ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

日記ロワイアルコミュの嫁を愛でてみた

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 休日。俺はリビングで自分の方向に扇風機の首を固定して、のんびりテレビを見ている。扇風機のウィーンという静かな音と、冷たい風がひんやりと優しく体にあたるのが、何とも言えない心地良さを俺に与えてくれている。扇風機は俺を爽やかな風で包み込んでくれていた。まるで扇風機に抱かれているような気分だ。扇風機が愛おしい。アイラブ扇風機。


 リビングに嫁がやって来た。嫁はドカッ!と座って、ブゥーッ!とおならをすると、テレビを見始めた。おならをしたら失礼くらい言いたまえ。あー、そして鼻をほじくるのか。デリカシーのかけらもない。

 嫁はしばらくして、ん?なんか、暑いな、あれ?扇風機が回っている音がしているけれど、何で風が来ないんだ?って顔をしながらキョロキョロ扇風機のありかを探し始めた。それは、まるで獲物を探すチーターの様だった。


 その鋭い眼が、遂に俺の近くにある扇風機を捕えた。


「ちょっと、あなた、扇風機の首固定するなんて、何極悪非道なことやってんのよ!あっついでしょ!早く!扇風機の後ろの首んとこのボタンカチッと押して、首を振らせなさい!」


 嫁は激しくまくし立ててきた。
 首を振るのに扇風機がどれだけの体力を消耗すると思っているんだ。この愛しい扇風機さんが疲れちゃうじゃないか。


「いや、美穂、お前がこっちに来いよ。ここで一緒になって風にあたろうぜ。愛し合いながらさ。ほら、隣においで。」


「うわっ、気色悪ッ!ヤダッ!」



 俺はムッとして、嫁の所へツカツカと歩いていくと、手を掴んで引っ張った。




「ほら!来いよ!」


「うへえ〜。」


 俺は無理矢理嫁を掴んで扇風機の前まで来させ、そこで押し倒し、俺の正座した膝の上に嫁の頭を乗っけた。どうだ、俺の膝枕攻撃を受けてみろ。


「なにこの状態。私、頭の部分しか風あたってないし。その頭すらも膝にくっついてて暑いし。この体勢、却下。」


 なにー!?ダメだったか。嫁はその体勢から逃れると、俺と一緒になって正座して扇風機の方を向きながら涼み始めた。

 俺はそっとテレビを消した。そして、嫁の二の腕をプニプニし始めた。うわすべっすべだな。弾力があるし、触っている手が嫁の腕の中に吸収されてしまうのではないかと思う程の、マシュマロみたいな柔らかさがある。くぅ〜!嫁の全身をチューチュー吸いまくりたい!
 いかんいかん。欲望を抑えなければ。


「ちょっと!太ったと思ってたんでしょ!最近太ったからってそんな風に触って太さを査定するようなことやめてよね!」


 嫁は俺の手を乱暴に振りほどいた。


「え?いやいや、全然太ったなんて思ってないし!」


「ん?そうかなあ?どうだかね。」


「いや、ホントにそんなこと思ってないし。全く、被害妄想はやめてくれ。お前は気にしすぎなんだよ。」


 俺はあきれながら嫁の顔を見る。

 あれ?怒った顔かわいくないか?ていうか嫁ってこんなに美人だったっけ?今更気付いた。そういえば、俺の横に来るのがヤダとか言ったくせに、こうして俺の横に無理やり座らせて、逃げるかと思いきやずっとここにいる。おいおい、実は俺の隣に居たかったのか?そういう所もまたかわいいな。そんな嫁が、愛おしいと思ってしまう。今怒ってるのとか、くっつくと振りほどく所が、もうなんか、愛おしい。こんなかわいい嫁が俺のために、家事や仕事を頑張ってくれている思うと、更に愛おしい。彼女の行動1つ1つが愛おしい。これが愛してるってことなのかね?すまん、扇風機、やっぱり嫁が一番だったわ。うん、そうだ、


