と覚悟して映画の勉強の実習作品であることは確かだし、そのようにしてみると面白いところはたくさんある。 大阪の笑いで育ったものにはツービート当時から北野の笑いは緊張から来る引きつった笑いの部類に属するもので今でもその類の笑いはあるものの殆どがそれでもクスグリがはいるもので彼の頭の回転と鋭さを示すのに適する、自身しばしば見せていた痙攣気味のひきつるのが北野武だと理解していたから一連のヤクザが出てくる、そういうと彼の作品はほとんがそうなのだが、そのバイオレンスの扱いの映像処理には感心していた。

この映画ではそういった後年の基が各所に散らばっていて中盤以上興味深かった。 前半の空回りする、硬直し頭の中だけで描いたギャグを映像にするのに金をかけ結果が途中でそのギャグがわかるようなクリシェではうんざりするものだ。 そのうんざりさは後年の映画のギャグの中にも出てきもするのだがここではそれが一層露に見えるゆえ三つ子の魂と納得するものだ。

後年の映画にはバイオレンスはつきものなもののセックスはあまりなく、ここでは映画のプロット上からなのか肉付きのいい80年代に好まれたような若い女の上半身裸の紋きり型のしぐさが多く出てくる。 今の繁盛しているアダルトヴィデオ、DVDの露さ、即物的な映像からすればここでは裸の気恥ずかしさが何と牧歌的に映っていることか。 この差からもこれが80年代中頃の製作かと想像したのだ。

スラップスティックはギャグの連発、そのテンポ、以外さ常識との差異が勝負なのだが常識と非常識の狭間の瀬踏みがギャグ作家の個性となるのだが、明らかに北野には知的なシュールなものがあるのは確かでそれがでるときにシュールに飛ばせるその原点が想像できるかが北野理解のもととなるのだろう。

オランダ人女性の失望のもとには北野の原点、頭のいい普通の芸人だけではないべたな寄席芸人の背景が理解できていなく、それにとても英語の訳だけでは拾いつくせない、その落ちこぼれたところにエッセンスが溜まっている旨みがあることが理解できていないのだ。 つまらない映画を理解するにも少々のお勉強が必要だということだろう。 そしてつまらない映画を理解するためにだれがお勉強などするのだろうか。

幸いなことに子供の頃から大阪の笑いに親しんできたものには大阪弁が出てくる辺りから懐かしさでちゃんばらトリオの連中の演技に昔観た舞台のエッセンスがぞくぞく飛び出してにやにや喜んで観た。 もともと寄席の舞台の空間で楽しんできた殺陣を含めたギャグの数々をスクリーンで見るのは妙なものだ。 私の場合、ここではこれらの芸人の慣れた芸が映画の退屈から居眠りをさせない救いとなっている。 普通の芸をやる人、芸は確かなのだがスクリーンの芸をしない人たちが出る場面では新鮮度がおおいに上がるようだ。

意外性の少ないギャグが多い中でいくつかはモンティーパイソンをうかがわせるものも幾つかあり才人北野のこと、60年代イギリスで評判になったインテリドタバタギャグ集団のものに目を通していることは確かだから類似のものが出来ても不思議ではない。 後年好評の「座頭市」の題材がここでは豊かに含まれていることでもあるし、SFホラー、クローネンバーグの「フライ(蝿)」や下世話な「透明人間」、地球防衛軍などを出して安っぽいものを作る意図は成功しているとみてもよいだろう。

北野自身が登場して透明人間発生器をつくることでノーベル賞を取る場面では後年カンヌで受賞するその場面の想定としてその場面を自ら挿入したのだろうか。

ウィキぺディアの北野の項には多くのデーターが記載されており、英訳にもしっかりしたものが出ているので今度その娘にこのDVDを返すときにはウィキぺディアのことも教えオランダ語の解説も付いている「Zatoichi」を貸してやろう。 同じ「Ichi」なら両方に出演して特に「Ichi」では主演で殺人者を好演している浅野忠信のもののバイオレンスと比べる意味でも日本映画つながりの話の材料にはなりそうだ。

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