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日記ロワイアルコミュの【ちょい】はつこいあなざーあんぐる【えろ】

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参考記事

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=58963632&comment_count=183&comm_id=1841967


また今日も告られた。

一度も話したことないセンパイに言われた。

友達がすごい怖い人って噂していた人だったから

渡り廊下で呼び止められた時はサラワレル・・・って思った。

だけど悪い人じゃなかった。

軽いノリでも脅す感じでもなく

真っ直ぐな眼差しで「好き」って言ってくれた。

まだ「好き」って気持ちがよくわからないわたしはゴメンナサイしたけど

その後も他の男子と違ってしつこくなくて

「こっちこそ急に呼び止めてごめんな」とだけ言って直ぐに立ち去った。

あのセンパイはいい人だ。

名前なんだっけ・・・


ファザコン。

それが中二にもなって男子を好きにならない原因なのかもしれない。

わたしが小さい頃からお父さんは仕事で海外を飛び回っていた。

会えるのはお盆とお正月の数日だけだった。

その間だけわたしはお姫様になれた。

お父さんは優しかった。

何でも欲しいものを買ってくれると言った。

どこへでも連れて行ってくれると言った。

だけどわたしは何もおねだりしなかった。

代わりに勉強を教えて欲しいと言った。

変わってるなってお父さんは笑った。

でもそれで十分だった。

お父さんに勉強を教えて貰うことが憧れだったから。

お父さんは頭がよかった。

どんなに難しい問題でもわかり易く教えてくれた。

問題が解けると決まってお父さんは

「ありさは天才!」と言って頭を撫でてくれた。

何よりその瞬間が嬉しかった。

わたしはお父さんが大好きだった。

だけど3年前のお正月以来お父さんは帰って来なくなった。

お母さん曰く、

決して事故にあった訳でもなく今も元気にタイで働いているらしい。

それなのに何故か帰って来ない。

きっと最近のフキョーってやつで忙しいのかもしれない。

早くお父さんに会いたい。


5月のある日。

わたしはどん底にいた。

4月に新調してもらったばかりの制服がもうキツクなって来たってことも

確かにショックだったけど

それ以上にショックだったのが中間テストの結果。

最悪だった。

数学35点。見たことのない点数だった。

2年生になって少し判らないところが出てきたと思っていたけど

まさかの点数だった。

レンリツホーテーシキがさっぱりだった。

お父さんが側に居てくれたら…と思うより先に

このままじゃお父さんに合わせる顔がないと思った。

馬鹿な娘じゃ嫌われてしまうと思った。

だから、家に帰るとお母さんに泣きながら塾に行かせて欲しいとお願いした。

困った素振りも見せずに好きなだけ行けばと言ってくれた。

珍しく太っ腹なお母さんに心から感謝した。

近所にある大手進学塾にしようかと思ったけど

きっと今のままじゃついていけないだろうし

この成績で友達が多いところに行くのは恥ずかしい。

インターネットで検索しながらどこの塾に行こうか迷っていると

お母さんが新聞の折込広告を見せてくれた。

「ここ入学金タダらしいよ」

確かに、広告には大きく「入学金今なら無料!」と大きく書いてあったし

中を見ると授業料も他の塾より随分安かった。

好きなだけ行けばと言ったのにも関わらず激安塾の広告を見せてくるところが

やっぱりお母さんらしいなと思った。

ちょっと遠いのが気になったけど

なるべくお母さんに負担を掛けたくないと思っていたからその塾に決めた。


はじめての塾の日。

教室のドアを開けるとそこには知らない顔ばかりで緊張した。

やっぱり近所の塾にしておくべきだったかもって少し後悔した。

どこに座っていいかわからず、立ち止まっていると

気付いた塾長先生が言った。

塾長「おー!中田さんこんばんワイン!」

わたし「こっ、こんばんは・・・」

塾長「みんなー。今日から入塾した中田さんだ。仲良くしれクレオパトラ!じゃああの席に・・・」

お母さんと説明を聞きに来た時もそうだったけど、塾長先生はオヤジギャグが酷い。

お父さんが言うオヤジギャグだったらきっと許せちゃうけど、

何かこの先生のは嫌だ。

そして口臭が酷い。

やっぱり、夏期講習からは近所の塾に通おうかな。

少しでは済まない後悔を抱えながら

塾長先生に言われた席に座った。

隣は空席だった。

授業開始ギリギリになって、一人の男子が教室に駆け込んで来た。

それを見て塾長先生が言った。

塾長先生「田中!今晩ワイン!」

センター分けのサラサラの髪に黒縁メガネ。

いかにも優等生って感じの彼は田中クンと言うらしい。

しかし、田中クンは塾長先生の挨拶を完全に無視した。

どうやら優等生ではないようだ。

わたしも今度から真似しようと思った。

塾長先生「おー。そうだ田中。みんなにはさっき紹介したけどその子は今日から入塾した中田さんだ。同じ中学だから知ってるかも知れないけどな。中田さんだから田中の隣にしておいた。あははは」

