全身は青みがかった灰色であり、腹側はより明るい灰色である。 腹側には黄色い静脈のような筋状の模様が見られる。 眼の後方(尾側)に偽鰓(ぎえい)と呼ばれる鰓に似た模様がある。 胸びれは短いが幅広である。 下顎は小さく、上顎側が前方に飛び出している。 歯は長くて鋭く、湾曲しており、上顎には0本から6本、下顎には14本から26本ある。 歯の特徴から、英語では "the Rat Porpoise in Lower Antilles"(小アンティル諸島のネズミのようなイルカの意)とも呼ばれる。
■分類学
元々は1801年にRoxburghによって、インドカワイルカ (P. gangetica, Ganges and Indus River Dolphin) として一つの種として分類された。ところが、1970年代になって、インドカワイルカの生息域はインドのガンジス川とパキスタンのインダス川に完全に分かれており、長い間、交雑していないことがわかった。 頭蓋骨の特徴などを調べた結果、別の種であるとして分類された。 すなわち、ガンジスカワイルカ (P. gangetica, Ganges River Dolphin) とインダスカワイルカ (P. minor, Indus River Dolphin) である。しかし、1998年、Riceはガンジスカワイルカとインダスカワイルカの形態的な差異は別の種として分類するには不十分であるとした[Rice98]。 このRiceの分類に従えば、種としてはインドカワイルカ(P. gangetica。英名はGanges and Indus River Dolphin あるいは Indian River Dolphin)1種のみが存在し、亜種としてガンジスカワイルカ (P. g. gangetica, Ganges River Dolphin) とインダスカワイルカ (P. g. minor, Indus River Dolphin) に分類される。 現在では、このRiceによる分類法に従うことが多い。
■Riceによる分類[Rice98](インドカワイルカ1種のみとする分類法)
■カワイルカ科 Platanistidae
■カワイルカ属 Platanista
★インドカワイルカ Ganges and Indus River Dolphin, Platanista gangetica
★ガンジスカワイルカ Ganges River Dolphin, Platanista gangetica gangetica
★インダスカワイルカ Indus River Dolphin, Platanista gangetica minor
■Rice以前の一般的な分類(ガンジスカワイルカとインダスカワイルカの2種とする分類法)
■カワイルカ科 Platanistidae
■カワイルカ属 Platanista
★ガンジスカワイルカ Ganges River Dolphin, Platanista gangetica
★インダスカワイルカ Indus River Dolphin, Platanista minor
●ヨウスコウカワイルカ(揚子江河海豚、Lipotes vexillifer)は、哺乳綱クジラ目ヨウスコウカワイルカ科ヨウスコウカワイルカ属に分類されるイルカ。本種のみでヨウスコウカワイルカ科ヨウスコウカワイルカ属を形成する。 揚子江(長江)に固有な種である。 Baiji(白鱀)、Beiji、Pai-chi、Whitefin Dolphin(白ひれイルカ)、Whiteflag Dolphin(白旗イルカ)、Yangtze Dolphin、Yangtze River Dolphinなどとも呼ばれる。 中国では「長江女神」、すなわち揚子江の女神とも呼ばれていた。
現在は絶滅したと推定されている。
■分類学
ヨウスコウカワイルカは、1918年、Miller (en:Gerrit Smith Miller) によって新種として報告された。
■ヨウスコウカワイルカ科 Lipotidae
ヨウスコウカワイルカ属 Lipotes
ヨウスコウカワイルカ Chinese River Dolphin, Lipotes vexillifer
■歴史
ヨウスコウカワイルカは、約2万年前に太平洋から揚子江へ移動したことが、化石からわかっている。 前漢時代の辞典である『爾雅』にヨウスコウカワイルカに関する記述が残っており、それによると当時の棲息数は約5千頭である。 1978年、中国科学院 (en:Chinese Academy of Sciences) は、武漢水生生物研究所 (en:Wuhan Institute of Hydrobiology) の支所として、淡水海豚研究所(淡水海豚研究中心)を開設した。
●アマゾンカワイルカ (Inia geoffrensis) は、哺乳綱クジラ目アマゾンカワイルカ科アマゾンカワイルカ属に分類されるイルカ。本種のみでアマゾンカワイルカ科アマゾンカワイルカ属を形成する。 Botoとも呼ばれる。南アメリカのアマゾン川水系(オリノコ川含む)に固有の種である。 カワイルカとしては最も大きい種類である。 生息域はマイルカ科のコビトイルカとほぼ同じであるが、外観が全く異なるのでアマゾンカワイルカと混同するおそれはない。 別名が多く、IUCNが挙げているものとしては、Amazon Dolphin(アマゾンイルカ)、Boto Vermelho、 Boto Cor-de-Rosa、Bouto、Bufeo、Dauphin de l'Amazone、Inia、Pink Dolphin(ピンクイルカ)、 Pink Freshwater Dolphin(淡水ピンクイルカ)、Pink Porpoise(ピンクネズミイルカ)、Toninaがある。
■分類学
アマゾンカワイルカは、1817年、Blainville (en:Henri Marie Ducrotay de Blainville) によって新種として報告された。
Riceの1998年の分類[Rice98]では、アマゾンカワイルカ属は1種3亜種である。
Rice以前の分類法では、I. g. boliviensisを別の種とするのが一般的である。
■アマゾンカワイルカ科 Iniidae
アマゾンカワイルカ属 Inia
アマゾンカワイルカ Amazon River Dolphin (Boto), Inia geoffrensis
I. g. geoffrensis - マデイラ川 (Madeira) 流域を除くアマゾン川流域に棲息
I. g. boliviensis - アマゾン川水域のマデイラ川流域に棲息
I. g. humboldtiana - オリノコ川流域に棲息