「愛してる。」


 俺は嫁の顔をマジマジと見ながら、いつの間にか、そう声に出していた。しまったー。これは恥ずかしい。


「げ!やだー!ちょっとあなた急に何言ってるのよ、冗談よしてよ、もー!」


 嫁は、顔を取りたてのリンゴのように真っ赤にしながら、俺の肩をもの凄い力ではたいた。痛い。でも、これ言うの気持ちいいな。俺は、なんかもうふっきれた。


「いや、冗談じゃない。愛してる。」


「えー、なんか買ってほしいものがあるとかじゃないでしょうね。」


「違う。」


「なんかやらかしたことを隠してて、それを許してもらおうとしてるんじゃないでしょうね。」


「それも違う。いや、お前を見てたら、全てが愛おしいと思ったんだ。それで自然とその言葉が出てきた。」


 我ながらよくもまあこんな恥ずかしいことが言えたもんだ。


 嫁は目を丸くして驚いていた。


 やがて、嫁は、ほっぺたを赤くふっくらさせて、目はホワンとなってキラキラさせて、それでいてえくぼがあって、まるでプリップリの桃のようなかわいい笑顔になると、俺の方に顔を近づけてきた。

 そして、柔らかいものが俺の唇にムニーッとあたった。キ、キスされた。

 嫁はキスすると、そのとてもかわいい笑顔のままで、


「へへっ、私も。愛してる。」


 と照れくさそうに言った。ぐはぁ!萌え死ぬー!





 俺はもう、なんかよく分からなくなって、嫁の頭を優しく撫で回し始めた。嫁の頭から体温が手に伝わってくる。かなり温かい。嫁め、火照っているな。


「もー、暑いって言ってるのにぃ。」


 あれ?さっきより大分口調が緩くなっていますけど。というか、むしろ甘い声になっていますよ。


「よーしよしよしよし。」


 俺は嫁を胸に抱いて、更に激しく、ムツゴロウさん並に撫で回し始めた。


「ちょっと!私は犬じゃない。やめて!」


 やべ、やりすぎたか。もっと優しく撫でよう。
 今度は、綿を大事に大事にそっと触るような感覚で、嫁を優しく撫で始めた。


「あー、そうそう。それ、気持ちいい〜。」


 扇風機の音と、蝉の声と、俺が嫁の頭を撫でる静かな音だけがしていた。やがて、その中に、嫁の寝息がプラスされた。すーすー、と穏やかな顔で眠っている。かわいいやつめ。俺は寝ている嫁を撫で続けた。
 嫁を撫でていると、なんだか、自分まで心地良くなってきて、母のお腹の中でぷかぷか浮かんでいるような、そんな気分になった。ひと撫でするごとに、嫁の温かさがじんわりと手に伝わってきて、優しさが込み上げてくる。髪の毛の質も良く、つやつやしていて、油断しているとつるっと手が滑り落ちてしまいそうになる。俺は気持ち良くて撫でるのをやめられなかった。

 1時間くらいそうしていたんだけれど、流石に疲れてきたから、俺は嫁をそっと床に寝かせて、気分転換に散歩にでも行こうと思った。嫁を床に寝かせて、立ち去ろうとすると、嫁が眠たそうな声で言った。