どこが面白いのかわからなかったけど

田中クンが同じ中学ってことと隣の席だと言うことはわかった。

同じ中学なら挨拶くらいしなくちゃと思ったわたしは

「田中クンよろしく!」と声を掛けた。

だけど、田中クンは真っ赤な顔で頷くだけだった。

風邪なのかな・・・


隣の席の田中クン。

実はすごい人だった・・・

塾長先生のオヤジギャグを華麗にスルーするあたり

只者じゃないと思ってたけど

わたしが35点だった数学のテストで98点。

順位も常に10番以内をキープ。

そして、2年生なのに吹奏楽部のエース。

生まれて直ぐに3歩歩いてチューバを吹いたと言う

田中クンは神だった。

田中クンは勉強の教え方も上手だった。

塾の宿題は難しかった。

数学が苦手だから塾に入ったの出されるのはハイレベル問題ばかり。

解ける訳がなかった。

だからわからないところは全部田中クンに聞いてみた。

田中クンはその全てに即答してくれた。

天才っているんだなって思った。

お父さんには全然似てないし、全然敵わないけど

少しだけ、ほんの少しだけ田中クンとお父さんが重なった。

田中クンに勉強を教わっていると心臓がちょっと変になる。

なんだろう。


「中田ありさ!!!」

部活に向かうわたしを呼び止める声がした。

振り返らなくても声の主はわかる。

この学校でわたしをフルネームで呼ぶのは一人だけ。

野球部の稲垣君しかいない。

そして話を聞かなくても用件はわかる。

だから、わたしは聞こえない振りをして小走りで逃げた。

だけど稲垣君は「待ってくれ」と叫びながら追いかけてきた。

野球部のエースと追いかけっこしても勝てるはずもない。

わたしは仕方なく立ち止まった。

「何?」と聞くと、いつもの台詞が始まった。

稲垣君「俺は、俺は中田ありさお前が好きだぁああああああああああ!!!!つぅきあってくれぇええええ!!!」

恥ずかしい。

超恥ずかしい。

廊下にいる人全員がこっちを見ている。

もうかれこれ5回以上はお断りしているのに稲垣君は一向に諦めてくれない。

最初はシンプルなラブレターだったのに

告白の仕方が段々エスカレートしている。

「ゴメンナサイ」それだけ言って、立ち去ろうとしたけど

「まってくれぇええええええええ」とバスケのディフェンスの様にしてわたしの進路を塞いだ。

えっ、ちょ、コワイ・・・

稲垣君「俺は、俺は高校卒業したらぁあああああああああ、プロ野球に入ってぇええええ
お前を幸せにぃいいいいいいいいいいいいい・・・」

えっ、ちょ、ホントにやめて・・・

恐怖と恥ずかしさでパニックなったわたしの目に入ったのは水泳大会のポスターだった。

とにかくその場を収めたかったわたしは咄嗟に言ってしまった。

わたし「わかったよ。わかった。稲垣君。わたし水泳が得意な人が好きなんだ。だから来月の
水泳大会の自由形で優勝したら付き合ってもいいよ!」

稲垣君「まっ、まじでぇええええええええええええ!!!しゃぁあああああああああああ!!!
世界記録で優勝するぅうう!!!ぴゃあああああああああああ!!!」

自由形だと言うのにバタフライの様に腕を廻しながら稲垣君は去っていった。

ホッ。

としたのも束の間。

自分が大変な約束をしてしまったことに気付いた。

もし、本当に優勝してしまったら冗談でした!ではきっと済まない・・・

とてつもなく憂鬱な気分になったわたしは部活に出る気力もなく

そのまま帰宅した。

きっと明日は顧問に怒られる・・・

一層憂鬱になった。

塾にも行く気になれず、ベッドに潜り込んでいたら

お母さんがキレた。

仕方なく塾へは行くことにした。

塾へ行ってもテンションが上がるはずもなくわたしは机の上に顔を伏せ寝ていた。

酷くマイナスオーラを出していたせいでこの1ヶ月で仲良くなった子たちも

話し掛けてこなかった。

ふと隣の席に目をやるとたなっちが来ていた。

勉強やチューバは天才でも水泳はダメだろうな・・・たなっち華奢だし・・・

だけど、ダメ元で聞いてみた。

しかし、意外にもたなっちから返ってきたのは「まぁ。それなりに」と言う

自信ありげな言葉だった。

やっぱり天才は何をやらせても天才なんだ!!!

テンションが上がったわたしは飛び起きた。

そして聞いた。来月の水泳大会には何に出るかを。

たなっちはまだ決まっていないと言った。

これはチャンス!

そう思ったわたしはお願いした。

わたし「じゃあさ、50m自由形出てよ。そして優勝してよ」

宿題を教えてくれる時の様に快諾してくると思ったけど甘かった。

たなっちは怪訝な顔で「何で?」と聞いてきた。

当然だ。

何でそんなお願いされるのか疑問に思って当然だ。

でも、何か嫌だ。稲垣君のことたなっちに言うの。

だけど言わないと納得してくれないよな・・・

テンションが徐々に降下したわたしは

再度机に顔を伏せると仕方なく今日の出来事を話した。

そんなこと知らないって冷たく突き放されるかもと思った。

だけどたなっちはこう言ってくれた。

たなっち「小学校まではオリンピック目指してたくらい水泳、特に自由形は得意です。優勝します。してみせます。」

生まれて初めてお父さん以外の人をかっこいい!って思った。

たなっちが優勝したらうちでケーキを焼いてお祝いをする約束をした。


楽しみだ。


水泳大会までの3週間。

期待と不安の入り混じった時間を過した。

たなっちは大会に向けて毎日泳ぎこんでいるらしい。

たなっちなら絶対に期待を裏切らない。

そう信じている。

だけど、まだ中学2年生だと言うのにプロ野球のスカウトの人たちが練習を見学に来る

稲垣君の運動神経と体力は脅威だ。


大会前夜。

塾でたなっちに聞いた。

優勝出来そう?と。

たなっちは自信たっぷりに言ってくれた。

「もちろん」と。

すごい!

わたしは嬉しくて、嬉しくて思わず飛び跳ねた。

飛びすぎてちょっとおっぱいが痛かったけど

胸にずっと抱えたままだった不安はもうどこにもない。



大会当日。

梅雨明け宣言された夏空には大きな太陽が輝き

暑い一日になることを予感させた。

クラスのみんなの活躍に一喜一憂していると

緊張の瞬間はあっと言う間にやってきた。

「次は50m自由形の選手紹介です。1コース1組稲垣君、2コース2組・・・・8コース8組野村君です。」

わたしは耳と目を疑った。

たなっちの名前は呼ばれることはなかった。

そしてたなっちが立っているはず8コースの飛び込み台には

たなっちとは似ても似つかないヤンキーの人がいた。

えっ・・・

たなっちは・・・

どーゆーこと・・・

考えている間にレースは終わった。

「1着1組稲垣君。2着・・・・」

稲垣君「なぁかぁたぁありさぁあああああああああああああああああああ!!!!」


こうして私は処女を失った。



翌朝。

稲垣君は全身に金管楽器のマウスピースが突き刺さった瀕死の状態で校門の前に横たわっていた。

その後、3ヶ月入院。

彼とはその間に自然消滅。

あれだけしつこかった彼と自然消滅って言うのが不思議だったけど

どうでもいいや。


そう言えば、わたしに告白して来たセンパイの名前をようやく思い出した。

確か・・・

ヤマモトセンパイ。




「・・・これがわたしの初体験。つまらなかったでしょ?」

わたしはフーっと白い煙を吐き出すと、タバコの火を消した。

ピピピ。

同時に、時間を知らせるアラームが鳴る。

「服も脱がずにわたしの話を1時間も聞くなんてあなたも変な人ね」

わたしの投げかけた言葉に男は眉一つ動かさないまま

静かにベッドから立ち上がるとこう言った。

「それでお父さんは?」

一見の客にこれ以上身の上話をする必要なんてなかったけれど

何故か話したくなってしまったわたしは男の問に答えた。

「お父さん?帰って来たわ。中学二年生の夏休みにね。お母さんになって・・・

辛かったわ。そこから荒れてね・・・

結局高校もいかないまま家出。そして夜の世界へ。気付けば三十路よ」

わたしは一人苦笑しながらチェックアウトの電話を掛けようと受話器に手を伸ばした。

「・・・ね」

男は小さな声で何かを呟いた。

「えっ?」

聞き取れなかったわたしは振り返り、聞き返した。

男はもう一度言った。

「辛かったんだね。中田さん・・・」

「えっ?」

今度ははっきりと聞こえたが違う意味で聞き返した。

すると次の瞬間わたしは男に抱きしめられた。

性欲を満たすために体を弄る男たちの手と違い

わたしを包み込むその男の手は暖かかった。

「ごめん・・・・ごめん中田さん・・・ボクが、ボクが水泳大会休んだせいで・・・

中田さんを守れなかった・・・・」

「えっ?」

刹那に甘酸っぱい記憶が蘇る。

「もっ、もしかしてたなっち?」

「お久しぶりです。田中です」

たなっちは照れくさそうに言った。

「ずっと好きでした!

約束も果たせなかった情けないボクですけどもし良かったらはつこいの続きをお願いします!」

たなっちはもっと照れくさそうに言った。

「60分2万円だけどいい?」

そうわたしが答えると

「えぁkfんヵfml;」

たなっちは声にならない声を上げた。

まじめな性格はあの日のままだ。

「冗談よ」

そう言うとわたしはそっと唇を重ねた。



コメント(122)

あの話はこんな結末だったんですね目がハートなんかやたら嬉しいですグッド(上向き矢印)グッド(上向き矢印)一票exclamation ×2
普段キレない人がキレるとヤバいってこの事か...((((;゜Д゜)))
スッキリしました!
一票!

ヤマモト先輩〜泣き顔揺れるハート
てなりました。

一票!

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