「あ、ちょっと、どこ行くのよ。」


「え?散歩だけど。」


「何勝手に行こうとしてるのよ。私も行く。」


「いやいや、寝てたから起こしちゃ悪いと思ってそのままにしようとしたのに。勝手とはなんだよw
まあいいよ。一緒に行こう。」



 そう言って、俺達は街に散歩をしに出かけた。

 街では、歩く人はそれほど多くなかった。


「よし、手をつなごうぜ。」


「ヤダ。」


「あひゃ〜、断られた。」


 俺は断られて、ちょっと、いや大分ショックだった。俺って結構ナイーブ。


「違う、私はお姫様みたいな気分が味わいたいの。はい、腕貸して。」


 ああ、なんだ腕がよかったのか。ちょっと安心した。


「なんだかよく分からんが。」


 俺は手を自分の腹に置いたまま、肘を突き出して、腕を貸した。すると、嫁は


「そうそう、良く分かってんじゃん」


 と言いながら俺の腕に自分の手を回してきた。こういうことをしたかったんだね。


「それだったらもうちょっとエスコートしてる感じのあるんじゃない?」


「うるさいっ、私のイメージはこうなの!」


「はいはい。」


 こんな状態で散歩するの、なんか恥ずかしいんですけど、と俺は思った。でも悪い気はしなかった。
 俺達は何をするでもなく、ただひたすらに歩いた。
 空は、変な薄い青紫色に染まっていて、千切れ雲がびっしりあった。


「プッ、変な空ね。」


「あぁ、ホントだ。変な空だな。」


「でも綺麗ね。」


「そうだな、薄紫色が幻想的だな。」


 俺達は、空をニコニコ見ながらしばらく歩いてから、家に帰った。

 台所のテーブルで麦茶を飲んでいると、嫁がコージーコーナーの生クリームシューを、いつの間にか隣で食べ始めていた。


「おい、それ1日1個だって言っただろ!なんで2個食べてるんだよ。」


「気にしなーい。気にしない。」


「あきれた・・・太るぞ。」


「うるさいっ。」


 全く、彼女の母親もこれが大好きで、食べすぎて太ってしまったというのに・・・。そんな残酷な結果が既に導きだされているからこそ心配してやっているのに・・・。まあ、好きにすればいいさ。


「ほれ、汗かいたから、風呂に入るぞ。」


「え?だってまだ沸かしてないでしょ。」


「実はさっき俺が沸かしといた。」


「げ!いつの間に!ちょっと待って。私も入る。」


 俺達は節約の為に、いつも一緒に風呂に入っている。決してラブラブだからというわけではない。断じて違う。嫁は生クリームシューを急いで頬張ると、風呂に入る支度をし始めた。

 
 嫁の支度が終わると、俺達は一緒に風呂に入った。そして、エコーの効いた声でお互いにしゃべりあった。


「そうそう、私のお母さん、また昨日電話であの話してたわよ。」


「あの話って?」


「私のお父さんが昔結婚詐欺師だったって話よぉ!」


「あー、その話か。ホントお義母さんて冗談が好きだよな。」


 嫁の母親の美香さんは、自分の夫が昔結婚詐欺師だったという内容の作り話をするのが好きなのだ。本当に美香さんは冗談好きだった。


「でも、俺達を騙そうとするなら、もう少し信じてしまいそうな嘘をつけばいいのに。お義父さんは、ボランティアで、ゴミ拾いをしたり、障害者センターの人達のお世話をしに行ったりして人の為に身を尽くすような生き方をしているもんな。しかも、それと同じくらい人の為に身を尽しているお前を育て上げた人格者だし、どう考えたって、あんな優しくて真面目な人が結婚詐欺師だったなんてありえないよw」


「そうよね。ありえないわよね。でも、内容はリアルで面白いから、つい聞き入っちゃうのよね。」


「ははは、そうだな。あの人話作るのうまいもんな〜。」


 そんな話をしながら、お互いの背中を流して、楽しい風呂の時間を過ごした。


 寝る前、俺達は感情が高ぶって、獣のように愛し合った。もう、すんごかったね。え?お前そんなことまでしちゃうの?って感じだった。とにかく嫁のサービスがいつも以上だった。ホント最高だったね。俺も負けじとサービスしまくった。


 嫁が隣で寝ているとき、俺は腕枕をして、嫁の体温を感じて心地良くなっていた。嫁が息を吸うごとに体の密着度は増す。俺は腕で一つの命の重みを感じていた。そして、嫁の屈託のない穏やかな寝顔を見ながらこう思った。


「幸せな1日だったな。」




数十年後へ
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1860185281&owner_id=18650819

コメント(122)

ログインすると、残り89件のコメントが見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

日記ロワイアル 更新情報

日記ロワイアルのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。